意識高い系になった比企谷八幡   作:夏ノ雪

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誰かがやっているかと思いきや、なかったので。


1 意識高い

クリスマスイベントの企画。

一色に頼まれて助っ人して参加した会議。

そこで俺は、運命の邂逅を果たした。

 

玉縄。

海浜総合高校の生徒会長。

彼はあらゆる意味で、プロフィシェンシーなアッパーヒューマンだった。

 

俺は彼と話している内に、これまでの自分を恥じた。

なぜ、だらだらと怠惰な日々を過ごしてしまったのか。

無駄でアブフォールなデイズ。

後悔のマインドが湧き上がった。

 

だが、彼と話している内に俺の意識もチェンジした。

ついつい気が合い、ファミレスで朝まで話し合ってしまった。

話は学校生活から始まり、受験、将来、果ては世界平和、人類の進化まで。

 

俺の心は変わった。

新たな夜明け。

それのはじまりだった。

 

俺たちは2日続けてファミレスに居座った。

話し始めたのが金曜日で幸いだった。

 

いや、これからは俺ではなく、僕だ。

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

学校。

 

教室の入り口で話している戸部君と由比ヶ浜さん。

彼は知り合いが通りかかったのか、「うぇ~い」と奇声をあげる。

僕は戸部君の正面に立つ。

 

「戸部君、挨拶はちゃんとしようよ」

「うぇ?」

 

驚いた表情で僕を見る戸部君。

 

「おはよう」

「うぇ・・・・・・・」

「おはよう」

「うぇ・・・・・・お、おはよう」

 

口を開けたまま呆然としている戸部君。

横の由比ヶ浜さんも目を大きく見開いている。

 

「由比ヶ浜さん。君もだ」

「え、私?」

 

自分の指で顔をさし、ガクっ震える。

不意をついてしまったのかもしれない。

 

「髪は黒く染めた方がいいと思うよ。高校生のなのだから。その方が君に似合うよ。ピンク色の髪はアニメや漫画の世界だけだよ」

「え・・・」

「それと、服装もキチンとした方がいい。シャツの胸元が開いているよ。全国標準より大きい胸部をアピールする狙いがあるのかもしれないが、それはクリアなメソッドじゃないよ。よく検討した方がいいと思う」

「・・・・うん」

 

口を開けたまま、ただうなずく由比ヶ浜さん。

 

僕は彼らの間を抜け、チェアに座る。

そんな八幡を見る二人。

 

「ど、どしたの比企谷くん?」

「わ、私に聞かないでよ・・・・」

 

今のやりとりを見ていたのか、教室内の生徒全員が八幡を見つめる。

僕は何事も無いようにスマホを取り出し、朝のニュースをチェックする。

国内、海外、厳選したニュースサイトを巡る。

そして、twitterにニュースに対しての自分の考えを投稿する。

実に忙しい。

 

 

◆◇◆◇

 

 

一限目。

 

僕はノートPCを鞄から取り出す。

机の上にのせ、パソコンを起動させる。

 

眼鏡をかけた先生が僕を見つめる。

同じように、学友が驚愕の表情で僕を見る。

 

「き、君・・・・・何をやっているのかね?」

「ノートと鉛筆のスタイルは非効率です。時代は進化していいます。ですので、時代にアダプテーションした勉強スタイルで、授業効率を上げたいと思っています」

「ほ、ほう・・・」

 

僕はWEBカメラで授業を録画し、ノートは全て電子情報として記録した。

 

 

◆◇◆◇

 

 

休み時間。

 

僕はノートパソコンを起動したまま、昨日開設したブログの原稿を書いている。

テーマは、「国政選挙における、若者の投票率」。

実に悩ましい問題だ。

何かクリティカルなメソッドを提供できないだろうか。

っと、由比ヶ浜が僕の席に近寄る。

 

「ヒッキー、ねぇ、どうしたの?」

「何がだい。それに主語が抜けているよ。由比ヶ浜さんは会話に置いて、高確率で主語、又は目的語が抜けている場合がある。そこは今後の改善ポイントだと思う。君のかわいさが効果をエフェクティブに発揮するのは、そう何年もないよ」

「そ、そうかな・・・・・ねぇ、ヒッキー」

「なんだい?」

「なんでいつも手を動かしてるの?ろくろを回すみたいに」

「それは脳を活性化させるためだよ。こうすることによって、脳の活動が3%上がると海外の実験で立証されているんだ」

 

戸塚が僕の席に近づく。

 

「ひ、ヒッキー、どうしたの?」

「戸塚君か。君にも助言しておきたいことがある。君は頭髪を直した方がいい。いくら校則が緩いからと言って、銀髪は少々やりすぎだよ。テニス部の部長なのだろう。なら、もうちょっと部員の手本になる事を考えたらどうだい。もし、テニス部の部員がとあるテニス漫画のように、ビジュアル系バンドのような見た目になったら君も困るだろ」

「うん・・・・考えてみるよ」

 

 

◆◇◆◇

 

 

3時間目の放課後。

 

「やばいって、葉山君。今のひき・・・比企谷君まじやばいって」

「大丈夫」

「ちょ、隼人」

 

そんな声がする方向から、葉山君が僕に近づく。

 

「比企谷君、ちょっといいかい」

「葉山君か。僕も君に言いたいことがあったんだ」

「そうかい。それならちょっと席をはずそうか」

「了解だ」

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

人気がない廊下。

 

「一体、どうしたんだい?」

「気づいたんだ。僕は時間を無駄にしていると。これまで怠惰に過ごしていたことを後悔している。葉山君。誰でもない君なら分かるはずだ」

 

葉山君は僕を見る。

 

「そうか・・・・それは良かったというべきかな。その・・・念のため聞くけど、へんな薬はやっていないよね?」

「Really? 当たり前だろ」

「そうか」

 

僕を不思議な目で見つめ、去って行く葉山君。

僕はそんな彼に声をかける。

 

「葉山君。髪、黒くした方がいいよ。君は生徒に人気があるんだ。人望も能力もある。わざわざ金髪にして自己主張しなくとも、君の魅力は落ちないよ」

「・・・・・・助言ありがとう」

「是非、検討してみてくれ」

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

放課後。

 

 

よし、部活にジョインするか!

 

 




って、ただの嫌な奴になっとる・・・・
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