表と裏と裏の会談・・・
ノーサイド
噴水前・・・
カツカツカツカツカツ・・・
あの事件から少し経ったある休日の事・・・
IS学園から少し離れた公園の噴水の前で仁王立ちし、スーツをビシリッと着た千冬がイライラしながら、ある人物を待っていた・・・
「遅い・・・遅い遅い遅い遅い遅い遅い・・・遅い!」
カツカツカツカツカツ・・・ピキリ
ドンドンと靴音が大きくなり、噴水前のタイルにヒビが入り始めた時である・・・
「やぁやぁ、すみませんな織斑先生?」
公園の入り口から、悪目立ちする赤いジャケットを着て、マルメガネのサングラスをかけた人物がヌラリヌラリと歩いて来た・・・
「やっと来たか・・・5分の遅刻だぞ!「暁」!」
「そんなにカッカしなさんな?顔にシワが出来ますぜ?」
「このっ!」
「おっと」パシリ
千冬の繰り出した平手を難なく掴みどったアキトはニヤニヤと笑みを溢しながら・・・
「さて・・・では行きますかな織斑先生?「デート」ってヤツにさぁ」
―――――――
時は1日前まで遡る・・・
食堂にて・・・
その日、アキトは何時ものように昼飯を食堂に食べに来た・・・
「今日は~♪何にしようかね~♪何にしようか~♪・・・何が良いと思う?簪さんや?」
「カレーにすると良い・・・ほら」
「おん?」
「今日はタンカレーだから」
簪が指差すメニューには・・・
「「「絶品!タンカレー!!!」」」
などと書かれていた・・・
「よぉーし!ならタンカレーにしよう!おばちゃーん!タンカレーくだ――」
アキトがタンカレーを頼もうとした・・・その時!
バァッン!
「「「「「「「っ!?」」」」」」」
食堂の扉が勢いよく開き・・・
「暁!暁アキトはいるか?!!」
「・・・おん?」
アキトを呼ぶ、千冬の怒号が轟いた・・・
コツコツコツコツコツ・・・
「なんだい?なんだい?なんだい?織斑先生?こんなクソ忙しい飯時にさぁ?」
「ちょっと用がある・・・ついて来い」
「だが断る」
「いいから来い!」ガシッ
「あでっ!?な、何をするだーっ!」
ズルズルズル・・・
千冬はアキトの耳を引っ張ると、そのまま食堂から出て行った・・・
廊下にて・・・
千冬はアキトを時間帯としては人気の少ない通路に連れ、耳を引っ張るのをやめた・・・
「痛たた・・・ったく何をするんですか?織斑先生」
「貴様・・・知っているのか?」
「はい?何をですか?質問をするときは主語を付けろと学校の先生にならいませんでしたかぁ~?」
「うるさい!」
スパーンとアキトを頭を強打する・・・
「ハァ・・・人の頭を太鼓のように・・・まぁ、良いや・・・で何を知りたいので?」
「暁・・・あの化け物を知ってるのか?」
「ハァ?化け物?何をお喋ってるので?」
「惚けるな!」バシッ
そう言って千冬は、アキトの顔にある写真を叩きつけた・・・
「アンタは人の頭を叩かなくちゃあ倒れるのか?!この暴力教師!」
「いいから、その写真を見ろ!」
「へいへい・・・」ペラリ
アキトは写真を見た・・・
その写真には、先日の事件で教師を負傷させた「ゴリラ」が写っていた・・・
「・・・ゴリラですねぇ・・・しかもなんて血の気の悪くて血まみれの――」
「そう言う事を言ってるんじゃあない!この化け物は何なのかと聞いているんだ?!!」
「あぁ~・・・あぁ~・・・知らないですね~・・・」
「嘘をつくな!」スパーン
また千冬はアキトの頭を叩いた・・・
「面倒だなぁぁぁ~・・・そんなんなら学園長殿に聞けばよろしいですがな、えぇ?ブリュンヒルデ殿?」
「その学園長が教えてくれないのだ!暁、貴様は整備室で、このゴリラと同様の化け物に出くわし、打ち倒したらしいな!」
「俺はたまたま出くわして、たまたま運良く「撃退」しただけですけど?」
「・・・学園長は言った・・・」
「ちょっと?俺の話聞いてます?おいコラ、コノヤロウ」
「この化け物の事は暁に聞けとな」
「・・・・・・・・・・・・は?」
千冬の発言にアキトの思考が追い付かなかった・・・
そして、思考が追い付いたあと・・・
「(あの・・・あの学園長・・・何をクソ面倒事を押し付けてんだぁぁぁっ!?)」
心の中で叫んだ・・・
「さぁ!教えてもらおうか?暁アキト?」
「え~・・・・・・(っ!そうか・・・そういう事か)」
アキトは渋い顔をしていたが、突然ニヤリと口角をあげ、舐め回すように千冬を見た・・・
「な、なんだ暁?その目は?」
「なぁ?・・・織斑先生?」
アキトは目を細め・・・いや、紅くした目を隠すようにし、朗らかに愉快に悪戯っぽい笑顔を浮かべ・・・
「デート・・・しようか?」
こうして、冒頭に戻る訳である・・・
コツコツコツ・・・
カツカツカツ・・・
ある都市の街道を赤いジャケットと黒のスーツを着た二人組が歩いていた・・・
「ねぇねぇねぇ?織斑先生?ここら辺は初めてですかね?」
丸いサングラスをかけたアキトがニヤついた顔で千冬を覗いていると・・・
「あぁ、確かに初めてだな・・・」
そんなアキトを千冬はギロリと睨んでいた・・・
「ハァ・・・そんなに警戒しないでくださいよ?折角のデートなんですから」
「なにがデートだ・・・一昨日突然にあんな事をいうなど・・・お前は何を考えている?」
「さぁ?美人と仲良くなりたいから・・・ですかね?」
「からかうなよ小僧?」
「カカカ♪からかってやるよフロイライン?」
睨む黒髪の美女に睨まれる黒髪のサングラス男・・・
周りからみれば、異様な光景である・・・
異様な二人は街中を外れ、路地裏に入っていった・・・
「・・・それで?私をどこに連れて行くつもりだ?もしや・・・このままホテルにでも連れ込むつもりか?」
「おん?あぁ!その手もあったか!・・・でも二人きりになるにはちと早いか」コツコツ・・・コツリ
「?・・・どうした暁?」
アキトはあるBarの前で歩みを止めた・・・
「到着~、さぁ入りましょうか?織斑先生?」
Barの名前は「Velvet」・・・
アキト行きつけのBarである・・・
店内にて・・・
カランカラン~♪
「あら?お客さん?すいませんまだ開店前――」
二人が入ると、ショートヘアーの女性が現れた・・・
「あら?開店前?暁の名前で予約しましたけど~?」
「あら?その声は・・・アーカ――」
「うわっ!?今日は名前で頼みますよ!Ms.ピアニッシモ?!」
「なら私の事も名前で呼んでアキトくん?」
「OK OK ・・・仰せのままにMs.瞳 」
アキトはこのBarのピアニスト「軽子瞳」に慌てた・・・
「おい暁、この人は?」
「あらアキトくん?今日は一人じゃないのね?しかも「彼女」とは違う「声」・・・初めまして、このBarでピアニストをしている軽子瞳よ」
そうして瞳は千冬がいる方向とは「違う方向」に手を差し出した・・・
「?・・・暁?彼女は?」
「瞳さんそっちじゃないですよ、こっちです」
アキトは瞳の手をとると、千冬の手に持っていき・・・
「あぁ、ごめんなさい・・・私、目が悪いの」
「いえ、こちらこそスイマセン・・・IS学園で教師をやっている織斑千冬です」
二人は握手を交わした・・・
「え!?織斑ってあのブリュンヒルデの?!」
「え、えぇ・・・まぁ・・・」
「あらあらあら!有名人と握手しちゃったわ!」
瞳は千冬と握った手を振った・・・
「瞳さん・・・結構ミーハーなのね?」
「ねぇ?ちょっと!」グイッ
「のわっ!?」
瞳はアキトの腕を掴み引っ張った・・・
「ねぇ?アキトくん?どういう事?」
「おん?何がですか?」
「世界でも指折りの有名人とこのBarに来るなんて・・・どうしたのアキトくん?」
「それはですね~・・・」チラリ
「な、なんだ?暁?」
アキトは千冬の顔を眺めがら・・・
「デートですよね?「千冬」さん?」
ニコやかに笑った・・・
「はぁっ!?///暁、お前まだ私をからかって――」
「キャー!///今日は良い曲が弾けそうだわ!さぁ、座って座って!」トタトタトタ・・・
「あっ!?ちょっと!?」
瞳は千冬の言葉も聞かぬまま、奥のステージの白いピアノに向かって小走りをして、鍵盤を開いた・・・
「アキトくんに織斑さん、今日は一品と一杯サービスよ?」
「グラッチェ♪さぁ、何を頼みましょうか?千冬さん?」
「・・・ハァ・・・」
千冬は考えるのを止めた・・・
~♪~♪~♪
店内には瞳の弾くピアノの音色が響いていた・・・
「・・・良い音色だな・・・」
「おん?まさか千冬さんに音楽を楽しむ感覚があるなんて・・・」
「余計なお世話だ、バカ者・・・あと、名前で呼ぶな」
「良いじゃないですか、千冬さん?」
「お前はっ!」ビュッ
パシッ
アキトは千冬の叩きを難なく掴み、愛しそうに撫でた・・・
「っ!?///こ、この!///」
「ニョホホホ♪可愛いですな~♪」
「お前はっ!///」
「おい・・・二人とも・・・」
「「?」」
二人が悪戯に過ごしていると・・・このBarのマスターが話しかけて来た・・・
「ちちくりあってないで、さっさと注文しろ」
「ち、ちちくりあう!?///そ、それは違――」
「悪い悪いマスター・・・なら「命の水」と・・・千冬さんは何にする?バーボンで良い?」
「お、おい?!暁!?」
「次の千冬さんのセリフは――」
「「まだ昼下がりの間に酒は飲まない!」――ッハ!?」
自分の言う事を言われた千冬は驚いた・・・
「ならソフトドリンクのブラッドオレンジ頼むよ」
「あいよ・・・」
「暁・・・お前は・・・」
「おん?なんですかい?」
「・・・もういい・・・本題に移るぞ」
「あら?どーしたよ千冬さん?疲れた顔して?」
「やかましい!誰のせいだと思っている?!!」
千冬は怒気を含めた声で荒らげた・・・が・・・
「・・・おい」
「なんだ?!」
「・・・静かにしろ」ギロ
千冬はマスターに冷ややかな眼で睨まれ、注意をうけた・・・
「す、すみません・・・」
「ククク♪怒られてやんの♪」
「こ、この!」
「おい・・・」
「は、はい!・・・すみません・・・」
「命の水とブラッドオレンジだ」コトリ
マスターはストローのささったコップと丸い氷の入ったグラスを差し出した・・・
「おや?・・・この香りは・・・お前まさか!?」
「え?千冬さんやっぱりいるの?」
「やっぱり、それは「ウィスキー」じゃないか!!」
グラスに入った芳醇な香りの飲み物はウィスキーであった・・・
「命の水(ウィスケベサ)・・・やっぱり酒は良いよね♪」
「お、お前と言うヤツは~!」ワナワナ
「はいはい、説教ならあとで聞くよ・・・早く本題に入ろうぜ?千冬さん♪」
アキトはまた、ニヤけた顔で千冬を眺めた・・・
ペラリ・・・
「ほむほむ・・・なるほどねぇ~・・・」コクリ
アキトは命の水を片手に千冬から渡された資料に目を通していた・・・
「俺の事をよくここまで調べたモノだ・・・「更識」って暗部の評価を見直すねぇ~・・・」
「あぁ、そうだろう?ヴァレンティーノファミリー遊撃部隊隊長?」
「んでもよぉ、なんで本題の前に俺に俺の調査報告書を見せる訳?」
アキトに手渡された資料は楯無が更識の力を使って調べあげた、「暁アキト」の資料であった・・・
「この資料がお前への枷だ」
「なるほどね~、この資料が表に出されたくなけりゃあ、俺の情報を寄越せってわけね・・・マフィアみたいなやり口だな千冬さん?」
「本物のマフィアが言うな」コクリ
千冬は横目でアキトを見ながら、ブラッドオレンジに口をつけた・・・
「酷いな~・・・こんな資料が無くても俺は貴女にネットリ教えてあげるのに、態々二人っきりになれる場所まで手配した俺の手間を返してくださいよ」
「ネットリってなんだ?ネットリって・・・私も本当はこんな事はしたくなかったさ・・・でも何時ものようにハグらかされるかもしれんのでな」
「OH・・・俺ちゃん傷ついちゃう」
「では教えて貰おうか・・・あの化け物の事を!」
「・・・」コクリ
アキトはグラスの中身を飲み込み1つ息を吐いて、口を動かした・・・
「ねぇ千冬さん、「ホムンクルス」って知ってる?」コトリ
「ホムンクルス?フラスコの中の小人か?」
「あら、びっくり!かのブリュンヒルデがそんなオカルトを知ってるなんて」
「黙れ・・・で?そのホムンクルスがどうかしたのか?」
「千冬さんが言うあの化け物・・・もといゴリラはホムンクルスってヤツなのよね」
「・・・何?」ピクリ
千冬はアキトの発言にシワをよせた・・・
「暁・・・貴様真面目に話せ!私がそんなメルヘンでファンタジーな戯れ言を――」ガタリ
「信じてもらうぜ?実際に貴女はそのホムンクルスに遭遇したんだから・・・」
「!・・・」ガタ
千冬はアキトの胸ぐらを掴んだが、アキトのキリッとした眼に見られ、大人しく席についた・・・
「・・・暁」
「おん?」
「私の知識が正ければ・・・ホムンクルスはフラスコの中でしか生きられないはずだ・・・しかし、あのゴリラは・・・」
「あぁ、その疑問は専門家ではない俺には話せない・・・だがこれだけは言える」
「なんだそれは?」
「・・・アイツらは人を食う化け物だ、決して生かしてはおけない野郎共だ・・・」ピキリ
「暁・・・」
アキトはグラスにヒビが入るくらいに握りしめた・・・
「まぁ、俺から話せる事は以上だ・・・これ以上の詮索には別料金が発生しま~す」
「別料金?――うわっ!?」グイッ
アキトは千冬の肩を掴んで引っ張ると、耳元で囁いた・・・
「この後、どうです?俺とジックリとベッドの上で語り合うってのは?」
「っ!?///」
バシンッ!
驚いた千冬はアキトの頬に平手打ちをかました・・・
歯で口を切ったのか、アキトの口から血がタラリと流れた・・・
その血をペロリと舐めると・・・
「クク♪こういうのは初めてですか?フロイライン?」
「お、お前は!///」
「そう言えば千冬さん?」
「な、なんだ?!」
「もうすぐ臨海学校ですよね?水着は買いましたか?」
「は、はぁ!?///な、何を言って――」
「千冬さんには黒いビキニが似合いますよ?」
慌てる千冬にアキトは愉快に艶やかに笑いかけながら言った・・・
「き、貴様は!!///」
「どうします?このまま二人で水着でも買いに行きます?恋人のように?」
「だ、誰が行くか!このバカ!///」ガタリ カツカツカツ・・・
千冬はテーブルに代金を置き席を立つと、出口の方へとズカズカと歩いていき・・・
「近くまで送りましょうか?千冬さん?」
「必要ない!」
バタンッ!
扉を乱暴に扱って、出ていった・・・
~♪~♪・・・パタリ
「あら~?帰っちゃったの?彼女?」カツカツカツ・・・ガタリ
演奏を終えた瞳がアキトのいる隣の席に座った・・・
「えぇ、モノの見事にフラれちゃいましたMs.ピアニッシモ 」
「それは残念・・・でも、諦めないでしょ?アーカードくん?」
「さぁ?それはどうですかね?・・・しかしサービスだと言うのに代金置いて行ったよあの人・・・まぁ、良いか・・・マスター?ウィスキーもう一杯頼む」
「あいよ・・・」
「それより大丈夫なの?アーカードくん?」
「おん?何がですか?」
「「裏」の事を「表」の人に話して?ドンさんに怒られないの?」
瞳は心配そうにアキトに尋ねた・・・
「大丈夫ですよ・・・いずれ、「表」のヤツらにも知らせなくてはならないのでね・・・」コクリ
そう言いながら、アキトはグラスの中身を全て飲み込んだ・・・
そうしていると・・・
カランカラン~♪
「スイマセン・・・Bar「Velvet」はこちらでよろしいですか?」
白いスーツに白いハット被った男が扉を開けて入って来た・・・
「あら?お客さん?」
「あぁMs. ピアニッシモ・・・俺の客だ・・・ナイスなタイミングだな」
「えぇ、少し道に迷いましたが・・・しかし日本は暑いですね・・・英国とは違って湿気が多い」コツリコツリコツリ・・・
「今は初夏だ、そんな格好してるアンタが悪い」
「まったく貴方と言う人は・・・」ガタリ
男はアキトの隣の席に座ると、ハットをとり・・・
「久しぶりだな「紅蓮の」」
「えぇ、こうして顔を合わせて話すのは久しぶりですね・・・「アルカード」」
懐かしい雰囲気を漂わせながら、挨拶をした・・・
―――――――
「コク・・・良いブランデーですね」
「だろう?」
「店内の雰囲気も良い・・・貴方にしては良いチョイスだ」
「・・・そりゃどういう意味だ?」
髪を後ろで結び、白いスーツを着た男と赤いジャケットを羽織ったアキトは和やか?に談笑していた・・・
男は注文したブランデーをチビりチビりと飲んでいると・・・
「それにしても久しぶりだな・・・元気だったか?」
「えぇ、この間もホムンクルスと吸血鬼を花火に変えて良い気分ですよ」
「・・・ホント、恐ろしい事をサラリと言うよなアンタ」
「フフ♪失礼」
切れ長の目をグラスに向けて、不気味に笑う男にアキトは少し引いていると・・・
「ねぇ、少し良いかしら?」
「はい?なんでしょう?」
アキトの隣にいた瞳が男に声をかけた・・・
「私、このBarでピアノを弾いてる軽子瞳よ」
「ピアニスト・・・あぁ、なら貴女がMs.ピアニッシモ?」
「え?私の事を知っているの?」
「えぇ、アルカードからよく聞いてますよ、良い音色を響かせるピアニストだと」
「まぁ、嬉しい!ところで貴方は?」
「はい、私は」サッ
瞳の質問に男は姿勢を正し・・・
「英国陸軍で国家錬金術師をしている「ゾルフ・J・キンブリー」と言います・・・キンブリーとでも呼んでください」
自己紹介をした・・・
「錬金術師・・・って・・・え?」
「まぁ、知らないのも無理はありませんね・・・表には出回らないし、裏でも知ってる者は少ないですからね」
「おいおい、良いのかよ紅蓮の?国家機密をおいそれと話しても?」
「別に構いませんよ・・・アルカード、彼女は表の人間ではないでしょう?」
「まぁ、確かにな・・・」
「ピアニッシモ・・・貴女の音色を是非聞きたいのですが・・・よろしいですか?」
「勿論よ、何かリクエストは?」
「ならjazz系をお願いしますよ」
「わかったわ!なら楽しんでね♪」ガタリ
トタトタトタ・・・
瞳は白いピアノでjazz系の音楽を奏でた・・・
~♪~♪~♪
その音色を聞きながら、キンブリーはグラスのブランデーを口に含んだ・・・
「良い音色を聞きながら、良いブランデーが飲める・・・本当に良いBarだ」
「へいへい、そうですね・・・ところで俺に話って何さ?」コクリ
「・・・貴方の通うIS学園が襲撃されたようですね」
「ぶふっ!?」
アキトは驚きのあまり、飲んでいたウィスキーを吹き出した・・・
「汚ないですよアルカード」
「げほっ!げほっ!ぐ、紅蓮の!どこで知ったんだよ!その情報?!」
襲撃事件の情報は一切の秘匿とされ、外への漏洩は無かったハズなのだが・・・
「シュバルツバルト・・・彼から情報を頂きましたよ」
「あぁ、納得・・・アイツは何でも知ってるな」
シュバルツバルトの仕事ぶりに関心していた・・・
「で?それがどうしたよ?」
「その襲撃の原因を作った「デュノア社襲撃事件」を起こしたのは、貴方のボスだと聞きましてね」
「Exactly、その通りだよ・・・てかそこまで知ってるなんて、恐怖するぜ!」
「吸血鬼の貴方が恐怖?恐怖感の塊なのに?」
「うるせぇ、この爆弾魔が・・・それでそれがどうしたよ?」
アキトが拗ねた顔をしながら、キンブリーに尋ねると・・・
「数日前、国家反逆罪で爆破、もとい解体した、ある組織の幹部を拷問、もとい尋問したところ」
「おいおいおいおいおい?所々おかしいぞ、コラ」
キンブリーはアキトを無視しながら続ける・・・
「デュノア社から大量の武器をある「組織」に横流ししていました・・・」
「「組織」?」
「えぇ・・・あったでしょう?4年前、とんでもない計画でヨーロッパを恐怖に落とした狂った組織が」
「え?・・・カカクカキキクケケケ♪マジかよ!マジかよ?!マジかよ!?やっぱり、あの野郎共生きてやがったか!」
アキトは朗らかにニコやかに愉快に笑った・・・
―――――――
今は昔・・・と言っても、四年前・・・
ヨーロッパを恐怖のドン底に突き落とした狂った組織がありました・・・
組織の名は・・・「レギオン」・・・
レギオンは数ある「反IS組織」の中の1つに過ぎなかった・・・ある男が組織の長になるまでは・・・
男は組織の長になると、ある計画を進めた・・・
その計画とは・・・
「ヴァンパイアバタリオン」・・・
人工的に吸血鬼を造りだし、その軍隊を作ろうとしたのだ・・・ISに支配された世界を破壊するために・・・
イカれてる、素晴らしくイカれてる・・・
この計画に他の反IS組織も賛同した・・・
金を、武器を、技術を、人員を、土地を、実験台をレギオンに出した・・・
計画は順中に進んでいた・・・だが・・・
その計画を良く思わない連中がいた・・・
その連中とは、吸血鬼の存在を表に出したくない昔ながらの「純潔派」の吸血鬼共と世界のバランスを壊されたくない政府の閣僚共だった・・・
ヨーロッパの各国政府は英国軍を主力とした討伐軍を編成・・・
その軍に・・・俺が部隊長を務める、ヴァレンティーノ遊撃部隊加わった・・・
何故、マフィアが討伐軍にいるかというと・・・
純潔派のジーさま達――じゃなくて、「長老級」(エルダークラス)の誰かさんが・・・
「人間達の組織した軍隊だけで、我々吸血鬼の出来損ないを倒せるのか?答えはNOだ!是非討伐軍には、彼が・・・あの「アーカード」が必要だ」
・・・なんて言いやがり、ドンからのお願いもあり・・・俺は討伐軍にシェルスと共に参加・・・
そこで俺達はヨーロッパの錬金術師達に出会い、レギオンの計画を台無しにしてやった・・・
まぁ、計画の首謀者どもはのがしてしまったがな・・・
「「にがした」・・・の間違えでは?」
「おん?なんだと?」
俺の隣にいる爆弾魔がブランデーを旨そうに飲む・・・
「どーいう意味だよ?紅蓮の?」
「そのままの意味ですよ・・・貴方はみすみす彼らをにがした・・・」
「「にがした」、なんて人聞きの悪い!もとわと言えば、お前がヤツらの作った「賢者の石」に目がくらんで変な事しなけりゃ!」
「ハイハイすいません、その話なら32回目ですよ」
「て、テメェ~・・・」ピキリ
あぁ!何コイツのこの透かした態度?!プラチナムカつく!
・・・まぁ、そんな事よりも・・・
「ヤツらが動き出したってのは本当なのか?」
「さぁ?」
「さ、さぁって――」
「生憎とその組織が、レギオンらしき組織に「武器を流していた」という事しかわかっていませんからね」
「え~?」
そんな不確定な情報なのかよ・・・
なんか安心したような、ガックリしたような・・・
「ガックリしないでくださいよ」
「え!?ガ、ガックリなんてしてねぇよ!」
「顔に出てますよ」
マジかよ!?俺、ポーカーフェイスには自信あったんだけどな~・・・
「ですが・・・」
「おん?」
「その内、彼らも尻尾を出すでしょう」
「その「その内」が手遅れにならない事を願うね」
「クフフ♪ですね・・・」コクリ カラン
ポスリ
そう言って、紅蓮のはグラスのブランデーを飲みほし、白いハットを被った・・・
「もう行くのか?」
「えぇ、待たせている人がいるので」
「おぉ?まさか紅蓮のに恋の噂が!?」
「んな訳ないでしょう・・・あの「氷の女王」ですよ、なんなら貴方も来ますか?あの人も貴方に会いたがっていましたし」
「げげげっ・・・」
よ、よりによってあの人かよ・・・
そう言えば、あの戦いに加わったヤツらは二階級・一階級特進したんだよな・・・
紅蓮のは少佐から中佐になって、あの少将殿の下についたのか・・・
「ご愁傷様、紅蓮の」
「まったくです・・・変わって貰いたいですよ」ガタリ
チャリン
紅蓮のはテーブルにブランデー代を置き、出口まで歩いて行った・・・
「じゃあ仕事頑張ってね?キンブリーさん?」
「えぇ、貴方もねアルカード」ガチャリ
カランカラン~・・・
さて・・・明日は臨海学校の買い物だ・・・
「飲み過ぎないように気を付けないとな・・・」コクリ
そうして俺は、Ms.ピアニッシモの奏でる音楽とウィスキーに酔いしれっていった・・・
「コレ、やっぱり二日酔いになるかもしんない・・・」
←続く
ほのぼの書くぞぉ~!