バカとテストと精霊使い   作:カミト

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雄二の決意と戦う意味

明「くぅっ・・はあぁ!」

 

僕はアレイシアからの要請で暴走している精霊と対峙している。対峙している精霊は体長3メートルくらいのシカの姿をした金剛精霊だ。金剛精霊だけあって体は硬いしパワーも強い。僕は敵との正面衝突を避け、木や枝を足場に移動しながら攻撃をするヒットアンドアウェイ戦法で戦ってるけど敵はそんなのお構いなしに突進をしてくる。

 

明「このままじゃ埒があかないよ」

 

レ「(でもこちらの攻撃は敵には通りにくいわ。このまま地道に削って行くしかないわよ)」

 

レスティアの言うとおりだ。相手の防御力は半端ない。あれにダメージを与えるだけの攻撃をするにはかなりの神威を込めなくちゃいけない。けどそんな攻撃を繰り返してたら先にこっちの神威が空になる。だから僕たちはこの方法しかないのだ。

 

明「早くなんとかしないと。いつまでもここにはいないだろうし」

 

レ「(そうね。街に移動されたら厄介だわ。なら使う?)」

 

おそらく絶剣技のことだろう。たしかにグレイワース直伝の絶剣技を使えばこの状況をなんとかできるだろう。けど僕はまだ未熟で技を使うと体が悲鳴を上げる。使えたとしても1日に4発まで。それ以上使うとしばらく動けなくなる。

 

明「けど、迷っていられないか」

 

他にも精霊は出現してるしみんなの応援にも行きたい。なら!と覚悟を決めたとき、誰かが乱入してきて精霊が吹き飛ばし、砂埃が舞った。

 

明「なぁ!?」

 

僕は驚いた。人が乱入してきたのもそうだが、何よりあの精霊をたった1撃で吹き飛ばしたことを。さっきも言ったが相手の精霊の防御力は高いし重い。並大抵のパワーがないとあんな芸当はできない。

 

明「いったい誰が?」

 

レ「(砂埃が晴れるわ)」

 

ようやく晴れ相手の姿が見えたが、僕たちはそれを見て驚いた。

 

明「雄・・二?」

 

そう、そこに立っていたのは僕の悪友である坂本雄二だった。

 

レ「(何故彼がここに?)」

 

レスティアも不思議がってるようだ。そして雄二が僕たちの方を見た。

 

雄「明久」

 

明「雄二、なんでここに?それにさっきのパワーは・・」

 

ブボォォォォォ!!

 

僕は弾かれたように雄叫びのした方を見た。金剛精霊はまだ倒されはしなかったがかなりのダメージを受けたのか少しふら付いていた。そして敵は雄二に標的を変えたようで雄二のに顔を向けていた。

 

明「雄二逃げるんだ!じゃないと怪我じゃすまない!」

 

しかし雄二は僕の言葉を無視して相手を睨んでいた。口元を妖しく歪ませて。

 

雄「逃げる?はっ!冗談じゃねぇ、俺は逃げねぇ。俺はようやく力を手に入れたんだからな!」

 

レ「(力?)」

 

雄二は敵に向かって走り出した。それに対抗するように相手も雄二を吹き飛ばす勢いで走り出した。雄二は走りながら拳を振り上げた。精霊相手に殴るのかと思ったが違った。雄二の手にはトンファーが握られていた。でもただのトンファーじゃないことはすぐにわかった。

 

明「あれは!?」

 

レ「(まさか、精霊魔装!?)」

 

僕たちの驚きをよそに雄二は向かってくる精霊にトンファーを振り下げた。雄二と精霊が衝突し、周りの木々が吹き飛ぶほどの衝撃がこちらにまで襲ってきた。少しの拮抗後雄二は精霊を吹き飛ばした。金剛精霊は吹き飛ばされ木や岩に叩きつけられたがそれでも止まらず周りのものをなぎ倒しながら吹き飛んだ。そしてようやく止まり金剛精霊は力尽きたかのように倒れ、塵のように溶けて消えた。

 

雄「ふふっはははぁ!どうだ明久、俺の力は!」

 

雄二は高笑いを上げ僕に向き直った。僕は雄二に聞かなくちゃいけないことを聞いた。

 

明「雄二、その精霊はどこで手に入れたの?それに雄二には神威がなかったはず」

 

雄二は言葉では語らず、自分のシャツに手を賭けボタンを無造作に引きちぎった。そこには雄二の左の胸に紋章が刻印されていた。そう精霊刻印だ。

 

雄「あいつが誰かはしらねぇが確か、ポラリスっつってたな」

 

明レ「ポラリス!?」

 

ポラリス、前にホテルの爆弾テロを仕掛けた反政府組織。っていうことは雄二の精霊刻印はまさか、呪装刻印か!

呪装刻印とは人工的に作られた精霊刻印のことで効果は様々だけど、どれにも副作用があり最悪の場合死ぬこともある禁忌の力だ。

 

明「雄二、今すぐその精霊を手放すんだ!じゃないと取り返しの着かないことになる!」

 

雄「だろうな。なんとなくそんな予感はしていた」

 

明「ならなんで!?」

 

雄「・・・翔子のだめだ」

 

雄二はつぶやくように言った。決意に満ちた眼を僕に向けて。

 

雄「俺は昔あいつを傷つけた。それから俺はケンカに明け暮れた。あいつを守るためには力が必要だと思ったからだ。だが、結局オレはあいつを守れなかった!だから決めたんだ!どんなことをしてでも次こそはあいつを守る!そのためならオレの命くらいいくらでもかけてやるってな!」

 

明「それでも雄二が死んじゃったら霧島さんが悲しむじゃないか!なんでそれがわからない!」

 

雄「あいつはもうオレのことは覚えちゃいねぇ!なら悲しむことなんかねぇ!」

 

明「霧島さんだけじゃない、僕だって、みんなだって悲しむはずだ!」

 

雄「・・・それでも決めたんだ。オレを覚えてなくたっていい、ただあいつが幸せであってくれればいい。それだけだ。だからオレはポラリスとともに行く。こんな辛いことが二度と起こらねぇように!」

 

明「雄二・・・」

 

雄二の気持ちは痛いほどわかった。僕も家族を失った。大切な人がいなくなる苦しみはわかるし命を賭けてでも誰かを守りたいって決意もわかる。けど、それでも!

僕は<真実を貫く剣>(ヴォ―パル・ソード)を構えた。

 

明「けど雄二、僕はキミを止める。僕もキミを失いたくないから」

 

雄「そうか・・なら」

 

雄二も構えた。そう僕たちは戦うしかないんだ。お互いの気持ちを通すために。

 

明雄「・・ふぅ」

 

ガキィッ!っとお互いの精霊魔装がぶつかり火花が散った。拮抗が続いたが徐々に僕の方が押され始めた。僕は雄二の足にひっかけバランスを崩したすきに雄二から距離をとり、木や枝を足場に飛び移り高速戦闘へと切り替えた。正面、後ろ、真上など様々な角度から攻めるが持ち前の運動神経と勘の良さで僕の攻撃を往なす雄二。

 

明「(さすが雄二、ケンカ慣てるだけあって攻めきれない。それにあの金剛精霊を吹き飛ばすほどのパワーだ。正面からの力比べはダメだ。なんとしても隙を作らなきゃ)」

 

雄「(さすがだ明久。異端審問会相手に逃げていたすばしっこさは驚愕だぜ。それに精霊魔装での戦闘経験はあいつのほうが上。一瞬でも隙ができたらやられちまう)」

 

お互いの長所を生かして戦うがやはり経験の差は覆せないのか、雄二の方が徐々に押され始めていた。打撲や切り傷を作ってはいたが致命傷はないが、体力もそろそろお互いに尽きかけていた。そのせいが雄二が致命的な隙を作ってしまった。さっきの金剛精霊との戦闘で破壊した岩のかけらを踏み、バランスを崩したのだ。僕はこのチャンスを逃さなかった。

 

明「絶剣技、初ノ型 〈紫電〉!」

 

僕は絶剣技の中で最速の技を打ち込んだ。もちろん雄二を殺さないようにしてはいる。狙いは雄二の気絶。この攻撃が当たれば僕の神威を雄二に流し込んで気絶することができる。<真実を貫く剣>(ヴォ―パル・ソード)の刃が雄二に刺さる瞬間、誰かの介入によりその刃が弾かれた。

 

明「なに!?」

 

本日2度目の驚きである。雄二との戦闘で気付かなかった、もう1人いたなんて。僕は自分の未熟さに嫌気がさした。

 

?「すまないが、彼を渡すわけにはいかないんだ」

 

現れたのは僕より年上の男だった。身長は雄二よりも少し上だろうか、体も細く顔も整っているが目つきは鋭い。そして彼が握っている漆黒の鎌が眼に着いた。柄も刃も長くまるで死神の鎌のようだ。

 

明「あなたは誰だ?」

 

僕は冷静を装って彼に聞いた。本当は膝をつくほど消耗しているけどそれを悟られるわけにはいかない。彼は表情を変えることなく淡々と語った。

 

リ「僕はリクト=カトユーヘ、ポラリスの一員さ」

 

明「っ・・・雄二を連れていく気?」

 

リ「無論だ。彼は僕らにとって必要だからね」

 

明「させないよ!」

 

僕は今出せる全力を刃に乗せた。

 

明「絶剣技、初ノ型 〈紫電〉!」

 

しかし、彼は簡単に止めた。鎌の柄に刃の切っ先を付けて止めた。僕は愕然とした、僕の全力をいとも簡単に止められたのだから。そしてリクトは僕ごと鎌をなぎ払った。僕は何もできず地面を転がった。

 

明「くぅ・・」

 

レ「明久!」

 

レスティアは精霊の姿に戻り僕を抱き起し、守るように僕の頭を胸に抱きこんだ。

 

リ「では、行くとしよう」

 

リクトは僕に構わず雄二に手を差し伸べ起きあがらせると僕の前から去って行った。雄二もそれに続いたが僕の呼びかけに足をとめた。

 

明「・・雄・二」

 

雄「・・・翔子を頼む」

 

そして雄二も目の前から消えたと同時に僕は意識を手放した。

 

 

 




いかがでしょうか?

雄二が敵になりましたが今後どうなるでしょうか。


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