遊戯王 反逆のルルーシュ R   作:朧月琥珀

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今話は引用部が多かったため一部を削除・変更しました。


KC突入
TURN 8 奪われた仲間


いくつものモニターが暗い部屋を白く照らし出す。

 

『行くぜ! ブラック・バーニング・マジック!』

 

 その正面のモニターに映し出されているのはブラックマジシャンとB・M・G(ブラック・マジシャン・ガール)

 黒魔術師師弟の連携攻撃によって消え去る太陽神《ラー》の姿。

 

「主君《マイマスター》よ。いよいよ始まります…」

 

 黙ってそれを見ていた男がその手にあるカードを見ながらそう呟いた。

 カードに描かれているのはI2(インダストリアル・イリュージョン)社の創設者…ペガサス・J・クロフォード。

 

「私から全てを奪った遊戯…代償は高くつくぞ…」

 

††††

 

~海馬コーポレーション本社ビル~

 

「現在何者かがわが社にハッキングをかけています!」

 

 デュエル・リング・サーバーが安置される中央演算室に引き攣った様な声が響く。

 

「第十三障壁突破されました! なおも進行中!」

 

 幾重にも張られた防壁を突破し、何者かはデュエル・リング・サーバーを乗っ取ろうと迫る。

 

「アメリカにいる瀬人様に連絡を!!」

 

 責任者の黒服からの指示で総帥の海馬瀬人へと連絡を取ろうとしても、それは既に読まれていたらしく回線へ接続すらできない。

 

「最終ステルス障壁のパスワード捜査中! 1024桁中60%解析!」

 

 焦る技術者達を尻目に敵は最終防壁へとその魔手を伸ばした。

 

「65%…70%…ま、まもなくメインコンピュータ占拠されます!」

 

「いかん! システムの電源をカットだ!!」

 

 黒服は焦って指示を飛ばす。

 

「しかしシステム全てをシャットダウンすると世界中のデュエルディスクが機能しなくなります!」

 

「乗っ取られるよりはマシだ! 急げ!」

 

「はっ!」

 

 保護カバーを跳ね上げ、強制終了レバーを引く。

 一瞬の沈黙が中央演算室を支配した。

 

「き…切れません!」

 

「なんだと!!」

 

『少し遅かったようですね』

 

「っ!?」

 

 中央演算室を今度はどよめきが支配した。

 宙に浮かんでいるのは緑白色の髪を持つ青年。その後ろにも幾多の影が控えている。

 

『只今より海馬コーポレーションは|I2<インダストリアル・イリュージョン>社アジア総局が接収する』

 

 その青年の威圧感に海馬コーポレーションの社員達は青ざめた顔に脂汗を浮かべる。

 

『これが海馬コーポレーションの中枢であり、技術の粋…そしてソリッドビジョンシステムの基幹』

 

 青年はふわりと上昇して、デュエル・リング・サーバーの中腹辺りで静止した。

 

††††

 

「遊戯よ、上って来たまえ。敗北への階段をゆっくりとな…」

 

 遊戯達への宣戦布告を終えた夜行はソリッドビジョンとのリンクを解除し、ゆっくりと立ち上がった。

 

「天馬様…」

 

「ん? どうした」

 

 夜行が出るのを待っていたかのように技術者の一人が声をかけてくる。

 

「先程からヘテロジニアス(異種混合)データの解析を行っているのですが…どうにも解析できないデータ群がございまして…」

 

 そう言うとモニターに模式化データが表示される。その一部はUnkwonで埋め尽くされていた。

 全カードデータが収められているはずのデュエル・リング・サーバー…その中にアクセスブロックがかけられている一連のデータが存在しているのだ。

『Series Code “GEASS”』と名付けられた一連のカード群が。

 

††††

 

-亀のゲーム屋-

 

「ルルーシュ、そろそろ閉める準備をするぞい。掃除を始めてくれんか」

 

 じーちゃんが住居スペースから出てきてそう言った。

 

「わかりました」

 

 俺は帳簿を閉じて、隅に置いてある掃除棚へと立ち上がる。

 

「すみません」

 

 いきなり声が聞こえ、振り返ってみるとそこには緑白色の髪の同じ年くらいの男が立っていた。

 

「はい。どうされ…ました?(おかしい…先程まで誰もいなかったはず…)」

 

 入って来たのなら確実に入口のベルが鳴るはずだ。

 

「こちらに機械騎士のデッキを使う決闘者の方が見えられるはずですが…それがどなたかご存知ですか?」

 

「それは…おそらく私のことではないかと思いますが…?」

 

 機械騎士…俺のKMFデッキについた通り名だ。

 もっとも公にデュエルを行ったのは百野とかいうストア・ブレイカーとの戦いぐらいだからさほど有名というわけでもない。

 

「あなたが?」

 

「ええ…」

 

 それを聞いてその客は軽く目を細めた。

 

「では決闘王の武藤遊戯とは御友人ですか?」

 

「ええ、遊戯とはここでお世話になってますから…ルームメイトみたいなものですが…」

 

「なるほど…」

 

 そう呟いてその客は何かを考えるように顔を伏せた…

 

「それではお伝えしておきましょう。御友人の一人…真崎杏子は私たちのところでお預かりしております」

 

「なに?」

 

 再び顔をあげた客の瞳は狂気に彩られていた。

 

(こいつは…本気だ…)

 

 かつて見たことがある…目的のためには手段を選ばない…それほどの狂気を持った瞳。

 俺の共犯者を奪いに来たマオとよく似た目をしている。

 

「いったい何を…「彼女はR・A計画のサクリファイス・コストとなってもらいます。決闘王の武藤遊戯と他御友人二名が既にこちらに、海馬コーポレーション本社にむかっているころでしょう」…何が目的だキサマ…?」

 

 狙いは俺ではない。遊戯のようだ…だが何故?

 

「決闘王…武藤遊戯に対する復讐…あなたも止めたいと思うならご招待しよう…」

 

「あっ! オイ!!」

 

 先程までそこにいたはずの青年の姿が掻き消えた。

 

「ルルーシュ! 一体今のはなんじゃったんじゃ!?」

 

 後ろで茫然としていたじーちゃんが声をかけてくる。

 

「わかりません…ですが…」

 

 そう言って俺は店の奥に設置してあるデュエルテーブルの方へと向かった。

 

「やっぱり…」

 

 普段は電源が切られているはずなのに、何故か起動している。

 調べてみれば、海馬コーポレーションから逆接続された形跡があった。

 

「さっきのあいつはソリッドビジョンによって投影された幻影です」

 

 俺はデュエルテーブルの電源を落としながらじーちゃんに向き直る。

 

「じーちゃん。店仕舞いはまかせてもいいですか?」

 

「行くのかルルーシュ」

 

「ええ…」

 

 デュエルテーブルへの逆接続。明らかに海馬コーポレーションを掌握していなければ出来ない芸当だ。

 それだけでもあいつの言葉は真実味を持つ。それに…

 

(杏子…キミは遊戯にとって…かけがえのないヒトのはず…)

 

 俺をルルと呼んでくれた少女。シャーリー…

 その面差しが脳裏に甦る。

 

「これ以上奪われてたまるか…」

 

 自分は奪われた…だからといって…他人が奪われるのを黙って見ていることなどできるものではない。

 俺はデッキとデュエルディスク、ラップトップを収めたアタッシュケースを掴むと、日の暮れかけた道を一際目立つ海馬コーポレーション本社ビルへと向かった。

 

††††

 

「ここか…」

 

 俺たちはKC(海馬コーポレーション)本社ビルの前にいた。

 

「行こう。城之内くん、本田くん、ルルーシュ」

 

「ああ」

 

「おうよ!」

 

 階段に足をかけた途端、漆黒の影が頂上に現れた。

 

「闘争の階段へようこそ」

 

 現れたのは黒の長髪に顎鬚を生やした男。腕にはデュエルディスクが装着されている。

 

「出やがったな! キサマもI2社の人間か!?」

 

「いや違うね。オレはI2社に雇われた者…つまりは傭兵さ。カードプロフェッサーのデシューツ・ルーだ」

 

「カードプロフェッサーだと?」

 

 確か米国などで行われる巨額の賞金マッチなどで、主催者が裏から大会を操るために雇う、凄腕の決闘者…

 

「このビルの中にいる雇われたカードプロフェッサーは十七人。それぞれが各ブロックであんた達が来るのを待ってるって寸法だ」

 

「つまり…このビルに入るにはお前を倒せばいいというわけか」

 

 そう言って遊戯はデュエルディスクを構える。

 

「そう言うことだが…まずはお前が相手してもらうぜ?」

 

「…俺が…?」

 

 いきなり名指しされ一瞬戸惑う。ここで俺を指名する意味はなんだ?

 

「雇い主の意向でな。貴様のそのデッキ…そいつを使ってもらうぜ? あんたが勝てば、このビルに入館するためのカードキーと…こいつが手に入る」

 

「!っ…キサマ…」

 

 デシューツが見せたカードに遊戯達が顔を怒りに歪ませた。

 デシューツの手にあるカード。それはかつてペガサスが海馬兄弟を封印した『魂の牢獄』。

 そして今そのカードには杏子が囚われていた。

 

「いいだろう…。先攻はキサマが取れ…」

 

 遊戯達の怒りを抑えるために俺は即座にデュエルディスクを起動させた。

 

「珍しいな…進んで後攻をとるとは…行くぞ!」

 

「「決闘!」」

 

デシューツ LP 4000 / ルルーシュ LP 4000

 

「先攻ドロー。機動砦のギアゴーレムを守備表示で召喚!」

 

機動砦のギアゴーレム DEF 2200

 

「ギアゴーレムか…」

 

デメリットを持たないモンスター中で最高レベルの守備力を持つ壁モンスターだ。

 

「なんだそりゃ! 大口叩くわりに守備固めかよ!」

 

城之内が吠える。たしかに守備固めだが…次のターンの上級モンスター召喚への布石だろう。

 

「伏せカードを二枚出してターン終了だ」

 

「俺のターン、ドロー」

 

相手の場には伏せカードが二枚。しかも守備力2200のモンスターか…

 

「俺は『第五世代 サザーランド』を守備表示で召喚」

 

サザーランド ATK 1900 DEF 1800

 

ギアゴーレムは機械族。種族統一デッキならば上級モンスターも機械族の可能性がある…

 機械族に対して破壊耐性を持つサザーランドなら次のターンも持ちこたえられるだろう。

 

「こらー! ルルーシュお前もか!?」

 

 こちらも守備固めの策をとったのを見て城之内が再び吠えた。

 

「うるさい。黙って見てろ。俺も伏せカードを二枚出し、ターン終了だ」

 

 伏せたのは攻撃無効化カードとカウンタートラップ。

 次のターンの攻撃を無効化し、こちらも上級モンスターを呼ぶ。

 

「ドロー! ふん。お仲間と違って随分慎重だな…ならこちらから行くぜ!」

 

 デシューツはドローしたカードを見てニヤリと口の端を歪めた。

 

「ギアゴーレムを生け贄に捧げ『キャッスルゲート』召喚!」

 

キャスルゲート レベル6 ATK 0 DEF 2400)

 

城の城門に手足をつけたようなモンスターがそびえたつ。

 

「キャッスルゲートは通常攻撃を通さない鉄壁の門!」

 

「なっ!?」

 

「まずい…」

 

 城之内と遊戯が呻く。俺のデッキで魔法攻撃と呼べる攻撃法を持つモンスターが少ないのを知っているからだ。

 

「大丈夫だ…攻略の手はある。効果も他のモンスターがいなければ意味がない」

 

 俺はそう言って手札のモンスターを見る。

 それに守備力は2400。効果は厄介だが他にモンスターがいなければ問題は無い。

 

「効果を知っているようだな…だが安心するのはまだ早いぜ? 魔法カード『洗脳~ブレイン・コントロール~』!」

 

「なっ!(マズイ!)」

 

 これによりこちらのフィールドはガラ空き。しかもキャッスルゲートの効果が…

 

「サザーランドはいただくぜ!」

 

 サザーランドは操縦者が洗脳されたのかランドスピナーを軋ませ、相手のフィールドへ移った。

 

「バトルフェイズに入る! サザーランドでプレイヤーにダイレクトアタック!」

 

サザーランドが持つアサルトライフルの銃口がこちらを向いた。

 

「伏せカード発動! 永続罠『ゲフィオンディスターバー』!」

 

 相手フィールド上に磁場発生装置が現れ、モンスターを取り囲む。

 発動と同時に力場が発生し、サザーランドは動きを止めた。

 

「なんだ?」

 

「『ゲフィオンディスターバー』は相手の攻撃宣言時に発動できる。発動以降相手のモンスターは攻撃できない!」

 

 力場に囚われたサザーランドは動力系統を封じられ、動くことができないでいる。

 

「もっとも、お前が新たにモンスターを召喚すれば破壊されるがな…」

 

「よっしゃあ! さすがルルーシュ!」

 

 本田が喜んでいるがそうはうまくいかない…

 

「フン…だが効果はどうかな? キャッスルゲートの効果発動! 開門!」

 

 ギギギっと嫌な音を立てながらキャッスルゲートの門が開く。

 そこから現れたのは馬鹿でかい大砲。

 

「人間大砲《モンスターカノン》!」

 

 硬直していたサザーランドが砲弾として大砲に取り込まれる。

 

「発射!!」

 

「ぐぁっ…」

 

 砲弾と化したサザーランドが俺の腹部に打ち込まれる。

 

ルルーシュ LP 2100

 

「キャッスルゲートは守備表示のまま、自軍のモンスターを砲弾にライフにダメージを与えることができる!」

 

「っく…」

 

「ルルーシュ! しっかりしろ!」

 

「大丈夫だ…まだ」

 

 城之内が声をかけてくるのにどうにか返す。

 

 サザーランドの攻撃力は1900。仮に攻撃を受けていたらライフは200まで削られていた。それを考えればマシだろう。

 

「俺の…ターン。手札より魔法カード『内務掃拭賛助官~黒の騎士団の不死鳥~』を発動。墓地に眠るサザーランドを効果を無効化して特殊召喚」

 

 サザーランドが再び俺のフィールドに現れる。確信を持って言えるがこのサザーランドに乗っているのは玉城だろう。

 

「そしてサザーランドを生け贄に『第七世代 ランスロット』を召喚!」

 

ランスロット レベル6 ATK 2600 DEF 2200)

 

玉城の乗ったサザーランドが再び墓地へ送られる。

 

『俺はいつもこんな役回りか~!?』

 

「ルルーシュ…今なんか声が…」

 

「気のせいだ」

 

 玉城の無念の声が聞こえてきたが華麗にスルーだ。そして俺はランスロットを見上げる。

 

「ランスロットの持つヴァリスによる攻撃は特殊攻撃! キャッスルゲートにも有効だ」

 

 ヴァリスの銃弾は通常の弾丸とは異なり、緑白色の閃光となる。これでキャッスルゲートは…

 

「だーっははははは! 伏せカードオープン!『強引な取引』!」

 

「なっ!?」

 

 ランスロットが見えない手を引きずられるかのようにデシューツのフィールドへ持っていかれる。

 自らのモンスター全てとライフ半分を払い、こちらのモンスターを全て奪い取る罠カード…。

 

デシューツ LP 2000

 

 ランスロットを…スザクを奪われた。だが…

 

「さあ! ターン終了を宣言しな! あんたのお仲間が止めを刺しに行く…なにっ!?」

 

 今度はデシューツが驚愕の声を挙げる番だ。

 

「手札より『第八世代 神虎(シェンフー)』の効果発動! 相手に自軍のモンスターのコントロールを奪われた時手札から特殊召喚する!」

 

俺のフィールドに京劇の面のような顔をした青いKMFが現れ、それと同時にランスロットが動いた。

 

神虎 レベル7 ATK 3000

 

「さらに特殊召喚時に奪われた自軍モンスターのコントロールを取り戻す!」

 

「ばっ…バカな…」

 

 絶句するデシューツを尻目にスザクのランスロットと星刻の神虎が並び立つ。

 かつての世界ではありえない光景だ。

 

「さて…もう一ターンかかるかと思っていたんだが…まだバトルフェイズを行っていなかったな…」

 

「あっ…」

 

 デシューツは思わず声を零した。しかし、咄嗟に残されたもう一枚の伏せカードを見やる。

 

「行くぞ…神虎の攻撃!」

 

『護るべきものがあるのなら! 天愕覇王荷電粒子砲…発射!』

 

 胸部のカバーがスライドし、大型ビーム、天愕覇王荷電粒子砲(通称:天子砲)が放たれる。

 

「伏せカード発動!『攻撃の無力化』! 攻撃を無効化し、バトルフェイズを…グォッ!!?」

 

 だが既にデシューツの背後に緑色の髪を持つ女の影があった。

 

「こちらの伏せカードを発動だ。『Code R ショックイメージ』…相手の魔法・罠カードの発動を無効にする」

 

 心の闇に巣食う記憶を蘇らされ、もがくデシューツに天子砲が叩きこまれる。

 

デシューツ LP  0

 

「俺の勝ちだなデシューツ」

 

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