ありがとうございます!…流石はIS…
何なんだコイツは。俺が本音と戯れていたらいきなり話しかけてきやがった。感動の再会とまではいかないが血の繋がっていない他人が入っていい雰囲気では無いだろうが。ほら、周りの女子も引いてるぞ。…そして何故そんなにも目を輝かしている。……はぁ。
「…何のようだ?今俺は妹と家族としての話をしていたんだが。」
「そんなんいつでも出来るだろ?なあ、それよりほら!昼休みになったんだし、食堂行こうぜ!案内してやるよ!」
…
「…は?別にいいよ。俺本音と食うし、あと会いたい人も居るし、その人達と食う。」
「ならその人達も一緒食おうぜ!ほら!行こうぜ、神無!」
「断る。…さっきのは少し語弊があったな。会いたい人では無くて会わなきゃならない人に俺と本音だけが会いに行くんだ。お前は来るな。」
「べ、別にいいだろ!一緒に飯食うぐらい!男子2人だけなんだし、な?神無もキツいだろ?」
…コイツは言ってる意味を分かっているのだろうか。周りが女子だらけのこの空間で女子と居るのはキツいとかそんなこと言いまくってたら『関わらないで下さい』と言ってるのとほぼ同義だぞ?
「悪いが俺はそこまでキツくは無いんでな。というよりそんなこと考えるの周りに失礼だろ。それにこんなに可愛い子が多いんだ、キツいなんて言うなよ。」
「ま、まあそうだけど…」
「というより、ISを動かせたからこんなにも多くの人に出会えたんだ。俺はそう考えるがな。」
「…前向きだな。それより!」
…っち、まだ覚えてたか。うまいこと反らせたと思ったのに…ん?
「いい加減にしろ、一夏。お前は他人の事情も考えられんのか。」
「箒?なんだよ。飯食うのに事情もなんも無いだろ?」
「そう捉えるのはお前の勝手だ。だが布仏兄妹には事情があるんだ。それぐらい察しろ。それにさっきの転校生とやらに呼ばれているのだろう。私達だけでいくぞ。」
「うっ…、あ、あぁ…」
そう言って織斑を教室から連れ出したのは篠ノ之箒。ははぁん…
「あれが箒か…」
「?どうしたの〜?お兄ちゃん?」
「ん?いや、何でもない。…じゃ、行くか。」
「おぉー!」
教室を出て、廊下を数歩歩くと本音が背中に飛びついてきた。
「…どした?本音。」
「…肩車。」
昔から本音は甘えん坊だ。ちなみに簪も。二人の姉である楯無と姉ちゃんは家では仕事をしていることが多く、あまり二人との時間が作れていなかった。そのため、主に修行に励んだり、家の者の教育を行う俺が暇な時間を見つけて遊んでいたのだ。
…刀奈が当主になってから姉ちゃんもそっちばっかりで…。俺だって布仏当主なんだぞ!!
「はいよ。じゃ、どこ行けばいいんだ?」
「生徒会室だよぉ〜。」
「了解っと。」
本音を肩車しながら生徒会室を目指す。…周りの目が痛いが、ま、本音が良いならそれでいい。
◇
「……遅い。」
「ですね。全く…2年もまともに顔を合わせていないのに…」
私達、更識楯無と布仏虚はある人物を待っていた。
「まあIS学園が寮生活だから会える頻度が少なくなるのは分かるけど…家に帰る度にいないってどういうことよ…」
「先代様からの命令で世界中を旅していたらしいですよ。…最近ISに関することで厄介事が増えてるようで…」
なるほどね…『布仏神無』という名を付ける者は常に居る訳じゃない。『更識』『布仏』両家にて『最強』の『男』に付けられる名だからだ。両家で女しか産まれなかった場合は付けられないし、第一産まれても認められるための条件がキツすぎる。
一、『先代楯無と現楯無両名に実力を認められること。』
二、『古武術、更識流を極め、さらに他の何らかの武術を極め、我流の武術を完成させること。』
三、『どんな仕事でもこなす覚悟を示すこと。』
四、『神無で居る限り、楯無に忠誠を誓うこと。』
これらを満たしつつ、さらに『布仏』の血を継ぐ男に代々受け継がれる名前。それが『神無』。まあ他にもあるし、これがどれぐらいキツいかは置いといて、
「…申し訳ないわね。私達が皆して学園に入っちゃったから…」
「えぇ、弟には外交やら国内の問題解決の大半を任せてしまいましたから。」
もちろんそれらの全てには『裏の』が付く。本来国から更識に当てられている仕事は国防、またはある特定人物の護衛等。しかし、神無が居る時のみ、外交や違法組織の破壊、国の重要施設への不法侵入者の排除等を任される。それ程までに神無という存在は強いのだ。…もっとも、その強大すぎる力を抑え込むのも楯無の役目。どれだけ神無に仕事があろうとも、最優先されるのは楯無の護衛。
つまりは神無でいる限り、国や他の国を抑制する力を示せるが、楯無から見放されれば、ただの裏の人間。楯無の命令は神無にとって絶対なのだ。
まあそんな固いことは今は置いといて…
「ねぇ虚ちゃん。
「そろそろ来ると思いますよ。本音から連れてくる、と連絡がありましたし…」
視線を扉に向けると、まるで狙っていたかのように開いた。
◇
「よっ。久しぶり、姉ちゃん。…お久しぶりです、お嬢様。」
「えぇ、おかえりなさい。真実。」
そう微笑み返してくれるのは姉ちゃん。…あれ?
「ど、どうしました?お嬢様…」
楯無がジト目でこちらを睨んでくる。
「ねぇ、私のこと『お嬢様』とも『楯無様』とも呼ばないでって言わなかったかしら?」
「…………へ?」
え?そ、それだけ?…ぷっ…やべ、ちょっと笑える。
「な、何よ!笑うことないじゃない!」
「悪い悪い。…『楯無』、これでいいか?」
「うん、おかえりなさい、真実。」
「再びおかえり〜お兄ちゃん〜。」
「……おかえり。」
楯無、またまた本音、そして簪も俺を迎えてくれる…って!?
「か、簪!?」
「……何?」
「い、いや…何?じゃなくていつの間にいらっしゃったのでしょうか…」
「……さっき。…あと敬語は要らないよ?……従者が本職じゃないし。」
「いやまあそうだけど…」
びっくりするわ、いきなり隣に現れたら。…ん?なんだ皆してこっち見て。
「ねぇ真実?…何か忘れてない?」
「え?………あぁ。」
肝心なことを忘れていたな。
「ただいま、皆。」
◆
「それで?今まで主に何をしてたの?」
あれから時が流れ、放課後、私達5人はまた生徒会室に集まった。
「主に、か…。違法システムの開発やら行き過ぎた代表候補生への教育やらクローン実験やらの施設を潰したりやそれを見て見ぬふりしてた政府や企業に圧をかけたりしてた。」
「…『V.Tシステム』とかかしら?」
「あぁ、…まああくまで俺の推測に過ぎんがそれよりもちとヤバイのを開発してるところがあるらしくてな。…探してたんだが間に合わなかった。」
「そう。…それで、圧をかけた国や企業って言うのは?」
「まずはフランス。…あとアメリカとドイツとイタリアぐらいだな。…総理からも許可もらってるから今度何かあったら世界を変える。」
……え?ちょっと待って。
「そ、総理?世界を変えるって?どういうこと?真実。」
「どうもこうもねぇよ。…『女性優先法』で男どころか他にも虐げられてる奴がいるって情報を掴んだ。中々ヤバイらしくてな、国、企業ぐるみだ。上手くいけばそいつを餌にして世界中の『女性優先法』を廃止できるかもしれん。」
「おぉ〜、流石はお兄ちゃん〜。」
「流石は神無ですね。私達にできないことを平然とやってのける。」
「………憧れる。」
なるほどなるほど、やりたいことと言ってることは分かったけど…気になるのが1つ。
「『神無』、その情報どこから仕入れたの?」
「………それはまたいつか話す。今はまだ言えない。」
「…そう。」
彼の顔を見て判断できた。いつかは私達に話してくれる。…信じてるわ。
ふと、こんな重い話題から軽い話が彼の口から出た。
「なあ、そういや俺ってどこの部屋なんだ?」
「…ふふっ、それはお楽しみよ。…おっと、もう結構いい時間ね。それじゃ、今日はもうかいさーん!」
ふふっ、彼の表情が楽しみね!
◇
「同室者がほぼ楯無で確定な件について。」
あの微笑み方、そして姉ちゃん、本音、簪の表情。全てから推測したらそうなった。
「…もしかしてまた職権乱用か?…家でもここでもかよ…」
そんなことをぼやきながら部屋へと向かう。
「えぇっと、1050、1050は…っと、ここか。…居るな。」
居る。確信した。恐る恐るドアを開ける…
「あら、おかえりなさい。ご飯にします?お風呂にします?それとも、わ、た、し?」
…疲れてるわ俺。なんで一応御主人様の楯無のこんな格好…裸エプロンが見えてるんだ…、あぁ、幻覚か。
「…テンプレだが…、悲しいな。今の俺はお前を選びたいんだがな。立場が許してくれない。…ちょっと寝るわ。」
そう言って部屋の中に入る。後ろで何やらぁぅぁぅ言ってる楯無を無視してとりあえず手前のベッドにダイブする。
1話にして叩かれまくるワンサマー。…もうこれワンサマーアンチでいいんですかね…