魔法少女リリカルなのはvivid 強さの先にあるもの 作:猿山
それではどうぞ!
※2015年6月9日に更新
第1管理世界『ミッドチルダ』の首都『クラナガン』。その一角にある商店街。全体的に大きい商店街ではないのだが地域の人達からの信頼が厚い場所なのである。只今俺はそこを猛ダッシュしている。
朝。アインの機嫌直しや家事をしていたらいつもの通勤時間を過ぎており遅刻しそうなので走っている。商店街の朝は人が少ないため走っていても迷惑にはならない。
俺が走っていると一つの店から声が聞こえてきた。
「よう、『先生』さん。どうだい今日は生きのいい魚が手に入ったんだぜ」
彼は魚屋の店主であるマサさん。年齢の割に元気がよく祭りごとが大好きな自称、商店街のお祭り男。いつも素晴らしい魚をくれるので大助かりである。
「おはようございます、マサさん。すみませんが今日はアインとの約束があるのでまた今度お願いします」
「なんだ。すっかり嬢ちゃんの尻に敷かれてるじゃねえか」
嫌味ったらしい発言だがいつものこと(というか、アインの尻に敷かれているのはいつものこと)。俺は時間がないのでマサさんに一礼をしてまた走った。
マサさんの挨拶に気が付いたのか商店街の人達が次々と挨拶をしてくる。俺は走りながら挨拶を交わす。この光景もある意味、商店街の名物になっている。俺は一つの店、肉屋の前で止まった。
「おはよう、婆ちゃん!『アイツ』はもう行っちまったか?」
俺の声に反応して婆ちゃんがこちらを見た。彼女はこの商店街で一番付き合いが長い人である。俺が小さい時からお世話になっている。
「おはよう、ガイちゃん。あの子ならとっくに行ったよ」
あの子とは俺の仕事仲間のことである。相変わらず時間には正確な奴だな。
「ありがとう婆ちゃん。それじゃあ夕方にもう一度寄るからよろしく」
婆ちゃんは「はいよ」と言って手を振った。俺は肉屋から少し離れたところにある裏通りに入っていった。
裏通りの少し行った先に一つの診療所がある。『キサラギ診療所』。俺が先生と言われている理由がこれだ。
お世辞にも大きい診療所ではない。個人で立ち上げた診療所なので仕方ない。従業員は俺も含めて二人。正直言ってよく続くものである。まあ、それもこれも商店街の人達が居てくれたおかげである。俺は診療所の中に入っていった。
中には病院の独特の匂いである消毒の匂いが漂っている。時間的にはギリギリで奥の方に人の気配が感じる。きっとアイツが来ているのだろう。俺は奥の方に行き、そこにいた女性に挨拶をした。
「おはよう、『リンス』。相変わらず時間ピッタリだな」
「おはよう、ガイ。君は珍しく寝坊かい?」
俺に挨拶を返してくれた綺麗な銀髪の女性。『リインフォース』との仕事の時間がスタートする。
◇◆◇◆◇◆
彼女との出会いは奇妙であった。ある日いつも通り俺は診療所に向かった。すると診療所の前に一人の女性が倒れていた。
「ッッ!!君。大丈夫かい!!!」
俺はすぐに女性のもとに駆け寄り女性の体を起こした。そして俺はびっくりした。とてもこの世のものとは思えない綺麗な女性だったからだ。
腰あたりまで伸びている綺麗な銀髪。キメ細かい白い肌。そして何より体のラインをはっきりとさせている黒い服装。自己主張がすごい胸。……自己主張が半端ない巨乳ッッ!!
そんな痴じ、ゲフンゲフンッ!女性が倒れているなんて奇妙である。俺が様々な思考をしていると女性の口が動いた。俺は女性の唇に耳を近づけて絶句した。
「お、…お腹が空いた……」グウ~
……本当に奇妙な出会いである。
◇◆◇◆◇◆
「先程は大変迷惑をかけた」
「…その前に頬に付いているご飯粒を取ったらどうだ?」
女性は顔が真っ赤になり即座にご飯粒を取った。空腹だったらしく彼女に俺の弁当を分け与えた(見事に完食したけど)。……綺麗なのに色々と残念である。
「ゴホンッ!改めて、助けていただき感謝する」
「どういたしまして。それより、君は誰で、何であんな所で倒れていたんだ?」
俺の質問と共に彼女は深刻そうな顔をした。何か複雑な事情があるのだろうか?俺がそう考えていると、女性が口を開いた。
「じつは…」
彼女の名前はリインフォース。元々ある魔導書の管制人格らしい(今は違う)。ある事情で主の下を離れることになった。しかし、主と離れ離れになることを悔やんだリインフォースは消滅ではなく休眠(スリープ)モードになり、その間自分のバグを修復していたらしい。そして、修復を終えた彼女は主の元いた場所に行ったが居なかったらしい。そこで主を探すことにしたのだが……
「力尽き此処の前で倒れていたと」
「はい……」
正直言って馬鹿である。何処にいるかわからない人物を探すなんて無謀すぎる。しかし、コイツをこのまま放っておいたらどうなることやら。
彼女が言うにはこの世界に居るのはわかった。しかし、どこに居るのかまでは分からないらしい。何より
「今更、主に会っても迷惑だろうしな……」
沈んだ表情をするリインフォース。いやいや。此処まで来て迷惑もクソもないだろうに。どんだけネガティブなんだよ君は。しかし、どうしたものか。
俺は彼女の今後のことを考える。このまま放っておけないし。そして俺は閃いた。
「それじゃあ、此処で働くか?」
「はい?」
彼女は「何言っているのコイツ」と言いたそうな目をしている。やめて!ゾクゾクしちゃう!……なんか色々とごめんなさい。俺は変な考えをやめて真剣になる。
「なに。君の主がこの世界に居るなら君もこの世界に留まるべきだ。だったら衣食住に職が必要だろ?」
「しかし、それでは貴方に迷惑が「目の前で倒れていて、尚且つ人の弁当食っておいて今更迷惑もないだろ」はうッ!」
彼女は俯き考えている。そして決意したらしくこちらを向いた。その目には少し不安があったが彼女は決意したらしい。
「‥‥本当にいいのか?」
「おう!俺に任せておけ」
これが俺とリンス(リインフォースの略称)との出会い。そしてたった一人で始めた診療所に二人目の従業員が増えた瞬間だった。
◇◆◇◆◇◆
その後リンスは婆ちゃんの家に住んでいる。俺の家でもよかったのだが、それでは俺の理性が持たな、ゲフンゲフンッ!社会的に良くないので婆ちゃんに頼んだ。リンスは今でも主を探しているのだが未だ見つかっていない。それにしても
「‥‥フフフッ」
「?何を笑っているんだい」
リンスは俺が突然笑ったことに不思議がって首を傾げた。
「なに、昔のことを思い出してな。頬にいっぱいのご飯を詰め込んだお前の顔を思い出してな‥ははは!」
本当に可愛かったな、リスみたいで。するとリンスの顔は見る見る赤くなっていった。
「ッッ!な、何を思い出しているんだ馬鹿者」
するとリンスは俺の胸をポカポカと叩いてきた。その顔は彼女の瞳と同じく赤くなっていた。何この可愛い生き物は。本日二度目。リンスと戯れていると誰かの声が聞こえた。
「すみませ~~ん。先生さんいらっしゃいますか!」
どうやらお客さんが来たらしいな。このままでもよかったんだけどなあ~。
「ほら、リンス。お客が来たからまた後でな」
「う~~。後でもう一度問い詰めるからな」
これが俺、ガイ・キサラギの日常である。
余談だが。今日の晩御飯のハンバーグにアインは見ただけで分かるくらい喜んでくれた。
END
今までで一番文字数が多い回でした…。
それにしてもリンスは本当に可愛いな!
やめてくれ!俺にはアインがいるんだ!…だけど可愛いわ!
とても欲望に忠実な作者でした。
それではみなさん。次回もリリカルマジカル頑張ります!