今回長め・・・
アキト「今回はそういう表現はあるが、未成年は飲まないでくれよ?」
苦しい言い訳を盾にアキトはウィスキーをロックで、シェルスはビールを飲んでいたのだが・・・
「むィ~・・・///」グリグリ
「ちょっ、痛い痛い」
ラウラが赤い顔と涙目でアキトの頬をグラスの縁で押していた。何故にこんな事になったのかと言うと・・・
アキトがシェルス達の分の酒を頼んだついでにシェルスが駆けつけ一杯のテキーラをショットグラスで頼んだ、『三杯』も。アキトの分とシェルスの分とラウラの分だ
そのテキーラをシェルスによって、ラウラはイッキ飲みしてしまったのだ
「まさか、ここまで弱いとは・・・知らなかったわ」
隣で大ジョッキを煽りながらシェルスは反省する
「『知らなかったわ』じゃねぇよ!未成年にアルコールを飲ますな!」
「ごめんなさい。アキトがドイツルールって言うから・・・ついね?」
「確かにそうは言ったが・・・それは『ビール』の話であって『テキーラ』の話じゃあねぇんだよ!」
「・・・その理由で『ウィスキー』を飲むアキトが言えるの?」
「ぐっ!そ、それは・・・」
アキトはニヤつくシェルスに押し黙った。すると
「むぅ~!私にもかまえ~よ~め~///」ギチチ
酔っぱらいのラウラがアキトの頬を今度はつねる
「えぇい!完全な絡み酒じゃあねぇか!」
「う~る~さ~い~!///」
「ワッハッハッハ♪暁殿も形無しですな♪」
「フンッ」グビリ
アームストロングがバーボンを片手に笑い、ナッツを食べる。その隣では無言だがシュトロハイムも楽しそうにジョッキを煽る
「なでろ~♪///」グリグリ
「あ~、はいはい。わかったわかった」
ラウラはアキトの脇腹に頭を擦り付け、アキトはウィスキーを飲みながら頭を撫でる。撫でられたラウラは気持ち良さそうに目を細める
ナデナデ
「フフ~♪///」
「・・・」ギチ
「いふぁい!?」
何故かシェルスはアキトの頬を引きちぎる程につねると機嫌が悪そうに鼻息をたてビールを煽る
アキトはつねられた頬を押さえながら溜め息を一つ吐くと今度はシェルスの頭を撫でる
「フンッ///」グビリ
「・・・むぅ///」グリグリ
ラウラは頬を脹らませてアキトの脇腹をつつく
「おい暁の。そろそろ子供はお眠の時間だ。寝かして来い」
「む!わたちはこどもではありましぇん!シュトロハイムたいちゃ!///」
「・・・呂律が回ってませんでござるよ?ボーデヴィッヒ少佐?」
「うるひゃ~い!わたちはまだのめる!///」
ラウラは空のジョッキの振り回す。それを
パシッ
「むっ!?///」
「ハイハイ、そこまでよラウラちゃん」
シェルスが容易く受け止める
「シェルス?頼めるかい?一応君のせいでこうなったんだし」
「ヤレヤレ・・・ハイハイ、お任せあれよ」
そのまま彼女はラウラを担ぎ上げると入り口まで歩いて行き
コツコツコツ・・・
「のわ~!?てんちがひっくり返るぅう!?///」
「それでは皆様、お休みなさい」ガチャリ
自分の部屋へと歩を進めた
――――――――――――――――――――――
inside
シェルスがラウラを連れてbarを出ていくとイッキに室内は静かになった
「そーいやぁ・・・なんでこの時間帯なのに客が入んないんだ?」
「・・・今更ですか暁殿」
そうなのだ。俺達がこのbarに逃げ込んでからカレコレ2時間半は経つ・・・そろそろ客が入りはじめてもいいはずだ。まさか―――!
「(流行ってないのか?この店?」ボソッ
ギロリ
少佐への耳打ちが溢れたのか、店のマスターが睨む。そんなマスターに俺は丁重に謝る
「俺が『貸し切り』にした」
シュトロハイムが10杯目のビールを飲み干しながら答え、11杯目のビールをマスターから受けとる
「それを早く言え」
「早とちりした貴様が悪い」
「ッチ」
俺は舌打ちをしながら7杯目のウィスキーを飲む
「で?貸し切りにしたって事は何かあるのかよ?」
ゴンッ!
「勿論だろうとも!」
シュトロハイムはジョッキをカウンターに叩きつける。ジョッキの底はピキリとヒビが入る
「貴様・・・ボーデヴィッヒとは何処までいった?」
・・・・・・は?
「ぶっ!?た、大佐殿?!///」
隣にいる少佐が吹き、シュトロハイムの方を向く
「で?どうなんだ?!!」ズイ
モノクルを掛けた血走る目が俺に迫る
「ど、どうって・・・」
「寝たのか・・・?!」
「ね、寝たッ!?///」
お、おいシュ、シュトロハイム?
「寝たってのはどういう意味で?」
「勿論、『抱いた』のかという意味でだ!!」
「いや、そりゃねぇよ・・・」
同じベットで一緒に寝たのは寝たのが・・・『そういう意味』じゃあねぇな。あとアームストロング少佐、口元拭け
「てか、なんでそんな事聞くんだ?」
お前、最初はラウラの話に合わせてたじゃないか
「ボーデヴィッヒはな・・・ボーデヴィッヒはな―――!」
そこから長ったらしい昔話がはじまった・・・
ラウラが試験管ベビーで軍に期待されていたが『越境の眼(ヴォーダン・オージェ)』の移植手術の失敗で『失敗作』のスティグマを負った。そんなラウラをシュトロハイムが自分の部隊に入れ、鍛えたとかウンヌンカンヌん
「しかし!あの、あの女、『織斑千冬』にラウラを奪われた!そりゃあボーデヴィッヒが強くなるのは嬉しいさ!でもなぁ・・・でもなぁ!」グイッ
シュトロハイムはまたビールをイッキ飲みする
「強くなるにつれて俺達と疎遠になるとはどういう事だ!我がドイツの代表候補生になった時に祝いの品を送った時に「結構です」なんて、真顔で拒否されたんだぞ!お父さん悲しい!」
「え、え~・・・(お父さんて・・・」
「わかります!わかりますぞ!シュトロハイム大佐殿!」パシッ
「なに!?」
何故かアームストロングも涙を流しながらシュトロハイムの手をとった
「我輩にも年の離れた妹がおります。昔は「お兄様、お兄様」と我輩の後ろをついて来て「将来はお兄様のお嫁さんになります」なんて言ってくれたのに!今では今ではあぁぁッ―――!」
「そうか!お前もかアームストロング!」
二人は肩を抱き合ってオイオイと泣く。確か、アームストロングには年の離れた妹さんがいるって、ホークさんから聞いたな~
「お、おい二人とも、そこいらで―――「『A.A(エーツー)』!」―――な、なんだよシュトロハイム?昔のコードネームで呼んだりなんかして?」
不意にシュトロハイムが物凄い形相で睨んで来た
「貴様が・・・今度は貴様が・・・!」
「な、なにが?」
「貴様のお陰でボーデヴィッヒが『あの一件』から織斑千冬の事は言わなくなった」
『あの一件』?・・・あぁ、『VTシステム』の暴走か
「それでボーデヴィッヒを軍から排除しようしたクソッタレ共の排除も出来た」
「そ、それは良かったな・・・って、排除!?排除ってなに?!!」
「だが!」バギャン
「スルーかよ!?」
シュトロハイムはジョッキを握り潰し、また俺に濃い顔が迫る
「今度は貴様だ!A.Aゥ!」
「な、なにが?」
「「なにが?」ではなーーーい!あの一件から報告書から定期連絡まで貴様の事で一杯だ!」
え・・・そうなの?
「やれ「アキトは凄い」だの。やれ「嫁はカッコイイ」だの。貴様の事ばっかりだ!どうしてくれる?!」
「いや、知らねぇよ!」
「それだけでは飽きたらず・・・貴様の家に何日か泊まったらしいなぁぁあ?!!」
「なんと!?」
「いやいや、それはウィッチー卿の屋敷で他のヤツも―――」
「本国に帰って来た時に嬉々と話してくれたわ!」
聞いちゃいねぇよ、この酔っぱらい・・・
「貴様・・・貴様!よくもうちの可愛いボーデヴィッヒを!」ギリギリ
「おいサイボーグ、目からオイルが垂れてんぞ」
シュトロハイムは目から血の涙?を流しながら襟元を掴み、俺を睨む。だが
「・・・しかし不本意だが・・・A.A」
「な、なんだよ今度は?」
襟元を離すとシュトロハイムは改まって頭を下げた
「お、おい?!シュトロハイム?!!」
「ボーデヴィッヒを頼む」
「・・・どういう事ですか大佐殿?」
アームストロングの疑問にシュトロハイムは顔をあげ、左手のグローブをとる。その左手は『機械』でできていた
「A.A。貴様の知っての通り、俺は『四年前』の戦役でこの体になった」
「それは知ってるよ。お前が「我がドイツの科学力は世界一ィィイ―――ッ!」って自慢して来ただろうが」
あの時は皆ビックリして、気絶するヤツもいたな・・・
「それが今回の事と何が関係しているので?」
「俺はこう見えて向こう見ずな所がある」
そりゃ知ってる
「そのせいでこの体になった。それはこれからもあるかも知れん・・・だから―――むぐっ!?」
そこで俺はシュトロハイムの口に出されたナッツを押し込んだ。シュトロハイムは「何をする?!」なんて口からナッツを溢しながら怒る。それを俺は冷ややかな目で
「まさかテメェ、自分に何かあったらラウラを俺に託すつもりか?」と答えてやると、シュトロハイムは「そうだ」と答える
なので俺は
「無駄ァッ!」バギ
「げぶぅッ!?」ガシャン
「えぇぇ!?」
吸血鬼の力で思いっきりシュトロハイムの頬を殴り抜いた!
「え、A.A!貴様ァッ、何をする?!」
「ヤレヤレ・・・あのさぁ?シュトロハイム?」
「なんだぁあ!」バギィ
「ぐほッ・・・!」
シュトロハイムの反撃が顔面に喰らうが動じずに続ける
「お前は何時から人一人の人生を決めるような偉い立場の人間になったんだ?」
「・・・なに?」
シュトロハイムは俺の顔面に拳を入れながら止まった
「お前がラウラを長年、親のように見てきたのはわかった」
「なら、何故?お前ならラウラを守れるだろう?!吸血鬼であり、ヴァレンティーノファミリーの『ゴミ処理係』の貴様なら!」
確かにそうかも知れない・・・
「でもよぉ~、それはあの子の決める事だ。お前じゃあない」
「ッ!?・・・それは・・・」
シュトロハイムは腕を降ろした
「それによ、『不死身のシュトロハイム』が弱気な事言ってるんじゃあないぜ」
「何?」
「お前がラウラから俺の事を聞いてるように俺もラウラからシュトロハイム、お前さんの事を聞いてるんだよ」
何時からか、俺がラウラに部隊の仲間の事を聞いた事がある。その時に出てきたのがシュトロハイムの名前だ
『祖国の英雄』
『不死身大佐』
『不死身のシュトロハイム』etc.....
色々と二つ名が多いもんだ
その事を聞いてシュトロハイムが驚愕の顔をしている
「つまり、ラウラにとってお前は織斑千冬と同等かそれ以上の尊敬する人物なんだよ。おわかり?」
「い、いやしかし、そんな事は俺の前では・・・」
「言う訳ないだろう。わかってないね」
「『親の心、子知らず』のように『子の心、親知らず』ですかな?」
さすがアームストロング!良いこと言うね!
「そ、そうなのか・・・」
「おん?もしかして泣いて・・・るぅう~?!」
「ば、バカを言うな!ドイツ軍人は泣かない!」
なんて言ってるが頬に光的なにかが見えてるんだよ
そんなシュトロハイムを肴にまた俺達は酒を酌み交わした
――――――――――――――――――――――
noside
アキト達が酒を酌み交わしている中、シェルスはデロデロに酔ったラウラを担いで自分の部屋に戻っていた
ガチャリ
「ホラ、ラウラちゃん。着いたわよ」
「ゥい~・・・///」
シェルスは酔って赤い顔をしたラウラをベットに降ろし、洗面所から水の入ったコップを持って来て酩酊状態のラウラに渡した
「ラウラちゃん、飲める?」
「ぬぅ?ありあと~///」
ラウラはそれを受けとるとイッキに煽った
「ッ!?げほっ、がほごほっ!」
「ホラほら、イッキに飲むから・・・」
「・・・」
咳をするラウラの口元を拭くシェルスをラウラは無言で見はじめた
「ん?どうしたのラウラちゃん?」
「アキトは・・・」
「え?おわっ!?」
ラウラはシェルスの頭を両手で掴み、まじまじと見る
「ど、どうしたのラウラちゃん?」
「アキトはこんな顔がすきなのか?」
「へ?」
ラウラの突拍子のない言葉に変な声を出した。ラウラはそのままシェルスの髪をすき、匂いを嗅いだ
「ちょ、ちょっとラウラちゃん?///」
「綺麗な赤毛だ。それにいい匂いがする」ギュウ
そしてシェルスを抱き締めた。シェルスは突然の事に少しパニックになり、ラウラを引き剥がそうとしたが
「私はアキトが好きだ」
「!」
その言葉に止まった
「あの食堂での事は、アキトがシェルスの悪口を言われて怒ったのだ」
「・・・そうなの」
シェルスは静かに聞いている
「でもその時わかったのだ。アキトは・・・貴様、シェルスが好きなのだ」
「・・・」
「貴様はどうなのだシェルス・ヴィクトリア?貴様は・・・・・・・・・・・・」
「・・・ラウラちゃん?」
「くぅ~・・・すぴ~・・・zzz」
ラウラはシェルスに抱き付いたまま意識を深く沈めた。シェルスはラウラを体から引き剥がし、布団をかけた。そして眠るラウラの頭を撫でた
「私も・・・あの人が・・・好きよ。あの寂しがりやの『ドラキュラ』がね・・・」
その顔は慈愛に満ちた母親の顔をしていた
←続く
22:37.barにて・・・
アキト「そういやぁ作戦て何時からやんだよ」
アームストロング「え・・・?!」
アキト「・・・なんだよ、その驚きようは?」
シュトロハイム「お前は何も聞いてないんだな・・・」
アキト「・・・は?」
作戦開始まで残り、22時間32分57秒・・・