僕らがこの文月学園入学してから二度目の春が訪れた。校舎へと続く坂道の両脇には新入生を迎えるための桜が咲き誇っている。別に花をめでるほど雅な人間ではないけれど、その眺めには一瞬目を奪われる。
でもそれは一瞬のこと。今僕の頭にあるのは・・・学園に遅刻しないこと。
明「うおおおおぉぉぉ!急げ!」
僕、吉井明久は学園に向かって疾走していた。その後ろに同い年くらいの女の子も一緒に走っている。
レ「まったく。あなたが寝坊したからよ」
明「仕方ないじゃないか!昨日は任務があったんだから!」
後ろにいる女の子はレスティア。艶やかな黒髪で、見ていると吸い込まれそうな漆黒の瞳をしたどこか人間離れした美貌を持った女の子。レスティアは僕の唯一の家族。と言っても血のつながりはないけど。僕の他の家族は僕が5歳のときに亡くなった。いろいろあったのさ。一応、学園ではレスティアは義妹ということになっている。
っと、ようやく校門が見えてきた。
明「ふぅ、ようやく着いた」
西「吉井兄妹、遅刻だぞ」
校門の前でドスの利いた声が聞こえた。そこには浅黒い肌をした短髪のいかにもスポーツマン然とした男が立っていた。
明「あ、鉄じ・・・西村先生。おはようございます」
レ「おはようございます」
西「ああ、おはよう。それと吉井兄、今鉄人と呼ばなかったか?」
明「はは、気のせいですよ」
彼は西村先生。がっちりとした肉体を持った先生。趣味がトライアスロンであることから生徒の間では鉄人というあだ名で呼ばれている。
西「まったく、お前という奴は・・・まぁいい。ほら、受け取れ」
西村先生は僕たちに封筒を渡してきた。宛名には『吉井明久』と書かれていた。僕らの通う文月学園はクラスがA~Fまであり、二年生以上は振り分け試験の成績順でクラスが決められる。といっても開けなくてもわかってるけどね。だって、テスト受けられなかったし。
西「すまんな吉井。お前らの事情は知っているが、だからといって特別扱いは出来んのでな」
明「いいですよ。納得していることですから」
レ「明久がそれでいいなら私も構わないわ」
西村先生は学園の中で僕の事情を知っている数少ない教師の1人だ。他には高橋先生や学園長も知っている。
西「すまんな。今日からそのクラスが1年間お前らのクラスになる」
吉井明久・・F
吉井レスティア・・F