人外になった者   作:rainバレルーk

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BGMはおすきなモノを・・・

アキト「後キャラが少々、黒い」


ナイトメアパーティ:上

 

ドシュゥッ! ドシュゥゥッ! ドシュゥゥゥッ! と飛行船から発射された戦略的ミサイルの大群はそこらかしこに勢いよく飛んでいく。

そして、建物等にに当たると腐りかけの果実のように弾け、劫火の炎を立てる。

大隊長達はそれを嬉しそうに楽しそうに見る。

 

 

火花が上がる。

 

「うわぁぁぁッ!」

 

炎が上がる。

 

「ギャあぁぁ!?」

 

断末魔があがる。

 

肉が焼かれ、骨が砕かれ、モノが破壊されていく都市。その都市に先程降ったゲリラ豪雨のようにミサイル群が落ちていく。

あっという間に美しい街並みは業火に包まれる。

 

 

「・・・まだだ」

 

大隊長が楽しそうに口を開いた。

 

 

「武装吸血鬼兵隊降下準備!!」

 

「ハッ!」

 

大隊長の命令で飛行船内部のカラクリが作動する。撃ち尽くされたミサイル格納庫は射出カタパルトへと変貌し、ゾロゾロと吸血鬼の兵隊共が並ぶ。

 

 

『ミサイル、全弾発射! 戦果は大打撃、大打撃ッ!!』

 

興奮した放送が艦内に響きわたる。

 

 

「まだだ・・・」

 

大隊長は椅子から立ち上がり、喚き散らすように叫ぶ。

 

 

「もっと戦果を・・・もっと戦火をッッ!」

 

 

 

 

 

燃え上がる街、劫火に包まれる街、人々の断末魔があがる街を見下ろしながら飛行船内の吸血鬼の一人が歪んだ口元で喋る。

 

 

「綺麗だ・・・戦場が輝いている・・・」

 

その言葉に後ろにいる吸血鬼達が答えるように笑う。

 

 

「俺たちは化物だ・・・あそこでしか生きられない。あそこにしか行きたくない・・・!」

 

眼に映る状況に恍惚の表情を浮かべる。

 

 

『着陸上陸作戦開始。降下部隊、出撃せよ』

 

ニタニタと笑う吸血鬼達の耳に待ってましたとばかりに艦内放送が聞こえてくる。兵隊達は顔を見合わせ、もっと口を歪める。

 

 

「行くぞ前線部隊・・・戦争だ!!!」

 

号令と共に兵士達はカタパルトに足を固定し、合図を待つ。

 

 

『5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・出撃ッ!』

 

カタパルトは火花を散らし、兵士を空に放り出す。次々と、次々と。その光景は下から見るとまるで銀の雫が落ちてくるようだったという。

 

 

 

 

 

 

 

「来た・・・来た来た来た来た来たぁッ!」

 

一方その頃、私兵部隊でIS委員会を占拠しジェルマンの部下たちはケラケラと嬉しそうに騒ぎ立てていた。

 

 

「な・・・なんて事だ・・・!」

 

十蔵は戦々恐々としていた。吸血鬼の恐ろしさをよく知る彼だからこそ余計に。

 

 

「ふん・・・アイツにしては随分とまぁ派手でいいじゃない」

 

「ジェルマン! 貴様、自分が何をしているのかわかっているのか?!」

 

「はぁ?」

 

役員の一人がジェルマンに食ってかかる。

 

 

「アンタ・・・状況がわかって言ってるの? わかっていて言ってるのなら大したものね」

 

「貴様こそわかっているのか! これはISを、つまりは世界を敵に回す行為。立派な反逆だぞ! 今に貴様は———「うっさい、ヤレ」「ハイ」―――ぎゃぁぁあッ!!!」

 

「「「ヒイィィっ!」」」

 

役員はジェルマンの部下に頭からバリバリと文字通り喰われると生き残った者達の悲鳴が部屋に響く。

 

 

「さて・・・順調にいけば、ここにも半時と満たない間にヤツラがくるわね」

 

「・・・ジェルマン・・・」

 

「ん? 何かしら十蔵ちゃん?」

 

黄昏るように呟くジェルマンに十蔵は絞るような声で声をかける。

 

 

「君は・・・・・いや、貴様は何時からヤツと・・・?」

 

「・・・いいわ。教えてあげる」

 

「おひいさま!」

 

「いいのよ。一応、十蔵ちゃんには知る権利があるものね」

 

「私も知りたいわね・・・ジェルマン卿?」

 

「アンタはダメ・・・と言いたいけど・・・まぁイイわ、ついでよついで」

 

そうしてジェルマンはこれまでのいきさつを話し出す。

 

 

「今回のキッカケは『四年前』に遡るわ」

 

「四年前・・・というと『ファントムブラッド戦役』か」

 

「そう。欧州で武装蜂起を企んでいた反IS組織をIS委員会直属の部隊が殲滅、撃破した事ね。この事でISは確固たる力を世界に示した。というのが『表』向きね」

 

「どうゆうことだ? まるで『裏』あるようだぞ」

 

「どうやら『真実』を生き残った連中は知らないみたいね? マーサ・グスト・カーバイン委員長閣下?」

 

「っく・・・」

 

ジェルマンはどうだと言わんばかりに顔を歪めて『真相』を話していく。

 

 

「あの戦役で30機以上の貴重なISと35000人もの兵士が投入され、100名弱の犠牲を払い、ISによる勝利を収めたと言うけど実際は違う」

 

「実際、投入されたISの半数近くが再起不能にされ、討伐軍並びに民間人合わせて10000人以上の被害と犠牲が出た」

 

「ついでに街と近辺の村が合わせて3つ『全滅』したわね」

 

「「「ッ!!?」」」

 

ジェルマンの話に十蔵とカーバイン以外の役員が驚嘆する。

 

 

「知らないのもわかるわ。だって、その時の役員は全員『不慮』の事故でこの世にいないんだものね?」

 

「な、なんだそれは!」

 

「そんなの亊私達は知らないぞ! どういう事だ委員長?!」

 

「一応言っとくけど、証拠なら色々とこちらで押さえてあるわよ? 言い逃れは・・・できない」

 

役員達はカーバインに詰め寄る。カーバインは眉間に皺を寄せて、答えていく。

 

 

「・・・確かにその通りよ」

 

「なんだと!?」

 

「でも、それは当時は必要な事だったのよ!」

 

カーバインの言葉に役員達は顔を見合わせて、疑問符を浮かべる。

 

 

「当時、まだISは世界に影響を与えていてもISに疑問を持つ者が多かった。それを打開するためにもあの戦いは必要だったのよ! それにあの戦いで貴方達は多額の利益を得たでしょうッ!?」

 

「そ、それは・・・」

 

カーバインの論説に役員は押し黙る。

 

 

「そうねぇ、確かにあの戦いでISは確固たる地位を固めたわ」

 

「そうでしょう!」

 

「でも・・・・・そのせいで多くの人間が被害をうけたわ」

 

「へ・・・?」

 

ジェルマンは淡々と話していく。

 

 

「ISの登場でそれまでの現存兵器はガラクタに成り果て、多くの兵士が職を失ったわ」

 

「そ、それは平和の為に!」

 

「その平和の為とやらで『女尊男卑』なんて言う時代錯誤の差別が大きくなったのも事実よ」

 

「!・・・・・」

 

「男だからという理由で理不尽な事をされ、男だからという理由で子供が捨てられる。一体これのどこが平和なの?」

 

ジェルマンの言葉には悲しみと憎しみの両方が込められているようであった。しかし、ここである疑問が浮かんだ。

 

 

「ジェルマン伯・・・聞いていいか?」

 

「なにかしら?」

 

「何故・・・貴様がそんな事を知っている?」

 

「それに関しては私が答えましょう」

 

男の役員の質問に答えるように部屋の扉が吹き飛んだ。

 

 

「「「ッ!?」」」

 

吹き飛んだ事でジェルマンの部下達が巻き添えをくらう。それだけでは収まらず、土埃に紛れ何者かが部下達を切り結んでいく。

部下達は悲鳴も上げられぬまま倒れていった。

 

 

「い、一体誰ッ?!」

 

「あら・・・・・この声は・・・」

 

土埃が晴れていくと声の主の姿が露になってきた。

そこには現代風にアレンジされた巫女服に美しい黒髪の少女が立っていた。

 

 

「き・・・君は・・・・・!」

 

「! あら・・・『金の魔女』の末裔が来るかと思いきや・・・まさか貴女が来るなんてね・・・・・『皇』の姫さま?」

 

彼女の名は『皇神楽耶』。日本でも有数の名家の当主であり、ヴァレンティーノファミリーと友好を築いている人物でもある。

 

 

「これはこれは皆様、御揃いで。轡木のおじさまもお久し振りでございます」

 

「どうして君が・・・?」

 

十蔵の疑問も間もなく、ジェルマンの部下が彼女にライフルを向ける。しかし・・・

 

 

「チェストぉおッ!」ザシュゥウッ!

『『『グギァアャアッ!?』』』

 

スニーキングスーツを着たオールバックの男が異様な刀で切り捨てる。

 

 

「姫さま、ご無事で?」

 

「ありがとう『藤堂』」

 

そうして扉からゾロゾロと皇家の私兵が入って来る。

 

 

「なッ!? いつの間に?!」

 

「下の階にいた貴様らの兵どもは大方切り捨てた。後は貴様らだけだ、人に仇なす化物ども・・・!」

 

ケバい部下の驚きの言葉に藤堂は鋭く睨んで答えると同時に皇家の私兵達が臨戦体勢をとる。

 

 

「お久し振りですジェルマン伯。こうしてお会いになるのは一年ぶりでしょうか?」

 

「・・・どうしてここへ? 皇家の幼いご当主さま?」

 

ジェルマンの疑問に神楽耶は息を調え、答える。

 

 

「暁アキトさまからです」

 

「なんですって?」

 

神楽耶の言葉にジェルマンは疑問符を浮かべる。

 

 

「アキトさまは委員会の内部に間者がいるかもしれないということで私達に依頼していたのです。まさか間者が貴方とは・・・思いもしませんでしたが」

 

「暁君が・・・!」

 

「・・・ふん・・・・・さすがは『アーカード』と呼ばれる吸血鬼だけの事はあるわね。それで? なんで私が真相を知っていると?」

 

神楽耶はフフフと含んだ笑みを浮かべると口を開いた。

 

 

「それは貴方がIS委員会に入る前に『貴族』の方達と繋がっていたからです」

 

「『貴族』?」

 

「『貴族』というのは、欧州を拠点としている吸血鬼の方達です」

 

「吸血鬼・・・また吸血鬼か・・・・・!」

 

「皇神楽耶と言ったね。その吸血鬼というのは一体なんなのだね?」

 

役員は神楽耶に吸血鬼について聞いていく。

 

吸血鬼・・・闇夜に住まい。人を喰らう知性を持った人類最大の天敵である種族。

 

 

「その方達と・・・ジェルマン卿、貴方は『牙狩り』時代から情報を交換していた。そうですね」

 

「・・・そうね。全部が全部と言う訳でもないけれど・・・その通りよ」

 

「認めるのかジェルマン・・・!」

 

「えぇ。今まで黙っててごめんなさいね」

 

「いや、謝るな・・・・・・・・殺しにくくなるだろう?」

 

十蔵はギラギラと殺気だった眼でジェルマンを睨む。

 

 

「フフ・・・フハハハ♪ 良いわねぇ! 流石は吸血鬼達から『銃剣』と呼ばれた化物だけはあるわねぇ?」

 

ケラケラとゲラゲラとジェルマンは楽しそうに笑う。

 

 

「おひいさま! 笑ってる場合じゃあありませんわよ!」

 

「かなりマズイ状況ですわ!」

 

皇家の私兵とジェルマンの部下達では戦力に大きな差が出来ている。比率にするとジェルマンが3に対して皇家が7である。

 

 

「ジェルマン卿」

 

「何かしら皇の姫さん?」

 

「『降伏』してくださいませんか? 身柄は悪くはいたしませんから」

 

神楽耶はニッコリとジェルマンに降伏勧告を出す。ジェルマンはうーんと悩むが・・・

 

 

「やだ」

 

「「流石おひいさま! でも、その返答はマズすぎますわ!」」

 

なんとも子供っぽい返答をした。それを聞いた神楽耶の答えは・・・

 

 

「そうですか、残念です・・・・・なら、大人しく死んでください」

 

「あら、なんか好きになれそうだわ。こんな出会い方じゃなかったら私達、良いお友達になれたかもね」

 

「えぇ・・・本当に・・・・・藤堂!」

 

「はッ!」

 

神楽耶の声に藤堂は懐から灰色で六角形の塊を取り出し、大きく『覚悟』を叫んだ。

 

 

「『武装錬金』ッ!」ガチャッ

 

合金の塊『核鉄』が光るとその人物の唯一無二の武器へと変化する。

 

 

「日本刀の武装錬金『サムライソードX』!」

 

「コイツはたまげた! 中々に良い男だけじゃないって事ね。でも良いのかしら? こっちには人質が――」

 

ジェルマンは銃をカーバインに向けるが、神楽耶は動じずに答える。

 

 

「それには及びません。アキトさまから人質は轡木のおじさま以外どうでも良いと事ずかっていますので」

 

「な、なんですっッ!?」

 

「あらら~? と言う事は・・・・・?」

 

十蔵は立っていた位置が扉に近かった為に皇家の私兵達に囲まれている。だから・・・

 

 

「轡木殿。銃剣はありませんが刀を」

 

「かたじけない」

 

十蔵は私兵から刀を受けとるとスラリと抜いた。

 

 

「全員・・・・・カカレェェエッ!」

 

『『『うおぉぉッ!』』』

 

藤堂の合図と共に皇家の私兵達は一斉に襲いかかっていく。

ジェルマンの部下達も銃を構え、引き金を引こうとするが真っ先に斬り込んだ藤堂に銃を刻まれ、そのまま切り捨てられていく。

 

 

「ヒィイッ!?」

 

「た、助けてく―――グギァアャアッ!?」

 

人質と当てにしていた役員までもが皇かジェルマンに撃たれ、斬られてしまう。

 

 

「あら、まさかあの娘最初から・・・・・やるわね」

 

「敵に関心してどうするんですのおひいさま! 逃げるわよ!」

 

「全員、撤収~~~!」

 

ジェルマンの部下はこれまでと悟ると纏めたダイナマイトに見せ掛けた煙玉を発火させる。あたりは紫色の毒々しい煙に包まれ、ジェルマン達は壁を破壊して逃げていく。

 

 

「じゃあ~ね~。皇の小娘~」

 

「チィッ、逃がすな! 追――「よいのです」――姫さま、しかし!」

 

ジェルマンを追おうとする藤堂を神楽耶は抑えると指示を出す。

 

 

「ここにはもう用はありません。私達はアキトさまが戻って来られるまであの方達を押し止めましょう。よいですね?」

 

「・・・わかりました、主命とあらば。凪沙、姫さまを頼んだ」

 

「お任せください」

 

「良し。行くぞ!」

 

『『『おぉぉッ!』』』

 

藤堂は神楽耶の命令を聞くと私兵を連れて業火包む都市へとかけていった。

十蔵は神楽耶に近づき、伺う。

 

 

「皇当主」

 

「轡木のおじさま、お怪我はありませんか?」

 

「いや、大丈夫だ。それよりどうして君が? 私はてっきりウィッチーの者が来るかと・・・」

 

「ウィッチーの御姉様は欧州の方達を相手どられています。戦後の支援とこれからについて。この戦、勝とうが負けようが終われば、自ずと『彼ら』は世間の目にさらされますので」

 

「なッ!?」

 

十蔵はその事に驚いた。それはまるで予期していたかのような手際であったからだ。

 

 

「君は一体・・・!?」

 

「姫さま」

 

「はい。おじさま参りましょう。ここは危険です。」

 

「あ・・・あぁ・・・・・」

 

呆ける十蔵を連れて、神楽耶達は委員会をあとにした。

 

 

「凪沙・・・後は手筈通りに」

 

「承知でございます」

 

20分後、IS委員会の入ったビルは見るも無惨に木っ端微塵になってしまう。

 

 

 

まだ、パーティははじまったばかり・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

←続く

 




証拠も何もかも木っ端微塵ッ!
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