薄らぐ意識の中でユークは、仲間たちの叫び声と共にイャンクックの激しい鳴き声も聞こえていた、それはまるでハンターを痛めつけ勝利を決めたかのような大きな鳴き声であった…
崖から落下し速度を上げて落ちていく
フリーアはすでに気絶し意識は飛んでいた…ユークはフリーアをかばうように自分の体を下に向け衝撃から守ろうとする…
「はっ!」飛んでいた意識がもどり
目を覚ますとそこはベットの上だった、フリーアはベットから起き上がり乱れた髪をかき分けて辺りを見回す、
どうやらベースキャンプの様だ、船の上に置かれた大型のベットの上に横たわっていた。
自分の体には綺麗に包帯が巻かれ背中にはヒンヤリとした物が塗られている
フリーアは背中に攻撃を食らったことを思い出す
「そういえば私…イャンクックの火球をくらって…崖から落ちて…」
「気がついたかニャ?」
ふと声がしてフリーアはベットの横に立っていた小さな影に視線を落とす、
そこにはアイルーと言われる猫型の生物が二本足で器用に立っていた…
アイルーとは獣人族と言われる種族でモンスターの一種なのだが知能が高く社会性がある為に人間に雇われ人間の言葉を話す者も多く存在する。
いまここにいるアイルーは救護アイルーと言われる者で怪我をしたハンターを治療して傷を治してくれる治療のスペシャリストだ。
「おみゃーはラッキーな奴にゃ、普通はあんな高さから落ちたらそんな軽い怪我じゃ済まされないにゃ…」
フリーアの体にはイャンクックの炎を食らった時の背中にはヒンヤリとする恐らく火傷薬が塗られているがそれ以外は軽い擦り傷程度で骨も折れていない…
「ありがとう、あなたがこの包帯巻いてくれたのよね?それにこの背中の薬も」
「どういたしまして…と言いたいとこにゃけどその背中の薬はオイラじゃないにゃオイラが来た時はもうアンタの背中に丁寧に塗られてたにゃ」
「じゃあ誰がこの治療を?」
アイルーはトコトコと横にずれる、アイルーの後ろにはぐったりと倒れてフリーアと同じように包帯を体に巻かれた男が目をつぶって倒れていた…
「ユーク?ユークなの?彼がこの治療を私に?」
「そうにゃもう少し治療が遅かったらアンタの怪我は背中に残り傷になるとこだったにゃ、でも的確な早い処置のお陰で傷は多分残らないにゃね…」
そうだったんだ…フリーアは倒れているユークに向けて感謝の笑みを浮かべるだが…
「そういえばユークの容体は?どうなってるの?」
「それがにゃ…無理して傷だらけの体を動かしておみゃーを必死に治療したせいで自分の身体をないがしろにしてたみたいでにゃ、オイラが来た時にはすでに……」
「そんな、じゃあユークは…」
フリーアはベットから飛び降りてグッタリと倒れるユークのそばにより手を取る
「私なんかの為に命をかけてくれたの?ユーク?死んでないよね?お願い、目を開けてユーク!」
だがユークはグッタリとしていて動かない…
「ねえユーク答えて!返事してよ!」
「あのにゃーハンターのアネゴ、ユークは別に…」
「うるさい!黙ってて!、ユークお願いよ!目を開けて!」
フリーアの涙がユークの体にポタリと落ちる…
不意にユークの手がピクリとかすかに動く
「…しい」ユークが弱々しく声を上げる
「ユーク?目を覚まして…」
「くっ苦しいよフリーア、お腹かが」
「へっ?」
フリーアは自分の両手でユークのお腹を圧迫していたことに気づき手を離す
とたんユークはゲホゲホッとむせながらも起き上がる…
「いやあフリーア、大丈夫だった?」
ユークは優しく微笑みながらフリーアに話しかける、しかしその笑顔は自分の傷の傷みを我慢しているようにも見える。
「ユーク!生きてるのね?ユーク!」
そう言いながらフリーアは勢いよくユークにギュッと抱きついた、途端ユークは顔を真っ赤にして慌てる…
「ちょっとフリーア、突然何だよ!びっくりす…」
だがユークの言葉はそこで止まったフリーアは小刻みに震えながら瞳から大粒の涙を流している…
「泣いてるの?大丈夫?どこか痛いんじゃ?」
「うんうん違う…」
フリーアは涙をぬぐいながら答える
「私なんかの為にユークが死じゃってたらどうしようかと思った…私をかばったせいでユークが死んだら私…私…」すすり泣くフリーアにユークはそっと優しい声で話しかける
「泣かないでフリーア、僕は死んでないよ生きてる…大丈夫だよ、それに自分のことをそんな風に言っちゃいけないよ、君は皆んなを守るべきハンターであり仲間に守られるべき大切な人でもあるんだ……街の皆んなや僕たちチームのみんなにとっても大切な存在だよ!だから泣かないで…」
「うんありがとう…グスン…大丈夫だよ私…ありがとうユーク、優しいのね…」
フリーアとユークは見つめ合いなんだか少しイイ感じの雰囲気が漂う……
「ヒューヒューお暑いね!お二人さん!狩場でイチャイチャと!」
そんなバラ色の雰囲気はランダガスの罵声によって一瞬で消えさった。
「ただだダメだよランダガス、こういう時はこっそり初めからいなかったかのようにこの場を去っていいい行かないとラブシーン続かないじゃないか…」
「お前ビビリのくせに変なこと言うなホーク!だがそうは問屋が下ろさねーぞ!恋愛ストーリーじゃねえんだからな!」
「ランダガス!アンタね いつから見てたのよ?」
とフリーアは少し怒った口調になる
「えーっとそうだな お願い!目お開けて!ユ〜ク❤️からだな!」
「そんな馬鹿げた声出してないしそんな言い方してないわよ!」
「そそそそうかな?そんな感じだったと…僕はおお思う…な〜…」
ホークはオドオドしながら言う…目は左右に行ったり来たり、かなり挙動不審な感じだ。
「ウガー!ランダガス!ホーク!あんた達ね!」
ランダガス、ホーク、フリーアの三人の口喧嘩はしばらく続いたが、ユークはそれをただ静かに見ていた、だがふとイャンクックの事を思い出すそういえば…
「ねえそいういえばランダガス、ホーク、イャンクックはどうなったの?」
3人はふざけ合うのをやめて直ぐに真剣な顔になる
「ああ、お前達が崖から落ちた後直ぐに助けようと思ったんだがイャンクックがいたからすぐには来れなくて…
それでしばらくイャンクックと応戦したらイャンクックがエリア移動したから直ぐにココに来てみたら今に至るってところだな!」
「うん、イャンクックはああ足は引きずってなかったけど…でもかなり深手を負わせたと思う…」
「凄かったんだぜ!ホークの野郎、鬼人化すると性格変わるだろ?それでヤッケになって鬼みたいに斬りかかるもんだからびっくりしたぜ!」
「そそそんなこと…ないよランダガスだって大剣でズバァアンッて思いっきりクックの頭を殴っる切るッてすごかったんだから!」
メンバー2人が離脱した状態でたった2人でイャンクックに挑み戦った二人の勇気は素晴らしいものだ、きっと苦戦しながらも2人で頑張ったのだろう…
「そっか2人とも頑張ったんだね、でもイャンクックはまだ倒せてない、クエストはまだ続いてるんだ、何としても奴を倒そう!」
◇◇◇
密林の海岸線沿いにあるエリア3、このエリアは生える木々や草が最も多く視界は悪い、だがそのおかげもあってモンスターにも気づかれにくいエリアでもあるのだ…ユークはエリア8に続く洞窟の手前にある小さな高台に陣取り狙撃姿勢を取っているそしてその後ろにはランダガス、フリーア、ホークの3人も体を伏せて身を隠している。
ユークは目的であるイャンクックをスコープ越しに見ていた、こちらには全く気づくことなく呑気にあくびをしている。イャンクックはトレードマークであるトサカが閉じられている、会敵していれば直ぐにトサカは開くので本当に気を抜いているのだろう。
密林の中は静寂に包まれていた、しかしそんな静けさをユークの発砲音が破る、ズガァアンと言う発砲音と共にレベル2通常弾がイャンクックの体に突き刺さる、イャンクックは「?」とあたりを見回す
「おい!こっちだイャンクック!かかってこい!」
ユークはわざと目立つようにイャンクックに向けて大声を上げる。
するとイャンクックはユークの方に顔を向けてその存在にきずくとグァアアンと叫び声を上げる
2度目 3度目と発砲音が響きイャンクックの体に弾丸が突き刺さる、イャンクックはしつこい攻撃に起こるようにまっすぐこちらに突っ込んでくる
「クァックァックァァアア!」
イャンクックはユーク達の居る高台に激突する寸前で停止し、ユークに向かって炎を履こうと喉をガラガラッと鳴らし火球を混ぜる、だが炎球が吐き出されるより前にユークはイャンクックの足元に置いてある二つの巨大な(タル)
に向かってレベル2通常弾を放つ、飛翔する弾丸は二つのタルが並ぶちょうど
真ん中あたりを貫く、刹那ズドォオオンと言う凄まじい爆発音が密林中に鳴り響き真っ赤な爆煙がイャンクックを包み込んだ大タル爆弾と言う対大型モンスター用の爆弾をさらに強化した大タル爆弾Gだ!
大タルいっぱいに詰めた火薬の中に火にかけたカクサンデメキンと言う魚を加えてタルの中に混ぜることで作れる強力な爆弾でその威力はドスランポスなど一撃で倒せる程の強さがある、そんな強力な爆弾を食らったイャンクックは
腹の辺りに大きな火傷を負い、自慢のトサカは大きな穴がいくつも開きボロボロになる、凄まじい爆発のせいでグァアア!?ッと驚きの声をあげ首を左右に行ったり来たりさせながらその場で停止する。
イャンクックは強力な音や打撃や爆発を与えると一時的に動けなくなるのだ!
その隙を狙って剣士3人が高台から降りるとすぐさまイャンクックに向けて剣を振るう!
「セァアア!ティヤアア!」
フリーアの斬撃がイャンクックの翼を切る脚を切る、素早い斬撃がブゥン、ブゥンと言う刃音と共に繰り出されイャンクックの体を傷つける、その一撃一撃にはいつも以上に力が込められている、
自分の体に、そして仲間の体に傷を負わせたイャンクックへの恨みを晴らすように、片手剣とは思えない力強い剣技で斬りかかる
「よくも私にこんな怪我を!レディには優しく触れなさい!」
フリーアは感情をそのまま剣で表すかのように強く早く剣を振るう!
その小さな刃がイャンクックに触れるたびに血が吹き荒れるしぶきとなって飛び散る!
「フハハ!斬!斬!斬!最高だぜ!鬼のように力を!鬼のように素早く!」
ホークも両腕に持った剣を疾風のごとき速さで振るう、右手の剣で中断に斬り払う!間を入れずに左手の剣が腹を突き抜くきその傷を切り開く様に右の剣を突き立て左右に引き裂く!
二本の剣で刺された傷からは血がポタポタと垂れるがそんなことを気にせずホークはさらにスピードと言う名のギアを解放していく…
「斬!斬!斬!鬼の極意!鬼の心のように強く!固く!双剣鬼人化乱舞!」
掛け声とともにホークの攻撃はさらなる領域に達する、鬼人化によって研ぎ澄まされた脳を全力で両腕を振るう事に力を注ぐ!右!左!右!左!両手!
両手!右右!左左!加速された思考が剣の振るう速度を最大まで引き上げイャンクックの硬い両足に刃を弾れることも気にせずにただただ速さを極め剣を振るう!その姿はまさに鬼のごとき剣技! まさに鬼人化!
だがイャンクックは爆発の衝撃から回復し動き始める。
「グァアア!クック!クック!クック!」イャンクックも負けじと地面を激しく突き荒ぶるハンターの攻撃を迎撃する、だが…ズパァアアン!と言う轟音と共に放たれたランダガスの渾身のため切りがイャンクックの動きを封じこめる、鉄鉱石で鍛えられた重く固く鋭い1メートルを越す巨大なバスターソードがイャンクックのクチバシに命中しヒビがさらに深くなりイャンクックの下向きに曲がったクチバシは真上に向けて逆方向にひん曲がる。
「グアック、グァアア!?グァアア!?」あまりの痛さのあまりイャンクックは暴れまわる、体を回転させて尻尾を鞭のように振り回す、フリーア、
ランダガスの二人はガード姿勢で対処する、だがイャンクックは突然回転を急停止させると「ガラガラッグァアア!」
炎の球の形成と発射を同時に行う!
凄まじい火柱が上がり、地面を燃やす!「ガラガラグァアア!ガラガラグァアア!グァアア!」
正気を失ったイャンクックは全方向に狙いを定めずめちゃくちゃに撃ち放つ!
あたり一面の木に火球をぶつけ火が起きるが、狙いが適当でユーク達には一撃も当たらない…
「遠距離攻撃はこうやるんだよ、イャンクック」
ユークは言いながらアルバレスト改のトリガーを引く、マズルフラッシュが光りイャンクックに弾丸が突き刺さる、そして次瞬間小規模の爆発が起き着弾点が焦げ甲殻が剥がれ落ちる…
イャンクックは怒りの矛先を今度はユークに絞り地を力ずよく蹴って走ってくる、しかもただ走るだけでなく左右に炎の球を吐き出しながら勢いよくかけてくる!
ユークは素早く直撃を回避しようとするが、火球の一つがユークの体を直撃し身を焦がす、炎の暑さと衝突の衝撃がユークを襲う!
イャンクックは突然の勢いで体制を崩し倒れこむ
「ぐぁあッ!」その衝撃に絶叫しするユーク、だがイャンクックは直ぐに起き上がりユークを睨みつける
「ユーク!」と仲間の誰かが叫ぶ
「グァアア!グァアア!クァックアッ!」
イャンクックは興奮したようにその場ではねる、だが狩りはモンスターもハンターも一瞬の隙が命取りになる、その隙を見計らってユークはリロードをするとイャンクックの顔に向けて3発連続で発砲する、不意を食らったイャンクックは少し体制を崩す、その隙にイャンクックの左脇に回避で移動しさらにもう3発連続発砲、
イャンクックはたまらず羽を大きく前後に羽ばたき後退する。
ふたたび突進してくるかと思いきやイャンクックは向きをグルリと変えそして…脚を引きずりながら移動していく…
イャンクックは弱っている!
剣士三人は再び剣を振るい追撃する、
ユークも何発かの弾丸を命中させるがイャンクックは倒れることなく地を飛び立ち空中へ…逃げられる!と誰もが思っただがユークは素早く手を動かしいレベル2散弾のベルトリンクを装填口に装填し装弾レバーを引くと同時に銃身の真ん中あたりについたハッチをあけベルトリンクごと中にグッと押し込む、そこまでの動作をわずか3秒で終われせるスコープを覗き狙いを定める。
スコープの中心にイャンクックの心臓のあたりを捉える、イャンクックは段階的に体を上昇させるため空中で体を一時停止させる瞬間がある…
引き金に手を乗せその瞬間を待つ、
そしてスコープの中心にイャンクックの体が映し出される次の瞬間雷鳴、発火、散弾計4発が一度に一発の弾丸となってイャンクックの体に着弾し爆音ににた着弾音を奏でる。
圧迫リロード、メゼポルタの武器工房が開発したヘビィーボウガンの攻撃機能の一つで各弾丸の最大装填数を一度に発射し強力な一撃となって爆発を起こす、通常のリロードとほぼわらない速度で使用でき、一発分の発射時間で何発分ものダメージを与えられる大技だ。
イャンクックはその攻撃に怯み体制を崩し地面に落下する、グァアア!?グァアア!?と奇声を上げてもがくイャンクックに再び雷鳴に似た音と共に放たれた貫通弾計3発が一度に命中しからだの内側から肉を貫く!骨を砕く!
イャンクックはその場で頭を真上に上げてそして「グアァァァァン」と小さく鳴き声を上げる、天高く上げたその頭を左右にフラフラとさせそして…力なく崩れるように倒れこみ「クァァ」
と再び小さな鳴き声、イャンクックはその体を動かさなくなった…死んだのだ
ユーク達はイャンクックを倒したのだ!
「いゃった〜〜〜〜!!」
「よっしゃー!」
「かかっか勝った〜!」
「私たちやれたわ!」
四人は口々に喜び合い、笑い合い勝利を実感する、初めて飛竜種を討伐したと言う達成感でいっぱいになる。
勝利感がじわじわと湧き出てくる。
あまりの嬉しさに四人はしばし剥ぎ取りを忘れていたが、しばらくして興奮が治るとすぐに剥ぎ取りに取り掛かる。
イャンクックの皮や甲殻はこれまでのモンスターの物より固く剥ぎ取りにくいため少し苦戦したが、だんだんとコツをつかみイャンクックの素材を次々に剥ぎ取っていく…
そんな中ユークはある考えが浮かぶ…
「これが、狩なんだ…」
「どうしたの?ユーク改まって?」
「いやこれまでの狩りは、戦って大変さはあったけどでも今日ほどじゃなかった…でも今日の狩りは本物だった、
イャンクックの攻撃を初めて食らった時痛さの他に分かったことがあったんだ」
「何?何が分かったの?」
とホーク
「戦うってこう言う事なんだって、崖から落ちて死ぬかもしれないって思ってでもそうなるまでは自覚ができないし理解できなかった、本当に命をかけて戦って、命を奪って生きているんだって、今までより強く思えた気がする…」
「そうね、確かに、ハンターは殺戮者じゃなく命を守るために命を奪うもの、殺し屋ではなく狩り人を語るには
その狩った命を無駄にしないようにしないとね…」
そうハンターは殺戮者ではない、人々の生活を守り命を助ける為に命を奪う、生きる為に命を狩る、
だがそれはモンスターも同じなのだ、ただ無意味に人を傷つけるのではない
生きる為に戦い、結果人を傷つけるだけなのだ…
狩る者に狩られる者、その関係は紙一重であり同じものかもしれないとユークふとそう思った…眩しい密林の太陽に目を眩ませながらも感じる今日という日を生き残ったよと…