人外になった者   作:rainバレルーk

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改めて思う、このハーメルンには『奇妙な絆』がある
あえて言おう・・・諸君、私はハーメルンが好きだ

アキト「諸君らはハーメルンが好きかな?」

―――統合しました―――




銀の福音との最終戦…下

ノーサイド

 

 

 

カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカ・・・

 

誰もいないハズの真っ暗な部屋にキーボードを叩く音が響く・・・

 

 

カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカ・・・バンッ ガシャン!

 

「何なのさ!何なのさ!何なのさ!一体何だって言うのさ!」

 

兎耳のカチューシャをつけた人物はキーボードを床に叩きつけ、パソコンに映る光景を血眼で食い入るように見ていた

 

 

「なんで急に福音が[言うこと聞かなくなる]のさ!?それになんだよ[この男]達はッ!?こんなの[束]さんは知らない!知らないィイ!!こんなの束さんの[予定]に入ってない!どうしてこうなるんだよッ!」バンッバンッバンッ!

 

兎耳カチューシャ、もとい、自称天災科学者[篠ノ之束]は、癇癪を起こした子供のように何度もパソコンを置いたテーブルを叩くと、ガジガジと親指の爪を噛み始めた

 

 

「糞ッ糞ッ糞ッ!このままじゃ、このままじゃ箒ちゃんといっくんが・・・!」

 

「ニシシシ・・・♪」

 

そんな癇癪を起こす束の後ろで、中傷めいた笑い声が聞こえてきた

 

 

「ッ!そこにいるのは誰だよ!?」

 

コツ コツ コツ・・・

「ニシシシ♪コレはコレは失礼・・・」

 

この束の怒号に答えるように物影から笑い声の正体がユックリと現れた

 

 

「・・・誰だよ・・・お前?」

 

「お初にお目にかかります。僕は[吸血鬼の大隊(ヴァンパイア・バタリオン)]所属の准尉、[何処にでもいて、何処にもいない]・・・[シュレーディンガー]と申します・・・ニシシ♪」

 

「[吸血鬼の大隊(ヴァンパイア・バタリオン)]?何なんだよそれは?!」

 

「いやぁ、やってるねぇッ![大尉]なんて生き生きしちゃって!ニシシシ♪」

 

猫のようであり、少年のようで少女のようなシュレーディンガーは束の声にも耳を貸さずにパソコン画面を見てニヤニヤと笑う・・・そんなシュレーディンガーに束はイライラしながら叫び声をあげる

 

 

「束さんの質問に答えろよ!お前は一体何なんだよ!」

 

「あれぇ~?さっき言いませんでしたか?天災科学者なのに物覚えが悪いのかなぁ~?ププ~♪」

 

「~~~~~~!お前ッ!」バキィッ

 

「グベッ!」ブシャァッン

 

中傷された事に怒った束はシュレーディンガーにの顔目掛けて、回し蹴りをした。蹴られたシュレーディンガーは壁に叩きつけられ、グッタリと血を流して倒れこんだ・・・しかし

 

スクッ

 

「っ!?」

 

「あぁ~?痛いなぁ~?何するんだよ?」

 

シュレーディンガーは首が有らぬ方向に曲がりながらも平気そうに立ち上がる

 

 

「そ、そんな・・・なんで首の[骨が折れてる]のにッ」

 

「ニシシシ♪・・・まったく、こんな我慢が出来ない人が世紀の大発明者なんて・・・世も末だ」

 

「何だよ!何なのさお前は?!!」

 

束は自分の目の前で起こってる事に思考が追いつかなかった。そんな事お構い無しにシュレーディンガーは続ける。折れた首のままで・・・

 

 

「僕は貴女に興味があったのに・・・そんな天災科学者にいざ会ったとなれば、コイツは拍子抜けだ。例えるならネットで話題の本を実際に読んでみると「こんなモノか」と言うぐらいに拍子抜けだ・・・ガッカリだよ」

 

「フザけるな!この天災科学者である束さんに突然何だって言うのさッ!」

 

「あ~!ハイハイ、怒るな怒るな。たかが知れるぞ[ガキンチョ]?ニシシシ♪」

 

「~~~?!?!!」

 

今までされた事のない[中傷]に束は開いた口が塞がらずにヒクヒクと痙攣を起こしていた

 

 

「さて・・・そろそろ決着が着くかな?僕も帰るとするか・・・」チャキ

 

「ッ!」

 

シュレーディンガーは懐から古びたモーゼル銃を取りだして、自分のこめかみに銃口を向け・・・

 

 

「い、一体何を――――」

 

「あ、そうそう篠ノ之束博士?」

 

「な、なんだよ!?」

 

「[この世界は君の手の内にあると思ったら大間違いだ]・・・だって」

 

「え・・・」

 

「それじゃあ・・・また会えたら♪」カチ

 

「ッ!?」

 

 

ドギュッッゥッン!

 

そのままシュレーディンガーは銃の引き金を引いた。シュレーディンガーの頭は腐ったザクロのように粉微塵に吹き飛んだ

 

 

「な、な、な、な・・・!」

 

バタリと倒れるシュレーディンガーの屍を見つめながら、束は突然起こった事に腰を抜かし一言・・・

 

 

 

「な・・・何なんだよッ!一体!?」

 

 

まったくその通りの言葉が暗い部屋に響いた

 

その一方で・・・太平洋の者共の戦は終結に向かう・・・

 

 

 

―――――――

 

 

 

ノーサイド

 

 

 

「(考えろ考えろ考えろ考えろ考えるんだ!)」

 

太平洋のど真中で太刀を構え、片手でナターシャを抱えるアキトは思考をフル回転させていた

 

 

「(目の前には何時襲って来るかもわからないISに改造された『リップヴァーン』、そのすぐ横には上位ホムンクルスの『ムーンフェイス』に焔大佐を苦しめた人狼(ヴェアウルフ)の『大尉』。しかもその化け物に篠ノ之は鷲掴みにされ、織斑は攻撃をうけてうずくまってるし・・・どうするどうするどうするッ!?)」

 

アキトは思考に費やす時間、0.1秒が10時間にもなるような感覚に襲われた

 

 

「(その前に血だ!血が足りない!血を、血を、血を寄越せ!)グルルル」

 

目の前の敵を倒す事よりも、まず『腹がふくれる』事を何よりの先見事項とした

 

 

「アキト!『吸血鬼』とはどういう事だ!?」

 

「アキト・・・!黙ってないで答えなさいよ!」

 

そんな事を露とも知らない者達はアキトに強い口調で問いただす

そんな中でただ一人、簪だけがアキトの異変に気づき、セシリアの通信を開いた

 

 

「セシリアさん、聞こえる?」

 

『え!?えぇ、聞こえますわ!』

 

「ならセシリアさん・・・あの篠ノ之さんを鷲掴みにしている『月顔の男』の腕を撃ち抜いて!」

 

『はいィイッ!?無理ですわ!そんな精密射撃が――「アキトが『暴走』する前に早く!Hurry!」――は、はい!』

 

簪は戸惑うセシリアを黙らせると、セシリアにムーンフェイスへの射撃を指示すると、アキトに通信を開いた

 

 

「アキト・・・!やって!」

 

ズガァァッン!

 

その通信をした瞬間にセシリアのライフルが火を吹いた!

 

 

「グルルル・・・『思考は冷たく、心はさらに冷たく』・・・」

 

ブチィッ

「おやぁ~?」

 

「うわっ!?」

 

アキトは静かに呟き、箒を掴むムーンフェイスの腕がセシリアのライフルで引き千切られ箒との距離があいたのを合図に・・・

 

 

「朧、『パージ』・・・片をつける!シャーロット頼んだ!」バッ

 

「え、えぇッ!?」

 

[[アイアイサー]]

 

アキトは重い鎧をパージすると、シャルロットに向かってナターシャを放り投げた!

 

 

[[がLaッ!?]]グザァッ

 

「無駄ッ!」バキィッ

 

[[Laッ!]]

 

放り投げた瞬間にアキトは太刀で静止するリップヴァーンを串刺しにし、そのまま蹴り飛ばすと、反動を利用し、輻射波動を向けてムーンフェイスと大尉に突撃していった!

 

 

「WRYYYYYYYYYYYッ!!!」

 

「おやおや、ヤレヤレ・・・」

 

「・・・!」

 

牙を剥き出しにして襲いかかるアキトに大尉は口角を少し上げたが

 

 

「大尉?楽しみにしている所すみませんが、『アレ』は私の獲物だ。失礼」ゴソリ

 

「・・・」

 

ムーンフェイスが大尉の前に立つと、懐から掌大の『核鉄』を取り出した

 

 

「『武装錬金』『サテライト30』」パァァァッ

 

その核鉄が輝くと、ムーンフェイスの手には『小さな鎌のようなナイフ』が握られていた

 

 

「ムム~ン♪」

 

「ッ!」ガシッ バチィィィ!

「ムーンッ!」

 

「え・・・?」

 

「な、なんとも・・・!」

 

しかし、なんとも呆気なくムーンフェイスはアキトの左腕のカギ爪に掴まり、輻射熱でドロドロに弾けた!箒や鈴はあまりにも呆気ないムーンフェイスの最期に気をとられていたが・・・

 

 

「ムンッ!」ザシュッ

「ぐぁっ!」

 

「「「な、なにィイッ!?」」」

 

溶かされたムーンフェイスとは『別の』ムーンフェイスがアキトの顔を切り裂いた!

 

 

「そんなバカなッ!?」

 

「アキトッ!」カチ ズガァァッン!

「ムがぁッ!?」

 

ラウラは別のムーンフェイスの頭を撃ち抜いた!だが・・・

 

 

「ムーン♪」バキィッ

「なっ、うあぁっ!?」バシャァッン!

 

また『別の』ムーンフェイスがいつの間にかラウラに近づき、蹴りをいれた。蹴りをいれられたラウラはそのまま海上に叩きつけられた

 

 

「ラウラさんッ!」

 

「こ、これは・・・一体!」

 

 

アキトやラウラがやられた事に周りは目を見開き、その方向を見ると・・・

 

 

「さて・・・集まりなさい『私達』」

 

「「「えぇッ」」」

 

そこには『頭の違う』ムーンフェイス達が佇んでいたのだ!

 

 

「ふ、『増えてる』・・・!?」

 

「そんなバカな!」

 

驚く周りにお構い無く、ムーンフェイスは行儀良くお辞儀した

 

 

「これが私の武装錬金『サテライト30』の能力、私は『半月』」

「私は『三日月』」

「私は『十六夜』」

 

「先程、アーカードと銀髪のお嬢さんに再起不能にされたのは『十一夜』と『十五夜』・・・」

 

「『分身能力』は今尚健在か・・・」

 

「分身・・・能力・・・?!」

 

アキトはヨタヨタと顔を斬られてもムーンフェイスを睨みつけた

 

 

「ムム~ン♪貴方の異常な『再生能力』もね」

 

「まぁな・・・」

 

「・・・」

 

ムーンフェイスに斬られたアキトの顔は綺麗に塞がっていた。そのアキトを大尉は興味深そうに見ていると・・・

 

 

「・・・ってやぁぁぁぁぁッ!」ザシュッゥゥウ

「ぐあぁあッ!?」

 

「『半月』ッ!」

 

先程までうずくまっていた一夏が近くにいたムーンフェイス半月を斬り上げた!

 

 

「よぉ、まだ生きてたか織斑?」

 

「あぁ、それより暁、コイツらは一体・・・?」

 

「一夏ッ!大丈夫?!」

 

雪羅を構えてアキトに寄り添う一夏に箒や鈴が近づいた

 

 

「あぁ、大丈夫だ。それよりさっきやられたラウラは?」

 

「ラウラならシャルロットや簪が向かったわ」

 

「そうか・・・セシリア、聞こえるか?」

 

『は、はい!』

 

一夏はセシリアのチャンネルを開き、ある指示を出した

 

 

「あの変な頭じゃない方、『コートの男の方』の牽制を――「セシリア・・・」――あ、暁?」

 

一夏とセシリアの通信にアキトが口を挟んで来た

 

 

『アキトさんッ!大丈夫なんですの!?』

 

「それより良く聞いてくれセシリア・・・お前らは太刀で串刺しにしたリッ、じゃなくて銀の福音とシャルロットに任せてる操縦者を連れて『退却』しろ」

 

『なッ!?』

 

「な、何を言ってんだよ暁ッ!?」

 

アキトの言葉に一夏達は驚愕した

 

 

「ちょ、ちょっとアキト!何言ってんのよ?!」

 

「貴様はバカか!暁!こちらが数では上だ!あんなオカシな術を使うヤツなど私の紅椿で――「お前らも退却しろ」――き、貴様!私の話を!」

 

アキトは箒の文句なぞ聞き流して、輻射波動の次弾を装填した。そう言うアキトにムーンフェイス達も口を開く

 

 

「そうですね「そうした方が良い」」

 

「なにッ!?」

 

「君達は『弱い』・・・所詮はIS等という『玩具』に喜ぶ童だ。そんな君達には―――おや?」

 

ムーンフェイス三日月の言葉に一夏は雪羅を向ける

 

 

「俺は弱くはない!この『力』で皆を守るんだ!お前らなんかにやられるかよ!」

 

「ヤレヤレ・・・情報で見ましたが、ここまでバカだったとは・・・なら聞きますが織斑一夏?貴方は、そこにいるアーカードより『強い』んですかね?」

 

「さっきから何言ってんだよ?『アーカード』とか『吸血鬼』とかって・・・」

 

「ヤレヤレ・・・知らないのなら、貴方は強いつもりでいる『弱者』だ。『強者』ではない」

 

ムーンフェイス達は中傷めいたように溜め息をつき、アキトの方に顔を向けるとサテライト30を胸にかざした

 

 

「サテライト30、『オーバーリミット』」

 

「「「ッ!!?」」」

 

その言葉をはっすると、ムーンフェイスの体は10体にも『分身した』

 

 

「・・・本気なようだな・・・ムーンフェイス?」

 

「当たり前です」

「貴方は『こちらの世界』では上位レベルの『化け物(フリークス)』」

「本気にならなくちゃあ貴方に対して無礼だ」

 

「・・・しなくて良いのに・・・」

 

「それで?数では・・・何でしたっけ?お嬢さん?」

 

「む、むむ・・・!」

 

ムーンフェイスはニヤニヤとしながら、悔しそうな箒を笑う

 

 

「・・・」

 

「ん?なんですか大尉?」

 

「・・・」

 

「わかりました。大尉は福音の方を頼みますよ」

 

「させると思うか?」

 

ムーンフェイスと大尉は話合うが、アキトが大尉の前に立つ

 

 

「ふむ・・・」

「アーカード?」

「貴方は福音との戦闘で重傷を負ってるではありませんか」

「そんな貴方がこの数の私と大尉を相手できるのですか?」

 

「・・・カカッ♪」

 

ムーンフェイス達の言葉にアキトは乾いた笑い声を短くあげた

 

 

「『仲間を守る』・・・『任務を遂行する』・・・この二つを同時にするのは難しい・・・覚悟はいいか?『俺は出来てる』!」

 

そんな何処かのイタリアンギャングの矜持が口から飛び出した瞬間、あの白眼ニヤケ顔の月顔のホムンクルスが襲って来た。しかも1度に10体!

 

 

「「「「「「「「「「ムムーン♪」」」」」」」」」」

 

「Ryyyyy!」バッ

 

「あ、おい暁ッ!?」

 

後ろで織斑が何か言ってけど、構うものか!この気持ち悪いホムンクルスをここで仕留めて、大尉を再起不能にしなくちゃあならない!

 

 

「弾けろッ!」バチィィィ

「ムーンッ!」

 

輻射熱で一体のムーンフェイスを溶かした。その瞬間に俺の背中に衝撃が響いた!

 

 

「・・・」

 

「なっ、テメッ!?」

 

この狼野郎!ムーンフェイスの群れの中に紛れていやがったのか!

 

 

「このッ!」

 

「・・・」シャッ

 

「なっ!?」

 

俺は後ろの大尉に向けて蹴りを飛ばすが、大尉はそれを俊敏に避けると、額にモーゼル銃を当てやがり・・・

 

「・・・!」カチ

 

「KUAッ!?」ドゥキュゥッン!

 

躊躇なく撃鉄を落としやがった!危ねぇっ!

もし当たっていたら、頭がザクロになっちまってたぜ~!

 

 

「暁ッ!今行くぜ!」

 

「ムーン♪」

 

あのバカ!退却しろって言ったろうが!テメェがいると戦い難いんだよ!

 

 

「たあぁぁっ!!」ザン

「ムがぁッ!・・・なんてね♪」

 

「なっ!?んなバカなッ!?」

 

「ムーン♪」バチィィィ

「がぁッ!?」

 

織斑はムーンフェイスを斬るが、傷が浅いためにムーンフェイスはそのまま織斑に手刀をあて、吹き飛ばしやがった

 

 

「余所見してる場合ですか?」ガッ

「うおっ!」ガギィ

 

余所の心配してる場合じゃないな!コノ野郎!

 

俺はそうしてムーンフェイスの頭に掴んで、狼大尉にぶつけた。するとこの大尉、ムーンフェイスの体をぶち抜いて、投げ返して来やがった!

 

 

「・・・!」

 

この野郎・・・楽しんでやがる!眼が遊ぶ子供のような眼になってやがる!

 

 

「・・・カカッ♪」

 

・・・ヤベぇ・・・

 

 

「カカカッ♪」

 

・・・ヤバすぎるッ!

 

 

「カカカカカカッ♪」

 

超絶無比に『楽しすぎる』!!!

 

久々の『強敵』!久々の『化け物』!久々の『本当の戦闘』!『勇者こそ友、強者こそ真理』!

 

 

「なぁ!大尉さんよぉッ!」ガギィ

「・・・?」

 

カギ爪と大尉のモーゼル銃が火花をあげる中、俺は大尉に問いかける

 

 

「俺は今モノ凄く楽しい!楽しすぎる!アンタはどうだ?楽しいかッ!?」

 

この時の俺の顔は気持ち悪い位にニコやかで艶やかな良い笑顔をしているだろう・・・

「何故わかる」かって?そんなの簡単だ。だって・・・

 

 

「・・・♪」

 

目の前で競り合う大尉が俺と同じ位に『良い笑顔』なのだから・・・

 

 

「ムム~ン♪妬けますねぇ~」

 

「そうかい妬けるかい?悪いなムーンフェイス、俺はお前よりこっちのウルフマンにお熱なのよン♪」

 

「ム~ン!大尉殿ぉ~!」

 

「・・・?」

 

あぁ・・・大尉殿、無言で、無表情で、不思議そうにコテンと首を傾げるその姿でさえ『愛しく』感じてしまう・・・

 

あぁ、本当に本当に・・・「惨殺」してやりたい!

 

だが、この時俺は浮気者の制裁を受けるとは知らなかった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノーサイド

 

 

 

一方その頃、セシリア並びにシャルロットにラウラ、簪はアキトに指示されたように太刀で串刺しになった『銀の福音』と気を失っている操縦者『ナターシャ・ファイルス』を旅館まで運んでいた

 

 

「すまんな簪」

 

「気にしないでラウラさん」

 

ラウラはムーンフェイスとの戦闘でSE(シールド・エネルギー)を0近くまで取られ、簪に抱えられていた

 

 

「・・・それよりアキト達大丈夫かな?」

 

「ッ・・・」

 

「・・・糞ッ」

 

「ラウラさん・・・」

 

ナターシャを抱えるシャルロットの言葉にラウラは悪態をつく

 

 

「糞ッ!糞ッ!糞ッタレ目が!なんて不甲斐ないんだ!何が軍人だ!何がドイツ軍人だ!こんなの・・・こんなの!」

 

「・・・ラウラ・・・」

 

ラウラは顔を歪ませて悔し涙を流した。その涙に同調するように周りも重い雰囲気に包まれた。しかし

 

 

「それでも・・・」

 

「セシリア・・・さん?」

 

「それでも私達は、アキトさんに『仕事』を任されました。今はそれをやりとげますわよ、皆さん!」

 

セシリアの励ます声を出した

 

 

「しかし――」

 

「「しかし」もヘッタクレもありませんわ!それに・・・」カンカン

 

[[Laッ!]]

 

セシリアはラウラのワイヤーブレードでぐるぐる巻きにして運ぶ福音を叩いた

 

 

「この『お嬢さん』を世話するのも大変な『任務』ですわよ?」

 

「・・・フッ、それもそうだな」

 

「ここで逃がしたら何の為にって事になるしね?」

 

「うん・・・旅館に急いで運ぼう・・・!」

 

そうして四人は旅館に向けてブースターを吹かした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は太平洋の戻る・・・

 

 

「SYAAAaaaaaッッ!!!」

「・・・!」

 

ガカギィィィッン!

 

ここでは・・・

 

 

「「チェストぉおおッ!」」

「ムーンッ!?」

「逃がさない!」

「ムム~ン」

 

ガシュゥウッ!

 

人外と化け物達とIS使い達が刃と刃を合わせて、火花を散らしていた

 

 

「シツコイッのよ!」ドゥッン

「ムガギュゥッ!」

 

「この野郎ッ!」ザン

「ムーンッ!」

 

鈴は『龍砲』でムーンフェイスを吹き飛ばし、一夏と箒は刀でムーンフェイスを斬り伏せる

 

 

「このッ!一夏!」

 

「なんだ箒ッ?!」

 

「数が多すぎる!てかさっきより『増えてる』!」

 

「んな事言われてもよぉ~!」

 

「ムーンッ!」

 

「糞ッたれがあぁぁッ!」ザン

 

一夏達はムーンフェイスの分身能力に手こずっているようだ。一方のアキト達は・・・

 

 

「WRYYYYYYAAAッ!」

「・・・」

 

グギィィイッン!

 

「ムムムーンッ!」

「KKUAAAAA!!!」

 

バチィィィ!

 

「カハハハッ♪」

「・・・♪」

「ムム~ン♪」

 

なんとも楽しく楽しく戦闘(遊んで)いた・・・のだが・・・

 

 

「ぐはっ!」

 

[[王ッ!?]]

 

度重なる連戦にアキトの塞がっていた傷が開き、再生能力も低下していった。その事を狙わない化け物がここにはいない。ムーンフェイスと大尉が連携でアキトを叩いてきた。だが、それでも・・・

 

 

ガシッ

 

「ムムッ「・・・!?」」

 

「ギヒヒヒ♪つぅ~かまえた♪」

 

アキトは大尉とムーンフェイスの脚と腕を捕まえ、掌に冷気を集めた

 

「『気化冷凍法』ッ!」ビキビキィ!

「ッ!」

「ムム~ンッ!?」

 

しかし、それも長くは続かずに大尉に振り払われる

・・・ムーンフェイスは凍らされてバラバラになった

 

 

「ヒュゥ、ヒュゥ、ヒュゥ・・・」

 

アキトは既に気を失う寸前までに疲労していた・・・それでも尚、牙を鳴らして笑う

 

 

「ヒヒ・・・カヒヒッ♪・・・」

 

「・・・」

 

「どう・・・したよ大尉?・・・来いよ。来てみやがれよ!まだ!まだ、全力を出しちゃあいないだろう?ムーンフェイス!来いよ!来やがれよ!俺の、私の『心臓』はここにあるぞ!お楽しみはまだまだこれからだ!早く来いよ!Hurry!Hurry!!Hurry!!!」

 

アキトは中場狂ったように喚き散らす。そこに人間的なモノなど何もなく、ただ『狂気』だけが場を支配していた

 

 

「ムム~~~~~ン♪」

 

ムーンフェイスが愉快に笑う

 

 

「やはり貴方は本当に『イカれてやがる』。ただ殺戮を楽しみ、残虐を好む、その姿。まさに『不死者(ノスフェラトゥ)』!まさに怪異の王『吸血鬼(ヴァンパイア)』!最高だ!」

 

「カハハハハハハハハハッ!お褒めに預かり光栄だぜ!ガハッ」

 

アキトはヨタヨタと血を吐きながら笑うが・・・

 

 

「(ヤベぇ・・・ヤバすぎるぜ・・・血がほとんど体に残ってねぇ・・・ムーンフェイスから血を得ようとしても、ヤツの血は『飲めないほどに』不味い。大尉の方は、かぶりつこうにもコートのおかげで出来ない・・・万事休すってヤツかよ・・・)」

 

「・・・」

 

「ムム?もうダメですかな?アーカード?それでは・・・止めと参りますか。サテライト30『オーバーリミテット』」シャン

 

疲労困憊のアキトを前にムーンフェイスは『完璧なる止め』を刺すために分身をまた10体増やした

 

 

「大尉?よろしいですかな?」

 

「・・・」コクリ

 

「それでは・・・狩らせて頂こう!貴方の『命』!」

 

大尉の了承を得たムーンフェイス達はアキトに向けて飛んだ!

 

 

「暁!」

 

「ムム~♪行かせませんよ!」

 

「糞ッ!退けよぉ――ッ!」

 

一夏達がアキトを助けに行こうとするが、ムーンフェイスの分身がそれを遮る

 

 

「これでThe ENDです!アーカード!」

 

叫ぶ事しか出来ない一夏達を後目にムーンフェイス達の刃は距離を詰める。

 

だが、オカシイ事にアキトは防御の体勢をとらないばかりか、眼を閉じてニヤリと笑った

 

 

 

 

 

 

 

その時である・・・!

 

 

太陽が沈むその彼方から『真っ赤な光線』が唸り声とともに飛んできたのだ

 

 

「『空裂眼刺驚(スペースリパースティンギーアイズ)』ッッッ!」

 

「「「「「「「ムーンッ!?」」」」」」」

 

「「なっ!?」」

 

「わ、私達ッ!?」

 

『赤いビーム』はアキトに襲いかかるムーンフェイス達を無惨にも切り裂いた!

他のムーンフェイスに応戦していた一夏達や本体ムーンフェイスは何が起こったのかと驚愕した。ただ、大尉だけが無言でビームが飛んできた方向を睨んでいた・・・

 

 

「ヤレヤレってヤツだわ・・・」

 

ビームが飛んできた方向には『コウモリ』のような大きな『翼』を広げ、ムーンフェイスや大尉を鋭い『紅い眼』で睨み付ける『赤髪』の女性がいた

 

 

「だ・・・誰?」

 

「敵の増援か・・・!」

 

「こんな時にかよッ!」

 

一夏達は刃をむけるという体勢に移るが、ムーンフェイスはと言うと・・・

 

 

「・・・『真紅の吸血姫(スカーレット・ドラキュリーナ)』・・・」

 

さっきまでの余裕と笑みは消え去り、焦燥感が出ていた

 

 

「これはこれは、ムーンフェイス・・・その顔、二度とおがみたくはなかったわ」

 

「それはこちらの台詞ですよドラキュリーナ?何故、貴女がここに?折角、アーカードと語りあってたのに」

 

「黙れ、ボケ糞野郎。私達はそこにいる『人狼(ヴェアヴォルフ)』にようがあるのよ」

 

「ムム~ン♪・・・ブチ殺しますよ?小娘?」

 

「あ"ぁ"?上等ッ!」

 

┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"・・・

 

「な、なんなの?あの人?」

 

「どうやら敵ではなさそうだな」

 

圧倒的な『凄味』をぶつけ合う二人に箒や鈴は引いていると・・・

 

 

「なぁ、アンタ!」

 

「ちょ、ちょっと一夏ッ!?」

 

空気を読まずに一夏が声をかけた

 

 

「あ"ん"?」

 

「アンタ、一体何者なんだ?俺達の敵なのか?それとも・・・」

 

「敵じゃあないわね『坊や』」

 

「ぼ、坊や!?」

 

「『シェルス』・・・」

 

一夏が怪訝な顔をする中、ボロボロのアキトが口を開いた。すると・・・

 

シャン

「アキト・・・」ガシッ

 

「え!?」

 

「い、何時の間に!?」

 

何時の間にかシェルスはアキトの側に移動し、肩を貸した

 

 

「シェルス・・・なんで?」

 

「さぁ?『虫の知らせ』ってヤツ?それより大丈夫?『ドラキュラ』さん?」

 

「カカ♪お腹が減ったよ・・・『ドラキュリーナ』」

 

「そうな・・・のッ!」ズボッ

 

「むがッ!?」

 

「「「なッ!?」」」

 

シェルスは力なく喋るアキトの口に躊躇なく『手を突っ込んだ』!

 

 

「むががぐっ!?」

 

「このバカ!何ここまでボロボロになるまで戦ってるのよ!私が来なかったらどうしてたの?えぇ?!」ガシッ

 

「ぐががべッ!」

 

シェルスはアキトの口に手を突っ込むだけではなく、首を掴んで絞めた。アキトの顔はみるみるうちに顔を青くさせ、生気を失っていった・・・が

 

ガシッ

「あぐっ!」

 

「ひぅッ!?///」

 

アキトは口に突っ込まれたシェルスの手を掴むと、そのまま牙を突き刺した!

 

 

「チュウ・・・ゴクリ・・・チュウ・・・ゴクリ」

 

「うぅん・・・あぅん・・・///」

 

アキトは眼を閉じて、甘く喘ぐシェルスの手を『味わった』

 

 

「ムムッ!?これはマズイ!私達ッ!」

 

「「「「御意」」」」

 

「え!?ちょ、ちょっと!」

 

「「「「ムーン!」」」」

 

アキトがシェルスから『吸血』している事にムーンフェイスは焦り、一夏達に向けていた分身を二人に突撃させた

 

 

「チュウ・・・ゴクリ・・・ゴックン・・・ぷはぁ・・・」

 

「あ、あぁ・・・///」

 

「レロレロレロレロレロレロレロレロ」

 

「ちょ、ちょっと!?アキ――ゥうんッ!///」

 

アキトは口からシェルスの手を引き抜き、その手に残っていた血を綺麗に丁寧に舐め回すと、シェルスの耳に口を近づけ囁いた

 

 

「ごちそうさま❤」

 

「~~~~~~ッ!///」

 

そして、囁いた瞬間にアキトの体・・・

否、『朧』が光り輝いた!

 

 

「な、なんだアレはッ!?」

 

「ま、まさか!?この状況で!?」

 

「一体!何がどうなってんだよッ!?」

 

『王よ!行けます!』

 

声色が変わった『朧』の声にアキトは唸り声を上げ、腰に提げていた刀を思いっきり引き抜いた!

 

 

「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYッ!」ザンッッ!

「「「「ムげるばちょッ!?」」」」ザクリ

 

するとどうだろうか、引き抜いた衝撃波により、襲いかかって来たムーンフェイスの分身達は見るも無惨に切り刻まれた

 

 

「ま、マズイですね・・・コイツはマズイ」

 

「・・・」

 

アキトの変わりようにムーンフェイスの焦りはモロに顔に出た

 

 

「さて・・・シェルス?」

 

「ふぅあ・・・///」

 

「シェルス!」

 

「ふぁ、はい!?」

 

「行きますか?」

 

「ふぅ・・・もちろんよ」

 

アキトは惚けるシェルスの掌を優しく握り、ムーンフェイス達に突きつけた

 

 

「本当にマズイですね・・・大尉殿?退却しませんか?」

 

「・・・」

 

ムーンフェイスは苦笑いをしながら大尉の方を見たが――

 

 

パチンッ!

 

「ッ!」

 

「大尉ッ!?」

 

破裂音とともに大尉の軍服が燃えた!

 

 

「大尉ィィィィィイッ!」

 

「!・・・」

 

破裂音の正体は、高速で迫るボートの船首に立つ錬成陣を描いた手袋をはめた『ロイ・マスタング』だった。マスタングは大尉目掛けて、何度も何度も火焔錬成で大尉を燃やす

 

 

「大佐ッ、やり過ぎないでください」

 

「わかっているさ!」パチン

「!!」ボワッ!

 

「大尉!」

 

「「やらせん!」」ボギャアッ

「ムーン!」

 

アキトとシェルスは大尉を助けに行こうとしたムーンフェイスの頭を吹き飛ばした!

 

ムーンフェイスは確信したのか、また分身を増やした

 

 

「ッチ・・・『サテライト30』『オーバーリミテット』」

 

「この野郎!また増えやがって!」

 

「こうなったらこっちも『武装錬金』で!」

 

「ムーン♪」

 

アキト達の叫ぶ声にムーンフェイスはまた下卑た笑い声をあげた

 

 

「ま、まさかッ!」

 

「ムーン!」

 

「「「ムムーン!」」」バッ

 

「おいおいおいおいおいおい!」

 

分身達の燕尾服の腰には『ダイナマイト』に『C4爆弾』が巻きついていた

 

 

「させるかぁぁッ!」ズガァッン

 

一夏は『雪羅』の『荷電粒子砲』をムーンフェイスに向け、エネルギー弾を発射した

しかし・・・

 

 

「ムーだぁ!」「「「ムムーン♪」」」

 

「ち、畜生ッ!」

 

ムーンフェイスは簡単にエネルギー弾を避け、爆弾の発火スイッチを取り出した

 

 

「大佐ァッ!押させるなぁ!」

 

「無茶を言うなぁッ!届かんぞ!コイツはぁ!」

 

「良いからヤレェッ!押させるなぁッ!」

 

マスタングがムーンフェイスにスイッチを押させないように火焔錬成をぶつけるが・・・

 

 

「ムムーン♪良いや、限界だ!押すね!」

 

「この糞カス野郎がぁぁぁッ!!!」

 

カチリ

 

 

ムーンフェイスは爆破スイッチを押した・・・

 

 

 

ドガァアアアァァァァアァアアァンンンッ!

 

太平洋の真ん中に小さなミニチュア太陽が光った

 

 

 

 

 

 

 

←続く

 




名言の入れ方が中々に難しいぜ・・・
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