「う゛~‥‥‥あ゛~‥‥‥」
あ゛~‥‥‥ども‥‥‥。
星空さんのことを思い出して自己嫌悪の泥沼から脱け出せなくなって結局一睡も出来なかった夜星 まゆきッス‥‥。
「ね、眠い‥‥」
じゃあ寝れば良いじゃん、というわけにもいかない。遅刻、嫌だし。‥‥‥‥つーか、今朝は遅刻以上に避けなきゃいけないことがあるし‥‥。
「おはよ~‥‥‥」
「あっ‥‥‥まゆき、おはよ────うぉっ!?」
先に起きていたお母さんに挨拶をするも、お母さんは挨拶を返してくれたかと思いきや、何やら変な声出して驚いている。
「ちょっ‥‥‥ま、まゆき。あなた、ちゃんと寝た‥‥?」
お母さんの反応に納得。今の私、そんなにヒドい顔してるんだろうか?
「うわっ‥‥‥」
鏡を見て自分でも引いた。こりゃあ‥‥‥確かにヒドいわ。
「ど、どうしたの?」
「ははっ‥‥‥大丈夫大丈夫‥‥‥」
まぁ‥‥‥んなわきゃないんだけどね。
お母さんが既に焼いてくれていた食パンをくわえて玄関へ向かう。今朝は一刻も早く、それこそ誰にも会わない内に学校へ着きたかった。
「えっ?まゆき、もう行くの?」
「ほぉはほぉっほ、ふぁやふゅひふぃふぁひほぉ‥‥‥。ふぃっふぇひふぁ~ふぅ‥‥‥」
右良し、左良し、前良し。
いつもなら星空さん達と合流してしまう道で、私は周りを確認する。‥‥‥よしっ、姿は無し。
「早く行って、一眠───」
「やっぼしさーーーーん!!おっはよーーー!♪!」
(‥‥‥‥)
‥‥えぇ~~‥‥‥‥‥( ̄Д ̄Ⅲ)?
振り向けば、やってきたのは『みゆき』・『日野』・『緑川』の三人だ。
何故かみゆき、いつも以上にめっちゃ笑顔。
つーかみゆき‥‥。私はアンタに会いたくなくて早く出たのに、何でこうも早く出てきてんのよ‥‥?
「夜星さん、おっはよっ!」
「‥‥‥出てくんの、早くね?」
みゆきを無視して日野らに訊いてみる。
「ウチとなおは部活の朝練や。日直、今日はみゆきやで?」
‥‥‥おぅ。そうでごぜーやしたね‥‥orz
「ついでだから三人で一緒に、ってことになったんだけど‥‥‥‥‥夜星さんこそ早いね?」
「もしかして‥‥‥‥誰か会いたない奴が居て、早めに出てきたとか?‥‥‥なーんて、ま──」
ギクッ∑( ̄Д ̄Ⅲ)‥‥‥‥‥サッ(Ⅲ°―°)
「あっ、目そらしおった‥‥」
「そらしたね‥‥」
だって、目の前にそうしたい本人が居んだからしょうがないでしょうが‥‥!
で、そのご本人たるみゆきは‥‥‥、
「む~‥‥‥!」
あっ‥‥何ぞ、ご立腹な様子。
「‥‥夜星さん」
「な、何よ‥‥‥?」
「おはよう」
「‥‥‥‥‥‥‥‥はっ?」
「だ~か~ら~!おはよう!朝はちゃんと挨拶しなきゃ駄目なんだよ!?」
前にも聞いたような台詞だけど‥‥‥ど、どうしたんだ?
気のせいか、みゆきのしつこさがいつもと違った感じに思えるんだけど‥‥?
(‥‥まさかこの子‥‥‥)
いや‥‥‥‥‥まさか、ね‥‥‥。
(私のこと、思い出したなんて‥‥‥はははっ、ないない)
「む~‥‥‥!」
あっ‥‥‥これは面倒そうだぞ、多分。
どうすっかなぁ~‥‥‥。もう、いつも通りの無視、ってわけにも、なぁ~‥‥。
「みゆき、止めとき止めとき。言うたかてどうせ、いつも通りに無視されるんがオチやって」
あら、何故でしょう?日野の言葉がカチンッと来やがりましたよ?
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥オハヨウ」
「「「‥‥‥‥‥‥‥えっ?」」」
まるで珍獣を見るような目で驚かれたんだけど。それと、みゆき。自分から挨拶振っといて驚くな。
「‥‥‥な、何よ?」
「え、えっと‥‥‥夜星さん?今、何て‥‥‥」
おい、緑川。私が挨拶を返したのはそんなに変か?
「‥‥‥‥‥あ~~~、もう!お・は・よ・う!って言ったのよ!?何か文句ある?!」
「や、夜星さんが挨拶を返した‥‥‥!?‥‥槍か!?槍でも降るんか!?」
日~野~!そこまで言うことはないでしょうが!?
「や、夜星さんが‥‥挨拶してくれた‥‥!」
ん?みゆきが体を縮こませて───あっ、これ、来るな‥‥。
みゆきが起こす行動を読んだ私は、サッと体を横へズラす。
直後、私に飛び付こうとしたみゆきの腕が空を切った。
「‥‥あ、あれ?」
「‥‥‥‥」
「む~‥‥‥!?‥‥えいっ!」
再び来るが、これまたサッと避ける。
「やぁっ!」
「‥‥‥」
避ける。
「とぉっ!」
「‥‥‥」
避ける。
「そりゃっ!」
「‥‥‥はぁ~」
避けるのもキリがないので、最後はアイアンクローで止めた。
「‥‥‥しつこい」
「ぶ~‥‥だって、夜星さんがぁ~‥‥」
『夜星さん』、ねぇ~‥‥‥‥‥はぁ~。何だか、もういいやって感じがしてきた。
「‥‥‥‥まゆき」
「ほぇ?」
「はっ?」
「えっ?」
「苗字じゃなくて、名前で呼んで良いって言ってんのよ‥‥」
‥‥‥‥‥‥。
三人が私の言葉の意味をを理解するのに数秒の間が空く。
で、三人の中で真っ先に反応を見せたのがみゆきだ。
これでもかってくらい、嬉しそうな笑顔で私の名前を連呼する。
「わぁ~‥‥!うん、うんっ!まゆきちゃん、まゆきちゃん!」
飛び付いてくるみゆき。面倒なので今度は拒まない。
日野と緑川は余程信じられないのか、目を見開いている。
「‥‥‥何よ?人を珍獣見つけたような目で見んな」
「い、いや‥‥だって、ねぇ‥‥」
「今の夜星さん‥‥、まさに珍獣もんやで‥‥?本当にどないしたん‥‥?」
「別に‥‥。‥‥‥みゆきのしつこさに根負けしたってだけよ。‥‥それよりも、日野と緑川。アンタら、部活の朝練は?」
「へっ?‥‥うぉっ!?アカン!走るで、なお!」
「う、うん」
慌てて走る日野、それを追うように緑川も走っていく。ってか、あの二人、何気にみゆきを置いていったわね。
「‥‥星空?アンタも早く──」
「‥‥‥(¬ з ¬)」
何故かムスッとしてそっぽ向いてるんですけど。‥‥私、何かしたか?
「星空?」
「‥‥‥(ー ε ー)」
「ねぇ、星空ってば」
「(≧へ≦)」
えっと‥‥つまり、これはアレか?もしかしなくても‥‥‥ちゃんと名前を呼んでくれなきゃ返事しませんよ~、とか‥‥?
‥‥勘弁してよぉ。口に出してはまだ抵抗があるのに‥‥。
‥‥‥はぁ~。
「‥‥‥みゆき」
「うん♪何、まゆきちゃん!」
「アンタ、日直でしょ?さっさと先行きなさいよ」
「うん、分かってるよ。だからね──」
みゆきは私の手を掴み、
「まゆきちゃんも一緒に行こ!」
そのまま走り出した。
「ちょおっ!?私、日直でもなんでもないんだから、ゆっくり行かせ──」
抵抗の言葉は、過去の記憶に遮られる。
私の手を掴んで走るその姿が‥‥‥昔とダブって見えたから‥‥。
だから‥‥‥私の口からは自然とこの一言が出た‥‥。
「‥‥‥‥‥‥‥‥久しぶり」
私としては小声で言ったつもりだ、聞こえてないことを願おう。‥‥‥‥だって、恥ずかしいじゃん。
「ん~?まゆきちゃん、何か言った~?」
「‥‥‥何でもないわよ!」
─────
みゆき視点
─────
「‥‥‥‥‥‥‥‥久しぶり」
まゆきちゃんは多分、小さく言ったつもりだろう。でも、私の耳はまゆきちゃんの一言をしっかり捉えていた。
つまり、まゆきちゃんも私のことを思い出してくれたってことで間違いない。
嬉しさで思わず顔がニヤケそうだ。
でもわ私はそれをちょっと我慢して、あえて聞こえないフリをした。
「ん~?まゆきちゃん、何か言った~?」
「‥‥‥何でもないわよ!」
手は繋がれたまま、私の隣を走るまゆきちゃんは照れているようで、ほっぺたがほんのり赤かった。
(ふふふっ‥‥‥♪)
ほら‥‥♪やっぱり、ウルトラハッピーなことが起きた‥‥♪
もうすぐ!もうすぐ、まゆきちゃんが変身です!
さて、次回はまゆきちゃん達は誰も出番がありません。出てくるのは──。
次回投稿も、今週中には間に合わせます!