ハイスクールD×D SPIRIT OF GUN×BLADE 作:DECADE
アーシアの転生から数日経った、放課後の夜。俺はアーシアを荷台に乗せて、自転車を只管こいでいた。欲望を抱く人間の家に、召還の魔方陣が描かれたチラシを配って回っている。チラシ配りは新人に対する通過儀礼みたいなもので、本来は使い魔の仕事らしい。戻ったところ、アーシアの初契約の話が持ち上がった。
俺はオカ研に所属してこそいるが、悪魔の仕事には関わらない。こうしてアーシアの手伝いをするのが精々だ。……転移しようとしたアーシアにファイアを憑いていかせようとしたら、部長にこっぴどく怒られたけどな。
いや、俺だってその手の願いに専門職の悪魔がいるくらい、知ってますよ? だけどアーシアほどの美少女を前にしたら、劣情が湧く男が……なんていってたら小猫ちゃんから「……それは先輩自身がスケベだからでしょう」とキツい一言をいただいた。エロくてすみません。まあ何事もなく終わって幸いだったけどな。
サーゼクスに仕事の報告ついでに入部の件を伝えたら、電話越しにわかるほど驚喜してやがった。なにがようやく俺に友達ができただ。そのくらい前からいるわ。
ちなみにアーシアと二人で家に帰ると、遅くまで出かけていたことには両親に何も突っ込まれない。グレモリー先輩――部長が魔力で二人を説得したからだけど、最初それを行おうとしたとき、二人に仕掛けておいた防護用の巫術が作動しそうになって、危うく部長を殺しかけたんだよな。あれは大変だった。
で、翌日。アーシアと一緒に学校へ向かうと、途端に凄まじい敵意が向けられてくる。まあ、俺の学校での評判とアーシアの人気を考えれば、それも当然だよな。更にオカ研に入部した件は学校中に知られていて、俺は全校生徒の憎悪の的と化している。
だが悪くない。ただの変態として敬遠される数倍は心地がいい。はははは、もっと嫉妬しろ。そんな感情じゃ俺は殺せねえよ! ただし腐女子、手前らは駄目だ。俺を木場と絡ませるな。
「アーシアちゃん、おっはよー!」
「おはよう、アーシアさん。今日もブロンドが綺麗だね」
「おはようございます、松田さん、元浜さん」
教室に入るなり俺たちを出迎えるのは、俺とあわせて変態三人組を結成する松田、元浜の二人。だが、俺を視界にもいれないとはいい度胸してるじゃねえか。
「俺には挨拶もなしか?」
「黙れ! いつの間にか金髪美少女とお近づきになってやがるやつなんかにかける声はねえやい!!」
「それだけに飽き足らず、学園二大お姉さまや塔城小猫ちゃんのいるオカ研入部の事といい、何故キサマばかり!!」
ふふふ、学校中でも飛びぬけて強いその嫉妬は実に見物だな。
「まあ、これが男としての格の違いってやつだな」
「ぬぐあああ! 憎い、憎たらしいぞこの野郎!!」
「ああ、天よ! どうかこの裏切り者に罰を与えたまえ!!」
血を吐く勢いで叫ぶアホ二人。けど、なんだかんだ言いながらも、心のどこかで喜んでくれているお前らが好きだよ、俺は。
『じゃあそのレイナーレが、異界の悪魔として復活していたと』
放課後、俺はアザゼルに先日の件を報告していた。連中に関する情報は、できる限り三大勢力で共有させる契約になっている。冥界には昨日サーゼクスに知らせたし、天界にもメールで送ってある。
「今更驚く程のことでもないさ。前々から天使、悪魔、人間と何でもありだったんだ。堕天使で同じことができても不思議はない」
『それはそうだけどな。しかし、結果的にとはいえ
「悪魔同士が手を組んで、か? もしそうなら、俺はとっくに冥界を滅ぼしてる」
そんな単純な話なら、俺も苦労はしてない。だが、アザゼルは声に不安を混ぜて言う。
『おいおい、頼むから滅多な真似はよしてくれよ? もしそうなったら今度こそ三勢力は仲良く共倒れして、結果触発された各神話も争い始めて気がつきゃ世界滅亡だ。バランサーのお前が滅びの引き金なんて笑えない事態は勘弁だぜ』
「そんな気のきく職業になった覚えはなけりゃ、馬鹿をする気もねえよ。俺の復讐は俺の問題だ。可能な限り誰かを巻き込むような真似はしない」
そう、犠牲は最小限でいい。
存在、痕跡、記憶。一切合切総じて認めない。過ちは正し、そして全てを終わらせる。
『……なあイッセー。お前の決意が固いことも、復讐を諦める気が微塵もないのも知ってる。だけどな、それで全部終わりにするんじゃねえぞ? お前は強いが、まだ若い。二十も生きてねえ若造が、復讐が終わったら燃え尽きるなんて洒落にもなんねえ。いますぐにとは言わないが、他の目標も見つけとけ。これはお前の友人からの願いで、年寄りからの忠告だ』
出会ったときから繰り返し聞かされてきた話をまた繰り返しつつ、アザゼルはお決まりの台詞で締めくくる。同じ話を飽きもせずに繰り返すあたりが年寄り臭いが、ありがたい言葉でもある。
「胸に留めておくよ。だが結局、なるようにしかならないのさ」
『気楽なんだが悲観的なんだか。じゃあな』
電話が切れ、無機質なツーツー音を耳から遠ざけ、俺は部室へ向かう。
「ちわーす」
「あらあら。こんばんわ、イッセーくん。紅茶とコーヒーはどちらになさいますか?」
「こんばんわ、朱乃さん。コーヒーを、エスプレッソのブラックで」
ソファーに座って朱乃さんから出されたコーヒーに舌鼓を打っていると、アーシアが寄ってきた。
ああ、今日はそんなことがあったんだなという風に今日一日の動向を理解しつつ、アーシアの頭をなでる。俺が心を読めることを知ったアーシアは、俺にわかりやすいように自分の気持ちを文章として纏める練習をしていて、今では自分の中で一日の出来事をダイジェスト風にまとめられるくらい器用になっている。それはともかく、毎日が楽しいようで何よりだよ。
「心を読めるというのも便利でいいわね。伝えたいことを一々口に出す必要もなくて」
俺とアーシアの様子を見ながら、デスクに座った部長が言った。だけど会話も必要、か。それは確かにな。
「ただ、相手が喋る心構えになってないと、文章としてはとりとめがなくなるんです。それももう慣れましたけど」
「……そうやって、人の心にも慣れていくんですか?」
俺の向かいに座ってお菓子を摘む小猫ちゃんが呟く。子供の頃に周りに責め立てられた彼女からすれば、世間の大半は悪意の塊に思えるんだろう。それもあまり間違っちゃいないがな。
「所詮悪意は人の一部だよ。善意だけの心がない様に、悪意だけの心もありえない。仮にあるとすれば、それはもうただの精神エネルギーの塊だ。心と呼べる代物じゃない」
「悟ってるね」
「そうでもねえよ、イケメン」
ただ単に、一つの方向性しかもたない存在がいかに不安定で危険かを知ってるだけだ。聖剣への復讐心に滾っているお前みたいにな。俺の知っているエクスカリバーの所有者? ああ、想像通り金さえ払えば教えてやるよ。
なんだかんだで俺も部に馴染みつつあるな。しかもこいつら、個人差はあるが心を読まれるのに慣れてきてる。波乱万丈な生き方してるとはいえ、大した胆力だ。
「それじゃあ、今日の部活動を始めましょうか」
部長の一言で、寛いでいた全員が身を引き締める。俺も部員だけど、眷属じゃないから悪魔の仕事には関わらない。昨日でアーシアのチラシ配りも終わったし、ノンビリとソファーに座りコーヒーを啜りつつ部活が終わるのを待つ。部長がしょうがないと嘆息するが、気に留めず携帯ゲーム機を取り出す。
小猫ちゃんが微妙に眉をピクッと動かそうが、木場がやれやれと肩をすくめようが、朱乃さんがうふふと笑おうが知ったことじゃない。俺の約束は部に入ることであって、悪魔の活動を支援することじゃない。指図されりゃ動きもするが、そうでなきゃ俺はあくまでおまけだ。理由もなしに積極的に動くべきじゃないだろう。
「イッセー。今日は貴方から、シャーマンに関して教えてもらえないかしら」
こんな風に頼まれなければな。
「シャーマンは精神エネルギーである巫力を持って霊を扱う。その術を総じて巫術と呼ぶ。代表的なのは自分に霊を憑依させて人間霊の生前の力を発揮する憑依合体と、その応用で霊を現世の物質、媒介に憑依させて溢れ出た霊を巫力で具現化させる
シャーマンにとっては極めて基本的な説明だが、オカ研メンバーは興味深そうに聞いている。シャーマンは魔法使いの一種と混同されることが多いが、実際はまるで別物で、知られていない部分が多いからな。
「それで、イッセーが得意なのはどっちなの?」
中でも部長の熱心さには目を見張るものがある。メガネまでかけて、ノートを持ち出してるくらいだ。
「O・S……っていうか、憑依合体は何故かできない」
「……何故か?」
小猫ちゃんが不思議そうに小首をかしげる。そりゃそうだよな。O・Sは憑依合体の応用だと説明してるのに、基本ができず応用しかできないなんてのは完全に矛盾してる。でも、実際そうなんだよ。
「どういうわけだか、霊を憑依させても弾かれるんだ。記憶の共有とかはO・Sの要領でこなせるんだけど、完全に霊を憑依させるのは、どれだけ深いトランス状態になっても無理なんだ」
神さんは訳知り顔で頷いて、他にもシャーマンは何人か理解できたようなんだけど、それは自分で気づかないと意味がないって、みんな口を揃えて言うんだよな。なんなんだか。
「まあ、とにかく。この憑依合体はシャーマンの基本で入門。これを応用して、物質に霊を憑依させるO・Sこそがシャーマンの本領といっても過言じゃない。そして、媒介は霊のイメージに合うものや、神秘性を持ったものが望ましい」
「先日のあの巨人も、O・Sなのですね。でも、媒介というほどのものは見当たりませんでしたけど……」
朱乃さんの疑問に、俺は位牌をとりだして答える。
「基本的にシャーマンは、パートナーとなる霊、持霊を最低一人一体は連れていると考えていい。そして俺の持霊はこいつら」
位牌から出てきた五つの光が、ヒトダマのような形態となる。
「自然を構成する五つの元素、火、水、地、風、雷を司る五大精霊。火の
ヒトダマモードで俺の周囲を漂うこいつらを見て、みんな口を開けたまま恐れおののいている。五大精霊の力が感じられる辺り、シャーマンとしての素質はありそうだな。羨ましいこった。
「こいつらは具現化された自然の力そのもの。だから、その媒介はより原始的なもののほうがいい。火なら酸素、水なら水分、地なら重力、風なら空気、雷なら俺の体内電流ってかんじにな。要するに、俺に特別な媒介は必要ないのさ」
最悪、幾らでも代用は効くしな。大事なのはイメージだ。極端に言えば、騙されて買った壺でも思い込み次第で十分媒介になる。
そこまで説明したところで、部長が、ん? と指に顎を当てて上を見た。可愛い。
「その割には、イッセーは銃とか刀を使っているのね?」
「いや、こいつらデカいでしょ。縮めることもできるけど、俺が戦ったほうが手っ取り早い場合はそっちにO・Sさせるんですよ」
とはいえ、本当は理由らしい理由なんてない。たまたま他のシャーマンが手持ちの武器で戦っているのをみて、俺もそうしようと思っただけだ。
「刀は
オリハルコンと聞いてみんな僅かにだが反応した。内心で結構驚いてるが、当然か。
説明するにも阿保らしいほど最強の材質として有名な金属だけど、同時に加工も精製も凄まじく難しいらしいしな。神さん曰く、弟子の錬金術師が作ったとかなんとか言ってたけど、オリハルコンそのものも作り出したんなら、一生豪遊できるくらいの金は余裕で手に入る。
だけどその錬金術師は商売っ気がないらしくて、この武器も依頼して作ってもらったらしい。
もったいない。俺ならバッチリと根回ししてガッツリと利益を上げるというのに。
「それで、イッセー。私達も、その巫術を扱える?」
「まあ、できないことはないですよ。言っちまえば、シャーマンってのは気の持ちようで誰でもなれますから」
むしろ悪魔全般が異能への基本を作りやすいことを考えれば、普通の人間よりも習得は早いかもしれないな。
「基本的なO・Sさえ作れるようになったら、事前に俺が巫力を注いで、五大精霊を貸してあげますよ? こいつらなら、そんじょそこらの神よりもよっぽど強いですからね。フェニックス如き、それも苦労なしのお坊ちゃまを消し飛ばす程度、造作もないですよ」
……フェニックス? そういえば、どこかであったような気がしないでも……どうでもいいか。それはともかく、部長も真面目だな。そんなに自分たちの力で勝ちたいのか。
「気持ちはわかりますけど、それが一番手っ取り早いと思いますよ? 再生能力が高いやつは格上には弱い反面、格下か同格との戦闘ではほぼ無敵に近いですから。能力が近ければ、後は耐久戦になりやすい。加えて向こうの面子はこっちの三倍近くでしょ? 卑怯でもなんでもない、立派な対抗策じゃないですか」
「……そうね。けれど、これは私の生き方を決めるための戦いなの。だからこそ、私と私の眷属の力で勝ちとりたい」
本当に、悪魔らしくないくらいまっすぐな人だ。だから眷属になれと、臆することなく正面から思い切っている。だけど、それは無理ですよ。
「部長に欲しがられるのはいい気分ですけど、俺にも俺の都合がありますからね。いいじゃないですか。強い協力者を得られる人徳も、立派に実力の内でしょう。いや、この場合悪徳かな?」
おどけて言ってみせるが、部長は一心不乱に思い続ける。普通の奴なら根負けしそうなくらいだけど、生憎十年以上もこの力と付き合ってきた俺には及ばない。
その後、講義を続ける最中も、部長はひたすら俺を眷属にしたい意思を抱き続けていた。
……大した意地の強さだな。
アーシアを連れて家に帰って、部屋に入ってからケータイの電源を切っていたことを思い出す。
別に言われたわけじゃないけど、部活前に朱乃さんがやってたのに倣って俺も切ったんだっけ。
電源を入れてみると、着信とメールが二件ずつ届いていた。電話が繋がらないからメールで用件伝えたのか。とりあえずメールを確認してみると、ミカエル、そしてアザゼルからだ。
『イッセーへ。先日、教会が有するエクスカリバーの内三本が『
……エクスカリバーねえ。思い起こされるのは、聖剣に対する木場のドス黒い思念。あいつが知ったら間違いなく暴走するな。
アザゼルのメールも確認する。
『イッセーへ。コカビエルが暴走を起こした。何人かの配下を連れて、数本のエクスカリバーを強奪してそっちにいきやがった。既に教会からお前へ依頼がいっていると思うが、そっちと並行で構わないからこっちの依頼も受けて欲しい。内容はコカビエルの捕縛、抵抗が激しければ始末してもいい。報酬は五百億。受諾するならすぐに電話を頼む。詳細はそのときに話す』
こっちのほうが報酬が二倍以上、か。なんだかんだ言っても、コカビエルはアザゼルにとって古い付き合いの戦友だからな。メール通りに双方へ連絡をいれ、詳しい状況を聞きながら報酬などの条件をつめていく。
コカビエルの配下は二人。元ヴァチカン法王庁直属の天才エクソシスト、フリード・セルゼンに、元カトリック教会の聖剣計画責任者、『皆殺しの大司教』バルパー・ガリレイ。どちらも殺戮の果てに異端の烙印を押された奴らだ。
その際、ミカエルに金額の件をチラつかせ、なんと双方合わせて一千億の収入を約束させられた。意外と負けず嫌いだからな、ミカエルの奴は。それに、言質もとれた。後は引き合わせるタイミングだが……まあ、何とでもなるか。木場が暴走しそうになったら、力づくで止めれば良い。
「えー、迷える子羊にお恵みを~」
「どうか、天の父に代わって、哀れな私達にお慈悲をぉぉぉぉ!」
「…………」
翌日、学校をサボッた俺は、この町に来ているという二人の聖剣使いを探そうと町に繰り出した途端、白いローブの二人組みの女が路頭で祈りを捧げているのを目の当たりにする。なんだ、あれ。幾らなんでも現金くらい支給されてる筈だろ?
「なんてことだ。これが超先進国であり経済大国日本の現実か。これだから信仰の匂いもしない国は嫌なんだ」
凄い勝手なことをいいながら、神社や寺を襲うことを考えている青い髪の女、ゼノヴィア。
「毒づかないでゼノヴィア。路銀の尽きた私達はこうやって、異教徒共の慈悲なしでは食事もとれないのよ? ああ、パン一つさえ買えない私達!」
偉そうな事を言いながら、路銀が尽きた元凶のイカサマ染みた絵を抱えるツインテールの女、紫藤イリナ。……俺の幼馴染? あ~、そういえばあんな奴いたっけ。小さい頃だったし、あの頃は男みたいな格好ばかりしてたから全然覚えてねえや。
その絵を巡って、とうとう喧嘩まで始めたが、すぐさま空腹で元気を失くす馬鹿二匹。ヤバイ、関わりたくないのに関わらなきゃならないのが物凄くヤバイ。
ていうか、そこそこの金額をもらったのにこんな事になってるって、あいつら根本的に馬鹿だ。生活力どうこうどころか、信仰心と戦闘以外の取り得がないに等しい。これに協力? ひどく不安になる。まあ、考えてばかりじゃ話が始まらないか。とりあえず、ファミレスにでも連れて行って黙らせよう。
はっきりと自分たちを見据えているのが分かったのか、こっちを振り向く二人。ツカツカと歩いていくと、目を輝かせて見上げてきた。本当に精鋭か怪しくなるが、その意を飲み込んで、一言。
「ちっちぇえな」
「意味不明だったがとりあえず愕然としたぞ」
ファミレスに着くなり、ひたすら持ってこられる料理にガッツいていた馬鹿どもだったが、満腹になった途端ゼノヴィアがそんなことを言ってきた。
「悪かったな、口癖だよ」
「なんにせよ助かった。ついでにあの腹の立つ絵を燃やしてもらって感謝する」
「ひどいよイッセー君! 久しぶりにあった幼馴染にあんな仕打ち……」
百パーインチキ商売の落書きを後生大事に抱える趣味は俺にはない。
お、戻ってきたかファイア。で? こいつにインチキ仕掛けた小悪党は? ……外に放り出して、店は燃やしたか、よくやった。覚えてなかったとはいえ、俺の幼馴染を引っ掛けたのが運のつきだったな。
「俺はお前たちへの協力をミカエルから依頼されたんだが……同時に指揮権も委ねられている。それは分かっているな?」
「ああ、主の命、延いては熾天使ミカエル様の命は絶対だ。ゆえに私達は君に従う。それだけだ」
「凄い精霊を五つも抱えるシャーマンに手助けしてもらえるだなんて、これも主のお導きね」
見てきた限りじゃふざけた態度と行動だが、こいつらの信仰心は紛れもない本物だ。強固に凝り固まった信仰の芯に、刃のように形作られた戦意。死んでも任務を果たす。それが最優先だと信じて疑わない。俺が参入したことで、生存率が上がったことより成功率が上がったことを喜んでいる。
その狂信。実にそそられる。あったばかりのアイツのようだ。そういえばアイツは正教会だったから、プロテスタントとカトリックのこいつらとは接点がなかったのか。噂くらいは聞いてるかもしれないが、それは今は関係ないだろう。
「さてと、それじゃあ行くぞ。連絡は事前に済ませてある」
「いきなりだな。どこへ行くんだ?」
「まさか、もうコカビエルの本拠地が判明したの?」
席を立った俺に詰問してくる二人に、俺はきっぱりと告げる。
「この辺りの元締めの悪魔、リアス・グレモリーのところだ」
木場、エクスカリバー破壊の機は高いぜ?