駄兎の日々   作:陸のトリントン

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皆さん、お待たせしました。黒兎の日々です。

今回は黒兎じゃない人を視点に話を進めております。


40話 黒兎の日々 その2

みなさんごきげんよう。イギリス代表候補生のセシリアオルコットですわ。

 

わたくしは今・・・

 

 

 

「セシリア。ラファールが見せてくれた未来の中に・・・君はいなかったよ」

 

「イギリスの・・・物の怪がぁ!」

 

 

 

レゾナンスで命の危機にさらされております。

 

それは一時間前に遡ります。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

IS学園 学生寮 廊下

 

「わたくしがラウラさんの教育係?」

 

「押し付ける形になってしまいますが、よろしいでしょうか?」

 

レゾナンスで水着を買いに行こうとした時、山田先生に呼び止められたわたくしはラウラさんの教育係のお話が持ち上がりました。

 

「わたくしではなく、一夏さんが適任ではないのですか?」

 

「その・・・大きな声で言えないのですが。織村君とデュノアさんの二人には厳戒態勢が敷かれている状態なんです」

 

「どういうことなのですか?」

 

山田先生は周りを気にしつつ、声を潜めながらわたくしに理由を教えて下さいました。

 

「二人の学生としての振る舞い、ボーデヴィッヒさんに対する配慮や言動が犯罪とまではいきませんがあまりに不健全であり、健全で適切な教育を行える生徒と学園生活を送るべきと学園側が判断したからです」

 

「わたくしが適切であると?」

 

「同じ代表候補生のオルコットさんが適任であると学園が判断しました」

 

確かに一夏さんとシャルロットさんのラウラさんに対する言動にはもんだいがあります。ですが・・・

 

「でしたら織斑先生か山田先生が・・・」

 

「織斑先生はボーデヴィッヒさんに対してかなり甘く教育します。私が教育係に任命されたら織斑先生が何をしでかすか分からないので・・・」

 

山田先生が顔を暗くするのを見て、自分より織斑先生を気にしている様子でありました。

 

「分かりました。セシリア・オルコット同じ与えられた役割は全力で尽くします。ラウラさんの教育係はお任せください」

 

「分かりました。今、ボーデヴィッヒさんはトレーニングルームでダンスレッスンをしてますので伝えておきます」

 

山田先生は笑顔でトレーニングルームに行きましたが・・・そのような施設があったのですか?

 

その後、トレーニングルームから出て来たラウラさんは不機嫌極まりない表情で私を睨んでおりました。どうやら、わたくしが一夏さんに毒を盛った食べ物で殺そうとしたと言うのです。確かに一夏さんと一緒に食事はなさいましたが、そのような事は一切しておりません。それでも、一夏さんと一緒にいたいラウラさんの機嫌が直る事はありませんでした。

 

親交を深めるため、わたくしはラウラさんと一緒に水着を買うためレゾナンスに行きました。最初は嫌がっていたラウラさんも今は大人しくしております。ですが・・・

 

「ら・・・ラウ・・・ラ?」

 

「どうして・・・セシリアと・・・一緒に・・・」

 

二人(一夏さんとシャルロットさん)に出会ったのが運の尽きでした・・・

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「駄目じゃないかセシリア・・・君がラウラと一緒にいちゃいけないんだよ?」

 

山田先生の言う通り、シャルロットさんは正気ではありません。

 

「セシリア頼む・・・俺とラウラを添い遂げさせてくれぇ!」

 

一夏さんはラウラさんに甘すぎの様子。

 

ここは心を鬼にしなければなりませんわ。でなければ、二人はラウラさんに破廉恥な事をするに違いありません。

 

「でしたら、山田先生に直接・・・」

 

「いいよ!いちかといっしょに・・・」

 

「ラウラさん!山田先生との約束を破るつもりなのですか!?」

 

「いっぽうてきにおしつけるのはやくそくなんかじゃない!わたしはいちかといっしょにいたいの!」

 

ラウラさんは「一夏さんに甘えずルームメイトと仲良くする」と約束したと山田先生が言っておりましたが、それを守る気が微塵にもありません。

 

これが15歳でドイツの代表候補生になり、特殊部隊の隊長になった人の言動なんですか?どう見てもワガママな子供にしか見えませんわ。

 

「駄目ですわ。たとえ一方的にであっても、約束をしたのならそれを守らなければなりませんわ」

 

「それはぎむでもめいれいでもないから、まもらなくてもいいもん!」

 

「では、なぜ約束をしたのですか?山田先生はラウラさんが約束を守ると信じていらっしゃるのですよ」

 

「やくそくまもるっていわないと、いわせるまでかえしてくれないから」

 

この様子では、織斑先生以外の大人をあまり信じていない様子ですわ。

 

「そうだよね。あんな先生より、僕達と一緒にいた方がラウラの為になるのに」

 

「ラウラ・・・俺は・・・お前が欲しい・・・」

 

わたくしはラウラさんの現状に頭を抱えるしかありませんでした。

 

織斑先生と一夏さん、ドイツそのものがラウラさんを甘やかしワガママな人にさせた原因なのは確かであります。ですがラウラさんを矯正してしまえば、ドイツそのものに多大な影響を与えかねませんわ。それではドイツが国際問題に発展させて隣国との問題を起こすに違いありません。何かヒントは・・・

 

「ラウラ。セシリアの事は俺が何とかするから、一緒にいてくれないか?俺、ラウラがいなくて息をするのが精一杯なんだ」

 

「じゃ、じゃあ!わたしがいないと!」

 

「ああ!周りが何と言おうと俺はラウラから離れないからな!」

 

ああ!そうこう考えてる内にラウラさんが一夏さんと一緒にいようとしてますわ!

 

「うん!じゃあ、最初は・・・えっと・・・あれ?何だっけ?」

 

「どうしたんだ?」

 

「ハンバーグだっけ?ハンバーガーだっけ?えっと・・・パンで肉を挟んだ食べ物は?」

 

・・・それですわ!

 

「ラウラさん。それはハンバーガーでありますわ」

 

「そう!ハンバーガー!」

 

「後、ハンバーガーはパンではなくてバンズでありますわ」

 

「へえ。でも、わたしは・・・」

 

ラウラさんは気付いた様子ですが、それを見逃すようなわたくしではありません。

 

「ラウラさん。わたくしは学園からラウラさんの教育係として任命されたのをご存知のはずですが?」

 

「いちかといっしょにおべんきょうしてるから・・・」

 

「残念ですが、それらを含めて学園側から頼まれております。あなたが一夏さんを愛する気持ちが誰にも負けていないのは知っております。ですが、あなたは一夏さんが教えていないものがたくさんあるという事実に気付いています」

 

「い、いちかがおしえてないものなんてないもん!」

 

「本当ですか?」

 

「ほ、ほんとだもん・・・」

 

「どうして目を逸らすのですか?」

 

「う、うう・・・」

 

「目を逸らして反論しても、説得力はありません」

 

「・・・・・・」

 

このままだと泣いてしまいますわ。ここは泣かせない様に、教育を受ける覚悟を・・・

 

 

 

「セシリア。ラファールが見せてくれた未来の中に・・・君はいなかったよ」

 

「イギリスの・・・物の怪がぁ!」

 

 

 

えっと・・・わたくしの後頭部ラファールのアサルトライフルが突き付けられて・・・目の前には白式を纏った物の怪。

 

命の危機にさらされております・・・ですが、ここで引き下がってしまえばオルコットの名に泥を塗ることになりますわ。ここは、この状況を逆手にとりますわ。

 

「ラウラさん。もし、教養を身に付かなければこのような行いをラウラさんが起こしかねません」

 

「し、しないもん!セシリアが・・・わたしを・・・おどすから・・・」

 

「ラウラさん。貴方がドイツの軍人なら分かってらっしゃるはずです。二人の行いが正しいのかどうかを」

 

ラウラさんの表情を見る限り、二人の行いが間違っているのを感じつつも愛する人を傷つけたくない思いで苦しんでいらっしゃる。

 

「でも・・・いちかはせいぎだから・・・」

 

「一夏さんなら日本でISを無断で展開しても問題が無いといえるのですか?」

 

「でも・・・」

 

「ラウラさん。これは試練なのです。あなたが一夏さんのお嫁さんに相応しくなるための試練なのです。もし、ここで二人の行いを認めてしまったら、あなたは軍人として・・・いえ、一夏さんのお嫁さんとして相応しくないということを認めることになりますわ!」

 

「わ、わたしはいちかの・・・」

 

「悪い事と知りながらそれを見過ごす人が、愛する男性のお嫁さんに相応しいと考えるのですか?」

 

「うぅ・・・」

 

ラウラさんは今、理想と現実の狭間で苦しんでおられます。わたくしができることは現実を受け止めさせ、一人前のレディーにまではいかなくとも、人前に出ても恥をかくことのない人にさせなければなりませんわ。

 

「セシリア・・・君は何をしてるんだい・・・僕にはラウラを・・・エレガントな敗者に仕立て上げてるようにしか見えないよ・・・」

 

「ラウラ・・・俺は・・・お前を抱きたい・・・」

 

少なくとも、お二人にはいい薬だと思われますが。

 

「・・・わかった。やくそく・・・まもる」

 

「分かりましたわ。ラウラさんの教育係として、今後ともよろしくお願いいたしますわ」

 

「「!?」」

 

ラウラの勇気を振り絞った一言に二人は言葉にならない断末魔をあげながら全速力で空へと昇りました。

 

「いちか・・・」

 

「大丈夫です。ラウラさんが一人前のレディーになれば、一夏さんはきっとお喜びになりますわ。それに、ファンの皆さんも成長したラウラさんを嫌うわけがございませんわ」

 

「う、うん」

 

代償は大きいですが、ラウラさんがそれを挽回することができるのかはわたくしの教育次第・・・途方もない困難が待ち受けておりますが、引き受けたからには全力でやりますわ!

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

レゾナンス 5階 カードゲーム売り場

 

「今、いっくんの声がしたような・・・」

 

「束。いつまでブースターパックと睨めっこしてるんだ?」




次回は束視点のレゾナンスでの話を執筆する予定です。

ご意見、ご感想、お待ちしております。
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