幻影旅団風の奉仕部 ブラッククローバー(ジャンプ)の世界に召喚されて 作:夏ノ雪
◆◇◆◇◆◇
とある家。
「いいいいいたい。死ぬ~~~~~わらわの生命力があああああああ」
悲鳴を上げる男。
彼の名は、材木座 義輝。
総武高校2年C組所属。鏡をかけ常にコートを羽織っており、一見中年サラリーマンの風貌をした青年。中二病全開の「イタい」人間であり、同じぼっち臭のする俺を親友だと認識している。
そんな彼を見つめているのが俺。
比企谷八幡。総武高校2年F組。
幼少時からずっと友達ができず、周囲からは存在を軽んじられたり、上っ面だけの優しさに裏切られたりしたなどの経験から幾多のトラウマを抱え、現在では友達を作ることを諦め「ぼっち」であることを誇りにさえしている。いわばぼっちの玄人。
俺は材木座を見る。
とくに怪我は見当たらない。
「さっき由比ヶ浜の回復魔法を受けたろ。それにほんのちょっと腕から血が出ただけだ。そんなに痛がるなよ。見ろ、怪我は完治している」
「ぬぬぬううう。ものすっごく怖かったんだからな。わし・・・もう、本当、死ぬかと思った。お主、筋肉隆々の兵士たちに囲まれたことがないからそんなことがいえるのじゃ。それに、あの『奈落のロータス』っておっさん。むちゃくちゃ怖かったんだから。あんなヤバそうな奴、われが生きてきた人生で出会ったことないぞ」
「別に大丈夫だろ。転移魔法が使える戸塚が傍にいたんだから。それ程危険はないはずだ・・・・・って、なんで俺だけに話すんだよ。ここには他の奴もいるだろ」
そういって八幡は部屋を見待たす。
部屋には、八幡、材木座、戸塚、雪ノ下、由比ヶ浜。
戸塚 彩加。俺のクラスメイト。
性別は男だが、小柄で腕も腰も脚も細く肌も抜けるように白く可愛らしい顔にソプラノの声と、外見も立ち居振る舞いも儚げな可愛い美少女にしか見えない。テニス部部長で俺のマイエンジェル。
雪ノ下 雪乃。俺が食している奉仕部の部長。
学力テストでは常に学年1位。運動でも楽器等でも大抵のことは3日でそれなりに修得できるという努力という概念を忘れさせる完璧超人。
流れるような黒髪に大人びている顔立ちの美少女であり、白いラインが入った黒のニーソックスを履いている。
由比ヶ浜 結衣。俺のクラスメイトで俺と同じ奉仕部員。
緩くウェーブのかかった肩までの明るい茶髪・短いスカート・胸元のボタンを3つほど外したブラウスにクロスストラップタイプのキャミソールといった、いかにも今風なギャルという外見の女子生徒。雪乃とは対照的で、童顔で、身長は少し低く、胸は大きい。
ギャル風な見た目に反して、寧ろ空気を読んで周囲に合わせるタイプであり、アホの子でもある。
周りの面子は、俺と材木座のやりとりを遠巻きに見つめている。
材木座は小さな声で。
「せ、せっしゃは、お主意外とは少々しゃべりにくいのだ・・・」
「そ、そうか・・・・」
知ってたけど・・・。
大泣きしそうな材木座を突き離すことはできず、ただ抱きつかれるがままになる俺。
そんな俺達を見て、雪ノ下は飲んでいた紅茶を置く。
ここはとある町の宿の一室。
転生直後は街の外だったが、紆余曲折して今はここを拠点にしている。
「その『奈落のロータス』という人物だけれど、かなり有名らしいわよ」
「本当か?」
「ええ、先程、戸塚君と由比ヶ浜さんが酒場で情報を集めてきてくれたわ」
俺が二人を見ると。
「えへへ」
「な、なんか恥ずかしいよ」
顔を仄かに赤くする二人。
さすがこの二人。
コミュ力上段者。
この世界でも、その魅力で円滑なコミュケーションができるようだ。
俺とは違うな。
なんで俺はこの二人と友達なのだろうか。
いや、友達であってるよね?
俺の思い込みじゃなければいいけど。
「材木座君の話通り、『奈落のロータス』はダイヤモンド王国の、とある魔法騎士団団長。それも知名度は上位に入るらしいわ。随分前から活躍しているようで、隣国のここ、クローバー王国ですら知っている人が多いのだから、かなりの使い手でしょうね」
「見た事か、我の目にくるいわなかったわ!」
ちょっと元気になり、俺に叫ぶ材木座。
って、だから俺にだけいうなよ・・・。
でも、しょうがないか。
「人は努力しだいで変われる」とよく聞くが、それは嘘だ。
人はそんなに直ぐには変われない。
努力した結果、何も得られない事の方が多いのが現実だ。
その現実の中で折り合いをつけて生きていく。
とりあえず、今はこの現状に適応しよう。
「良く生きて戻ってこれたな」
「なに、われの実力ならぞうさもないこと。わらわの機転と潜在能力のおかげ」
「やはり魔道書の力はこの世界では大きいようだな」
「むふふ」
笑いだす材木座。
そして中空に魔道書を出す材木座。
「見よ、われの最高のブック」
俺はそれを見る。
材木座が所有しているのは、「道化師」の魔道書。
魔道書とは、魔力を持っており、それを行使できるレベルの人、すなわち魔法使い一人一人に与えられるアイテム。
各自自分の魔道書しか使用することができず、他人の魔道書は使用できない。
魔道書が魔法使いを選ぶ。
書に記載されている魔法式を詠唱することで、魔法を行使できる。
持ち主の成長に合わして魔道書も進化し、使用できる魔法が増えていく。
熟練してくると、無詠唱でも使用することが可能となる。
簡易な魔法は魔道書がなくとも使用することができるが、高位な魔法になると魔道書に頼ることが多くなる。もちろん個人差はある。
つまり、何が言いたいかというと、材木座は無事に帰ってこれたのは、材木座が優れていたわけではなく、魔道書が優れていたからだろう。
俺は材木座のに耳打ちする。
「おい、他の皆の目線がヤバイからちょっと落ち着いてくれ」
材木座は部屋を見渡す。
どんよりとした目でこちらを見ている他の三人。
小さな子供が漫画やアニメの真似をしてはしゃぐのはかわいいが、中年サラリーマン風の見た目の男がそれをやると・・・ごらんの通り。
材木座は本を終い、下を向く。
「な、なんじ。、もうちょっと早くいってくれれば」
「悪い、魔道書に気を取られていた」
シーンとなるその場。
その沈黙に耐えきれなかったのか、材木座が叫ぶ。
「というか、なぜそもそも危険な任務をわれがやっておるのじゃ?」
「それは何度もいったろ。魔道所(グリモワール)の適性だ。このなかで一番索敵に向いているのはお前だからだろ」
「むむ。それなら八幡。お主でも・・・・」
「それはだめよ」
意外な所からきた援護。
雪ノ下。
「残念だけど、比企谷君の能力はまだ使えないわ。それに・・・あまり知られたくないもの」
あの~雪ノ下さん。
それ、間接的に俺の能力がしょぼかったら率先して使うみたいなニュアンスになってるよ。やめようね、その言い方は。
「で、これからの事についてだけれど・・・・」
「分かってる。いくらか俺にも考えがある」
「そう」
「まず、現状を整理しよう」
俺は机の上に白い紙を置く。
「今俺たちがいるのはクローバー王国。
そして東に隣接するのがダイヤモンド王国。
クローバー王国は大きく三つの区域に分かれている。
王貴界 王族や貴族など上流階級が住む区域。
平界 商人や農民など、一般的な市民が住む地域。
恵外界 貧者や、魔力適性が低い者がおいやられる地域。
今俺達がいるのは恵外界のこの街。
ダイヤモンド王国とクローバー王国の国境付近にある。
一応クローバー王国領土」
俺は白い紙に説明をしながら図を書き足していく。
「この国の構造はいたってシンプル。魔法帝を頂点とし、その下に魔法師団を従えている。官僚などもいるが、実質的に権力をもっているのはこいつらだろう。この国では、魔法を使える者が優遇される。一般的に魔法使いは、魔道書(グリモワール)を基準に魔法を使うため、その本自体でも評価されることがある。簡単にいうと某RPGのような世界だな」
「幸い。俺たちは皆魔力があり、魔道書を使える。この点を有効活用するれば、この世界でいい暮らしができる。で、まず聞きたい。元の世界に戻りたいか?」
俺は皆を見る。
材木座は「ぬううう」といいながら天井を見ている。
由比ヶ浜は、頭をコテンと倒しながら考え込む。
戸塚はかわいい。
雪ノ下は紅茶のカップを見つめる。
「私は・・・・・戻りたいわ」
雪ノ下の声が部屋に響く。
「わ、わたしも・・やっぱ、戻りたい」
「僕も、戻りたいかな」
「せっしゃもでござる」
皆、表情は真剣だ。
「分かった。じゃあ、目的は現実世界に戻る事だ」
「待って、あなたはどうなの?あなたの魔道書があれば・・・」
雪ノ下が俺を見る。
俺は一瞬黙り込む。
この世界でなら、俺の魔道書があれば遊んで暮らせるだろう。
望めばハーレムだって築ける。
現実世界で叶えることができない願望も叶えることができるだろう。
でも、それで俺の心は満たされるのだろうか。
「俺は・・・・皆の意見に従う」
雪ノ下は小さく呟く
「そう・・・・あなたがいいのなら」
俺は再び皆を見る。
「元の世界に戻る。それが俺たちの目標。そう考えた場合、何をすべきか?」
「そうね。まずは元をたどった方がいいかもしれないわね。私達がどうやって召喚されたのかが分かれば、戻る方法も見つかるかもしれないわ」
「ゆきのんに賛成~」
「でも、僕たちが召喚された時、森の一カ所に召喚されただけで、周りにも誰もいなかったし、それらしき装置もなかったよ・・」
悩んでいる戸塚もかわいい。
抱きしめたい。
ここで自己アピールをしなければ。
「多分だが、俺は魔道書の力じゃないかと思ってる。召喚系の魔道書で、異世界からの人を呼び出せる奴がいるんじゃないかと」
「そうね。この世界なら、そう考える方が自然なのかもしれないわ」
「それで、まずはこの世界の魔道所や魔法使いに詳しくなることが重要だと思う。そうするうちに、元の世界に戻れる魔法が見つかるかもしれない」
俺は皆を見渡す。
「そうね、そうしよ。ヒッキーもゆきのんも頼りになるね」
「うんうん」
「せっしゃが、一番体をはっているのだが・・・・」
雪ノ下は紅茶を一口飲み、カップを置く。
「それじゃ、魔道書の塔に忍び込もう。あそこに何かあるかもしれない」
「そうね」
雪ノ下の手からカップが揺れ堕ち、床にあたりカップが破壊される。
「おい、ゆきの・・・」
っと、手を動かそうとするが、
あれ、おかしい?
体が思い通りに動かない。
他の皆も、誰一人動いていない。
ガタンとドアが開く音がする。
現れる男。
「これで大丈夫かな~。おじさん、ちょっと怖いんだけど」
「な、『奈落のロータス』・・・」」
材木座が呟く。
入ってきたのは、老練なオーラが漂う男。
癖のある黒髪を肩までたらし、胸に大きな傷跡。
材木座の言葉が確かであれば、これはまずい。
今はまだ・・・・
俺は戸塚を見る。
戸塚はすでに魔道書を出していた。
『空間系魔法 四方の転移陣(スクエア・トランステーション)』
その声が響き、俺たちの体は光に包まれていく。
そして部屋の中から消えていく。
主がいなくなった部屋を見渡すロータス。
「おじさんの弱体化魔法の中、集団転移・・・・おやおや、希少な空間魔法の使いの上に、若くして高位魔法とは・・・こりゃ、やっかいだね~おじさん怖いよ。泣いちゃうよ」
ロートスは、先程まで雪ノ下が座っていた椅子に座る。
そして、傍に控えている一人のローブ姿の男を見る。
「で、トレースはどうだい?」
「できませんでした。長髪黒髪の少女に妨害を受けました」
そういって、ローブの中の氷ついた手を見せる男。
「ほう、あの場でその対応・・・・・・。魔力を放出しっぱなしの素人と思えば・・・・高位魔法。彼ら、随分ちぐはぐしてるね~。ジェネレーションギャップ?」
◆◇◆◇◆◇
名前 魔道書名 MEMO
◆奉仕部グループ
比企谷 八幡 ?
雪ノ下 雪乃 ?
由比ヶ浜 結衣 ? 回復系
戸塚 彩加 ? 空間系
材木座 義輝 道化師 具現化系