魔法少女リリカルなのはvivid 強さの先にあるもの 作:猿山
それではどうぞ!
EXTRA:1 《出会いⅠ》
「え、俺とアインの出会い?」
強化合宿が終了して一週間が経過した。俺は現在、高町家にいる。なんでもアインとの親睦を兼ねて晩御飯をいただいている。メンバーは高町家の三人とリオちゃんとコロナちゃん、そしてノーヴェ。後は俺とアインの合計8人。今日やっているのは鍋パーティー。なんでも親睦を深めるなら鍋がいいらしい。
そんなこんな、みんなで鍋を楽しんでいた時にヴィヴィオちゃんに質問された。
「そういえばみんなに話したことなかったな」
「そうですね」
アインとの出会いか。もう懐かしい記憶だな。みんなの視線が集まった。それも期待の籠った目で。
「じゃあ……まかせたアイン!」
「ええ!わ、私ですか!?」
俺からアインに視線が移った。
「わ、わかりました。お話しします……」
◇◆◇◆◇◆
――あれは今から一年前のことです。
「ここが今日から私が暮らすところですか」
私は今日から実家を出て違うところに住むことにしました。覇王の悲願を達成するために此処に来た。本当ならご両親が住む場所を用意してくれると言っていましたがこれ以上私の我儘に振り回したくない。だから私はその提案を断った。そしてこのアパートで私は頑張っていくつもりです。私は新たな自分の部屋の中に入って行った。
部屋にはもう荷物が届いていた。段ボールにはちゃんと入っているものの名前が書いていた。衣服類。勉強道具や本。トレーニング道具やトレーニング道具。そしてトレーニング道具etc……。改めて考えてみると女の子らしさの欠片も感じませんね。
取り敢えず、荷物は後回しで先にご近所の方にご挨拶をしましょう。母上から頂いた名物の『ベルカまんじゅう』を。確か両隣に住人がいるらしい。私は一旦部屋を出た。
最初は左隣の方。表札には『キサラギ』と書かれている。随分と珍しい苗字だ。私インターホンを押した。押して数秒後に声が聞こえた。扉からは一人の男性が出て来た。
黒髪黒目の男性。身長は他の人に比べても高い方だと思う。彼は私の顔を見て優しい表情を向けた。
「君が新しく来た隣人さんだよね?はじめまして。ある程度は大家さんから聞いてるよ。その年で一人暮らしなんて偉いね」
どうやら彼は私のことをある程度聞いているらしい。
「はい。アインハルト・ストラトスです。今日からお世話になります。後、これをどうぞ」
そして私はお土産を渡した。彼はしっかりと受け取った。
「これはご丁寧に。困ったことがあったら頼っていいから」
私はお礼を言ってキサラギさんとお別れをした。隣人がいい人でよかった。よくアパートなどでは隣人との関係が上手くいかない場合が多いと聞いていたから安心した。次の人もいい人だといいな。
今度は私の部屋から右隣の方。表札には『エドワード』と書いている。私はインターホンを押した。……少ししても何も反応が無い。今は留守にしているのだろうか?私はもう一度押した。少ししてから扉が開いた。
「へ~い。俺に何か用です……か」
髪が薄くそして少し白くなっている。身長はそんなに大きくなくお腹が少々出ているあまり健康ではなさそうな人が出て来た。彼は私を見ると動きが止まった。どうしたのだろうか?
「あ、あの!今日から隣に引っ越してきたアインハルト・ストラトスです。今後ともよろしくお願いいたします。それと、よろしければこれをどうぞ」
私が挨拶をして少ししてから彼は反応した。そして私をじっくりを見てそして不気味な笑みを浮かべた。
「へ~え。そ~なんだ。俺はジェームズ・エドワードと言うんだ。よろしくね可愛いお嬢さん」
そして彼は私のお土産に手を伸ばした。しかし、彼はお土産を通り過ぎて私の手を掴んだ。いえ、掴んだというよりは私の手に彼の手が添えられた感じだった。そして手を味わうかのように撫でた。
「どうだい。これから俺の家でお茶でもしていかないかい?来たばっかりで不安だろ?安心してみんな誰でもそうさ。そんなときは心優しい隣人が支えになるさ。俺みたいな、ね?」
気持ち悪い。それが彼に抱いた感情だった。彼は私をじっとみているが私じゃないものを見ている感じがする。そしてさっきから見せてる不気味な笑み。その笑みに私は恐怖した。この人にはあまり関わらない方がいいと悟った。
「い、いえ。結構です。まだ用があるので失礼します」
私は彼から逃げるように部屋に入った。その時に見えたエドワードさんの顔はさっきよりも不気味だった。最初に会ったキサラギさんとは大違いだ。今後の生活に私は一物の不安を感じた。
◇◆◇◆◇◆
「エドワードさんのこと?」
学校帰り偶々寄った商店街でキサラギさんに会った。そういえばこの彼がここら辺の診療所で働いていると聞いた。キサラギさんには此処での生活について親身になって教えてくれた。おかげで不自由なく生活できている。ただ一つを覗いて。それがエドワードさんのことだ。
私が朝学校に行く時間になるとあの人は見計らったかのように部屋の前に立っていた。
『やあ、お嬢ちゃん。今日も可愛いね~』
『お、おはようございます』
私が挨拶をするとより一層不気味な笑顔を浮かべた。
『どうだい。俺が学校まで送っていくよ?』
『い、いえ。結構です!』
私は彼の下を逃げるように走った。彼と会う朝はとてもいい気分じゃない。時間をずらしてもまるで合わせたかのようにまた遭遇する。昨日せいだと思いたい……。
『お?ストラトスちゃん。おはよう』
『あ、おはようございます』
偶にキサラギさんと遭遇する日もある。彼の顔を見るとすごく安心する。その時のエドワードさんの表情からは笑みが消えていた。
『エドワードさんもおはようございます』
『……ふんッ』
そしてエドワードさんは自分の部屋に戻って行った。キサラギさんは苦笑いをした。
『あはは。嫌われてるな~俺』
そのままキサラギさんは階段を下りて行った。そんな光景が偶にあった。
「なんていうか、彼は俺に興味がないみたいだな。俺としては仲良くしたいけどな。同じアパートの住人だし」
キサラギさんは本当にいい人だ。私だったらもう関わりたくない。それが私の立場だとしても、彼の立場だとしても。キサラギさんは私の顔を覗き込んだ。
「何かあったのか?」
何かあったわけではない。だけど嫌な予感がしてならない。私は何も言えず黙り込んだ。するとキサラギさんの端末に通信が入った。
「はい。……え?はい、わかりました。すぐ行きます」
そしてキサラギさんは端末をしまった。
「ごめんストラトスちゃん。用事が出来た」
別に彼と帰る約束をしたわけではないのに。……本当に優しい人だ。キサラギさんは来た道を戻った。その前に彼は自分が持っていた紙袋から何かを取り出して私の前に持ってきた。
「これ。知り合いから貰ったメンチカツ。よかったら一つどう?」
「い、いえ!別に気にしなくていいですよ」
「そんなつもり無いんだけどな~。じゃあ、多いから一つもらってくれると助かる」
……ずるい。そんな言い方されたら頂くしかない。拒否してもきっと渡そうとしてくるだろう。私は手を伸ばした。そして彼は走って行った。
「あ、歩きながら食べるなよ!」
「し、しません!」
最近知ったけど、彼は意外に意地悪です。
END
中途半端になったけど今回は此処までになります。
それではみなさん。次回もリリカルマジカル頑張ります!
※章の数字を普通の数字に変えました。