嫌いだ───
嫌いだ───
私は───
私から大切な人を奪った───
プリキュアが───
嫌いだ───
○○○
目の前に立つは、山のように巨大で全てを焼き尽くす業火のごとき紅蓮の目を持つ『黒い何か』。
それに対峙するは一人の女性。
世界を守るために『黒い何か』と戦う彼女は、伝説の戦士『プリキュア』、名をキュアラベンダー。
ラベンダーの後ろには二人の男女が居る。
女性の方はラベンダーの親友であり、男性の方はラベンダーより五つ年上で‥‥‥ラベンダーの愛する人だ。
「‥‥‥‥」
女性は今にも泣きそうな表情で親友を見つめる。
「‥‥なんて顔してるのよ。大丈夫、これでも私、伝説の戦士ですから」
既にボロボロになっているラベンダーは、いつもと変わらぬ笑顔を親友に向け、その頭を撫でる。
「‥‥‥貴女になら二人を任せられる。二人をお願いね」
ラベンダーの言葉に、女性は大粒の涙を流しながら何度も頷く。
続いてラベンダーは女性の隣に居る、愛する男性に最後の言葉を伝えた。
「‥‥‥ずっと、一緒に居たかったです。白髪が生えても‥‥ヨボヨボのおばあちゃんになっても‥‥ずっと貴方と‥‥‥‥」
でも‥‥それはもう叶わない‥‥‥。
今から赴くは『最後の戦い』。命をかけた『最期の戦い』。
私は今から命をかけて、大好きな人達を、大好きな世界を守る‥‥‥!!
ラベンダーは最後に、男性が抱き抱えている小さな少女を見つめる‥‥。
少女はずっと、ラベンダーに向かって泣き叫んでいた。
少女の存在はラベンダーにとって、とてつもなく大きかった。それこそ、男性と比べられないほどに、少女への気持ちは大きくて大切で‥‥‥。
少女のこれからの未来に自分は居ないのだと、居てあげられないと思うと、ラベンダーの胸は張り裂けそうになり、悲しみの涙が溢れてくる‥‥‥。
「ごめんね‥‥‥」
もっと、色々言いたかった。
しかし、伝えたいことがありすぎてどう言葉にすれば良いのか分からない。
「大好き‥‥‥」
ラベンダーは少女の額にキスをする。そして───
「‥‥‥じゃあね」
最後に、涙を流しながらも精一杯の笑顔を向け、少女の額を人差し指で小突き、少女の意識を奪った。
男性の腕の中で意識を無くす少女。
「‥‥‥‥二人とも。まゆきの事、お願いね‥‥‥」
ラベンダーは涙を拭い、『黒い何か』へと振り向く。
パァァァァーー!!
ラベンダーの体が光り輝き、ラベンダーは両手を真上に掲げた。
「『プリキュア!!』」
腰を落としながら、掲げた両手を後ろへと降り下ろす。
「『ラベンダートルネード!!!』」
ラベンダーは空中を駆け、『黒い何か』へと突撃した。
『黒い何か』が口から赤黒い光線を放ち、ラベンダーと激突。
その際に起きた強烈な閃光が止むとそこには『黒い何か』も、そしてキュアラベンダーの姿も無くなっていた。
しばらくして、少女が目を覚ます。
居ない。
世界で一番大好きなあの人が居ない。
少女は叫ぶ。
ママーーーーーーーーーーー!!!!
それから数年の時が経ち、少女は14歳になった。