自分なりに書いていったら、ヒールみたいになってしまった。
ヒーローなのにヒールて・・・一文字でだいぶ違ってきますな。
では、どうぞ・・・・・
ヒュウゥゥウウウウウウ・・・
河の奥底、血の源流、血の軍勢が現れ出でた周辺は『森』に囲まれている。
幾百幾千の枝のない木が立ち並び、頭上には『奇妙な果実』がなっていた。
果実は熟れ過ぎているのか、その
グチャリ・・・
「ガブリ・・・」
黒い甲冑を纏った森の主は木から果実を引きずり落とし、美味そうに奇妙な果実をほうばった。
グチャリグチャリと音を発てて果肉を噛み千切り、咀嚼する。
「ゴクリ・・・・・ぷはァ・・・」
彼は果実の味に満足すると持っていた果実を後ろに放り投げた。
『ガウッ!』
放り投げられた果実に喰らい付いたのは身の丈3mはあろうかという黒い獣であった。
獣は自分の主人から与えられた果実をバリバリ、バリバリと『骨』ごと噛み砕いて飲んだ。
『グゥ~』
「・・・」
獣は腹が満たされた事に満足すると彼へと擦り寄った。彼は甘えた声で寄って来た獣の頭を撫で、頬を揉みしだく。
コツ・・・コツ・・・コツ・・・
「!」
不意に後ろから足音が聞こえて来る。すると彼はその方向に体を向け、跪いた。
コツ・・・コツン
足音が止むと彼の前には山羊が立っていた。
汚れを知らぬ白い体に漆黒のマントを靡かせて、跪く彼『吸血鬼アーカード』の前に山羊『ドン・ヴァレンティーノ』は立っていた。
「・・・・・」
「・・・・・」
ヒュゥウ・・・と場に風が吹きすさぶ。
両者共に無言であった。無言であるからこそ通じ合えるモノが二人の間には漂っていた。
「・・・息子よ」
先に口を開いたのはドンであった。
「
ドンの言葉に反応した彼は深く垂れていた頭を起こし、言葉を紡いだ。
彼の容姿は随分と様変わりしていた。
身長は大きく20cm程伸び、髪も肩まで伸びている。口元には整えられた髭も見受けられる。
「お・・・お疲れ様、『アキト』・・・いえ、『アーカード』?・・・・・どっちで呼んだらいいの?」
ドンの後ろにいた赤髪の吸血鬼『シェルス・ヴィクトリア』が恐る恐る彼に語り掛ける。
「・・・・・」
彼は身を立たせるとゆっくりと手を彼女に伸ばす。
「!?」
シェルスは上位である彼の動作に身構えてしまう。しかし、彼はそのまま手を彼女の腰へとまわし、手繰り寄せた。
「『アキト』・・・アキトでいい。君にはそう呼んで貰いたいんだ、愛しい
彼『暁 アキト』は朗らか笑んだ。
『吸血鬼アーカード』として戦場に君臨しても尚、彼は彼女に対していつもと変わらぬ優しい笑みを浮かべた。
「・・・ええ、そうするわ・・・アキト・・・」
シェルスは少しだけ口角を上げると彼の胸元に身を預けた。
「ふむぅ・・・ヤレヤレであろー」
『ワフッ』
二人のやり取りにすっかりドンは蚊帳の外状態となり、アキトの使い魔『ニコ』と一緒に呆れながら眺めていた。
その時ッ!
「キェエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!」
「「ッ!?」」
遥か彼方から猿叫と共に『彼』は現れた。
白銀の鎧を身に纏った騎士が一目散に駆け抜けて来る。
「ッェエエエエエエエエエエッ!」
彼は得物の十文字槍を真っすぐ構え、一直線にアキトへと突っ込んでいく。
「ニコッ!」
『ガウ!!』
「え? きゃッ!?」
彼はシェルスをニコへ放り投げると腰に差していた刀を引き抜いた。
ギャァンッ!
刃が同士が擦れ、火花が散る。
刹那、火花がお互いの狂喜の笑みを一瞬照らす。
ズザァアッ
「GRUUUッ!」
「WRYYY・・・!」
互いの距離を置くと黒い騎士は笑い、白い騎士は睨んだ。
「知っている・・・知っているぞ。その『眼』を、その『傷』をッ。見事だ、武勇の誉高き『
ケラケラと黒い騎士は嘲笑う。目の前に現れた恐ろしくも愛おしい敵に歓喜する。
「我らはレギオン。世界に捨てられ、見放され、世界の摂理に挑む大逆の使徒。我らが使命は、我が道に立ち塞がる愚者をその肉の最後の一片までも絶滅することッ!!」
ザッン
ギラギラと白い騎士『ランスロット』は睨む。目の前の怨敵に殺意を送る。
「SYYyAAAAAッ!」
ダァンッ ダァアン!
ランスロットが突っ込むと同時に背負っていた長物のライフルをぶっ放す。が、放たれた弾丸はあらぬ方向へと飛んで行く。
ギュインッ
「ッ!?」
ところが彼の撃った弾丸は燕の様に向きを変え、アキトの四肢へと喰らい付こうとしたのだ。
「KUAッ!」
ギィインッ
彼はそれを刀で切り払った。
しかして、大きく腕を振るった為に隙が開かれてしまう。
「AAAAAAAAッ!」
「アキト!!」
その開かれた隙目掛けてランスロットは携えた槍を弱点である心臓へと穿つ。
「・・・カカカ♪」
『『『!?』』』
だが、こんな状況でもこの男は笑う。
「コイツは素敵だ」と言わんばかりに口角を引きつらせて、敵も味方も嘲笑う。
「『
ズギャァアン!
突如としてアキトの左目の眼球が裂け、その亀裂から高圧に濃縮された体液が噴出される。
「グあぁあッ!!?」
発射された血液の線は彼が首を横に振った事で水圧カッターの様にしなり、ランスロットの腕を槍ごと斬り落した!
「無駄ァア!!」
すかさずアキトは切り払いに使った刀身を反転させ、止めの一撃を振ろうとする。
ギギャアンッ
「ッ!?」
だが、刀身はランスロットの身体へは到達しなかった。
ザンッ
何故ならば、斬り落とした筈の腕と槍が、枝を伸ばす植物みたいに
彼は再生した穂先の刃で刀を振り払い、アキトと距離をおく。
「その『槍』にして、その『身体』・・・・・カカカ・・・カハハハハハ・・・!」
ランスロットの得物の正体に気づいたアキトは又しても愉快に、楽しそうに笑う。
今の彼には人間味のある『暁 アキト』としての人格はもうなく、残忍で狂気染みた『吸血鬼アーカード』としての人格が心身を支配していた。
「何という男だ・・・あんなヤツらの巣窟にいながら、貴様は『人』じゃあないか。カハハハ・・・良いぞ良いぞ、我が御敵よ。その槍を、『武装錬金』を、この心臓に突き立ててみせろ! あの日の様に! 『四年前』の様に!! この『私』の夢の狭間を終わらせてみせろ!!!」
久方ぶりの強敵に出会えた事をアキトは狂喜する。
『敬意』を持つに値する強者に、自らを『殺す』に値する勇者に喜びを隠せないでいた。
「語るに及ばず!!」
ダッ!!
湖の騎士は猛然と目の前の化物に向かって駆けて行く。
残弾尽きた『マスケット銃』の先に銀の銃剣を装着し、二槍流で突き通す。
ギィンッ
ガキャァアン!
十文字槍と銃剣の矛先をアキトは一本の刀だけで応戦する。
宙を舞い、地面に這いずり。踊る様に、お道化る様に彼からの攻撃を避け、必殺の一撃を刻む。
「SIYYYYYYYYYYYYッ!!」
「WRYYYYYYYYYYYYッ!!」
二人の声が重なり、互いの殺意を命一杯ぶつける。
刃の交わりで、何度も何度も火花が散る。仕舞いには、マスケットが叩きつけられる衝撃でバラバラに分解されてしまう。
ガキィインッ
「「ウォオオオオオオオオ!!!」」
それでも互いに決着の一撃を叩きつける事は叶わず、斬り合いは長引くばかりであった。
シャァアン
「なッ!!?」
しかし、ここでアキトが後ろへ飛んだ。
飛び移った先には、いつの間にやらあの亡者の軍勢がはびこっていたのであった。
「お前の持っているその槍・・・シリアルナンバー12、十文字槍の武装錬金『激戦』。能力は使用者並びに激戦自体の超高速修復。『不死身』を体現した武装錬金だと聞いた事がある。見せてみろよ、その不死身さを!」
軍勢が担ぐ御輿に佇み、彼は興味深そうにランスロットを挑発する。
「どうする? 化物はここにいるぞ? 掛かって来いよ!」
『『『VAAAAAAAAAAAA!!』』』
腕を上げて振り下ろすと前にいる亡者の騎兵が槍を掲げて、ランスロットへと突っ込んでいき、グサリと腹や胸を貫いた。
「私を倒すんだろう? 勝機はいくらだ? 千に一つか万に一つか、億か兆かそれとも京か?」
ザシュゥウンッ!
「それがたとえ那由他の彼方でも、俺には十分過ぎるッ!!」
ランスロットは『激戦』で体にに纏わりついた騎兵を一掃すると血だらけの穴だらけになった鎧を脱ぎ捨てて、赤い河へと飛び込んでいった。
←続く
主人公がえげつない。