バカとテストと精霊使い   作:カミト

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Fクラスで・・

僕とレスティアはFクラスに迎えために廊下を歩いていた。目の前にはAクラスがあった。通常の5倍はあろうかとう広さに驚いた。

 

明「・・・なんだろう、この広さは」

 

僕が呆けているとレスティアが声を掛けてきた。

 

レ「ほら、呆けてないで行くわよ」

 

明「う、うん」

 

僕とレスティアはFクラスに足を向けた。

 

 

 

 

 

 

明「僕はいつの間に異界に迷い込んだんだろう・・」

 

レ「気持ちはわからなくもないわ。でもこれが現実よ」

 

Fクラスの前で僕らは少しだけ躊躇した。Fクラスの見た目は酷かった。Aクラスとは大違いだ。

で、でももしかしたら中は案外普通かもしれないという淡い希望を持ってクラスのドアを開けた。

 

明「すみません。遅れ「早く座れ、このウジ虫野郎」ました・・」

 

いきなり罵倒された。いきなり罵倒してきた奴は教壇の前にいた。いたのは僕の悪友の坂本雄二だ。見た目は180cmくらいの長身で、ボクサーの様な機能美を持ち意思の強そうな目をした野性味たっぷりの顔。

 

レ「いきなり罵倒なんていい度胸ね。・・・お仕置きが必要ね。」

 

雄「げ、吉井妹!ちょっと待て!お前に言ったわけじゃ「明久に行ったものでも変わらないわよ」ちょっま、グゥホァ!」

 

レスティアが雄二に地獄突きを入れ、隙ができたところにアッパーを入れた。おお、あれは痛そうだ。

 

明「ところで雄二はなにしてたの?」

 

雄「ぅぅ・・さっきのはスルーか。まぁいい、俺はFクラスの代表だからな。Fクラスの奴らを見てた」

 

雄二は涙目になって顎を擦っていたが僕の質問に答えてくれた。雄二がクラス代表か。僕もFクラスを見渡した。そしてあることに気付いた。

 

クラスメイトが皆床に座っている。

 

理由は簡単。イスがないからだ。代わりにあるのは座布団。

 

明「はぁ、さすがFクラス。それで席は決まってるの?」

 

雄「いや、自由だ」

 

レ「ここは教室と呼べるのかしら」

 

レスティアは呆れたふうに声を漏らした。まったくもって同感だ。

 

福「え~とっ、ちょっと通してもらえますかね?」

 

不意に後ろから覇気のない声が声が聞こえてきた。そこにはヨレヨレのシャツを着た先生が立っていた。

 

福「それと席についてもらえますか?HRを始めますので」

 

明・レ「「はい、わかりました」」

 

雄「う~っす」

 

僕らはそれぞれ返事をしてそこらへんの席に着いた。レスティアは僕の横の席に着いた。

 

福「えー、おはようございます。2年F組担任の・・・福原慎です。よろしく」

 

このクラスにはチョークすらないのか。ホントに勉強させる気あるの!?

 

福「皆さん全員に卓袱台と座布団は支給されてますか?不備があれば申し出てください」

 

このクラスにあるのは畳と卓袱台と座布団。わぁ~、なんて斬新な設備なのでしょう。

 

F「せんせー、俺の座布団に綿がほとんど入ってないです」

 

福「我慢してください」

 

F「先生、俺の卓袱台の脚が折れてます」

 

福「木工ボンドが支給されてます。自分で直してください」

 

F「センセ、窓が割れていて風が寒いんですけど」

 

福「わかりました。後でビニール袋とセロハンテープの支給を申請しておきます」

 

・・・想像以上に酷いクラスだ。レスティアもほとほと呆れているようで顔に手を当てている。

 

福「では、廊下側の席の人から自己紹介をお願いします」

 

生成の指示を受け、廊下側の生徒が立ちあがった。

 

秀「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる。あとこれワシでも男じゃ」

 

『な、なんだって~!!!!』

 

秀吉とは中学から一緒だけど、やっぱりみんな驚いてる。そりゃ無理はないよね。だって見た目女の子だし。(明久は秀吉を男と認識している)

 

康「・・・・・土屋康太」

 

今度も知り合いだ。小柄だけど引き締まった身体で運動神経も良いのに、口数が少なくて大人しい。けっこうモテそうなのになぁ。

 

それにしても、見渡すかぎり男ばかり。学力最低クラスともなると、女子はほとんどいないのだろうか。

 

島「―です。海外育ちで、日本語は会話はできるけど読み書きは苦手です。趣味は―」

 

ん?この声、どこかで・・・。

 

島「吉井明久を殴ることです☆」

 

やっぱりか!はぁ、島田さんか。

 

彼女は島田美波。ポニーテールの勝ち気な女の子。なんでか知らないけど前から僕に対して関節技などを仕掛けてくる。そんなに島田さんは僕のこと嫌いなのかな。

 

レ「大丈夫よ。私がいるわ」

 

隣にいるレスティアが僕にほほ笑みかけてきた。僕はちょっとホッとした。

 

島田さんはなぜか僕を睨んでるけど気にしないようにしよう。それから自己紹介が続き、レスティアの番になった。

 

レ「吉井レスティアよ。隣にいる明久の家族よ。でも・・血はつながってないから結婚できるわよ」

 

『異端者には、死を!』

 

明「ちょ、ちょっとレスティア!何を・・!」

 

レ「けれど、明久に危害を加える人は嫌いよ」

 

F「はは、そんなことするわけないじゃないか」

 

F「そうだ。だって吉井は俺の親友だしな」

 

レスティアの発言を聞いて事態が勝手に収拾した。今日初めて会ったのに勝手に親友にしないでくれないか。それにみんな顔は笑ってるけどめっちゃ睨んでる。

う~ん、この空気はよくないな。よし、ボケよう。

 

明「吉井明久です。気軽にダーリンって呼んでください」

 

『ダァァーーーーリィーーーン!!』

 

ヤバい。思った以上に気持ち悪い。朝食べたものがリバースしそうだ。

 

明「・・・失礼、忘れてください。とにかくよろしくお願いします」

 

まさか本当にそんな風に呼ばれるとは思わなかった。Fクラス、恐るべし。

 

レ「大丈夫かしら?ダーリン」

 

明「レスティア、頼むからやめて」

 

お願いだからそれ以上傷を抉らないで。あと顔を多少赤いよ。恥ずかしいなら言わなきゃいいのに。

 

そのあとも自己紹介が続いた。不意に教室のドアが開き、息を切らせて胸に手を当てている女子生徒が現れた。

 

姫「あの、遅れて、すみま、せん・・・」

 

『えっ?』

 

福「ちょうどよかったです。今自己紹介の最中なので姫路さんもよろしくお願いします」

 

姫「は、はい!あの、姫路瑞希と言います。よろしくお願いします・・」

 

小柄な身体をさらに縮こませるように声を上げる。すると一人の男子生徒が手を上げた。

 

F「あの~質問ですが、なんでここにいるんですか?」

 

聞き様によっては失礼な質問だがここにいる全員が同じ疑問を持っただろう。彼女は成績が良く、入学して最初のテストで学年2位を記録した才女だ。姫路さんは緊張した面持ちで口を開く。

 

福「そ、その・・・振り分け試験の最中、高熱を出してしましまして・・・」

 

その言葉を聞き、クラス全員がなずいた。振り分け試験の最中に退席したら0点扱いになるからだ。

 

『そう言えば、俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに』

 

『ああ。科学だろ?アレは難しかったな』

 

『俺は弟が事故に遭ったと聞いて実力が出し切れなくて』

 

『黙れ一人っ子』

 

『前の晩、レスティアさんが寝かせてくれなくて「前の晩はずっと明久とイチャイチャしてたわよ」「ちょ、レスティア!」『チクショーー!!』』

 

レスティアなんてこと言うんだ!クラスメイトが壊れ始めて僕に攻撃態勢を取っているじゃないか!それにイチャイチャなんかしてないじゃないか!

 

福「はいはい。みなさん、静かにしてくださいね」

 

バンバンと教卓を叩いて注意をしたが、先生の前で教卓がいきなりバラバラと崩れゴミ屑と化した。どこまで最低なクラスなのだろう。

 

福「え~・・・替えを用意してきます。少し待っていてください」

 

気まずそうにつげ、足早に教室を出て行った先生。

 

明「・・・雄二、ちょっといいか?」

 

雄「ん?なんだ?」

 

明「ここじゃ話しにくいから、廊下で」

 

雄「別にかまわんが」

 

僕と雄二は立ちあがって廊下に出た。

 

 

 

 

雄「んで、話ってのはなんだ?」

 

明「この教室についてだけど・・・」

 

雄「Fクラスか。想像以上に酷いもんだな」

 

明「そうでしょ。だからAクラスに試召戦争を仕掛けよう」

 

雄「ふむ・・何が目的だ」

 

雄二の目が細くなる。警戒されているのだろうか。

 

明「レスティアのためさ。だってこんなに設備が酷いクラスなんて可哀想だし、もっといい環境にしてあげたいんだ」

 

雄「・・・なるほど妹のためか。まぁ、俺も俺自身もAクラス相手に試召戦争を仕掛けようと思っていたところだしな」

 

明「えっ?どうして雄二も?」

 

雄「世の中学力が全てじゃないって、証明したくてな。Aクラスに勝つ作戦も思いついたしなっと、先生が戻ってきた。教室に入るぞ」

 

明「あ、うん」

 

雄二に促されるまま、教室に戻った。

 

 

 

 

 

福「さて、それでは自己紹介の続きをお願いします」

 

それからは特に何もなく、淡々とした自己紹介が続いた。そして最後に雄二の番になった。雄二は教壇に歩み寄り僕らのほうに向き直った。

 

雄「Fクラス代表の坂本雄二だ。代表でも坂本でも好きなように呼んでくれ」

 

雄「さて、皆に1つ聞きたい。このクラスの状況を見てくれ。カビ臭い教室に古く汚れた座布団、薄汚れた卓袱台・・・不満はないか?」

 

『大ありじゃあぁ!!』

 

2-F生徒の魂の叫びが教室中に響いた。

 

F「いくら安いからって、この設備はあんまりだ!」

 

F「Aクラスととの設備の差が酷過ぎる!」

 

雄「みんなの意見はもっともだ。そこでだ」

 

級友たちの反応に満足したのか、自信に溢れた顔に不敵な笑みを浮かべてFクラス代表、坂本雄二は戦争の引き金を引いた。

 

雄「FクラスはAクラスに試召戦争を仕掛けようと思う」

 

 

 

 

 

文月学園に点数の上限がないテストが採用されてから4年が経過した。テストには1時間という制限時間と無制限の問題数が用意されている。そのため、点数に上限はなく、どこまでも成績を伸ばすことができる。また、化学とオカルトと偶然によって完成した「試験召喚システム」によって姿を現す、召喚獣を使って戦うことを試召戦争という。召喚獣は召喚者をデフォルメした姿の分身となる。全長は80cm程。文月学園のテストを受けた人間が、当該科目の召喚フィールド内で起動キー「試験召喚獣召喚『サモン』」を詠唱することにより出現する。 テストの点数に比例した強さを持ち、召喚獣による「設備の異なる教室状況」を改善するための試召戦争の手段となる。召喚獣は、教師の展開する半径10メートル程度の召喚フィールドの中でのみ使用できる。通常、教師の「承認」の掛け声でフィールドが展開されるが教師の意思でも展開可能である。

 

Aクラスへの宣戦布告。それはこのFクラスにとっては現実味の乏しい提案にしか思えなかった。

 

『勝てるわけがない!』

 

『これ以上設備が落とされるなんて嫌だ!』

 

『姫路さんがいたら何もいらない!』

 

『レスティアさん、僕と付き合って『異端者には、死を!!』すみませーん!』

 

そんな悲鳴が教室内のいたるところから上がる。確かに誰が見ても、AクラスとFクラスの戦力差は明らかだった。

 

雄「いや、そんなことはない。必ず勝てる。俺が勝たせて見せる」

 

『何をバカなことを』

 

『出来るわけないだろ』

 

『何の根拠があってそんなことを』

 

否定的な意見が教室中に響き渡る。確かにどう考えても勝てる勝負とは思えないだろう。

 

雄「根拠ならある。このクラスには試召戦争で勝つことのできる要素が揃っている」

 

得意な不敵な笑みを浮かべ、皆を見下ろす雄二。

 

雄「おい、康太。畳に顔を付けて姫路と吉井義妹のスカートを覗いてないで前に来い」

 

康「・・・!!(ブンブン)」

 

姫「は、はわっ!」

 

レ「ふふ、私がそんなことさせるわけないでしょ」

 

必死になって顔と手を左右に振り否定のポーズを取る康太と呼ばれた男子生徒。

 

まったく康太は、変わらないな。もしレスティアのを見ていたら処刑しなくちゃいけなかったじゃないか。

 

雄「土屋康太。こいつがあの有名な、寡黙なる性識者(ムッツリーニ)だ」

 

康「・・・・!!(ブンブン)」

 

土屋康太という名前はあまり有名じゃないが、しかしムッツリーニという名前は別だ。その名は男子生徒には畏怖と畏敬を、女子生徒には軽蔑を以て挙げられる。

 

『ムッツリーニだと・・・?』

 

『馬鹿な、奴がそうだというのか・・・?』

 

『だが見ろ。あそこまで明らかな覗きの証拠を未だに隠そうとしているぞ』

 

『ムッツリの名に恥じない姿だ』

 

畳の跡を手で押さえている姿は果てしなく哀れを誘う。

 

雄「姫路は説明すること必要もないだろう。皆だってその力はよく知っているはずだ」

 

姫「えっ?わ、私ですか?」

 

雄「ああ。ウチの主戦力だ」

 

『そうだ。俺たちには姫路さんがいるんだ』

 

『彼女ならAクラスにも引けはとらない』

 

『ああ。彼女さえいれば何もいらない』

 

さっきから姫路さんに熱烈なラブコールを送っているのは誰だ。

 

雄「木下秀吉だっている」

 

『確かあいつは、木下優子の・・・』

 

雄「当然俺も全力を尽くす」

 

『確か坂本って、小学生の頃は神童とか呼ばれてなかったか?』

 

『実力はAクラスレベルが二人もいるってことだよな!』

 

気が付けばクラス内の士気が確実に上がっていた。

 

雄「それに吉井兄弟だっている」

 

『そうだ。2人もAクラス並みの学力があるんだ!』

 

『おいおい、もしかしたらいけるんじゃないか!?』

 

みんなに注目されて少し恥ずかしいけど、士気を上げるためなら仕方ないよね。

 

雄「皆、この境遇は大いに不満だろう?」

 

『当然だ!!』

 

「ならば全員ペンを執れ!出陣の準備だ!」

 

『おおーー!!』

 

「俺たちに必要なのは卓袱台ではない!Aクラスのシステムデスクだ!」

 

『うおおーーー!!』

 

姫「お、おー」

 

クラスの雰囲気に圧されたのか、姫路さんも小さく拳を作りあげていた。

 

ここから試召戦争が始まるんだ!

 

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