アンケートの結果、簪もヒロインに加えることにしました。
シャルですがシャルは少し特別なポジションで関わらせていきます。
のちのち出てくるモブ陣も同じような感じです。
色々と思う方もいらっしゃると思いますが、もう決定したことなので、引き続き、この作品をよろしくお願いします。
「阿呆め、何2人仲良くやられている。チームプレーはどうした?本来お前らの機体は相性がいいはずだが?ん?」
…ものっすごい勢いで山田先生1人に負けた鈴とセシリアを煽る織斑先生。俺との試合を目前にテンションが上がっているのか?
まあ無いとは思うが、もしそうならこちらのテンションも上がるというものだ。仮にも代表候補生である2人を1人で完封した山田先生が尊敬する織斑先生、その人の力を知れるというのは何と言うか、色々と楽しみである。
「…さて、前菜は終わりだ。」
「…お、…織斑、先生…」
「…わた…くし達が……前菜というのは…どういうこと…ですの?」
「そのままの意味だ。…では今日のメインディッシュといくか。」
「あのぅ…織斑先生、メインディッシュは一般生徒の訓練機の機動ですよ?」
「……そうだったな。では、凰とオルコットは食前酒と言ったところか、…これからメインディッシュだ。」
織斑先生ェ…教師として授業内容を忘れてはいけないでしょ。
でもこれで分かったことがある。
――織斑千冬は戦闘狂である。
「さあ、…入学試験だ。布仏兄。ラファールで良いんだな?」
「えぇ。…織斑先生は打鉄ですか。」
視線が合う。織斑先生は今か今かと待ちきれないほど楽しみにしているようだ。…さて、俺も真剣にやるか。いつまでも無様な姿は見せられん。楯無や本音、簪と姉ちゃんにも面目が立たん。
「では、これより布仏神無くんの入学試験を行います。試験官は織斑千冬、審判は私、山田麻耶で行います。…両者ISを展開してください。」
山田先生の掛け声で俺と織斑先生はISを展開する。他の生徒は先程の模擬戦よりもやや離れたところから見学している。一夏と鈴とセシリアに箒、ティナや本音など見知った人物が最前線を埋めている。
「なお、両者の武装は近接ブレード一本のみとしております。…まあ結果に関わらず布仏くんは入学が決定してるので好きに戦ってください。」
緊張感もくそもない一言だが、その言葉で俺と織斑先生の顔に笑みが浮かぶ。
「それでは…入学試験………始め!!」
試合が始まった瞬間と共に――――
俺と織斑先生は消えた。
◇
「「ふっ!!!」」
2人の声と共に甲高いブレード音が地上500mから鳴り響く。
初撃は引き分け、全くの五分五分。打ち合わせをしたかのような一撃だった。
つばぜり合いから離れ、先に距離を取ったのは神無だった。だが千冬がそうはさせない。瞬時加速を使い、再びブレードを振るう。が、それも神無が受け止め、再度つばぜり合いとなる。
「どうした布仏、そんなものか?」
「いやいや、まだまだ様子見ってとこでしょ?」
互いに開放回線を使い会話する。2人のその顔にはさっきの言葉から分かる通り、余裕が見られる。
「…そうかそうか…、はははっ、流石だな布仏。…いや、今ここでは神無と呼ばせてもらおうか!いいぞ!もっとだ!私を楽しませてみろ!」
「俺もこんな楽しいのは久しぶりです。やっぱり対人戦は燃えますね。…では様子見は終わりですか?行きますよ…千冬さんっ!!」
瞬時加速で神無は一瞬で千冬から離れ、急上昇したかと思えば直ぐに急下降し、千冬に斬りかかる。その速度はハイパーセンサーを持ってしても確実に捉えきれるかどうか、と聞かれたら曖昧にしてしまう程の速さだったり
しかし千冬も伊達に世界最強を名乗った訳ではなく、神無の攻撃を僅か後ろに下がるだけで回避する。
「ぜあっ!」
「ちっ!」
そんな千冬を神無は追撃する。突き、逆袈裟、袈裟斬り、右胴、左肩…と、狙い続ける。
「くっ……凄ま…じい、な…」
「相手が織斑先生でも負けたくないんで…ね!」
語尾に気合いを入れると同時にフェイクを織り交ぜた蹴りを上から叩きつける。物凄いスピードで地面に落ちていく千冬だったが…
「流石だ神無。…打鉄とラファールという縛りが無ければもっと楽しい戦いになっただろうがな。」
「それは嘆いても仕方無いですよ。」
何事も無かったかのようにふわりと浮いて着地する。その後、後を追うかのように神無もゆっくりと地面に降り立つ。
この戦闘は僅か十数秒の間に行われていることで、その一手が全て常人には捉えきれないスピードであり、
「……………え?」
といったティナのようにぽかんとする生徒が続出するのも頷ける。周りの大半の生徒が口をだらしなく開けている中、2人は何もなかったかのように話し始める。
「神無、文句無しの合格だ。くそぅ…もう少し時間を分けてくれてもいいだろうがっ。…8割ほどでいったんだがな…手こずった。やるな。」
「そう言ってもらえると嬉しいです、ま、俺もまだまだやり足りないっていうのはあるんですけどね。」
「言うな。私もまだ不完全燃焼なんだ。次は生身でやるか?それならいつでも、そして本来のお互いの力でやり合える。」
「ええ、千冬さんは剣でしたか?」
「あぁ。…お前は…」
「俺は剣もですが槍、薙刀、トンファー、素手、弓なども使えますが…一番強いのは棒を使った杖術です。」
「根本は同じだったか?…面白い、いつかは剣道場でやるか。」
「はい。では授業の再開を。」
いつまでもクラスメイト達がぼーっとしていても先生達困るしな、さっさと進めてもらわないと。訓練は効率よくやらねば。
「そうだな。…はぁ、これほど教師になったのを嫌と、そして嬉しく思ったのは初めてだ。…教師でなければ全力で戦えたが教師でなければ布仏に会えなかったか…っは!?切り替えねば、教師なら生徒は平等に扱わんとな。」
織斑先生が小声で何かをつぶやいたり、急に大声を出したりと、普段は全く見せない姿を見せる。…織斑先生、威厳が無くなりますよ?
「…無論その心配は無い。ただ今をもって布仏神無の入学試験を終了する。結果は合格だ。私の初撃を喰らわず、さらに有効打を先制で決めたのだからな。」
「ありがとうございます。」
さて、…そろそろ皆を現実に引き戻すか。
「私がやる。」
…え?
「…貴様ら。その空いた口を閉じろ。さもなくばISを背負って走れ。」
発言と同時に織斑先生から殺気が振り撒かれる。…まさか授業でストレス発散する気じゃないだろうなこの人!
◇
「…何なんだよ、今の……」
一夏は現実を受け止められないでいた。現在、姉と将来守りたいと思う神無が笑顔で会話している。その近くでは
鈴が――『うわぁ…アイツ候補生超えてるんじゃない?』と、
セシリアが――『…近接には近づけたくありませんわね。』と、
箒が――『千冬さんと同等の剣捌き…私もうかうかしていられんな。』と、
シャルルが――『…大丈夫かな、太刀打ち出来なさそう』と、
本音が――『流石お兄ちゃんだよ〜、…まだまだ本調子じゃなさそうだけど〜。』と、
まだ名も知らぬ金髪の子が『あぁ…神無くん…かっこいいなぁ…』と、
クラスの女子が――『やばくない?』『凄すぎ!』『速すぎて見えなかった…』『…惚れる。』『私濡れた』と、
皆がみな、神無を褒めた。…しかし、一夏は気に入らなかった。
「なんだよ…なんでいきなり千冬姉に並んでんだよ…」
ぽっと出の、さらにISの操縦時間なら圧倒的に自分が上回っているはずの相手が自分の姉に追いつき、さらに認められたことを。
確かに自分は神無を認めた。冷静な戦況把握能力、そしてブレードでビームを切断し、無人機を一突きで沈めた高い戦闘能力に、でも…
「早すぎるだろ……なんでだよ…なんでそんな直ぐ強くなれるんだよ…」
一夏の拳に力が入る。…一夏は神無が特殊すぎる環境に生まれ、訓練してきたのを知らない。
だが、もしどんなことがあったとしても、自分の姉にISに乗って数時間の男が追いついてほしくないと思っていた。
だからこそ――
「…っち、千冬姉!!なんで手を抜いたんだよ!?」
口をが出てしまった。
「…織斑先生だと何度言えば分かる。…手を抜くだと?同じ訓練機でだ。お前も布仏の強さは理解しただろう。手を抜いている暇なんて一瞬たりとも無かったが?」
「…ちふっ…お、織斑先生はもっと強いはずだ!…神無に負けるはずが…!」
「布仏と私の強さは似ている…いや、全く同じと言ってもいいだろう。…何故か分かるか?織斑。」
――分からない。何故自分の姉ともう一人の男性操縦者の強さが同じなのか。
「分からなければ『誰かを守る』など一生無理だぞ?」
「か、神無だってこの前は…っ!」
「その件は緘口令を敷いている。軽々と口に出すな。」
なぜだ、なぜ姉は神無に加担する…
「神無!お前何したんだ!?」
「は?…何って…映像見て慣らし運転しただけだが?」
「それだけで千冬姉に追いつけるわけないだろ!?」
一夏は現実を見ていない。…否、見れていない。あの一瞬の戦闘は事実なのだ。
「…後は知り合いに操縦のコツを教えてもらっただけだが?」
その知り合いとはもちろん、楯無、簪、本音、虚である。
「その知り合いに裏技かなんか教えてもらったんだろ!?それかそのラファールを改造して!!…その知り合いにズルい勝ち方とかも教えてもらったんだろ!?」
この時、一夏は言ってはいけないことを言ってしまった。
「……おい、俺の強さが気に食わねぇなら別にいい。お前なんざ気にならねぇしな。…だが…
更識楯無たちをそんな言い方されると流石に頭に来る。」
布仏神無は知っている。自分の家族たちがそんなことをするはずがないと。血以上の絆で繋がっているから分かる…というものだ。
「アイツはそんなことをしないし言わない。」
「それはお前が嘘をついてるから―」
「いい加減にしろ、織斑。」
熱くなった一夏を止めたのは姉の一言だった。
「で、でも!千冬姉は悔しくねぇのかよ!?」
「これは入学試験だ。生徒の実力を測るのが目的、それに私は負けてないし、悔しいもなにも無いだろう。…それにどちらかと言うと嬉しい、だ。久しぶりに本気で渡りあえる相手を見つけた。」
姉の言葉で止まった一夏だったが、それでもなおなぜ千冬が神無を評価するのか分からなかった。強さは認めているが、評価してほしくなかった。
故に―
「なら、俺も…俺も千冬姉を満足させられるようになる!」
「今のお前じゃ100%無理だ。…布仏とやって思い出したな。この感覚は。」
悔しさのあまり拳を強く握る。弟である自分を見ず、新たにライバルと定めた神無のことしか言葉にしない千冬に一言言いたかったが、今のままでは何を言っても返されると一夏は直感した。
そして…
「何なんだよ…神無…」
神無を友以外の何かとして見始めていた。
R-18の構造がどんどんできてきますぅ…
織斑一夏
刺されろ。