人外になった者   作:rainバレルーk

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ゴジラとFateにハマって結構かかってしまった・・・・・
これがきのこの感染なのか?!

あと新キャラ出ます。



戦場の華達

 

 

荻野警部達、現場組が奮闘している中。

緊急対策本部が置かれた警視庁の通信指令センターはてんやわんやしていた。

 

 

「民間人の避難が先決だ! テロリストとの戦闘はなるべく避けろ! どうしてもの時は支給した『徹甲硫銀弾』を使用してくれ!」

 

現場に指示を出す指揮台にいるのは場に不釣り合いな髪色の人物であった。

彼の名は『緒方柚希』。チャラついた格好をしているが、こう見えて警視庁警備部警護課の警視である。

今回彼は警護部でありながら、都市への広範囲テロと言う想定外の緊急事態で上から現場の指示を任されたのであった。

 

 

「まさか、あの吸血鬼くんからの警告と贈り物がこんな形で役立つとは・・・・・」

 

「緒方警視!」

 

「どうしたの?!」

 

「荻野警部がテロリストの群れに突撃したとの事です!」

 

「マジかッ!?」

 

緒方は管制官の言葉を聞くと驚くが、すぐにある事を思い出す。

 

 

「あ~・・・でも別に大丈夫だろ」

 

「えぇッ!?」

 

「アイツはダイナマイトの衝撃にも耐える強靭な体だ。だから吸血鬼でも大丈夫!・・・たぶん・・・」

 

「たぶんて・・・・・」

 

「お、緒方警視ッ!」

 

管制官が緒方の荻野への評価に戸惑っていると別の管制官に緊急情報が入って来た。

 

 

「どうした?!」

 

「官邸からの連絡です!」

 

「官邸から? 一体なんだ!?」

 

管制官からの次の言葉に緒方並びにそこにいた全員が驚いた。

 

 

「警官隊を退げろとの通達です!」

 

「なんだって!?」

 

「オイオイオイ、冗談じゃあないぞ!」

 

「何を考えてんだ上の連中は?!」

 

通達にその場は混乱するが、緒方は溜め息混じりに頭を抑えた。

 

 

「『IS』の出撃か・・・・・」

 

『『『!』』』

 

漸く首相と連絡がとれた官邸は想定以上・想定外の大規模テロに特例を出した。それは・・・

 

 

「『自衛隊』による実力か・・・」

 

「でもなんでISが・・・こういうのは自衛隊でも専門的な部門がいるはずだろう?」

 

ガヤガヤと指令室に動揺がはしる。

 

 

「無駄話はあとだ! 民間人の避難はどれぐらいできてる?!」

 

「は、はい! 襲撃地区域の避難は完了しています。しかし・・・・・」

 

「テロリストに対応している警官隊が・・・まだ・・・」

 

「連絡はつくのか!? 連絡がつきしだい、退がらせろ!」

 

「はい!」

 

緒方は各区域に通達命令を出すとドカリと指揮台の椅子に座る。

 

 

「ふぅ~・・・(ISの出撃には、もしかしなくても『女権団体』の圧力がかかってるだろう・・・でもISで倒せるのか? あの人類の天敵に・・・・・?)」

 

緒方は天井を仰ぎながら深呼吸を一つすると指令室のモニターを見た。

 

 

「(・・・死ぬなよ荻野・・・・・!)」

 

火中に飛び込んだ腐れ縁の親友を思いながら・・・

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

その日、陸上自衛隊特別戦略車輌課所属の『本田 稲』二等陸尉は、テロリスト襲撃によるスクランブルで同じ課に所属する『久野井 千代』三等陸尉と『北条 甲斐』三等陸佐と共に国産IS『打鉄・壱式』に乗り、襲撃地へと出撃した。

 

 

「これは一体・・・ッ!」

 

襲撃地付近に到着した本田が見たのはまさしく火の海であった。爆発音が炸裂し、銃声が轟き、断末魔が聞こえる。

 

 

「本部。こちらベアー1、目的地に到着」

 

北条が通信機で本部に連絡をいれると現場指揮官の『上杉 綾』一等陸佐に繋がった。

 

 

『こちら本部。正体不明のテロリストは北上を開始しています。ベアー小隊はテロリストの本部となっている地域の偵察、並びに先に現地で交戦している部隊と迎撃をお願いします』

 

「了解。ではこれより行動に移行します。over」

 

通信を切った北条は他の二人に目配せをする。三人は打鉄に装備されている専用武器を構え、戦場へと飛び込んだ。

 

 

 

襲撃された街はミサイルや爆弾により、見るも無惨に破壊されている。辺りには血が転々とまかれ、肉塊が転がる。

 

 

「これは・・・・・!」

 

「酷いわね・・・」

 

「一昨日見たスプラッタ映画みたいだにゃあ」

 

二人とは違う久野井のあっけらかんとした感想に北条がガクリと肩を落とす。

 

 

「ちょっとアンタ! 今、どんな状況かわかってる?!」

 

「どうどう。落ちついてください熊姫さん」

 

「熊姫言うな!」

 

「ふ、二人共!」

 

北条と久野井が言い争っていると本田が声をあげた。

 

 

「どうしたの稲ちん?」

 

「あ・・・あれを!」

 

本田が指差す先にはワラワラと大量の屍喰鬼が迫って来ていた。

 

 

「・・・どうやらあれがテロリストってヤツみたいね?」

 

「『バイオハザード』のゾンビみたいだにゃあ」

 

「でも良いんでしょうか?」

 

本田の問いかけに二人は頭を傾げた。

 

 

「あのテロリスト達は元々民間人だったのですよね? なら保護すべき対象なのでは?」

 

「稲ちん・・・」

 

「稲、アイツらはもう民間人じゃない。報告によるとアイツらは人を襲って食べるそうよ。そして、仲間を増やしていく『化物』」

 

「化物・・・」

 

「なんか益々、バイオハザードのゾンビみたい。そうとわかれば」

 

「あ! 久野井!」

 

久野井は装備されている専用クナイを構えて、屍喰鬼の群れに飛び込んだ!

久野井はクナイを屍喰鬼に放つ。放たれたクナイは屍喰鬼の額に突き刺さる。が・・・

 

 

『Vaaaaaaッ!』

 

「ィイッ!?」

 

屍喰鬼は気にせずに三人に襲いかかってくる。

 

 

「どうやら頭を完全に破壊しないと倒せないみたいね!」

 

「そうですね!」

 

北条は装備されている専用の鞭剣を、久野井は専用の弓を構えた。

 

 

「稲は遠距離からの援護を久野井は中距離の援護を頼むわよ!」

 

「わかりました! 射抜いてみせます!」

 

「甲斐さんは血気盛んだにゃあ~」

 

「うっさい! 行くわよ化物共ッ!」

 

三人は近中遠距離に別れて攻撃を開始した。

 

本田が弓で放った矢は次々と屍喰鬼の体を射抜いていく。しかし、矢は屍喰鬼の体に刺さるだけで足止めには遠い。

 

 

「今です!」

 

本田は弓の持ち手についているスイッチを押した。

 

 

ドオォォォォオッンンッ!!

 

『『『Vaaaaaaaッ!?』』』

 

スイッチを押した途端に放たれた矢の起爆装置が点火され、爆発を起こす。爆発により、周りの屍喰鬼達の体は木端微塵となる。

 

 

「ひゅ~♪ 稲ちんやるぅ~。なら私も!」

 

久野井はクナイを屍喰鬼の足元へと放つ。放たれたクナイは屍喰鬼の足を貫き、膝を地面につかせる。

 

 

「今ですよ熊姫!」

 

「だぁ~かぁーら~! 熊姫言うなァァあッ!」

 

膝をつかせたところで北条が鞭剣を振り回した。振り回された鞭剣は屍喰鬼の首に巻き付き、そのまま首を切断する。

 

 

「さっすが甲斐さん! カックいい~!」

 

「それほどでもあるわ!」

 

そうして三人は順調に屍喰鬼の群れを減らしていく。しかし、彼女達はあまりにも敵地の奥に来すぎていた。

 

 

「甲斐さん! 11時の方向に人影!」

 

「なに、また化物ッ!?」

 

索敵係の本田が不審な人影を発見した。その人影は黒い軍服を着ていた。

 

 

「甲斐ちん・・・あれは・・・・・」

 

「ええ。報告にあった正式なテロリストみたいね・・・」

 

北条は考えた。

 

 

「(このままヤツらと交戦してもいい。でも相手の戦力は未知数・・・それにあまりにも奥に来すぎている。ここは・・・・・)久野井、稲。このまま撤退するわよ」

 

「えッ、しかし!」

 

北条の命令に本田は難色を示したが、彼女は自分の置かれている状況がわからない程に愚かではなく、北条の命令に従った。

 

 

「よし。久野井、偵察写真のお願い」

 

「あいあいさー」

 

北条が久野井に写真をとるように命じると久野井は黒い軍服の人影達の記録を録った。だが、おかしい事に写真を一枚撮った瞬間に軍服の人影がフレームから消えた。

 

 

「え・・・ッ!?」

 

久野井はあまりの突然の出来事にフリーズする。その時!

 

 

「くのちん!」

 

「ひにゃぁッ!?」

 

久野井のすぐ横顔を本田の放った矢が通った。久野井は驚いて本田に文句を言おうとしたが・・・

 

 

「Guがァァあッ!?」

 

「にゃあッ!?」

 

「久野井ッ!?」

 

矢は久野井を襲おとナイフを振りかぶった軍服のテロリストの喉に突き刺さった。

久野井は驚くが、すぐさま体勢を立て直して戦闘体勢をとる。

 

 

「Gaaaッ! 糞ッたれ目!」

 

テロリストは喉に突き刺さった矢を引き抜くと眼を血走らせて三人を見る。

 

 

「なんだコイツら?」

 

「おい、ISだぞアレ!」

 

「人間だ! 殺せ殺せ!!」

 

他にも次々と眼を血走らせたテロリストが現れる。その手にはナイフや自動小銃が握られている。

 

 

「甲斐ちん・・・?」

 

「ええ・・・まずいわね・・・ッ」

 

いつのまにやら周りを軍服のテロリストに囲まれてしまった。すると、矢が突き刺さっていたテロリストが叫んだ。

 

 

「コイツら殺す! 皆殺しだ! 殺せ殺せ!!」

 

叫びに呼応するようにテロリスト達は威嚇するように口元の牙を鳴らす。

 

 

「皆・・・・・生きて帰るわよ!」

 

「合点でいッ!」

「はい!」

 

こうして日本で初めてのISと吸血鬼の戦闘が始まる。

 

 

『『『GaRurururu・・・ッ・・・・・!』』』

 

三人のIS操縦者を黒い兵士の小隊が周囲を囲む。

 

兵士達は通常の人間ではなく、奥歯から前歯までが全て鋭い針葉樹の葉のような牙が生え、眼は血走り口は大きく耳まで裂けている。

この兵士達は『人間』ではない。怪異の中の怪異、人類種最大の天敵・・・・・・・・『吸血鬼』だ。

 

しかし、彼らは純然たる吸血鬼でも『石仮面』から生み出された吸血鬼でもなく、科学的に生物学的に『人工的』に造られた吸血鬼である。

 

その基本ステータスは一般的なナイトウォーカーや希少なデイウォーカーには大幅に劣る。だが・・・・・

 

 

『『『Gu・・・GAAAaaaaaaaaaaaッ!!』』』

 

「「「!?」」」

 

その『力』は、並の人間を容易く引き裂ける程である。

 

彼らは、彼女らは獣の牙をガチガチと火打石のように鳴らし、威嚇する。

 

腰に差したナイフやサーベルを抜く者。自動小銃に弾丸を装填する者。突撃銃に銃剣を装着する者。

行う動作は各々違えど、眼前にある肉が柔らかそうで、濃厚な良い薫りを漂わせる三人に今でも飛び付きそうな勢いだ。

 

こんな状況に三人は額に汗を流し、ゴクリと唾を飲む。

 

 

 

「・・・ろす・・・・・殺す! 殺してやるッ!!」

 

先程、三人の内の一人『本田 稲』に喉を貫かれた吸血鬼兵が叫ぶ。

 

 

「生爪を剥がして殺す。生皮を剥がして殺す。歯を折って殺す。筋肉を磨り潰して殺す。骨という骨を砕いて殺す。全ての臓器を抉り取って殺す!」

 

眼は絵具の赤よりも紅く染まり、顔の皮膚はひび割れていく。

 

 

『『『殺せ、殺せ、殺せ!!』』』

 

周りを囲む他の吸血鬼達も呼応するように叫び、持っている得物を叩く。

 

 

「こ・・・これは・・・マズイんじゃあないか・・・にゃぁ~?」

 

「言われなくてもわかってるわよ・・・ッ」

 

頬を引きつらせながら苦笑いをする久野井に北条が苦虫を噛み潰したような苦悶の表情で答える。

 

 

「うGAAAああぁッッ!!」

 

そうしていると吸血鬼兵が牙をむき出しにジャンプする。そのまま吸血鬼兵は腰に差していたダガーを引き抜き、まずは矢を射られた恨みからか本田に襲い掛かる。

 

 

「!?」

 

「「稲(ちん)!!」」

 

北条と久野井は本田を援護しようとするが・・・

 

 

「させないよッ!」

「フンッ!!」

 

「「ッ!?」」

 

横から別の吸血鬼の攻撃が二人を襲う。

北条には長身の女の吸血鬼がサーベルで斬りつけ、久野井には丸い体格の男がナックルダスターで殴りつける。

 

ギャァアアンン!!

「「きゃあぁッ!!?」」

 

あまりの突然の攻撃に体が反射できずにモロに攻撃を二人は喰らい、二人は左右別々に吹き飛ばされる。

 

 

「甲斐さん! くのちん!!」

 

「余所見してるんじゃあねぇぇえ!!」

 

「!」

 

吹き飛ばされた二人に気を取られた本田に吸血鬼の攻撃が迫る。

 

 

 

ガギィィイイッ!!

 

「こ、コイツぅ!?」

 

本田はとっさに構えていた弓に装備されていた短刀で攻撃を受け流し、その反動を利用して後ろに退がる。

 

 

「くッ!(なんですかこの力は!? ISの模擬戦闘でもこんな衝撃はありません。これは一体?!)」

 

受け流した攻撃の威力に本田は内心驚愕する。しかし、すぐに頭を切り替え、弓矢を構える。

 

 

「なるほど・・・コイツはISの能力を過信しないヤツか・・・」

 

「これは殺しがいがある・・・」

 

周りの吸血鬼が本田の身のこなしに関心を示し、次々と前にでる。

 

 

「多勢に無勢とは・・・!」

 

本田はIS操縦者の中にいる数少ないIS至上主義者ではない者だ。そんな彼女だからこそ、今の状況に焦っていた。なぜなら先程の攻撃を受け流すのに使った短刀が折れたからである。

 

 

「(専用ライフル弾の直撃でも傷一つつかない刀がプラスチックのおもちゃのように折れた・・・あの攻撃をまともに喰らうのは危険・・・)ならば!」

 

本田は弓に装填していた矢の本数を1本から3本に増やし、遠・中距離戦を行う事にした。

 

 

「・・・」

 

『『『・・・』』』

 

本田と吸血鬼兵達との間にしばしの沈黙が流れる。

1秒か、2秒か、それとも1分かの短い沈黙を最初に破ったのは・・・・・本田だった。

 

 

「射貫いてみせます!」

 

『『『!』』』

 

装填されていた矢が勢いよく吸血鬼兵達に向かって飛んでいく。

 

 

「こんな矢など!」

 

吸血鬼の一体が3本の矢を素早く掴む。

 

 

「掴みましたね?」

 

「なに?―――ッ!?」

 

本田の言葉に吸血鬼兵が掴んだ矢を見るとそれにはプラスチック爆薬が仕込まれていたのだ。

 

 

「炸裂しなさい!」

 

『『『!?』』』

 

ドオッォオオオン!!!

 

本田は手元の発火装置のボタンを押した。矢は大きく炸裂し、矢をつかんでいた吸血鬼だけではなくその周りにいた吸血鬼兵も爆発に巻き込まれた。

辺りには肉片と血が飛び散る。

流石にこれはやったと本田は思う。だが・・・・・!

 

 

『『『gうAAあぁああ!!』』』

 

「なッ!??」

 

白煙の中から爆発の影響で傷を負った吸血鬼兵達が襲い掛かって来た!

本田は吸血鬼兵の突然の攻撃に反応できず、防御体勢をとる。

 

そのまま吸血鬼兵はフルパワーで本田のISを殴りぬいた。

 

 

「きゃぁぁあああッっ!!?」

 

大きな打撃と破壊力が本田を襲う。

腕に装備していたISの装甲は粉々に砕かれ、彼女は10m程後ろにあった民家まで吹き飛ばされると民家の壁を突き破り、屋内に入ったところで漸くストップした。

 

 

「ごほ! ゲほッ!! 痛ッ!」

 

攻撃をモロに喰らった本田のIS『打鉄』のSE(シールド・エネルギー)は一気に30%近くまで減少し、打撃の衝撃で両腕の骨にはヒビが入った。

 

 

「まさか、ここまでの威力だとは・・・」

 

本田はどうにかして体勢を立て直そうと立ち上がり、民家から出ようとした。その時!

 

 

ドグォオオ―――ッン!!

 

「うわッ!?」

 

またしても民家の壁を突き破って、何者かが入って来た。本田は痛む腕をなんとか上げて、瓦礫の山に弓を構える。でもその瓦礫からは聞き覚えのある声が聞こえて来た。

 

 

「ま、まって稲ちん!」

 

「え・・・?」

 

「私達よ・・・!」

 

瓦礫をどかし、土煙の中から現れたのはボロボロに損傷した北条と久野井であった。

 

 

「甲斐さん、くのちん! 無事だったんですね!」

 

「ええ、まあね」

 

「ヒドイ目にあったんだにゃあ」

 

3人は互いに抱き合い、無事を喜び合った。

 

 

「生存確認が出来たところで・・・久野井、無線の方は?」

 

「ダメですにゃあ。妨害電波がビシビシ入ってるし、さっきの攻撃でぶっ壊れましたよ」

 

「糞ッ、早くこの事を本部に知らせたいのに・・・!」

 

喜び合うのも束の間、テロリストの予想以上の攻撃力を本部にどう伝えようかと思案しだした。

 

 

「安全地帯まで退却するのは?」

 

「どこからが安全地帯なのかわからないし、さっきの戦闘で結構SEを持っていかれたし・・・」

 

「それはそうと・・・・・皆、どれくらいSEが残ってるん?」

 

久野井の確認に各自のISSE残量を見る。

結果としては北条が17%、久野井が23%、そして本田が31%である。

 

 

「皆・・・3割を切っているんですね・・・」

 

「というか2割も切っている人がいるとは・・・・・さすがは熊姫」

 

「熊姫言うな! しょうがないじゃない! あの女テロリストが!」

 

「まぁまぁ、甲斐さん落ち着いて」

 

本田が激昂する北条をなだめていると・・・・・

 

 

「―――ッ!」

 

久野井がいち早く、こちらに近づいてくる気配を察知した。

 

 

「甲斐ちん、稲ちん」

 

「どうやら・・・お喋りはここまでみたいね・・・」

 

3人は気配がする方向に武器を構える。

ゴクリと緊張が3人の体にまとわりつき始めた・・・・・・・その時。

 

 

カラン・・・カラン・・・

 

「え?」

 

突き破られた壁の穴から緑色の網目模様の入ったパイナップルと金槌の形をした物が計5個放り込まれた。

 

 

「ッ!!?」

 

「し、手榴だ―――――!!」

 

叫ぶ間もなく、安全装置の外れたパイナップルと金槌は大きな爆音を轟かせて炸裂した。

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい。あれじゃあコンガリと肉がやけるじゃあないか。俺は生の方がいいのに・・・」

 

黒煙を上げる民家を遠巻きにみるのは本田達3人を襲った吸血鬼兵達である。その内の一人が残念そうに声を漏らす。

しかし、手榴弾を放った吸血鬼がクツクツと笑う。

 

 

「なんだよどうしたよ?」

 

「IS操縦者ってのは自分の力を過信した馬鹿ばかりだと思っていたけれど・・・・・そうでもないみたいね」

 

「なに?」

 

吸血鬼が指さす先にいたのは・・・・・

 

 

「大丈夫・・・ですか、くのちん?」

 

「にゃ、にゃは~ん・・・わっちは大丈夫・・・でも」

 

「う・・・う~ん・・・」

 

ISが強制解除され、気絶した北条を肩に抱えるボロボロでススだらけの久野井と北条であった。その爆発から辛うじて助かった3人を吸血鬼達が囲んでいく。

 

 

「手こずらせやがって・・・・・!」

 

「俺、もう我慢できない!」

 

吸血鬼兵達は下卑た笑いを響かせながら口から涎を垂らし、ナイフや鉈を取り出してジリジリと近づいて来る。

 

 

「足だ足。とくに太もものあたりが美味い!」

 

「臓器が美味いだろう?とくに心臓が!」

 

「わかっちゃいねえな。やはり人間の美味い部位は腹周りだろう!」

 

「ひッ!」

 

すでに人間の皮は剥がれ、醜い化物の顔が見えている兵士達に本田は小さく悲鳴を上げる。

 

 

「こ、この!」

 

久野井は最後まで残していたクナイを投擲する。

 

 

「無駄なんだよ。無駄無駄ァ! そんな面白くもなんともない攻撃なんぞ効かんワぁ!」

 

「痛ッぅ!」

 

されど、クナイは簡単に跳ね返され、久野井の頬をかすめる。

 

 

「さぁ・・・お遊びはこれまでだよ・・・・・観念して食われなぁあ!!!」

 

『『『Ggg・・・・・GsYaaAAAaaッ―――っ!!』』』

 

ああ、もはやこれまでか・・・・・本田の脳内にそんな言葉が浮かんだ。今までの人生が走馬燈のように過ぎた。

 

 

「私は・・・私はここで果てる訳にはいかないのです!!」

 

「稲ちん!」

 

しかし、それでも彼女は痛んだ腕を奮い起こし弓矢を構えた。

 

その覚悟に呼応するように・・・・・

 

 

 

「好きにはさせん!!」

 

『『『ッ!?』』』

 

勇ましき声が響き渡ったと同時に高速回転する炎のリングが現れた、

 

 

ザァアンンッ!!

「なっ!?―――ギャaAAああぁ!!?」

 

炎のリングは本田に飛びかかった吸血鬼兵の胴体を斜め一線に切り裂いた!

切り裂かれた吸血鬼兵は絹を裂くような断末魔を上げて火だるまへと変わった。

 

 

「な、なんだぁ!?」

 

「こっちに来るぞ!!」

 

炎のリングはそのまま円を描くように次々と吸血鬼兵達を切り裂いていく。

 

 

「ふざけやがって!!」

ギィイイン!

 

吸血鬼兵もやられてばかりではなくサーベルを持った兵士が炎のリングを弾いた。

弾かれたリングは回転力を失いクルクルと宙を舞った。次第に回転力を失ったリングは一本の刀へと変貌する。その刀は仕込み刀のようで、柄の先からも刃が伸びている。

その宙を舞う刀を一人の人影が掴んだ。

 

刀を掴んだ人物は本田達の前に着地する。

その人物は赤と青をベースにした鎧を着こみ、闇夜に浮かぶ月のような銀色の長い髪を後ろで一つに束ねた紅い眼の青年が刀を構えていた。

 

 

「すまない。だいぶ遅くなってしまった」

 

「え・・・えぇ・・・」

 

突然の謎の人物登場に本田はポカンと呆けてしまう。だがこれだけでは終わらない。

 

 

「兄上!」

 

今度は十文字槍を肩に抱え、火のように赤い鎧とバンダナを纏った青年が走って来た。

 

 

「なに・・・あのイケメン・・・///」

 

「え・・・?」

 

本田の隣にいた久野井が頬を赤らめて黒髪の青年に見とれる。

 

 

「な、なんだ貴様らはぁ?!!」

 

吸血鬼兵達は突然の第三者の出現に戸惑い、動揺する。

そんな渦中の人物である銀髪の青年は答える。吸血鬼兵達に名乗りを上げる。

 

 

「私は、皇家当主『皇 神楽耶』様からの救援を承った『眞田 信雪』と申す!」

 

「同じく、信雪が弟『眞田 雪村』と申す! 人に仇なす化物よ、成敗いたす!」

 

二人はまるで戦国時代の武将のように刀と槍を構えて名乗りを上げる。

吸血鬼達もまさか、こちらの問いかけに答えてくるとは思いもしなかったようでポカンと呆気にとられる。

 

だが、そんな呆気にとられた空気を一変させたのは・・・・・

 

 

「ヤレヤレ・・・お二人とも先に急ぎすぎです」

 

またしても第三者であった。

今度の人物は夏だというのに季節外れの白いコートと白のスーツを身に纏い、白いハットを被ったアジア人であった。

 

 

「お・・・おいアレ・・・」

 

「ウソだろ・・・!」

 

そのアジア人の男の顔を見て、先程まで呆気にとられていた吸血鬼達の顔が強張っていく。

 

 

「すいませぬ。この方達が危険な目にあっていましたが故に」

 

「そうですか。ならば仕方ありませんね・・・・・おや、よく見ると自衛隊のIS部隊の肩じゃあありませんか」

 

「は、はい・・・あ、あの・・・!」

 

「何ですか?」

 

「あなたは一体・・・・・?」

 

「これは失礼―――」

 

自分の顔を覗き込んだ謎の人物に本田は問いかけると白コートの人物は丁寧にお辞儀をして自己紹介をした。

 

 

「私はキンブリー・・・・・『ゾルフ・J・キンブリー』という者です」

 

今ここに世界最強の爆弾魔が現れた瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 

←続く

 




新キャラの元ネタはわかる人にはわかります。

・・・でも知ってる人少ないかな?
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