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第一章
とつぜん異世界に召喚されて詰んだ俺の話をする
[日常の変異]
「へっ…?」
桜内義之、15歳。
どこにでもいるごく普通の中学三年生。
まぁ特殊なことといったら手から和菓子が出せることぐらいだ。
…突然謎の光に包まれた俺は、気がついたら知らない城にいた。
ほんの一瞬前まで風見学園に向かってたはずなのに、今俺が立っているのは映画に出てくるような大広間のど真ん中。
白い壁に白い柱、高い天井と、規則正しく並んだアーチ状の巨大な窓。
足元の床には冗談みたいな魔法陣が描かれてて、なんだかファンタジーっぽい服装した人々が期待に満ちたまなざしを俺に向けてて……って何の冗談だこれ!?
杉並の仕業か!?
ぼかんと立ち尽くす俺と、そんな俺と、そんなおれを遠巻きに囲むファンタジー集団。
その中から不意に、金の冠を被ったいかにも王様っぽい少女が歩み出る。
「にゃはは〜この世界へよくきてくれたね〜異世界の方」
その少女の見た目は…
「さっさくらさん!?」
さくらさんとそっくりというか
瓜二つだった。
「うにゃ僕はさくらなんて名前じゃないよ〜」
「えっ?…っていうか今異世界っていいました?」
思わず聞き返してしまった俺にさくらさん?が真面目な顔で会釈した。
「そういえば、自己紹介がまだだったね。僕はこの国アストレイドの王様だよ。…じつはね、この世界は今未曾有の危機に瀕してるんだ。かつてこの世を闇で覆い尽くさんとした邪悪な魔王が復活しそうでね、窮地に陥った僕たちは大神官様のご託宣のもと、きわめてすぐれた力を持つとされてる異世界の方…すなわちあなたを召喚したんだよ。」
「は、はぁ…」
どうやら見た目はさくらさんだけど
なんか違うみたいだ。もしかしたら杉並の仕業かもしれないけど…
…でもなんか今の話、漫画かアニメでこれまで軽く百回は聞いたことありそうな感じの話だな。
すっかり戸惑う俺の前でさくらさん?がうやうやしく頭を下げる。
「お願いします、どうか、勇者となって僕の国を救ってくれないかな?」
「え、ええと…」
さくらさん?の申し出に、目をパチクリさせ。
…やがて俺は
「すんません、お断りします」
とそう答えた
「へっ?」
俺が断ったとたん、きょとんとして目を丸くするさくらさん?
ぽりぽりと頭を掻きつつ、俺は気ますげに弁解する。
「勇者って、モンスターと戦ったり、ダンジョンみたいな危険なとこに行ったりしなきゃいけないんですよね?漫画やゲームならともかく、実際にはケガしたり疲れたり死にそうな目にあったりとかしそうだし、人間関係も地味に大変そうだし…
リアルに冒険するのはいろいろ面倒くさそうなんで、俺は帰って渉達とモ○ハンやってる方がいいです」
「も、モ○ハン…?」
困ったような顔をするさくらさん?の前で、俺はひょいと肩をすくめてみせた。
「そもそも、自分の世界の問題は自分の世界でなんとかするべきですよ。魔王だかなんだか知らないけど、無関係な異世界人を突然呼び出してきてそんなハイパーかったるそうなことを押しつようなんだなんて、いくらなんでも都合良すぎ…」
「…おっしゃるとおりですわ、勇者さま」
…と。
ふと聞こえてきた声に「ん?」と顔を上げたとたん、俺はぽかんと口を開けてしまう。
…そこに美しいお姫さまが、そこにいた。
「ってななか!?」
その見た目はななかにそっくりだった。
「ああ、ロベリアちゃん」
なんだかほっとしたような表情を見せるさくらさん?
(ロベリア?またななかじゃない
他の人なのか!?)
呆然と立ち尽くす俺の前に、ロベリアと呼ばれたお姫様がしずしずと歩み寄る。
「突然呼び出しておいて、こんな一方的な申し出…都合がよすぎることはわかってるよ。…でも、私たちにはもう、他の手段がないの」
綺麗なピンク色の髪に、宝石みたいな蒼い瞳。整った顔立ちは芸術品のよう。それでいてどこかふわりとやわらかく、優しい雰囲気にみちてて。
年はななかと同じぐらいっぽいから
俺と同じだろうか。本当にななかみたいにかわいい感じの子だ。
「お願いします、異世界の方…」
俺の目の前で足を止め、祈るように両手を組むお姫様。
透き通るように瞳が、まっすぐ俺へと向けられる
「どうか、勇者となって魔王を倒し、我が国をお救いください」
俺はしばらく考えた結果…
「…わかりました」
「えっ」
そのとたん、お姫様が水晶みたいな目が丸くする。
「えっ?いいの?だってさっき、こっちの世界の問題は、こっちで決着つけるべきだ、といって…」
「そう思ってたんですけど、異世界だろうと困っている人がいるなら助けられるなら力になりたいと思って」
とお姫様に答える
…めんどくさいけど仕方ないか…
「じゃあ俺に任せてくださっ」
…と言おうとしたら…
「ロベリアさまあああっっっーー!!!!」
白を基調とした空間に突然現れたのは…
「お前は…由夢!?」
義之の目の前に現れた由夢?の正体は…
次回
『勇者の血を継ぎしもの』