バカとテストと精霊使い   作:カミト

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事件発生!

今日は休日なので<アレイシア>に来て仕事をしていた。僕たちは学生なので休日くらいしか出勤できないから仕事はそんなに多くない。仕事といっても事務仕事ばっかりだけど。でも今日は違う。何か本部が慌ただしい。僕たちは来てすぐに署長室に行くように言われた。僕とレスティアはグレイワースのとこに向かった。

 

明「来たよグレイワース」

 

部屋に入るといつもの席にグレイワースとその隣にフレイヤが立っていた。

 

明「今日はどうしたの?何か慌ただしいけど」

 

グ「実は政府から出動命令が来てね」

 

グレイワースの言葉に僕は気持ちを引き締めた。<アレイシア>は政府直轄の機関でもあるからときどき命令が来ることがある。

 

レ「政府からってことはそれほど重要なことかしら?」

 

グ「そうさ。我々にしかできない仕事さ」

 

明「それで内容は?」

 

グ「あるホテルに向かって貰います」

 

グレイワースの隣にいるフレイヤが行先を口にした。そのホテルは文月学園の最寄駅から2つほど越えた先にある高級ホテルだ。最近改装したらしいけど。

 

レ「そのホテルに何があるのかしら?」

 

グ「そのホテルに爆弾が仕掛けられ、その解除が我らに与えられた任務です」

 

爆弾?それは警察の仕事じゃないかな?

 

レ「それは警察の仕事ではないの?」

 

レスティアも僕と同じことを思ったみたいだ。

 

グ「本来はそうなんだがね。でも今回爆弾を仕掛けたのは<ポラリス>なんだよ」

 

<ポラリス>とは、今の精霊使いの立場を良く思っていない反政府組織のことだ。政府に管理されるのはおかしい、とか政府の犬はごめんだ、など政府に反発した精霊使いたちの集まりで出来たのが始まりだ。最初は小さい組織で政府も軽視していた。だが次第に規模が大きくなり、今で政府すら簡単に排除できない存在になってしまった。そしてその排除を僕たちにやらせるという始末。

 

明「はぁ~、面倒なことになりましたね」

 

グ「ホントだよ。政府もここまで大きくなるとは思ってなかったのだろう」

 

レ「<ポラリス>が仕掛けたということは、普通の爆弾ではないのね」

 

フ「はい。ですので警察では解除することはできません」

 

明「わかった。任務に当たるのは僕たちだけ?」

 

グ「いや、応援を呼んだ。入れ」

 

後ろのドアが開き、入ってきたのはセフィだった。

 

明「セフィ?」

 

セ「ああ。グレイワース・シェルマイスから連絡を受けてな」

 

グ「彼女は優秀な精霊使いであり、こういう任務も経験している。応援にはうってつけってことさ」

 

セ「任せてください。爆弾の解体も行ったことがあります」

 

グ「なら、頼んだよ。フレイヤ、彼女らを現場に送ってやりな」

 

フ「はい。皆さまこちらです」

 

僕たちはフレイヤに先導され、現場に向かった。

 

 

 

現場の周りは人払いがしてあり、野次馬が居ない。居るのは僕たち<アレイシア>のメンバーだけ。

今回の指揮はフレイヤが直々に行うみたいだ。彼女も精霊使いとしてはなかなかの使い手だ。今は前線にはほとんど出ていないみたいだけど、昔はいくつもの組織や犯罪者、魔精霊たちを退いてきた使い手だったようだ。

 

フ「A班はロビーから4階を、B班は5階から8階を、C班は9階から11階を捜索してください。見つかり次第本部に連絡してください。すぐに処理班と工作班を向かわせます」

 

ホテルは11階まであり、僕たちはA班に入ることになった。

 

フ「それでは、任務を開始します」

 

 

僕たちはホテルに入った。ロビーは広くて上にはシャンデリアがあり床もピカピカで鏡のように綺麗だ。さすが高級ホテル。

 

フ「私たちは2階から4階を探します」

 

明「僕たちはロビーと1階を探します」

 

A班をリーダーと僕たちの2つの班に分けて捜索を開始した。リーダーは半分の人数を引き連れて階段を上って行った。

 

明「僕たちも開始しよう。各自2,3人のチームを作って捜索を開始してください」

 

『『はい!!』』

 

明「それじゃ僕たちも・・ってどうしたのレスティア?」

 

レスティアが頭を押さえて顔を歪ませていたので僕は話しかけた。

 

レ「なんだか頭が痛くて・・」

 

セ「何か感じるのか?」

 

レ「わからないわ。でも、胸騒ぎがする」

 

レスティアは精霊だから人間よりも精霊の力を感知しやすいのかもしれない。

 

明「レスティア。何か感じたら言ってね。調子が悪かったら手を貸すから」

 

レ「ええ。ありがとう明久」

 

僕たちは捜索を開始した。まずはロビーから。エントランスや売店、フロアなど隠せそうなとこを重点的に探したけど何もない。僕たちは続いて1階に上がった。するとレスティアが頭を押さえてうずくまった。

 

明「どうしたの!?」

 

レ「ぅぅ・・何か・・・聞こえる」

 

セ「何か?・・・それはどこから?」

 

レ「・・多分、そこの部屋」

 

レスティアが指差した部屋に入った。すると部屋から嫌な雰囲気を感じた。なんだか空気が重いというか、粘っこい空気が纏わりつくみたいだ。

 

セ「多分ここで間違いない」

 

セフィも同じ雰囲気を感じたのだろう。僕は部屋に入りベットの下を見たら、何かが置いてあった。引き出してみると壺だった。しかもただの壺ではない。壺の上に四角い箱があり、まるで壺に蓋をするかのように置いてあった。

 

明「これだよ!見つけたよ!」

 

セ「今すぐ本部に連絡する!」

 

セフィが無線で本部と連絡を取った。僕は壺に向き直った。この壺から変な空気が出ている。でも、それ以外になんか嫌な予感がする。

 

マ『はっはっは、よく見つけたね』

 

セ「!だれだ!」

 

壺からくぐもった声が発せられた。多分スピーカーがあるのだろう。

 

マ『私はマリール・ヒックマン。このテロの首謀者だよ』

 

明「じゃあ、お前が<ポラリス>か!」

 

マ『そうだよ。よく爆弾を見つけたね。だが、今見つけても遅い!あと1分ほどでこの爆弾は爆発する!』

 

「「「なっ!!」」」

 

マ『しかも威力は半径2キロに及ぶ!どこへ逃げても無駄だ!』

 

セ「なんだと!」

 

マ『それではさよなら。また会えたらいいね』

 

そういうとスピーカーから声が途絶えた。無線を切ったのだろう。

 

セ「いますぐ撤退を!」

 

レ「もう遅いわ!」

 

明「くっ!なら」

 

僕は壺に手を当て神威を流し込んだ。

 

セ「何をしている明久!早く逃げるのだ!」

 

セフィの忠告を無視して神威を流し続ける。おそらくこの爆弾には精霊が使われている。だからレスティアが感知できたんだろう。だからその精霊を何とかすれば爆弾は止まるはず!

壺が輝き始めた。僕はその光にのまれた。

 

セ「まずい!爆発する!」

 

レ「明久ぁぁーー!!」

 

遠くからレスティアの声が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

ここはどこだろう。暗くて何もない空間。

 

『・・なん・・だ!』

 

どこからか声が聞こえてくる。

 

『なんでこうなる!』

 

『僕の何が悪いんだ!』

 

『所詮私は!』

 

老若男女いろんな人の声が聞こえる。そして感じる。その人たちの悲しみや怒りが。

 

『あいつさえいなければ!』

 

『なんでその子なのよ!』

 

悲しいくて悔しくて、そんな気持ちが僕の中に流れ込んでくる。とても悲しい。いつの間にか僕は泣いているようだ。

 

?「・・いや」

 

後ろから声がして振り向くと、そこには小さな女の子がいた。僕は近づいて声を掛けた。

 

明「どうしたの?」

 

?「悲しい・・」

 

明「何が悲しいの?」

 

?「・・わからない。でも悲しい」

 

女子のは蹲って泣いている。僕はその姿を見てさらに悲しくなった。見てられなくて僕はその子を抱きしめた。

 

明「大丈夫だよ。もう悲しくないでしょ?」

 

?「・・・」

 

明「今君は1人じゃない。僕がいる。だから悲しくないでしょ」

 

?「・・うん」

 

女の子は僕の背中に手を回して胸に顔を埋めた。

 

?「・・・温かい」

 

明「もう、大丈夫?」

 

?「・・・うん・・・ありがとう」

 

女の子は顔を上げ、笑った。すると世界が一変して光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

?「・・・さい・・・久」

 

?「お・・・明・・」

 

なんだか声が聞こえる。薄く眼を開くと光が入ってきて目の前にいるレスティアとセフィが見えた。

 

明「レスティア・・・セフィ」

 

レ「明久!」

 

セ「目が覚めたか!?」

 

2人の眼にはうっすらと涙が溜まっていた。ああ、心配を掛けたみたいだね。

僕はゆっくりと身体を起こした。

 

レ「無理してはダメよ」

 

明「大丈夫だよ。これくらい」

 

身体を起こして今の状況を確認した。どうやらロビーのソファーで寝かされていたようだ。

 

明「爆弾は?」

 

レ「無事に回収されたわ」

 

セ「あの時明久は何をしたのだ?私は爆発したと思ったぞ」

 

明「僕は爆弾に神威を流し込んだんだ」

 

セ「神威を?」

 

明「うん。あの爆弾はおそらく精霊を使った爆弾なんだ。そしてその精霊に人間の負の感情を集めさせて爆発する仕掛けだったみたい」

 

レ「なるほど。私が感じることができたのは精霊が使われていたからね」

 

セ「<ポラリス>め!なんて卑劣なことを」

 

セフィとレスティアは怒りで顔を歪めた。僕だって怒るよ。精霊を道具のように扱うなんて許せないよ!

 

フ「明久さん、起きましたね」

 

明「フレイヤ、爆弾は?」

 

フ「あなたのおかげで全て解除し終わりました」

 

明「そうだんだ」

 

これでようやく終わった。にしても身体がだるい。早く帰って休みたいな。

 

フ「この報告書を書き終わってから休んでください」

 

ですよねぇ~。

 

 

 

 

明久たちが帰ってその報告書を呼んでいるグレイワースは秘書のフレイヤと今回の事件のことで話しあっていた。

 

グ「よく坊やは止められたね」

 

フ「はい。私も驚いています」

 

グ「坊やは精霊との反応率が高いのだろう」

 

フ「はい。それと首謀者のマリール・ヒックマンですが、なぜ無線をしたのでしょうか。黙っていれば彼らは気付かず爆発していたでしょう」

 

グ「おそらく焦ったのだろう」

 

フ「焦った?」

 

フレイヤは首をかしげた。

 

グ「こんなにも早く見つかるとは思っていなかったのだろう。だから急いで起爆スイッチを押したのだろう。その時つい口が滑った」

 

フ「なるほど」

 

グ「はぁ、まだ終わりそうにないねぇ」

 

グレイワースはタメ息をつき、今後の対策を考えていた。

 

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