久々の投稿。
久々の登場キャラも出します。
主人公は、移動中。
「さて、吸血鬼の皆さん・・・お久しぶりです」
自己紹介を済ませたキンブリーは、手を広げながら群れ為す吸血鬼達の方を向いた。その両掌には、月と太陽を模った刻印が入っている。
「ぐ・・・『紅蓮の錬金術師』・・・!」
「イカれた国家錬金術師が、何故ここに?!」
吸血鬼兵達は驚愕する者、青ざめる者、憎しみを浮かべる者と表情は様々であった。
突然現れた眞田兄弟にも驚いたが、この男の登場はその数段上をいく程である。
「ふむ。本隊を通した皇家の応援要請に答えて来たものの・・・これはどうして『大当たり』のようだ」
「き、気を付けてください! そのテロリスト達は、何らかの人体改造を―――ッ!?」
キンブリーの後ろで、負傷した本田がテロリストの危険性を叫ぶ。だが、それを途中でやめた。
何故、やめたのか?
「ククク・・・」
見てしまったからだ。口を三日月に歪め、玩具を見つけた子供の様にあどけなく笑うキンブリーを。
笑っているだけなのに本田は、言いようのない恐怖心を抱いた。さっきまで戦っていた吸血鬼兵にも勝る異常なオーラ。
「キンブリー殿、助太刀は?」
「構いません。貴方方は彼女達を連れて、彼らと合流してください。ここから先は、私の仕事です」
「わかりました、武運をキンブリー殿。兄上」
「ああ。では、参りましょう」
「え、ちょっと!」
キンブリーの返答を聞いて、眞田兄弟は本田達を担ぐ。そしてそのまま、後方彼方へと走って行った。
「・・・さぁ、はじめましょう。楽しい楽しいお仕事の時間です」
キンブリーは彼らが行ったことを確認すると満面の笑みを浮かべて、パンッと掌を合わせた。
―――――――
眞田兄弟は走っていた。兄の信雪は本田を抱え、弟の雪村は北条と久野井を担いで走っている。『彼等』と合流する為に。
「待ってください!!」
不意に抱えられていた本田が、待ったをかけた。「どうしました」と信雪は答えるが、その足を止めようとはしない。
「あのキンブリーというお方一人では、あのテロリスト達には対処できません。今すぐに引き返してくださいッ!」
あれよあれよという間に抱えられて、元いた場所から大分離れてしまい。本田は、あの数をキンブリー一人では対処出来ないと考えた。
ISでもピンチに追い込まれたのだ。それをISが纏えない男一人で立ち向かえば、結果は火を見るより明らかだと。
「フッ、その心配には及びません」
「え?」
そんな彼女の心配を余所に信雪はほくそ笑む。それがどうしたとばかりにほくそ笑んだ。
「貴女方、表の人間は知らないでしょうが、彼は『ゾルフ・J・キンブリー』。英国軍特殊班部隊中佐の国家錬金術師です。そして、吸血鬼退治のプロフェッショナルでもある」
「錬金術師? 吸血鬼? い、一体なにを―――」
「兄上ッ!」
何処からか、ズガガッ! と銃撃が彼らの前方を塞ぐ。銃声のした方角を見ると大よそ20もの屍喰鬼を率いた吸血鬼兵が立っていた。
「くッ! もうこんなところにまで!」
眞田兄弟は武器を構えるが、どうにも本田達を抱えている為に得物が巧く操れない。そんな状況などお構いなしに化物の群れは彼らに襲い掛かって来た。
「致し方ない!」
こんな不利な状況でも戦うしかないと覚悟を決め、刃を抜いた・・・その時である。
「吸血鬼、その首もらい受けるッ!」
「Gあぁあッ!!?」
『ッ!』
刀撃の一閃が吸血鬼兵の頭を切り裂いた。その攻撃に続けとばかりにいぶし銀の銃弾が屍喰鬼に降り注ぐ。攻撃を受けた化物の群れは見るも無残な肉塊へと変貌した。
「『藤堂』殿ッ!」
信雪が声をかけたのは先程、吸血鬼を切り裂いた黒い戦装束の男『藤堂 鏡志朗』である。彼の後ろには、部下であろう兵士達が並んでいる。
「す、すごい・・・!」
本田は、圧巻とした。自分達があれ程までに苦戦していた吸血鬼をたったの一撃で倒してしまったのだから。
「無事であったか、眞田。その人達は?」
「はい、IS部隊の方達です。ヤツらに襲われている所に我らが」
「そうか」
藤堂は、意識のしかっりしている本田の方に顔を向けると現在の状況を話し出した。
「私は、藤堂 鏡志朗。今回のテロで自衛隊と連携することになった部隊の頭だ」
「連携? という事は貴方方はPMCの者で?」
「詳しい話は後だ。大方の周辺の避難は完了した。我らは一時退却し、防御陣形を整える」
「待ってください! キンブリーという方がまだ、帰って来て―――」
ドグォオ―――――――んンッ!!!
本田が言いかける前に後方彼方から轟音が響く。真っ赤に燃える紅蓮の炎が、大きな火柱を建てていた。
「どうやら・・・あの爆弾魔を連れてきて、正解だったようだ」
「ここらが、火の海になる前にいざ!」
「わかっている。全体、退却! 『ヤツ』が来るまで持ちこたえるぞッ!!」
『『『応ッ!』』』
轟音響いた火柱を合図に藤堂隊は、戦火を逃れる様に退却していった。
―――――――
一方、その頃・・・
「ハハハハハハハハッ!!」
キンブリーは即席で作り上げた巨大な壁で吸血鬼兵の進軍をさえぎりながら、辺り一帯に爆発を巻き起こしていた。
「あAaaああッ!!」
「Wgやぁぁあ!」
吹き荒れる爆風、焼ける肉の臭い。焦げ付いた血は絶え間なく漂う。
対峙していた吸血鬼の部隊は、彼の得意とする『火薬錬成錬金術』によって薪の様に火にくべられていた。
「ああ・・・この感じ、この多幸感ッ!」
爆発の渦中にいるキンブリーは、どこか身を捩らせながら爆発に心を昂らせている。
「何よりもこの『音』・・・体の底に響く実にいい音だ。脊髄が悲しく踊り、鼓膜が歓喜に震える。そしてそれを常に死と隣り合わせのこの地で感じることができる喜び・・・・・なんと満ち足りた事かッ!!」
良い笑顔である。傍から見れば、とんだ異常者だ。
「キンブリィイイイイイイイイイイイイイっ!!」
吸血鬼兵の一人が、キンブリーに襲い掛かる。
余程の恨みがあるのだろうか、その顔は到底人間の原型を留めていないくらいに崩れていた。
キンブリーは、その攻撃を難なく受け流すと軍服に火薬錬成を施す。
「クフフ・・・」
「ッ!!?」
「さあ、貴方はどんな音を響かせてくれますかね?」
後は簡単。軍服に施した錬成陣を発火させる。
吸血鬼兵は断末魔を上げる間もなく、爆散した。果実が弾けるような音を発てて。
「ああ、この音・・・・・吸血鬼を素材にしないとこの音は出ない。人間の音も良いですが、やはり吸血鬼は別格だ。響きが違う。フフフ・・・フハハハハハ・・・フハハハハハハハハッ!!」
彼は高らかに笑う。楽しそうに、嬉しそうに。
その声を聞きつけて、屍喰鬼が、吸血鬼が集まって来る。肉を喰らおうと戦果をあげようと襲い掛かってくる。
「もっと・・・もっとです! もっと私に音を聞かせてください!!!」
キンブリーは、それさえも楽しむ様に仕事に精を出していった。
←続く
キンブリーさん・・・味方の筈なのに・・・・・ヴィランぽい。
アンチヒーローって、調べると結構多い。
引きずられている感があるぜい。