ハンター日記メゼポルタ   作:空杞憂

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第6話 セレス密林に現る影

 

セレス密林、熱帯地方に多く生息するヤシの木や背の高い草花に囲まれたそのフィールドには、浜辺、洞窟、熱帯地方の木々が生息する密林や丘があり様々な条件が揃っているため新人が狩りの基本を学ぶのに適した環境だ。

 

そんなセレス密林のうっそうとしげる熱帯の草花を掻き分けながら4人で隊列を組み密林の奥へ奥へとと進んでいく一団があった、先頭を切って進む片手剣士は周囲を警戒しながら道を阻む草花を手に握られた愛剣を振り下ろし、道を切り開く、ハンターカリンガ改と言われるその剣は鉄鉱石や大地の結晶といった初期に手に入りやすい鉱石を使って作る片手剣だ。

 

薄赤みがかった刀身は鎌の様な曲線を描いていて初期装備に比べると格段に輝きが増している、モンスターの素材が無くとも鉱石類を集めるだけで強化生産できるのでモンスターとの戦闘に慣れない者でも採掘をこまめにしていれば手に入れることが出来る。

 

身にまとう防具はルーキーシリーズと言われる初期防具の一つ、防具屋で少量のゼニーで購入でき強化素材も採取が簡単なためこちらも新人に多く愛用されている、だが防具もしっかりとレベル3まで強化されている

 

「何処にいるの…さあかかって来なさい…」静かにそう言いながら何かを探すようにあたりを見回す、首を左右に振るたびに耳元に付けたルーキーピアスと真っ赤な赤毛がゆさゆさと揺れる。

 

その後ろから背中に巨大な剣、大剣バスターソードを背負った男がい続く、

バスターソードは切れ味は低目だがその攻撃力は高く、元々一撃一撃が重い大剣の攻撃力をさらに強く感じさせる一本だ。

 

「どこから来ようと俺様の強撃で仕留めてやるぜ」バスターソードを背負った男は、全身をハイメタシリーズと言うこちらも鉱石で作る防具をまとっている

うっすらと白みがかった防具の輝きが太陽に照らされて少し眩しく反射する。

 

「うわわわっ、眩し!その防具めめ目立ってるよ…」

 

「なるべく静かに、密集していれば見つかりにくいよ」

 

さらにその後ろから2人の男が続く

 

4人は静かにゆっくりと密林地帯を進む、そうでなければヤツに見つかってしまう。

 

 

バサバサバサバサッ、不意に音がして4人は進行を止める、頭の上を数匹の鳥が鳴き声とともに飛んでいくのが見える

 

なんだ、鳥が…と力を抜こうとしたその時、ガサガサッと前方の草むらが揺れて青い影が姿をあらわす。

 

 

全身を空のように青い鱗で包み、背には黒みがかった横縞模様がある。細く頑丈な二本の足は筋肉がしっかりとつき獲物を追いかけるために発達している、両足の爪は赤く長く鋭い

腹部から生えた両腕は小さいもののその先端には強力な鉤爪が両手に3本づつ生えている。

トカゲのような細い体の先から伸びる細い首の頭には鳥のような頭が生えている、青い鱗、黄色い目、黄色いくちばし、 《ドスランポス》と言われるモンスターだ。

 

ドスランポスは警戒した様に当たりを見回している、だがそのドスランポスは皮の表面に剣の切り傷や弾丸による火傷の跡がついている、ハンターと戦闘したと言う証だ…

自らの命を狙うハンターが何処からか仕掛けてくるのを警戒し必死に当たりを見まわす…

 

すると木の陰から何かが反射しているのが見えた、ドスランポスは目を細めて確認する、そこには確かに狩り人達の匂いが…

 

「ガガグァ、ガガガ!」

ドスランポスは見つけたぞ!と言うかのように鳴き声を上げる。

 

「気がつかれた、どうする?」

 

「どうって行くしかねーだろ?」

 

「作戦通り退路を塞いで畳み込もう!

3.2.1GO! GO! GO!」

最後尾の一人が叫ぶと後の3人は目標のドスランポスへと駆け出す

 

ドスランポスもハンターに向かって駆け出していく、地を力強く蹴り上げ風の様にハンターめがけて突き進む

 

両者の距離は縮まって行きそして…

 

ガキンッ!と金属の衝突音が鳴り響く

先頭を走り抜けていった赤毛の片手剣の少女がドスランポスの爪が自らの体に到達する直前立てで攻撃をガードしたのだ!

 

初撃を外したドスランポスは僅かに体制を崩す、そこを狙って体をくねらせ

横払い切りを繰り出す!

体を回転させるとともに右手の剣に体重を乗せて勢い良く抜き放つ、そして今度はバネで戻されたかのように右手を引き戻し逆方向に切りつける

スピードに乗った斬撃がその小さい刃からは想像できないほど深く確かな傷を与える。

 

だがドスランポスはすぐに体制を立て直し少女に向けて今度は牙をむく、

黄色いくちばしを大きく開き獲物を捕らえる鋭い牙を少女の体に向けて突き立てる!

 

固く頑丈な鎧の上からでもドスランポスの牙は確かな衝撃を与え、そのダメージは鎧を抜けて体へと伝わる

「グッ…この!」

少女は負けじと再び盾を構え今度は盾を前に勢い良く突き出し噛み付くくちばしに思いっきり打ちつける

 

噛みつき攻撃を盾で押しかいされドスランポスは再び僅かな隙がそれを狙って少女の後ろからハイメタシリーズを纏う男が「かがめ!」と叫ぶ、その言葉に即座に反応し赤毛の片手剣士は体制を低くする

 

その頭の上スレスレを大剣バスターソードが空を割いて振りかざされる、

抜刀と同時に重力で加速させやや下向きに横方向に刃を放つ、振り抜かれた鉄の大剣バスターソードがドスランポスの体に命中し肉を裂き骨を砕く!

 

バキッバキッと確実に骨が砕け散るような音が聞こえドスランポスの両腕はダラリと垂れ下がる、両腕の関節がバスターソードによって砕かれ使用不能になったのだ!

 

「ギョア!」

あまりにも痛い一撃をくらい、その場に倒れこみもがくドスランポス、そこへ追い討ちをかけるかのように二本の剣を装備した男が抜刀とともに

「鬼人化!」と叫ぶ、男の装備した二本の剣、双剣ハリケーンがドスランポスの倒れこむ体を掻き切る、肉を削ぐ!

 

二本の剣を左下から右上へ、体をひねって左上から右下へ、そして左右に裂くように剣を滑らせ二本の剣を倒れこむドスランポスの喉元に突きつける!

 

「ギョア…ギョア!」

ドスランポスは呻きながらも何とか立ち上がると双剣使いを蹴り飛ばし勢い良くジャンプして剣士の一団から離れる…

 

ザザザッザザザッと足をもつれさせながらも大地をかけて逃げようとするだがその目の前にさらなるハンターが立ちふさがる

 

全身をランポスシリーズと言う防具で身を包んだハンター、腕には巨大なヘビィーボウガン アルバレスト改

防具のキャップのせいで顔が目以外隠れているがそれでもその男は笑っているのがわかる…その笑みは勝利の笑みだ

 

男が引き金を引きアルバレスト改から二発の弾丸が放たれドスランポスに向かう、しかし生き物というのは死に際になって力を発揮するものだ、ドスランポスはその銃撃を詠んだかのように空中に飛翔いやジャンプする

 

だがその時ドスランポスは見た、自分の真下にいるハンターが真上にボウガンを向け引き金を引くのを…ガチャッと言う引き金を引くかすかな音

その瞬間凄まじい発射音と爆音がドスランポスを包んだ、爆煙に体が包まれ傷ついた体の皮膚にジリジリと痛みを

増加される、腹元に直撃した爆発が内臓を押しつぶし心臓の鼓動を弱らせる

「ギョアァァアアアア?!」

突然の爆音の嵐理解できずそのまま地面へとボロい布切れのように落下し体を勢い良く地面に叩きつけられる

 

ドスランポスはしばらくパクパクと口を動かしていたが次第に口の動きも痛みでもがいていた体も動きが小さくなりやがて

 

「ギョアァァァァッ」と空気の抜けるような声を出し動かなくなった…

 

「ユーク、やったな!」

ユークと呼ばれた全身ランポスシリーズの男はランポスキャップを脱いで汗に濡れる髪をわさわさっと揺する

 

「うん、やっと空中に撃つのも慣れてきたかな…命中率はまずまずだけど…」

 

「でででも今のはすごかったよずどーんって!」

ホークは全身をバトルシリーズで固め武器はハリケーンと言う双剣だ

 

「それはそうとさっきの攻撃、クビが飛ぶとこだったじゃないランダガス!

私が反応できなかったらどうするのよ!」怒りの表情を浮かべる赤毛の少年フリーアが装備するのは髪の色と同じ赤のルーキーシリーズと言われる防具だ

 

それに対し全身ハイメタシリーズの

ランダガスと言われた男は

「まあ上手く行ったんだからカンケーないだろ!」

とテキトーな事を言っている

 

4人はドスランポスの素材を剥ぎ取ると

その場を去っていく…

 

ユーク達が初めて密林を訪れた狩りからすでに3週間が経過し、ハンターになってからあと少しで一ヶ月が経とうとしていた、定期的にメゼポルタとセレス密林を行き来して何度も狩りをして皆装備もハンターとしての実力も上がりつつあった…そしてその実力を確かめるためだと言うかのようにセレス密林に一匹の飛竜が降り立った…

 

 

 

「セレス密林に、イャンクックが現れた!本当ですか?」

メゼポルタに帰ってすぐクエストの完了を知らせようとドスランポスの鱗をクエストカウンターに持っていったユークは直ぐにその情報をギルド受付嬢から聞かされたのだ

 

「ええ…本当よ、さっき観測気球から伝書バトの連絡…あったから…」

 

そう答えた受付嬢の名はユニス、総合クエストを担当するギルド受付嬢で新人の下位クエストの受付からハンターランク100以上の凄腕ハンター用クエストまであらゆるクエストの受付を担当している。

 

ユニスは受付嬢の中でもダントツに綺麗な女性の一人で、メゼポルタを拠点にしているハンターの人気は高い、

髪はシルバーブロンドのショートヘアを両側に垂らした顔は白く美しい肌

髪の色と同じシルバーの輝く瞳は眩しいほど光を放っている

小ぶりだがスッと通った鼻筋の下で桜色の唇が鮮やかな彩りを添える

スラリとした綺麗な体を灰色の大人っぽいロングドレスに身を包み、胸元にはふわりとしたオレンジのリボンを付けている。

「そうなんだ、それでもしかしてその依頼って…」

 

「出来れば…受けてほしい…」

ユニスはとても美しく可憐だが、普段は必要以上の話はしなく静かな性格をしている、小声なので少し声が聞き取りにくいと思われがちだがそれがか弱い女性らしさがあって可愛いと評判だ

 

「でも、イャンクックを倒さなきゃいけないのは他の新人も同じだし僕たち限定じゃないんでしょ?」

 

《大怪鳥イャンクック》全身を薄赤いピンク色の鱗に身を固めたそのモンスターはハンターが最初に戦うことになる飛竜種の一つだ、巨大な黄色いくちばしと大きなトサカが特徴的な飛竜だ

見かけはまるっきし巨大な鳥、なのだが口からは炎を吐き、クチバシや尻尾による突きや払い攻撃など数パターンの攻撃を行う、だが飛竜種の割に体は小ぶりで体力も低いため新人が飛竜種の攻撃パターンを覚え対飛竜戦闘の極意を学ぶいわば練習相手の様なモンスターでハンターの中では基本を教えられる飛竜と言うことでイャンクックの事を先生と呼ぶ者もいる

 

「たしかにそう…でもまだあなた達の同期で誰も戦った人いない…初陣でゴゴモアに勝った貴方達なら勝てると思うし皆んなやる気…でると思って…」

 

比較的討伐が簡単なので、その依頼は新人のハンターができるだけ受けて腕を磨くと言う暗黙の了解があり、稀に起きる大量発生の時以外はベテランハンターはイャンクックと戦うことはあまり無いのだ…

 

「そうか…でもごめんイャンクックとは言え初の飛竜戦になるから受けるかどうかは、チームの皆んなと話し合わないと…」

 

「…わかった…」

 

「ごめんね、すぐに受けるよって言えるほど未だ強くはないからさ…」

 

「……そう…」

ユニスは表情をあまり見せない女性だが少し落ち込んでいるのだろうか?声がいつもより小さい気がした…

 

 

「と言うわけなんだけど、皆はどう思う?」

新人ハンター寮に戻ったユークは、ランダガス、フリーア、ホークの三人に依頼の話を打ち明けた

 

「どうって、それは…」

 

「いつかわ戦うんだよな?でもなんか怖さわあるよな!」

 

「そうだよね、別に僕たちじゃなきゃいけないわけじゃないんだでも…」

 

「てでででも何なの?ユーク」

 

「この以来同期の新人ハンターはまだ誰も受けてないんだ…きっと皆んな飛竜戦って言うのが怖いんだと思う…

僕だって怖さわある…でもだからこそ僕たちがやるべきなんだと思う!」

 

「受付嬢のユニスさんが言ってたんだ、ゴゴモアに初陣で挑んだ僕たちなら大丈夫だって!それに僕たちが勝てば皆んな勝てない相手じゃないって思えると思うって…だから…」

ユークは力なくそう言う、怖いのは皆同じなんだ…

「俺は賛成だぜ!一番乗りで倒した事になるなら尚更だ!」

 

「そうね、初陣からぶっ飛ばしてきたんだからこれからもそうでなくちゃね?私も賛成よ依頼受けましょう!」

 

「いいいつか戦うなら、後でも先でもおお同じだと…思う…僕も賛成するよ」

 

「皆んな…ありがとう」

そうこの3人となら、みんながあ一緒なら勝てる!そうユークは思った。

 

「そうと決まれば早速準備にとり狩りましょうよ、私回復アイテムとトラップを揃えてくるわ!」

 

「ぼぼぼ僕はみんなの分の狩り人弁当を買ってくるよ…」

 

「俺様も…俺様も…ユーク!なんか指示をくれれば手伝うぜ!」

 

「うんわかった!さあみんなで頑張ろう!」

 

一同「おぉおおお!」

 

こうして初の飛竜戦の準備が始まった、そして準備が整いユークがユニスに依頼を受けると伝えるとユニスは微かに微笑んで「…まってる」と少し照れたように一言放ち見送ってくれた

 

ユーク達は馬車の進路をセレス密林へと向けて陸路を走り抜けた、まだ見ぬ飛竜を求めて…ハンターの力を示すために!

 

 

 

 

 




ハンターの登竜門というべくイャンクックに
ユーク達が戦いを挑む、空を飛び炎を吐く
大怪鳥相手にユークが考案した作戦とは?
次回 第7話 大怪鳥イャンクック
6月8日月曜日朝10時更新!! お楽しみに!
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