最近鬱気味・・・・。
空に浮かぶ雲から見える蜘蛛。あれはまぎれもなく魔精霊。けどまさか、こんなに近くまで来てたのに気付かなかったなんて。
島「く、蜘蛛!?なんで蜘蛛が空飛んでるのよ!?それに大きいし!」
工「い、いったい、どうなってるの!?」
みんなにも見えてるんだ。本来精霊は普通の人には見えない。でも精霊の領域に入ったらその限りではない。例えばあの黒い雲。あれはおそらくあの蜘蛛が人間界に顕現するために張ったもの。だからみんなにも見えるんだ。でもこのままじゃまずい。とにかくみんなを安全な場所に。
明「みんな、とりあえず逃げよう!」
レ「そうね、みんな早く!」
僕とレスティアの声で意識を取り戻したみんなと急いで玄関に向かった。
玄関につき扉に手を掛けたが開かない。
明「うぅぅん!あ、開かない!」
雄「そこどけ!俺がやる」
雄二と代わり、力いっぱい引いたけどやっぱり開かない。
雄「くっそ!いったいどうなってんだ!」
秀「あ!外を見るのじゃ!」
秀吉の視線の先を追うとそこには白い糸が幾重にも扉に張り巡らされていた。糸といっても木の枝くらい太かった。おそらくあの魔精霊の吐いた糸なんだろう。
明「あれで扉をロックしてるんだね」
セ「これでは出ることができない」
セフィの言うとおりこのままじゃ僕たちは出ることができない。他の出口を探すしかないかな。
姫「あ、明久くん・・」
明「姫路さん、大丈夫だよって姫路さん!危ない!」
姫「えっ?きゃ!」
僕は姫路さんに飛びついた。すると先ほど姫路さんの頭があった場所を何かが通過した。糸だ。外のと同じ糸。校舎の中まで入ってきてたのか。
レ「明久!」
島「瑞希!無事!?」
姫「は、はい。ありがとうございます」
明「いいよ。ケガがなくて良かった」
優「けどこれからどうするのよ。外がこれじゃ出ることができないわ」
康「・・・他の出口」
白「そうですね。他に出口があるかもしれません」
確かにこのままここに居てもしょうがないし、校舎に他の人が居るかもしれない。
明「わかった。行こう」
僕らは他の出口がないか探すため校舎の中を走った。
レ「これからどうしましょう?」
明「アレイシアに連絡したいけど電話が通じないんだ」
携帯の画面には圏外のマーク。おそらくあの雲のせいだろう。
レ「今は私たちだけで切り抜けるしかないわね」
明「うん。そうだね。でも・・」
でも、みんなも前で力を使うわけにはいかない。秀吉たちは知ってるけど、なるべくならこんな危ない世界のことは知らないでいてほしい。それにこの力を知ったら、みんなとの関係が変わっちゃうかも、という思いが頭をよぎる。
レ「明久、確かにあなたの気持ちはわからなくもないわ。でも、今は緊急事態なのよ。ここであの子たちを失いたくないでしょ」
明「・・うん」
そうだ。もう誰も失いたくない!悲しい思いをしたくない!あのときとは違う。あのときは何もできなかったけど今は違う。僕にはみんなを守る力がある!後悔なんてしたくない!
僕は無意識に手を強く握りしめていた。僕が決意を固めると同時に秀吉の声が前から響いた。
秀「職員室なのじゃ!教師たちがおるかもしれん!」
秀吉が職員室のドアを開けた。しかしそこには誰もいなかった。白い塊みたいなのがあるだけ。
優「な、何なのよこれ!?」
霧「・・繭?」
確かに繭に見えなくもない。けどうっすらと何か見える。
・・・もしかして!
僕は近くにあったカッターで小さな切れ込みを入れた。そして中にあったものは。
明「先生だ!」
工「うそ!?それじゃ他の繭の中にもいるの!?」
優「助けなくちゃ!」
工藤さんと優子さんが近くの繭を引きちぎろうとしたのをレスティアが止めた。
レ「やめなさい。不用意に触るのは危険よ」
優「でも先生が!」
レ「もし不用意に引きちぎって何か起こったらどうするのよ」
確かにこのままじゃ危険だ。おそらくこの繭の中に入ってる先生たちから生命力を吸い取ってるんだ。早くなんとかしないと先生たちの命が危ない。
霧「キャア!」
ドア付近から声がしたから振り返ると霧島さんの腕と足に糸が絡まっていた。きっとあの魔精霊の糸だ。糸はドアの外から伸びでいた。そしてその糸は巻き取られてるように外に出ていく、霧島さんと一緒に。
雄「翔子!」
霧「ッ雄二!」
雄二が手を伸ばすも虚しく空を切った。霧島さんはそのまま教室から消えた。雄二は後を追うべく入口に走った。が僕が肩を掴んで雄二を止めた。
雄「何しやがる明久!」
明「雄二、ちょっと待って」
僕はカッターを手に入口へと向かった。そしてその空間を一閃。すると細い糸がはらりと落ちた。
セ「細い糸だな」
明「うん。雄二が気付かずあのまま入口を通っていたら・・」
その後の結末を予想したのか雄二の顔に汗が浮かぶ。顔も若干青い。けど霧島さんも心配だ。
明「とりあえず追うよ」
雄「そ、そうだな」
僕たちは廊下に出て走り回った。10分くらい廊下を回っただろうか。もちろん教室も覗いたが霧島さんは見つからない。
白「いったいどこへ消えたのでしょう?」
レ「わからないわ。あれが何の目的で彼女を攫ったのかも不明ね」
確かにそうだ。一体なんの目的で・・。
雄「翔子・・」
雄二にしては珍しく気落ちしている。普段霧島さんには関心がないみたいな態度をとってるけどやっぱり心配なんだね。
明「雄二」
雄「明久。俺は、あいつを・・」
明「雄二。らしくもないよ。いつものように堂々と振舞わなくちゃ。雄二がそんなんじゃダメだよ」
雄「・・・そうだな」
そう言うと雄二は苦笑した。さっきよりはマシになったけど気になるみたいだ。早く見つけないと、と思っていると突然優子さんが叫んだ。
優「あ、あれ!代表じゃない!」
みんなが優子さんの方を振り向き視線を追うと確かに霧島さんがいた。彼女は僕たちとは反対側の廊下の端にいた。
雄「翔子!」
雄二の呼びかけに答えず霧島さんは廊下を曲がり視界から消えてしまった。
雄「まて翔子!」
明「雄二待って!僕らも行こう」
雄二を先頭に霧島さんの後を追った。僕たちはそのまま階段を下り中庭に出た。
雄「翔子!」
優「代表!」
霧島さんは中庭の真ん中にポツンと立っていた。
雄「無事か翔子!」
工「良かったよ無事で~」
姫「心配しました」
みんなが霧島さんに近づいていく。でも何かおかしい。霧島さんから何か感じる。嫌な予感が・・。
レ「ッ!みんな横に飛びなさい!」
『へ?』
みんなが疑問符を浮かべて振り返ったその時、霧島さんは腕を振り上げた。すると手から何かが伸びてきた。
明「あぶない!」
僕はみんなの前に出た。そして手に持った〈真実を貫く剣〉(ヴォーパル・ソード)を振り上げ切り裂いた。伸びてきたものは細かく切られはらりっと落ちた。落ちたのはさっき同じ白い糸。
やっぱり、嫌な感じはこれだったんだ!
雄「しょう・・こ?」
秀「な、なにが・・」
明「セフィ、白姫。面倒なことになってきたよ」
明「霧島さんは・・・魔精霊にとり付かれた」
霧島さんの右手には漆黒のグローブ。指の先には鋭い爪があり、手の甲には赤い8つの点が浮き出ていた。
魔精霊の精霊魔装はブラックキャットのジェノスの武器を思い浮かべてください。
最近多忙でなかなか投稿できませんでしたが、これからも暇を見つけて投稿していきます。