駄兎の日々   作:陸のトリントン

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今回は巻紙視点です。

いやぁ、モチベーションを上げるのは意外と苦労します。

※追記:サブタイトルを変更しました。


37話 束の親友は対峙する

ドイツ 某所

 

私の名前は巻紙礼子。今は・・・リフトに乗って、どこかに降りてる。

 

「一体どこまで降りてるんだ?」

 

「さあな。少なくとも、その先に決勝戦の相手がいるだろう」

 

定期的に配されてある灯りがリフトを照らしているけど少し寒い。一体どこまで降りるつもりなんだ。厚手のフライトジャケットを着こんでるがそれでも寒いって、地下何メートルにいるんだよ。

 

「くくく。長きに渡る宴も今・・・」

 

「ああ、分かった分かった。今は静かにしてくれねぇか?」

 

エムは相変わらず何言ってるか分からねえ。

 

「さっさと決勝戦の相手ぶっ倒して、ベットでぐっすり寝たいよ全く」

 

そんな愚痴をこぼしていたら、リフトが止まった。

 

「どうやら着いたみたいだ。礼子、エム。気を引き締めろよ」

 

目の前には5m程もある大きな鉄製の扉が開き、私達3人は扉の向こうにある光景に驚愕した。

 

「これは・・・ISコア!?」

 

「驚いた。この俺が探しても探しきれなかったISコアのコピーだ。とすると、ここはISコアのコピーを作ってる『謎の組織』の本部か」

 

「魂の共鳴を起こす虚偽の鎧か」

 

壁一面中に並べられているISコアのコピー。前に旦那から話を耳にしていた。無人機を作り、IS学園を襲撃させた組織の存在。私達はその本部にいると思われる。

 

並べられているISコアの先には一つの大型モニターが掛けられている。そこに映っているのは・・・

 

「これって、IS学園じゃねえか?」

 

「映ってるのは織斑一夏とラウラ・ボーデヴィッヒ。後の二人は篠ノ之箒とシャルロットデュノアか」

 

何で旦那が知ってるんだ?

 

「何で一夏とラウラ以外の二人を知ってる?」

 

「箒ちゃんの方は嫌でも知ってるさ。ISの開発者の妹だろ?」

 

まあ、私は奇声を上げて相手を気絶させた剣道少女としか覚えてないが。

 

「それにシャルロットちゃんの方はデュノア社の社長が会社のイメージアップを図るため、彼女を男装させて入学させたからな。この俺がシャルロットちゃんの経歴を調べて、デュノア社が良いようにしてるっていう事が分かって、それを世界に報告したらデュノア社のイメージダウンが起こったけどな」

 

「うわぁ、シャルロットの奴絶対私達を恨むだろう」

 

「安心しろ。彼女は被害者だ。俺は被害者を虐める趣味なんか持ってないさ」

 

「だと、良いんだが」

 

ま、浮気なんてしたら一発ぶん殴るだけの話だから。

 

「やっぱり、来てくれると思ってたわオータム」

 

突然、部屋に響き渡る艶のある声。嫌に背中に走る口調。

 

「この声は・・・スコール!」

 

「ええ、そうよ」

 

モニターの傍から姿を現したのは赤いドレスに身を包んだスコール。はっきり言って嫌な趣味をしてるもんだ。

 

「一体、ここで何をしてるんだ?」

 

小難しい話が苦手な私は簡潔に問いだ出してみた。何で問いただしてるのかは・・・はっきり言ってその場の勢いだ。

 

「簡単な話よ。ISを作ってるの」

 

「ISの何をだよ?」

 

「全てよ」

 

「!?」

 

スコールの問いに旦那が反応した。

 

「だが、ISコアを作り上げるには数が多すぎやしないか?この配列だと、まるで何かの電池みたいだな」

 

「相変わらず、変な所で勘が鋭いのねオータムの旦那さんは。まあ、ここで全てを話してもあなた達に止める術はないけどね」

 

旦那に勘付かれたくない所を付かれて顔を歪めながらも、スコールはどこか余裕のある表情をしている。

 

「どういう意味だ?もしや・・・」

 

「気付いたみたいだね。あなた達の戦いもデータにするのよ」

 

旦那とスコールの会話の意味が全く分からない!

 

「ISのコアを作るのにあなた達のデータが入れば、戦闘時のデータ収集が楽になるのよ」

 

「良いモルモットを探すために『世界異種格闘技大会』を開いた訳か。そしてお前は・・・」

 

「そのモルモットを探すために亡国企業(ファントムタスク)に入って情報収集と言いたい所だったけど、あなたのせいでそれが台無しになったわ。だから、大会を開いておびき出した所かしら」

 

「それは災難でしたね。計画を立て直してる中、本部を突き止められてしまって」

 

「それはどうかしら?」

 

旦那の煽りを気にせず、スコールはニヤリと笑い始める。

 

「あなた達の戦闘データが入れば、この本部も用無しよ」

 

「だが、ISのコアはISの戦闘データが無ければ意味がねえだろ」

 

「スコールの言う通り、あなた達の戦闘データは今後の稼働データの参考程度。ISの戦闘データは別に取らないといけないわね。でも、今ISの戦闘データが取れる場所があればどうする?」

 

「どうするって・・・お前まさか!?」

 

「そう。IS学園でデータ収集を行えばいい話よ。丁度良くモルモットちゃんが頑張ってくれてるからね」

 

「モルモット?」

 

「そう。ラウラ・ボーデヴィッヒちゃんよ。彼女が使ってるISにちょっとした機能が搭載してるのよ」

 

そう言い、スコールはモニターの下からキーボードを降ろし、エンターキーを押した。

 

『っ!?うわぁぁぁぁぁ!』

 

モニターには、電流をほとばしりながら黒い液体に飲まれるラウラの姿があった。

 

 

 

 

 

 

「ヴァルキュリートレースシステム・・・VTシステムのお披露目よ。そして・・・」

 

『これより、決勝戦を開始します』

 

決勝戦開始のアナウンスが鳴り響く。こいつの顔を見るのは、もううんざりだ。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

時を同じくして、IS学園

 

「ラウラ・・・?」

 

一夏の目の前にいるのは、黒く光沢のあるISを纏った千冬の姿をした何かだった。

 

「ラウラを・・・ラウラを返せぇ!」

 

白式はスラスターを吹かし、黒い千冬の姿をした何かに・・・

 

「駄目!」

 

シャルルのIS『ラファール・リヴァイヴ・カスタムII』の灰色の鱗殻(グレー・スケール)が一夏の背中に炸裂した。

 

「一夏!落ち着いて!あのまま突っ込んだら・・・」

 

「離せ!俺がラウラを・・・」

 

「一夏!駄目!」

 

灰色の鱗殻(グレー・スケール)が一夏の腹に炸裂した。

 

「うぐっ!それでも、あんなわけの分からない・・・」

 

「それでも駄目だよ!」

 

灰色の鱗殻(グレー・スケール)が一夏の腹に炸裂した。

 

「だ、だから、ラウラは・・・」

 

「だぁめなんだよ! それ以上(ラウラに)近づかないで!」

 

灰色の鱗殻(グレー・スケール)が一夏の顔に炸裂した。

 

「ごはっ!」

 

一夏は灰色の鱗殻(グレー・スケール)の痛みに耐えきれず白式を解除し、その場で悶え苦しみ始めた。

 

「おかしいなあ・・・。涙が流れている・・・ひとつも悲しくないのに・・・」

 

シャルロットの病状は悪化の一途を辿っている。

 

 

 

「山田先生、あの二人を止めてください。あの偽の修羅は私が倒します」

 

「ええ!?いや、でも・・・」

 

「あんな虚像に倒れる私ではありません。ご安心ください」

 

「生身で戦うのは・・・」

 

「きえぇぇぇぇぇ!」

 

「箒さん!?」

 

篠ノ之箒は生身で黒い千冬の姿をした何かに斬りかかりに行った。

 

 

 

「誰か助けて下さぁぁぁい!」

 

山田先生が色んな意味で助けを呼ぶのも無理はない。




次回は、束の大進撃の予定です。

ご意見、ご感想、お待ちしております。
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