俺ガイルSS やはり俺の球技大会は間違っている。   作:紅のとんかつ

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誤字とかありましたら指摘頂くと嬉しいです♪








その3 特訓は進み、チームは歩み出す。

 

 

 

 

 

 市運営体育館。

 

「という訳で一回戦の相手は葉山チームとなった」

 

 

 

 …………。

 

 休日である今日、俺たちはまた練習の為に体育館に集まった。寒々しい体育館が、俺の発表をうけ静寂で包まれる。

 

 

「いや~、まいったね(笑)」

 

「いや笑えないよとべっち……」

 

 

 ジト目で戸部を見る由比ヶ浜に続き俺もジト目。因みになぜこうなったのか、それは戸部が原因である。

 

 トーナメントで相手を決める際、本来ならばクジ引いた戸塚が見事シード権を獲得してたんだ。

 

 しかし戸部の奴が元々葉山チームと当たった文化部チームに交換してくれないか? と頼まれた。普通なら断る所だが、文化部チームが葉山チームと戦うのは無理と言い、仲良しで運動神経が良い戸部君ならと説得し、さらに嫌がるチーム相手するのも気が引けた葉山からも頼まれた物だから、戸部が笑顔で了解したのだった。

 

 話を聞いた雪ノ下はあきれ顔で、由比ヶ浜も戸塚も苦笑いだった。

 

 

「相手チームの情報は? 葉山君以外の」

 

「え? 大和と大岡と……」

 

 

 

 戸部を制止し、俺から雪ノ下が欲している方の情報を伝える。

 

 

「ラグビー部の大和と野球部の大岡。後は別クラスでバレー部○○とサッカー部○○だ」

 

「運動部のエース級が集まったわね。他のチームとのパワーバランスは大丈夫なのかしら?」

 

「好きな奴で組め方式でやったんだ。上位カーストが固まるに決まってる」

 

 

 現にチームによっては全員文化部とか酷い所もある。教師の気分のせいで憂うつなチームは多い事だろう。

 その中で俺たちは運良く運動部が半数を占め、まだ幾分マシだったにも関わらず今回の対戦表によって一気に不憫なチームへとなってしまった。しかも本来はその最悪は避けられていたにも関わらずだ。寝てしまっていた手前、俺からは文句は言えないが、なんで戸部、そんななんの特も無い条件飲み込んでしまったし。お陰で俺たちのチームは一気に沈みきった空気となった。

 

 

「いやでもさ! 山王倒した湘北みたいに、最強のチーム倒したら超燃えね?」

 

 

 暗くなる空気に耐えきれず立ち上がり発言する戸部。拳を振り上げ、俺たちの顔色を見渡した。

 

 

「いや、無理だろ……」

 

 強い弱いもあるが、何より問題なのは絶対的なヒーローである葉山が相手という事。

 

 引き立て役というレベルじゃない。

 葉山チームがシュートを決めれば喚声が上がり俺達が決めれば悲鳴が上がる。

 

 人気のある戸部や戸塚がいる以上ブーイング迄はいかないだろうがアウェイ感は凄まじいだろう。

 

 

「それにこっちはバスケ不得意な奴が二人もいるんだぞ。なあ材木座」

 

「ふむん。まずドリブルも出来ない……」

 

 前回来なかったから、今回は声をかけてないのだがそしたら何故か来た材木座。

 ジャージに指出しグローブ、ロングコートと謎な格好をしている。俺の言葉に腕を組んだままため息を一つ。

 

 そんな時、的外れなフォローが入った。

 

 

「いやザイモクザキ君山王の河田弟みたいで強そうっしょ!」

 

「いや違うだろ」

 

 

 

「うむ、我は誰かといえば流川である」

 

「それもねーよ」

 

 

 材木座すげぇな。起きながら寝言が言えるんだ。

 戸塚は俺たちの話に嬉しそうに入って来た。

 

 

「僕は赤木君が好きだな~」

 

「戸塚、意外にチョイスが渋っ!」

 

 

「は? ゴリ最高だろ。山王戦で昔思い出しながらチーム見て泣く所とかやべぇよな戸塚!」

 

 

「俺は花道がボールの為に机に突っ込んだ時とかその後の根性とか胸アツだったわ~」

 

「だからスラなんたらの話はいいって言ってるでしょう話を進めなさい」

 

 

 

 

 

 でも戸塚もスラムダンク読むんだな、趣味合いますね!

 新たなる戸塚との共通点に思わずテンションが上がる。自分の大好きな漫画を気になるあの子が好きなんだなんて言ってたら、それだけで物凄く嬉しいよね!

 そんな風に幸せを感じていたのについ会議を忘れてしまった為、雪ノ下に怒られる。なんだよ、雪ノ下も読めば良いのに。

 

 

「……とりあえず、正面からいっても勝てる訳が無いからな」

 

 

 本題に戻した所で会議が進むはずもない。何故なら俺たちは作戦だなんだを立てれるレベルでは無いからだ。そうなるとやれる事は決まってくる。

 

 

 

「……ひとまずやれる事をやりましょう。せっかく四人もいるのだからポジション分けをして、そのポジションでの練習。その後チームプレイの練習をやるわ」

 

 

 そして対戦チームが決まっての会議はとりあえず保留とし、雪ノ下の指示で各人ポジション練習に入る。練習の振り分けは雪ノ下が各人の能力や自己申告で分けていく。

 

 

 

 戸部には雪ノ下がマンツーマンで叩き込む。

 運動神経だけは良いが、考えてのプレイが苦手だった戸部は意外にも吸収が良く、教えれば教えただけ覚える。体で覚えるのは得意だとの事。ならばここは雪ノ下に一任した方が効率が良いだろう。

 材木座には戸塚が付きドリブルから教えている。戸塚も部長として後輩に指導している為、初心者に教えるのに向いていた。

 由比ヶ浜は皆のサポートの為、タオルや氷の準備を頑張っていてくれている。

 

 

 そして俺は中途半端に知識とドリブル技術があった為戸塚の指導対象から外れてしまい、誰かに教えるほど上手くも無かった為、雪ノ下から渡された個別メニューをひたすらこなす事になった。

 

 くそう……、材木座が羨ましい。

 こんな事なら由比ヶ浜に自慢気にドリブルを見せるんじゃなかった。

 

 仕方なく、1人で入りもしないシュート練習をしていた。これは学校では人目が気になって出来ないからな。

 

「いや~、意外に本気でやってるんですね」

 

 

 そして特訓でもぼっちを発揮する俺の前に、何故かいる奴から感心の声があがる。

 

 

「それで、なんでお前は来たんだよ」

 

 

 脇に座りながら冷やかしを入れる後輩に突っ込みをいれる。それを受けた後輩”一色いろは”はアハッと笑った。

 可愛らしく暖かそうな運動に適した服装でゴール下に立っている。

 

 

「いや暇だったから奉仕部に顔出してみたら、由比ヶ浜先輩からなんか球技大会の練習やってるとか聞いたんで~、先輩が練習とかマジウケる……、じゃなくて応援したくなったんですよ♪」

 

「冷やかしじゃねえか」

 

 

 練習を見られるのって、なんか凄い恥ずかしいんだぞ? 相手が異性なら尚更だし、相手が一色となってはさらに尚更だ。明日から何を弄られるか解ったものじゃない。

 

 一色に呆れながらシュートをほおる。

 ボールは宙を空振り、地面にバウンドした。

 

 

 

 そのボールを、一色は何も言わずに受け取り、投げ返してくれた。……まあボール拾いしてくれるんなら助かるけどさ。

 手伝いをさり気なくしてくれる一色に意外に思いながらも練習を続行する。現に投げたボールを返してくれる人が居るだけでとても効率的に練習が出来た。

 

 

「にしてもなんでこんな練習してるんですか?たかが球技大会にこんな努力先輩らしくないと思うんですけど」

 

 

 2球目を投げる。ボールは再びリングにかすりもせず地面にバウンドし、一色の方に飛んでいく。

 

 

「……依頼だ。それしか言えない。」

 

 一色からボールを受けとり、3球目。

 また外す。

 

「まあ戸部先輩がいる所見て、戸部先輩が海老名先輩にかっこ良い所見せたいって所ですかね~」

 

 

 何お前エスパーなの? 私エスパーですから!

 

 一色からワンバウンドでボールを受けとる。

 四球目。再び外れ一色の所に。

 

「当たりですか? まあ戸部先輩アピりまくってますもんね~。脈とか無さそうなのに」

 

 正解、とか言う訳にはいかない。

 しかし、やはり周りの目から見ても戸部がアピールしているのは解るのだろうな。

 

 でも誰も応援はしてくれなかったのだろう。

 葉山でさえ、海老名の事を考えて応援が出来ないんだから。

 そうして考えてみると戸部も大変だな。

 

 誰からもバカでお調子者な所だけしか求められないというのも。

 

 再びボールは外れ一色がキャッチ。

 

 

「……さっきから先輩のボール入りませんね。もしかして私からパスされたいが為わざとボール取らせてますか? やり方がコスいですごめんなさいまだ付き合えませんから今回は諦めて下さい」

 

 流れるように俺をフッってくれる一色。もう俺何回目か解らないなコイツにフラれた数……。

 

 ……しっかし本気でシュート、入らねぇ。やってみて始めて解る三井や神の凄さ。

 ただシュートしただけでもこんなに難しいのに、激しい試合の中でシュートをバシバシ決めるって、凄すぎだろ。体力的な問題やら敵の妨害やらあるのに。

 

 彼らの凄さを体感してしまい、感心してしまっていると、一色から俺のシュートについて指摘が入った。

 

 

「正直フォームとかマジキモいですよ。なんかビョーンって音とかしてそうでウケます。さっきから雪ノ下先輩見る度笑い堪えてますし」

 

 なんだと……?

 雪ノ下の方に目をやると何か?という風の顔をして、すぐ戸部の個人指導に戻っていった。

 いや俺と目があった時点でめちゃこっち見てたって事じゃねぇか。

 

 ゴールに目を戻すと一色がシュートを放つ。

 

 

 

 一色の放ったボールはなんと一発でリングをくぐっていった。

 

 なん……だと……?

 

 

「なんだ、簡単じゃないですか。あ、いや今はわざと外して難し~っとか言った方が先輩のポイント高いですかね?」

 

 

 小町みたいな事言いやがって。

 お前が俺のポイント稼いだって意味ねぇだろ。

 

 でも確かに今のはポイント下がったなマジで。

 俺の立場が無い。

 

 一色の投げたボールを拾いに行くと一色は戸部の方を見ながら小さく溜め息をつく。

 

 

「まあ戸部先輩も良い人なんですけどね~。恋愛対象にされにくい人ですよね」

 

 耳だけ向けながら俺は再びボールをシュート放つ。

 

 

「戸部先輩、面白い人だって言う娘はいても好きだ~って人見た事無いですね。軽いし」

 

 

「まあ、そうだろうな。お前から見てもそんな感じか?」

 

「私ですか? まあ戸部先輩の事は嫌いじゃないですよ~。頼めば大体なんでもやってくれますし。良い人ですね♪」

 

 お前それ”都合が”良い人じゃねぇの?

 それならお前の中で俺も良い人に分類されてそうで嫌だな。

 

 

 

 

 

「それに私の告白、手伝ってくれましたし、私個人としては力になってあげたいですけどね。結果が見えてても。」

 

 

「……わざわざ顔出したのはその為か?」

 

「……暇潰しですよ。ま、結局雪ノ下先輩が付きっきりで指導してるからいらなかったでしょうけど」

 

 

 球技大会は学校行事だ。

 なら生徒会だって少なからず仕事があるはずなのに、わざわざこうして練習に顔を出して手伝いをしてくれている。

 

 なんだコイツ、良い後輩じゃないか。

 

 

「……な、なんですかその温かい目。止めてください、そんな目で見られてもキモいだけですよ。フォームと一緒で」

 

 髪をクルクルさせながら目を反らす一色。

 何そんなに俺のフォームキモい?

 さっきから雪ノ下と由比ヶ浜の視線も気になるし、そんなにヤバイならシュートは出来ないなマジで。

 

 そんな話をしていると反対側のゴールから胸が熱くなる声の叫びが聞こえてきた。

 

 

「メテオ・ドライバー・シュートぉ!」

 

 

 

 見ると戸塚と材木座がシュート練習をしている。あっちも苦戦してるみたいだな。

 にしても材木座が技名叫ぶとなんか心地良いのがな……。あいつ本当声だけは良いな。胸をアツくさせる。

 

 そして俺もまたシュートを放つが見事に外れてしまった。

 

 

「……マジ勝ち目が見えねぇ」

 

 思わずため息が出る。

 大会当日、葉山チームの蹂躙ショーが始まると思うと本当憂うつだ。

 

 

「まあいいんじゃないですか? たかが球技大会、ですよ。」

 

 そういい、俺から受け取ったボールで再びシュートを決める一色。

 そうは言ってもな。確かに俺もそんな意識だったし、寧ろさっさと負けて終わりたいとすら思っていた。だが依頼として出されてしまっては、そんな風に適当には扱えない行事になってしまったんだ。本当、依頼じゃなかったら、学園の一イベントとしての参加だったらこんなに頑張る必要なんて無いのに。

 

 

 ……ない、のに。

 

 

 

 

 

 

「……そうか」

 

 俺は一色の言葉を受け、頭の中で愚痴っていて一つだけ、勝つ為に武器になりそうな物を見付けた気がした。

 

 

「どうしたんですか?先輩。一人でニヤニヤして。キモいですよリアルに」

 

「一色、ナイスアドバイスだぞ」

 

 そういうと一色に微笑みかけた。

 

 え? え? と一色がキョドっていたがほうっておいて、俺は策を練り始めた。

 

 人が強敵を乗り越えるのはいつだって策略と決まっている。

 

 

 

 俺達のチームの強みを並べる。

 

 

 戸部や城山、戸塚という余り物チームにしては優秀な手札。

 

 チームのブレイン兼監督に雪ノ下が付いた事。

 

 由比ヶ浜や一色という優しいサポーターの存在。

 

 

 

 そして最大の武器はこの”努力”だ。

 

 

 いや努力って大切だわ~。

 勝つ為の意思って奴が強みだわ~。

 

 

 

 揃いつつある手札を使い、葉山たちでは出来ない策をぶつけてどこまでやれるか。ヒーローに見せ付けてやろうと見付けた武器に思わず強気な態度になる。

 

 そして俺は不適に笑いシュートを放ったのだった。

 

 びょ~ん。

 

 

 

「だからフォームキモいですって」

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーー

 

 

 

 それから試合迄一週間、暇を作り練習を重ねる俺達。

 やっていたらやっていたなりに、それなりに上達をしていった。

 

 

 

「戸部君、相手を抜く練習なのに相手に気を使いすぎではないかしら? ファールするよりいいけど、それでは相手を抜けないわよ」

 

「い、いや雪ノ下さん相手に当たってくとかやばいっしょ! 女の子相手にとか本気出すとか……」

 

 バシッ。

 

「げっ! ボールが……」

 

「そんな事は私を止めてから言いなさい。優しいのでは無くてそれではヘタレよ」

 

 

「……oh」

 

 

 

 

 

 

 

 

 日曜日 体育の授業。

 

 

 材木座とドリブル練習。

 

 

 

「スパイラル・ステップ!」

 

 ドタドタっ!

 

「フハハッ! どうだ!我の突撃を止められまい!」

 

 

 自信まんまんでラグビーみたいにボールを抱え走る材木座。

 

 

 

「それトラベリングだから」

 

「トラベリング……? 技名に頂きだな」

 

 

 

 

 

 

 

 月曜日。

 

 由比ヶ浜の所に休憩で集まる俺と戸部。

 

 

 

 

「やべ、飲み物切らした。ヒキタニ君それ一口頂戴♪」

 

 

 両手を広げパタパタさせる戸部。

 何その動き、ウザいな。

 

「嫌だよ、自分で買ってこい。なんでリア充は飲み物の回し飲みとか普通に出来んの?」

 

「いいでしょ~! 一口貰うね!」

 

「あ、テメッ……」

 

 椅子に置いたドリンクケースを持ち上げ、飲み始める戸部。しかし”ウッ!”と目を広げ口を離した。

 

 

「甘っ!!!」

 

 

 

 

「ドリンクケースにMAXコーヒーは流石に無いよヒッキー……」

 

「あ? 疲労回復に良くてカフェインで頭もスッキリで、スポーツにめちゃ向いてるっての」

 

 

 マッカンの有用性が由比ヶ浜に伝わらず残念だ。

 

 

 ーーーーーーーーーー

 火曜日

 体力錬成中。

 一息付く戸塚に一色と由比ヶ浜がドリンクやらタオルやら渡す。

 

「どうぞ、タオルです戸塚先輩」

 

「あ、ありがとう一色さん!」

 

 首の回りを吹き、額にポンポンと汗を拭き取りふぅっと艶やかな息をつく。

 

 その姿を真剣な表情で見つめる一色と由比ヶ浜。

 

 

「……え、えぇと。どうしたの? 一色さん」

 

「戸塚先輩って、動作一つ一つが本当可愛いですよね……。見習います」

 

「うん。マジ女子力高いよね。しかも自然体でやるから凄いんだよ」

 

「え~!?」

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーー

 

 水曜日の体育館。

 

 雪ノ下の指導を受ける俺たち。

 

 

「比企谷君。パスを出す時はしっかり相手を見て出しなさい。だから変な所に飛ぶのよ」

 

「いや仙道みたいにフェイントをだな……」

 

「仙道君並みの技術が貴方にあったらやりなさい。貴方ごときが仙道君のマネとはおこがましいわよ」

 

 

 

 

 空中のボールを弾く戸部。

 

 

 

 

「ゴリ直伝! ハエタタキ!!」

 

 

「戸部君、今のはキャッチ出来たのではないの? 出来るならしっかりボールを保持する。出来ないなら可能なかぎり味方のいる方に飛ばしなさい。赤木君ならそうしてるわ。赤木君の台詞を借りるなら、それが出来ない以上ハエタタキをやるには10年早いわ」

 

 

 

 

 練習中不安になる戸塚。

 

「僕、ヒョロヒョロしてるから役に立てるか不安だなぁ」

 

「何を言っているのかしら。かの強豪の海南では才能も無くヒョロヒョロしてた神くんは内に秘めた闘志と練習量で見事レギュラーを取ったのよ? 見習いなさい」

 

 

 

 

 

 

「……雪ノ下、スラダン読んだな」

 

「うむ、あれはかなりハマってるな」

 

「正直俺らより詳しいよね、雪ノ下さん」

 

「ゆきのんが何言ってるかわかんないよ……」

 

 

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 木曜日

 練習の帰り コンビニの前で男だけで話。

 

 

「ヒキタニ君さ、俺の事たまにリア充言うけど、ヒキタニ君はもっとリア充してるよね」

 

「は? 何いってんだ俺位ぼっちを極めた奴いないっての」

 

 

 その一言に真顔の材木座。

 

「爆発しろ」

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

 

「爆発しろ」

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーー

 

 金曜日 

 再び体育館

 

 指導の合間の雪ノ下とサポーターの一色。

 

「ふぅ……」

 

「ゆきのんお疲れ様! スポドリいる?」

 

 

 由比ヶ浜から差し出されたドリンクケースを受け取り微笑み返す雪ノ下。

 

 

「ありがとう由比ヶ浜さん。それにしても、彼等も中々上達したわね」

 

「先輩のシュートは相変わらずキモいですけどね~」

 

「……ンフッ……」

 

「……!?」

 

 

 雪ノ下が急に顔を反らし顔を隠した。

 

 

 

「ゆ、ゆきのん今笑った?」

 

「何を言っているのかしら由比ヶ浜さん。私がそんな事でヘラヘラする訳が無いでしょう?」

 

 

 そんな事を言う雪ノ下にジト目を送る一色。

 ニヤリと悪そうな顔をすると、ボールを拾い雪ノ下の前で止まる。

 

 

「モノマネ、先輩のシュート」

 

 びょ~ん。

 

「ンフッ! ちょ、やめ、止めてよ一色さん! ウフフッ!」

 

「ゆきのんが笑ってる! 珍しい!」

 

 

 

 

 

 

「……なんか女子達楽しそうっしょ」

 

「ガールズトークかな? 微笑ましいね♪」

 

「……なんか馬鹿にされてる気がする。」

 

 

 

 

 

 ーーーーーーー

 土曜日、練習後。

 皆で体育館前の自販機のジュースで一服。

 

 

 

 

「んでさ、ヒキタニ君って結局誰が好きなん?」

 

「は? 何言ってんだよ」

 

 

 ワクワクしながら戸部が良く解らない質問をしてくる。

 

 由比ヶ浜←耳がダンボ

 

 雪ノ下 そわそわ。

 

 一色 じぃー。

 

 

「いやヒキタニ君誤魔化すの無いっしょ! 俺も言ったんだからさ!」

 

「アホか。お前は聞いてないけど言ってきたんだろうが」

 

 

「んじゃ今いる中で誰が一番可愛い? それ位教えてよ~!」

 

 

「戸塚」

 

 

「……え?」

 

「え?」

 

 

 

 

 

「「「…………。」」」

 

「もう八幡!」

 

 

「……女子が怖いのである」

 

 

 

 

 ーーーーーー

 

 日曜日。

 

 数々の練習を乗り越え、明日俺達は試合の日を迎える。

 

 今日の練習は明日に備え、最後の調整のみという事で軽めに終わった。そして解散となる予定だったが由比ヶ浜が明日の健闘を祈願してお昼は皆で食べようという提案を出してきた。明日の為というなら早く帰って休みたかったがなんと戸部が奢るというので喜んで参加させて貰う事にした。

 

 ノリで物を言う物じゃ無いぞ?

 もう撤回はさせないけどな。

 

 

「んじゃ何食べに行く? ステーキ?」

 

「せんぱい! 高い所行きましょ! 高い所!」

 

「俺の胃袋は宇宙だ……」

 

 

 奢りという単語に胸を踊らせる俺一色材木座。盛り上がりながら店を探す。

 

 

「ほ、ほどほどにしてちょ……」

 

「み、皆容赦無いね……」

 

「良い機会だから戸部君はノリで余計な事を言うのを気をつけるようにしなさい」

 

 

 色々意見が飛び交ったが最終的に天使、戸塚により吉○屋の牛丼(並)で手をうつ事に。

 

 しかし○野屋は大人数で話ながらとなると難しい。だからテイクアウトして部室で食べる事になった。流石に牛丼(並)だけでパーティだとアレなので女子組は近くのコンビニで何か買ってくると別れる。男四人、牛丼を買って合流場所で待機していると戸部が襟足をいじりながら材木座に話かけた。

 

「ザイモクザキ君にはまだお礼言ってなかったよね。なんてか、あんがとね? こんな事付き合わして」

 

「う、うぬ?」

 

 戸惑う材木座。上位カーストの人間にお礼言われると何故か焦るよな。そしてなぜか嬉しい気持ちがでかいものだ。

 だが、確かに材木座がこんな訓練に付き合うとか意外だったな。

 

「最初来なかったのに、何故かあれから休まず来たよな。材木座にしては真面目に」

 

「う、うむ。最初言われた時は正直面倒で休日バスケとか意味解らんとしか思わなかったのだがな。そんなのに参加するとかバカなの? と八幡を見下したまである。」

 

 お前……。しかも俺の口癖迄真似しやがって。

 

 

 

「正直面倒で堪らなかったのだが……、戸部某は我の小説を誉めてくれた。今まで、クラスの人気者どもは我の小説を奪い見ては皆の笑い者にして、黒板に張り出された時はリアル少し泣いた。正直戸部某に見られた時も、同じ事をする輩と決めつけていたのだが、戸部某は、励ましてくれた。その事を思い出したら何やら参加しない事に罪悪感が出てきてな……」

 

「材木座君……」

 

 コイツ正直だな。最初は忙しかったけどお前の為に参加した、とでも言っておけば良いのに。

 協力を仰がれて、何も抵抗も無く力を貸す奴もいる。それはとても良い奴なのだろうな。だが、材木座みたいに嫌で嫌で、正直一回サボって、でもそれでも協力を名乗り出るのも、それも”本当の優しさ”なのだと思う。

 

「ザイモクザキ君……マジありがとぉお!」

 

 戸部が材木座に飛び付きハグをした。

 

「うむ、戸部某ぃ!」

 

 ガシッ!

 

 う~ん、由比ヶ浜と雪ノ下がやるとユリユリしくて見目麗しいが、コイツ等がやるとキッツイ。

 

 正直、ドン引き。

 

 

 

「よっしゃ、ヒキタニ君! 戸塚! カモォン!」

 

 

 …………。

 

 すると戸部が片腕で材木座を抱えながら俺達に手を広げた。

 

 いやいやいやいやキッツイわマジで。

 何そこに飛び込めってのか?冗談でもキッツイって。すでに周囲の視線が痛々しい。

 

「うん! 戸部君! 材木座君!」

 

 まさかの戸塚が戸部達に飛び込む。

 戸塚ぁ! そんな、NTRなのかこれは!

 

 

 

 

 戸塚が戸部と肩を組み、俺に手を広げ、そして手を伸ばしながら、少し照れたように微笑みかけてきた。

 

 

 

「八幡……きて?」

 

 

 

 

 

 

 その時、俺の中の何かがガシャンと崩れ落ちる。

 

「行くぞぉ……!」

 

 ガシッ!

 

 そして男四人、円で抱き合った。

 

 

 

 チームヒキタニィ! イエイイエイ!

 イエェエエ!!!

 

 

 

 

 

 

 俺たちは輪になった。そして、外見だけでも心を一つにしていた。こんな事もたまには悪く無いな! (隣の戸塚を眺めながら)

 

 そしてその男達の包容を遠目で見つめて絶句している三人の女の子がいる事に俺達はまだ気付いてはいなかった。

 

「」←雪ノ下

 

「」←由比ヶ浜

 

「うっわぁ……」←ドン引き一色

 

 

 

 

 ーーーーーーーー

 

 部室

 

 コンビニで買ってきた菓子や飲み物、そして戸部の奢りの牛丼(並)を並べ、食事会が始まった。

 雪ノ下が手を合わせるとそれを見た由比ヶ浜も続いて手を合わせる。

 

 

「じゃとべっち! 頂きます!」

 

「頂きます」

 

「おう! 遠慮しないで食べてよ!」

 

 

 胸を叩き誇らしげにする戸部。

 

 

「牛丼(並)で遠慮も無いけどな(笑)」

 

「我足りないから別で特盛も頼んだ。フハハッ」

 

 

 各人牛丼を口に入れる。

 すると雪ノ下が目を見開き感嘆の声を上げた。

 

「……美味しい」

 

「ゆきのん吉野○初めて?」

 

 

「ええ。普段は行く事が無いから」

 

 

 まあ、確かにお前が牛丼屋に入って行く姿はちょっと想像出来ないな。

 すると戸部が自慢気にする。お前が凄い訳じゃないけどな。

 

 

 

「吉○屋はやばいっしょ! 美味くて早いし安いしで!」

 

「まあデートとかで言われたらヒきますけどね。先輩とかやりそうだから言っときます」

 

「なんでだよ○野屋最高だろ?」

 

 

 

 一色の心無い突っ込みに心からの疑問を返す。

 由比ヶ浜がハハッと苦笑い。

 

 

 

 

「その、美味しい、安いは解るのだけれど、早いとは何かしら?」

 

 

 雪ノ下の疑問に戸塚が笑顔で返事をする。

 

「注文してから来る迄だよ! 大体3分かからない位だよね♪」

 

「我は複数頼むからもっとかかるが、五分はかかった事無いな」

 

 

 戸塚と材木座の言葉に雪ノ下が驚いた。

 

「そんなに? スタッフが優秀なのかしら? こんなに美味しくてそんなに早くて安いなんて……にわかには信じられないわね」

 

「ゆ、ゆきのん凄い食い付きだね」

 

 

「私は松○派ですけどねー」

 

「吉野○食ってる時に別の派閥の名前出すとか……」

 

 一色をジト目で見る。

 

 

 そうして皆で○野屋談義をしながら食事をしていると、雪ノ下が箸を置き、ゆっくりと話を始めた。

 

「……今回の依頼は、新しい事を発見する事が多かったわ。この吉野○の味、スポーツのマネジメント、スラムダンクの素晴らしさ」

 

 

 皆も雪ノ下の話に皆耳を傾ける。

 一色だけ「スラムダンク?」と反応していた。

 

 おいおい一番大事な所はそこだからな。

 

 

「そして人にスポーツを教え、共にやる楽しさを知った。やって、良かったと思っているわ。皆、練習お疲れ様」

 

 雪ノ下が軽く頭を下げると俺達も下げる。

 流石部長、まとめ上手っすね。

 

 雪ノ下のまとめに戸部が拍手を初め、続いて由比ヶ浜が。しだいに皆で拍手をしていた。

 

 

 今まできつかったけど、こうしてると少しやって良かったと思えるから不思議だよな。

 大人が宴会やるのはこうやって纏めたいからなのかもしれないな。

 

「まだ終わって無いですけどね~。海老名先輩に格好良い所見せれるといいですね」

 

「それな。いや~、マジ明日緊張するわ~」

 

 

 戸部がアメリカドラマみたいに手を広げ、首をふる。戸塚が戸部を可愛く、可愛く励ます。

 

「大丈夫だよ! こんなに練習したんだから、明日は良い結果が出るよ!」

 

「そうとは限らないわ。それに結果を出しても海老名さんに何も届かないかもしれないもの」

 

 

 雪ノ下の言う通り、運動会で活躍してモテるのはせいぜい小学校迄だ。だが戸部は決意したように立ち上がる。

 

 

 

「……確かに、海老名さんは何も思わないかもだけど、行動しなきゃそれも変わんないままだし、諦める理由にはなんないっしょ!」

 

「とべっち! とべっちにしては良い事言った! そうだよね!たとえどんなに反応無くたって、止まってなんかいられないよね!」

 

 だべ?だべ?と返し調子に乗る戸部。

 ドや顔やめろ。

 

 

 

 ……嫌な予感が甦る。

 その予感を確かめる為、一つ質問をしておくか。

 

 

 

「戸部」

 

 戸部は今牛丼を食い終えたようで空を置いた。

 ん? ときょとんとする戸部翔。

 

 

「明日は葉山を止めれるか?」

 

 

 俺からの言葉に戸部は固まった。

 菓子を口に運ぶ手が止まる。

 

 

「お、俺? いや、隼人君はいくらなんでも無理っしょ!」

 

 

 いやいや! と冗談でも言われたような態度で手を振る戸部。その姿に雪ノ下がため息ながらに釘を刺した。

 

「何を言っているのかしら。城山君は見てないから解らないけど、今チーム一番の戦力は貴方なのだから、守備になったら葉山君に当たるに決まってるでしょう」

 

「い、いや~、でも隼人君は……」

 

 雪ノ下から言われた事で、どうやら冗談の類ではないことをようやく察した戸部は無理アピールを始める。はっきり無理とは言わず、態度でアピールを。

 

 この反応は予想通りだ。

 だが色んな意味で、お前は葉山とぶつからなければならない。ここで下がられちゃ困るんだよ。

 

 

「確かに葉山君は凄いけど、戸部君だって負けてないよ!」

 

「そうだよ! あんなにめちゃ頑張ったんだから出来るよ!」

 

 

 皆から励まされる戸部。しかし顔色は変わらずいや~、いや~、と唸り続ける。

 その戸部に俺からも大きい釘を刺しておいた。

 

 

「今のうちに負けてもいいように、そうやって予防線はるな」

 

「うっ……。いやヒキタニ君厳しいわ~」

 

「大丈夫よ。貴方、誰に鍛えて貰ったと思ってるの?ちゃんと教えた通りやれれば、それなりに効果はあるはずだわ」

 

 

 

 師匠雪ノ下に言われ、困ったように苦笑いを浮かべた後、やむなく戸部は頷いた。

 

 

「……よっしゃ! 了解、やるだけやってやるっしょ!」

 

 

 そういうと再び立ち上がりお茶を一気する。

 宴会じゃねぇんだからそのノリやめろ。

 

 

 ……しかし、まあ。戸部の葉山に対する反応でなんとなく俺の嫌な予感は当たる事を確信した。

 

 

 

 

「……浮かない顔ね」

 

 

 皆が騒ぐ中、雪ノ下と由比ヶ浜が心配そうに見ていた。

 

 

「……まぁな。どうやら一番の敵は葉山じゃないみたいでね」

 

「それってどういう事?」

 

「……ま、もしもの時はなんとかするさ」

 

 俺の言葉に由比ヶ浜も雪ノ下も表情を堅くする。

 

 

 

 

「……なんとかって、どうするの?」

 

「いつも通り、最低の方法だ」

 

 

 心配そうな由比ヶ浜に苦笑いで笑い返す。

 そして雪ノ下は厳しい眼差しで俺を見つめていた。

 

 

「……また貴方はあのようなやり方をするつもり?それではまた……」

 

「大丈夫だろ。今回はお前らも、あいつ等もいるしな……」

 

 

 今回は一人じゃない。雪ノ下や由比ヶ浜、一色やチームメイトまでいる。こんなに作業を分担出来る奴がいるんなら、俺のやり方だってフォローは効くだろ。

 

 

 

 

 

 

 ……などと考えていると、俺は自分が口にした言葉に違和感を覚えた。俺、今何を言った?

 

 おそるおそる、二人を見ると二人とも目を丸くして俺を見つめていた。

 

「ま、待て、今の無し……」

 

 みるみる顔が熱くなるのを感じる。二人から目を逸らして腕を突き出した。

 

 

 

「ヒッキーらしくない! アハハっ!」

 

 

 俺の誤魔化しも聞かず、元気一杯に笑う由比ヶ浜にクスクス笑う雪ノ下。

 

 ぐぉおお……。また俺のいらない黒歴史が刻まれた!

 

 見れば他の奴等もニヤニヤして見ていた。き、聞かれたぁ?

 すると一色と材木座がキリッとした顔で物真似してきやがった。

 

「今回はお前らも、あいつ等もいるからな! キリッ!」

 

「あいつ等もいるからな! ドヤッ!」

 

「おい馬鹿マジやめろ止めてくださいお願いします」

 

 

 頭を抱えて悶える。

 こ、コイツ等ぁ~!

 

 

「いやぁヒキタニ君マジ熱いわ~!」

 

 

「うぜっ」

 

 

「俺にだけ辛辣っ!」

 

 

 皆してゲラゲラ笑いやがって……、クソッ。

 

 

「本当、忘れてくれ頼むから……」

 

「嫌よ。忘れないわ」

 

 

 クスクス笑いながら雪ノ下は髪を払う。

 

「……忘れないわ」

 

 

 ……ケッ。

 

 

 

 

 

 明日俺達の球技大会が始まる。

 本当、青春っぽい事やると録な事がない。

 

 

 

 

 続く

 

 

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