おまけに妹の出番が少ない・・・この話大丈夫か?
季節は夏になりました。
え?新年迎えてから飛びすぎじゃないかって?
いや、それまでの出来事なんて・・・
クーちゃんに
蔑まされて
胃が痛む
この一句で済んでしまうんです。
そんな私ですが今は日本武○館にいます。
なぜなら、私の妹「篠ノ之箒」こと箒ちゃんがいるからです。
全国剣道学生大会 優勝決定戦
その勇ましい姿をこの目に焼き付けようと来ました。
ちなみにクーちゃんはお留守番をしていますので胃が痛む事はありません。
あと、特別ゲストとして・・・
「マッキー、こっちこっち」
友達のマッキーを誘いました。
「仕事中に呼んで来るから何だと思ったら、妹絡みかよ」
「マッキーだって暇でしょ?」
「まあ・・・仕事はめっきり減ったし、スコールは相変わらず気持ち悪いし、Mは痛い子だっていうのが分かったし。あいつらより旦那かお前と一緒にいた方がいいかな」
マッキー、嫌な年上と年下に悪戦苦闘してるんだね。
「マッキーは私とマッキーのだん・・・」
「言っとくが、旦那とお前の間には越えられない壁があるからな。ところで、クラリッサはどうした?」
「クララはドイツで・・・色々頑張ってるよ」
私はマッキーにパソコンとイヤホンを差し出した。
「あいつ、ドイツで何してるんだ?」
マッキーがイヤホンをセットしたのを確認し、再生ボタンをクリックした。
『せんせぇー!』
『どうしたんだい、ラウラ?』
『にほんでは、きにいったひとのことを「おれのよめ」っていうのは、ほんとうですか?』
『違うよ、ラウラ。お嫁さんはね・・・』
バタン
マッキーが勢いよくパソコンを閉めた。
「なあ束・・・」
マッキーの表情を見て分かる。言いたいことがよく分かる。あの元気はつらつな女の子と笑顔で会話している大きなお友達が誰なのかと・・・
「これが撮影されたのはいつだ?」
「・・・先週」
「いつ届いた?」
「・・・一昨日」
「撮影者は誰だ?」
「・・・クララ」
「あいつが映してた人物は誰だ?」
「小さいほうがクララの上官で・・・大きい方がちーちゃん」
「嘘だろ・・・」
マッキーがまるでこの世の終わりを迎えるかのように肩を落とした。
「ちなみにいっくんも今ドイツにいるって」
「あいつら完全にロ・・・」
「・・・言わなくていいよ」
私とマッキーはちーちゃんの豹変ぶりにいろんな意味で裏切られた。
「あ、ああ。それより、お前の妹の番だ」
「ん?おお!」
可愛いポニーテールを振っている美少女剣士は箒ちゃんじゃないか!
私は知ってるよ。箒ちゃん、ちーちゃんを目標として毎日練習を怠っていないって。その練習のお陰で相手の竹刀が触れることなく一本取るほどの腕前を持つようになったって。
私は箒ちゃんのためなら、たとえ火の中、水の中、助けに行っちゃうんだから!
「おい束。よだれ出てるぞ」
「ああ。ごめん」
「そろそろ試合が始まるぞ」
相手選手も構えて・・・
「始め!」
主審の掛け声とともに
「きえぇぇぇ!」
箒ちゃんの掛け声が鳴り響く。
バタン
そして相手選手は倒れて・・・え?
「一本!」
「ええぇぇぇ!?」
いやいや!箒ちゃんが叫んで相手が倒れて一本っておかしいでしょ!?
「お前の妹・・・どこ目指してるんだ?」
マッキー遠い目でそんなこと言わないで!
「礼!」
主審は気にせず終わらせたよ!
「どうすんだ、この後?」
「ほ、箒ちゃんに、あ、あ、会いににに・・・」
「緊張する必要ねえだろ!?」
「いや・・・八年も会ってないと・・・その・・・」
「あのな、家族ってのはどんなに離れてても切り離すことのできないものなんだ。妹との再開で怯えてどうする?」
「そ、そうだね!じゃあ、会いに行く!」
私は全速力で箒ちゃんがいる控室へ向かった。
・・・・・・
「ここに・・・箒ちゃんがいる」
箒ちゃんがいる控室の前に私はいます。
「おお・・・緊張が手に伝わる」
こ、ここはお姉ちゃんとしての威厳を示さないと・・・
「何をしている?」
「・・・え?」
後ろから懐かしい声が・・・
「ほ、箒ちゃん・・・」
私の愛しい妹の・・・
「私をその名で呼ぶな駄目兎」
・・・え?
「じゃ、じゃあなんて・・・」
箒ちゃんの目が一層険しくなった。
「名前で呼ぶな。苗字でも呼ぶな」
「え、えっと・・・」
「どうすべきか自分で考えろ」
「ほ、箒ちゃんは・・・」
「名前で呼ぶな!」
「ひぃっ!」
箒ちゃんだよね!?あの賢くかわいい箒ちゃんだよね!?
「私の気が変わらない内に引き籠れ」
「私は・・・」
「私は阿修羅をも凌駕する存在になるんだ。貴様は邪魔だ。消え失せろ!」
結局、私は箒ちゃんとまともに会話が出来ずにその場を後にした。
・・・・・・
「そんな再開劇ってありなのか?」
「いやぁ、あるんだよ。それが」
私はマッキーに箒ちゃんとの再開話をしながら日本武○館を後にした。
でも仕方がないよね。私がちゃんとしなかったから家族がバラバラになっちゃったもんね・・・
「ん?わりぃ、ちょっと待ってくれ」
マッキーは仕事関係の電話だ。
「・・・ああ。その仕事はMに任せればいい。あいつ退屈してただろうし。うん。じゃあ頼む」
それに引き換え、私はクーちゃんに冷たくされ、チームからは名ばかり監督って言われたり、箒ちゃんから駄目兎って言われたり・・・
「おい束!」
「ん!?」
「何、ボーっとしてるんだ?」
「い、いや!箒ちゃんが優勝できて良かったなあって」
イケないイケない。マッキーの前では元気を出さなきゃ。
「お前はホント嘘をつくのがど下手だよなぁ」
「な、何言ってるのマッキー!?私は・・・」
「じゃあ、この鏡に映ってるお前は何だ?」
そこに映ってたのは、大粒の涙を流している私だった。
「お前、本当は辛かったんだろ。妹に突き放されたのが」
「そ、そんなこと・・・ぐずっ・・・ないよ・・・わ、私は・・・」
「妹との仲を取り戻したいんだろ、本当は?」
「ぐずっ・・・うん」
私は涙を流しながら頷いた。
「だったら、お前の当分の目標は家族の仲直りだな」
「でも・・・」
「安心しろ。仕事で邪魔をするかもしれないが、アフターサービスはたっぷり付けるからさ」
マッキー・・・私のために
「旦那と親友は守る。それが巻紙礼子の信条さ」
「マッギィィィ!」
「こんな所で泣くんじゃねえ。私が奢るからさ、あそこのファミレスで飯でも食うぞ」
私はマッキーに引っ張られながらファミレスへと入った。
クーちゃん・・・決めたよ。
私、篠ノ之束は世界と家族を元に戻す!
次回は、亡国企業との接触を執筆する予定です。
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