最初に出てきた疑問が最終話らへんに解決される、という事もあるかも知れません。
「……またかよ…」
布仏神無の朝は早い。朝4:30に目を覚まし、4:45からはもう訓練を開始する。だが始められない時もある。…それは
「……当たってるんだが……」
楯無が自分の腕にしがみついて寝ている時だ。以前許可した手前、離れろとは言えないが―
「やっぱまた何も着てねぇよ…朝からヤバイって…」
楯無が全裸の時は本気で困る。離そうにもどこを触れば良いのか分からない。さらに…
「…んぅ…真実……んっ…」
と言った具合に時々楯無が妖しい声を出すのだ。しかしなぜ神無ともあろう者が自分の腕に全裸で抱きつく主人を離せないかと言うと…
「やばいやばいやばい…こんなとこ姉ちゃん達に見られたら…どうしよ…」
彼は少し初だったりする。
◇
「…」
「…」
楯無がそんなことをした日の登校風景はいつもこうだ。沈黙。楯無は顔を真っ赤にし、対する神無もやや顔を赤くして目を合わせようとしない。
「じゃ、じゃあ2年生こっちだから…」
「お、おう…」
ぎこちなく2人は別れ、授業を受けに行く…
◇
「お、今日もちゃんと起きたんだな。偉いぞ本音。」
「てひひ〜、かんちゃんに起こしてもらったんだ〜。」
「……主人に起こされるメイドもどうかと思うけどな…」
朝教室に入ると最初に本音と会話をする。…その時の内容は決して楽しいものだけでなく、もちろん他の誰にも聞こえない声でだが、『仕事』に関する話をしたりもする。
「かんちゃんは〜『…本音が私を起こすのは嫌。…何かに負けた気がする』って言ってるんだよぉ。」
「…だからといって本音が簪に起こされなくてもいいんじゃないか?」
「…ぶー。」
「まあこれは2人の問題だから俺は口出しせんが…」
「…お兄ちゃんってどうやって早起きしてるの?」
本音の口調がいつもと変わる。変な所で真面目になってしまう妹に可愛らしさを感じながら…
「毎日早かったから自然にな。俺らの世代で唯一の男だったから、訓練とかも激しかったし。」
「…ごめんなさい…」
「謝らなくていいさ。…ゆっくり早起きしような?」
はーい、と返事をすると共に席に戻り、座る本音。座ったのとほぼ同じタイミングで織斑先生が教室に入ってくる。無駄なところで気配察知をしている本音であった。
◇
「おっすー」
放課後は生徒会室へ。現在の生徒会は―
「早かったわね。」生徒会長、更識楯無
「あぁ、今日はアリーナ使わないしな」副会長、布仏神無
「お疲れ様、紅茶が入りましたよ。」会計、布仏虚
「お兄ちゃん、私より遅いなんてどうしたの〜?」書記、布仏本音
「…今日はたまたま」会長補佐、更識簪
といった幼馴染みかつ従者&家族、15年(一人は13年)ずっと一緒にい続けた5人である。
「じゃ、ぱぱっと終わらせて帰りましょ。」
「はい、会長。これを…」
「神無に」
「ではこれは…」
「神無よ。」
虚が持って、楯無の前に置こうとした書類の束がどんどん神無の前に重なっていく…
「…多過ぎね?」
「最近肩凝っちゃってね、…ダメ?」
上目遣い&首傾げ&甘い声、更識楯無のこれで落ちない男などいない!…という云々に関わらず、最終的に『楯無による命令よ!』と理不尽極まりない行動を取られるので…
「分かったよ、やるよ。…部屋で揉もうか?」
「ふふっ、ありがと。よろしく頼むわね。」
「では私も。」
「私も〜」
「…同じく。」
楯無に優しくした途端に3人からの援護射撃により、神無の書類が一気に増える。…のだが…
「終わった〜…、じゃあ先帰るな。」
と、誰よりも早く仕事を終わらせ、帰るのだ。四人も別に神無が嫌いだから書類を増やした訳ではない。むしろその逆…
「むぅ…もっと一緒にいたかったのに…」
「仕事が終われば余計なことはせずに帰りますからね…」
「お姉ちゃんはまだいい…。…一緒の部屋なんだから…」
「…かんちゃんも乙女だね〜。…あれ?もしかしてかんちゃんと楯無お嬢様が義理の姉になるの?」
「ということは私の義理の妹ですか。」
好き故に、である。神無が出て行った後の会話の内容にツッコミを誰も入れないので止まらない。
「…複雑すぎない?」
「従者で師匠で幼馴染みで年下の真実と結婚したら従者で幼馴染みのはずの虚ちゃんが義理の姉で本音ちゃんが義理の妹、か…」
「…私は違和感無いけど…」
「お嬢様が義理の妹、ですか…複雑ですね。」
「そもそも振り向かせないとねー。」
本音の一言で下を向いてしまう2人と、苦笑いを浮かべる1人であった。
◇
「…んっ、そ、そこぉ……ぁんっ…」
「…わざとやってないか?」
放課後の約束通り、ベッドに楯無を横にして、肩だけでなく、全身マッサージを言い渡された神無は仕方なく従っていた。
「…なん、の……こと、かしら?…ひゃんっ!そこ…は、だめぇぇ…」
「お前のその声だよ……誰かに聞こえたらどうすんだよ。」
「誰に、聞かれてもいいじゃない……んんっ!」
声だけ聞けばアウトである。
「晩飯どうする?」
「…まだ、…まだやめちゃぃゃぁ…」
「……」
布仏神無、心を無にする。
◇
「なーにしてるの?」
「情報の整理だ。…本音や簪、姉ちゃんが居るような所ではできない、な。」
「…無茶しすぎないでね?」
「分かってるさ。よし、終わり。…てか」
キーボードとディスプレイを収納する。部屋に居るのが当主同士なので裏の仕事の会話もあるのだが、その姿勢が神無にとって問題なのだ。
「…なんで抱きついてんの?」
「今までそれだけ心配かけてるってことよ。」
キーボードを叩いている間、後ろから楯無が抱きついているのだ。
「その…だな…当たってるんだが。」
「…当ててんのよ。」
朝同様、みるみるうちに顔が赤くなる楯無。
「…寝るか。」
「…うん。」
それぞれ自分のベッドに入り、10:30、就寝。
これが布仏と更識の何人かの1日である。
「えいっ」
楯無にとってはまだおわっていないのだが
なぜ授業でテストをやるのかというコメントを貰いましたが、次の話で答えを書きます。