話の中身が思い浮かばず、一ヶ月以上が過ぎました。
そんな、難産の46話です。
「写真で見た以上に綺麗だ」
「どこがだよ。ただの金ぴかなお寺にしか見えねえぞ」
思わず見惚れてる私を横に、マッキーは退屈そうに携帯電話の画面とにらめっこをしている。
「こんな所にいるより、ゲーセンに行くかバイクでひとっ走りした方がいいだろ?」
「ゲーセンはいいけど、バイクは・・・」
「かっぱらえばいいだろ」
万引きする気満々だ。しかも、後ろめたさなんか微塵も感じずはっきりと言った。無論・・・
「ほう。私の前で堂々と万引き宣言をするとは・・・」
ちーちゃんがそれを許す事はない。
「その方がスリルもあって、旅行って感じがするだろ?」
「貴様の尺度で旅行を語るな。それと、初日から束とゲーセンに行けると思うな」
ちーちゃんの顔がどんどん暗くなっていく・・・
「そういう楽しみを含んで旅行なんだぜ?んなことで、イライラすんなよ」
「どうやら・・・修正しなければならないようだな」
「やってみたければやってみな。生徒会の犬になったお前が勝てる訳ねぇけどな」
心配してる側から、戦闘態勢に入っちゃったよ!
「マッキー!?ちーちゃんと喧嘩しちゃ、だ、駄目だよ!」
「え?いいじゃねえか。あいつも戦う気満々だしよ」
「いやいや!ちーちゃんだって、戦う気なんて初めから・・・」
「我・・・剣ヲ極メシ者トナリ・・・悪鬼雪羅ヲ・・・滅スル・・・」
ちーちゃんが何かに目覚めちゃってるよ!?
「上等だ!さっさと倒して・・・」
「マッキー!?駄目!駄目だよ!喧嘩したら修学旅行どころじゃないよ!?」
私は二人の間に割って入り込み、喧嘩を寸での所で止めた。
「こういうのも旅行の楽しみの一つだろ。それに、こいつとは何度もやり合って決着がついてないんだ。いい加減、着けたいんだよ」
「それ、修学旅行じゃなくても着けられるでしょ!?」
「フゥ・・・束・・・ソコヲドケ・・・」
「ちーちゃんは元に戻って!」
二人の殺意が収まる気配など無く、周辺の人達が避難し始めたよ。
「おっ?周りが空気を読んでくれたのか?人がいなくてひと暴れ出来るぜ」
「空気読んでないから!危ないから避難しただけだから!」
「我ヲ恐レヌナラ・・・クルガヨイ!」
「ちーちゃんは当初の目的を忘れてるよ!」
私の言葉に耳を傾けず、二人は・・・
「何をしている二人共?もうすぐ移動の時間だ」
颯爽と現れた生徒会長に止められました。生徒会長を前にちーちゃんは正気に戻り、マッキーは不貞腐れた表情で握りこぶしをポケットにつっこんだ。
「千冬君。君が巻紙礼子との決着を着けたい気持ちは分かる。彼女を討ち倒せばレジスタンス部隊は壊滅も同然だ。しかし、今回は修学旅行であってレジスタンス壊滅作戦ではない。そこをわきまえてくれ。君の能力はまだ伸びる余地が十分あるから」
「はっ」
ちーちゃんが片膝ついて答えたけど、私のクラスをレジスタンスって・・・
「千冬の奴。完全に生徒会の犬になってるじゃねえか」
「巻紙君。彼女は生徒の模範となるべく日々努力しているだけだ。君も彼女を見習うと良い」
何かに目覚めて悪鬼雪羅を滅する姿のどこに模範となる要素が・・・
「それに、篠ノ之束を不良にさせるわけにはいかない」
「あ、あの・・・生徒か、会長さん」
「何だね、束君?」
勝手に話が進んでいるけど、生徒会長はマッキーが不良と決めつけている。見た目と言動は悪いけど、迷子になった子と一緒に親を探したり、友達が風邪で休んだら見舞いに行ったりと、良い所はある。それを生徒会長に伝えないといけない。
「ま、マッキーは・・・ふ、不良・・・じゃなくて・・・」
「残念だが、彼女は不良だ。迷子の親を探すため、バイクに子供を乗せて、街道をアクション映画さながらに爆走。風邪で休んだ友を見舞いに行った際には、バイクのエンジン音での騒音苦情が学校に来ている」
マッキーの良い所が言えなくなった。
「君の気持ちは分かるが、時には『NO』と言う勇気を持つのも友としてやるべき事だと私は思う」
生徒会長の正論に私は無言で頷くことしかできなかった。
「では、早速バスに乗って移動するぞ」
生徒会長に言われるがまま、私は不貞腐れたマッキーと一緒にバスに向かって行った。
次回は、旅館での出来事を書く予定です。