バカとテストと精霊使い   作:カミト

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悩みと展開

 

「・・・・・」

 

僕は今、どうしようもなく落ち込んでいる。きっと他の人が見ても一発でわかるだろう。理由は・・雄二が消えたこと。

僕はあの後病院で目覚めた。目覚めた時のレスティアの顔が今にも泣きそうだったことも覚えている。悪いことしてしまったなぁ~。そのあとみんなも来てその後の状況も聞いた。僕は3日間眠っていたこと、雄二が学園から消えたこと、雄二の行方は未だわからないこと、正直頭がパンクしそうだったけどわかったことは1つ。雄二がポラリスと共にどこかへ消えたってこと。僕は今にも罪悪感と自責の念で押しつぶされそうだ。あの時、僕が止められれば、僕にもっと力があればっと。学園では雄二は休学扱いになっており、アレイシアでも捜索しているが手掛かりの1つもない。とりあえず回復した僕は学園に来たけど授業の内容も人の話も全く入ってこなかった。気分を変えようと屋上に来たけど結局は変わらない。それどころか、余計に落ち込んだ。ここは、よくみんなでお昼を食べた場所だから。

 

明「僕はこれからどうすればいいんだろう・・」

 

とりあえずグレイワースからは休めと言われてるけど、そうも言ってられない。けど、雄二の居場所はわからない。考えがループして纏まらないっと今にも泣きそうな気持ちだった。すると誰かが屋上の扉を開く音がした。僕はそっちに目を向けたら、そこに居たのは久保くんだった。

 

久「ああ、ここに居たんだね吉井くん」

 

明「・・・何の用?」

 

僕は憮然と返した。

 

久「何か悩んでいることがあるんだね?」

 

明「・・・」

 

僕は何も答えなかった、いや答えられなかった。これは精霊に関することだから一般人の久保くんに話すわけにはいかなかった。

 

久「・・・ねぇ吉井くん、ぼくがあの時言ったことを覚えているかい?」

 

明「・・あの時?」

 

久「A対Fクラスの試召戦争の時、ぼくはキミが目標だって言ったこと」

 

そういえば言っていた気がする。けど、それが一体何なのだろう?

 

久「・・・吉井くんは4年前の空港テロのことを覚えているかい?」

 

明「・・・空港テロ・・・」

 

そういえばあったなぁ。あの事件の主犯格はポラリスのような反政府組織の精霊使いたちだった。僕も事件解決に駆り出されたっけ。

 

久「実はね、ぼくもあの時あの場所に居たんだよ」

 

明「えっ・・・」

 

久「そして吉井くん、キミがそのテログループと戦ってるところもね見てたんだよ」

 

僕は驚いて何も言えなかった。確かにテログループを捕まえたのは僕だ。しかも精霊魔装も使ってた。ってことはもしかして精霊のことも知ってるってこと!?

 

明「あ、あのぅ・・そのぅ・・・あれは」

 

久「もちろんそのことは誰にも言っていないよ。新聞やニュースでもその事件は取り上げられたけどキミの名前は出てこなかった。ということは何か事情があるのだろう。だから深くは聞かないさ」

 

明「・・ありがとう」

 

久「礼を言うのはぼくの方さ。そしてぼくはね。キミが羨ましかった。ぼくと同じ年なのにキミは誰かのために命を張って闘っていた。それに引き換えぼくは自分の弟どころか自分の身を守ることで精一杯だった。だからキミがとても輝いて見えたし、少し嫉妬もした。しかし、ぼくにはキミのようにはできない。だからぼくは必死に勉強して少しでもキミに近づきたかった。結局勉強でもキミには追い付かなかったけどね」

 

明「あははっ、そんなことないよ。それに僕はそんな誰かに憧れられるような人間じゃないよ。むしろ僕は・・」

 

久「・・それは坂本くんに関係のあることかい?」

 

明「・・・・」

 

さすが久保くん。察しが良すぎてさすがに怖くなってきたよ。

 

久「沈黙は肯定ととるよ。そしてキミはこれからどうするべきか悩んでいる」

 

明「・・・僕はどうすればいいんだろう・・」

 

久「ぼくはキミに何も言えない。けど坂本くんならきっとすぐに動いたはずさ。もし坂本くんと吉井くんが逆の立場だったらきっとすぐに行動していただろう。だって彼はAクラスを打ち破った人だよ。きっとどんな逆境でも彼は進んでいただろう」

 

・・・そうかもしれないね。雄二ならきっとできたさ。けど僕は・・・。

 

久「だから坂本くんに出来るなら吉井くんにもできるよ。だってキミはあの時のようにずっと戦ってきたんだろう」

 

明「・・・・なんでそんなことが言えるの?」

 

久「坂本くんはきっと代表のために行ったんだろう。彼に守りたい人がいたから。吉井くん、キミにも居るだろう守りたい人が。だからキミは既に彼と同じ土俵に居るんだ。なら同じことができるはずさ」

 

・・・そうか、雄二は霧島さんを守りたくてあの力を受け入れた。もちろん僕にだって守りたい人はいる。レスティア、秀吉、優子さん、ムッツリーニ、セフィ、白姫、美波、姫路さん、工藤さん、霧島さんそれに・・・雄二。

 

久「ははっ、なんだ簡単なことじゃないか。そうだよね、ここでクヨクヨしてたって仕方ないよね」

 

そうだ、僕らしく真っ直ぐに行けばいいんだ。そして雄二を取り戻す。絶対に!

 

明「ありがとう久保くん!それとそのことは・・」

 

久「ああわかってる。他言無用にするよ」

 

明「ありがとう!」

 

僕はお礼を言って屋上を後にした。待ってろ雄二!すぐにお前に追いついてやるかならな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 私が記憶を無くしてもう4日になる。最初は信じられなかったけど学園に来てそれが真実だとわかった。誰の名前も思い出せない。かろうじて覚えているのは親の名前だけ。でも記憶力には自信がある。また覚えればいい、また作ればいい。だから私はクラスの名前を覚えたし、クラスにも溶け込めた。けど、何かが足りない気がする。こう、ぽっかり穴が空いたような感じ。けど、思い出せない。優子や愛子に聞いても笑うだけで教えてくれない。なんでだろう?

 

霧「・・ただいま」

 

「おかえりなさいませお嬢様」

 

お手伝いさんが出迎えてくれた。この人の名前も思い出せない。けど、また覚えればいい。靴を脱ぐと数が多いことに気付いた。それを聞いたら。

 

「お客様がいらしております。なにやらお仕事の関係者らしいです。お名前は確か・・」

 

少し間が空いて、思い出したように答えた。

 

 

 

 

 

 

 

「・・そう、リクト=カトユーヘ様です」

 

 

 

 

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