あと、UAが300を突破!ど、どこまで伸びるんでしょうか‥‥!
さて、今回は主人公の口から衝撃の一言が‥‥!
「最悪だ‥‥‥」
迷った。
新しい場所柄、当然ながらここの土地勘もなく、転校初日から迷うって何さ‥‥何かフラグでも立つっての‥‥?
いや、別に、新しい出会いとかを求めてる訳じゃないからさ、フラグなんて立つ必要ないんだよね。
「‥‥‥洒落になんない」
遅刻は嫌だなぁ‥‥道、誰かに訊こうにも人歩いてないし‥‥。
その時だった。
「ねぇ。あなた、どうかしたの?」
突然声をかけられる。
私は、『星空』と表札の出ている一軒の家の前で立ち止まっていた。
外に用でもあったのだろうか。出てきた女性は丁度、お母さんと同い年ぐらいに見える。
そうだな‥‥‥この人に道を訊いてみようか。
「あの、すいません。七色ヶ丘中学までの道を教えてほしいんですけど」
女性は親切に教えてくれた。何でも、娘さんも七色ヶ丘中学に通っているらしい。
道順も理解した。これなら何とか間に合いそうだ。
「ありがとうございました」
私は女性に一言お礼を言い、本当に遅刻になってしまわない為、七色ヶ丘中学まで走った。
結果として、遅刻にはならなかった。
学校へ着くと、まず職員室へ行き挨拶。
私が行くクラスは2年2組。
担任の先生の後について、私は教室へと向かった。
「それじゃあ、夜星さんはここで待っててね」
先生は教室の中へ入っていく。
『はいはい!皆、席に着いて~!今日は転校生を紹介します。じゃあ、入って』
先生が私を呼ぶ。
実は私、今回を含めて転校を三回経験している。
やっぱり、このドキドキすり瞬間は慣れないものだ‥‥。
「ふぅ~‥‥‥はぁ~‥‥‥」
私は軽く深呼吸をして、教室のドアを開けた。
中に入って、先生の隣に立つ。
先生が黒板に名前を書き、私に自己紹介を促す。
「‥‥夜星 まゆきです。七色ヶ丘には、父の仕事の都合で引っ越してきました。えっと‥‥趣味は、読書と軽く体を動かす事。‥‥‥以上、です」
私が自己紹介を終えると、
「え~?自己紹介、そんだけぇ~?なんや、こう、オチとかあらへんの~?」
自己紹介にオチって何だ、オチって。
声の主は、前髪に黄色いヘアピンを付け、オレンジ色の髪を後ろでちょっと束ねた女の子。
今のは関西弁か。大阪とかの出身かな?
(そうだな、アダ名は‥‥)
私の密かな楽しみは、他人にアダ名を付けること。
彼女は‥‥『お好み焼き少女』で良いか。何だか、お好み焼き作ってる姿が似合いそうだし。
「こ~ら、日野さん。そんな事言わないの。えっと‥‥誰か、夜星さんに質問とかある人居る?」
先生の言葉に、一人の女生徒が手を挙げる。
「はいはーい!」
うわっ‥‥何だ、あの子。髪型が瞬時にチョココロネを連想させたぞ?
髪の色が濃いピンクだし‥‥‥よしっ、『チョコピンク』だな。
「はい、星空さん」
ん?星空‥‥?そう言えば今朝、道を教えてくれたあの人の家も『星空』だったはず‥‥。
ここには娘さん通っているって言ってたし、顔も似てるから‥‥‥彼女がその娘さんかな?
「ねえねえ!夜星さんは、好きな絵本ってありますか?」
目をキラキラさせて‥‥相当、絵本が好きらしい。絵本なんて、私は小学生で卒業したけど、そうだなぁ、強いて言うなら。
「‥‥桃太郎、かな?」
他にも色んな質問があった。
黄色い髪の──黄瀬さんと呼ばれていた。アダ名は『クリームパン』。パッと見、髪型がそんな感じだったから──女の子からは、
「誰か好きなヒーローって居ますか?」なんて質問が。
女の子がヒーローとかってどうかと思わなくもないけど、まぁ、カッコイイよね、ヒーロー。
濃い緑色の髪の女の子、緑川さんと呼ばれていた子からは、
「何かやってるスポーツってある?サッカーだったら今度、一緒にやろうよ」と誘いを受けた。
そこは残念だけど、私はサッカーはやっていない。ある人の影響で合気道なら多少なりと心得がある。
あっ、因みに緑川さんのアダ名は『一直線』。イメージ的に、緑川さんは嘘や曲がった事が嫌いで、正面突破の直球が好きそうな感じがしたから。
濃い青髪の女の子には『委員長』と命名した。後で知った話だと、実際にクラスの委員長だとか。
名前は青木さん。青木さんからは、
「座右の銘なんてありますでしょうか?」という質問が。
座右の銘、ねぇ‥‥。申し訳無かったが特に無いと答えた。
他にも質問が出ていたけど、先生が時計を見て時間の事を考える。
「それじゃあ最後に一人、訊きたい事がある人。それで終わりにして授業にします」
再び同じ女生徒が手を挙げる。星空さんだ。
(それにしても‥‥‥)
今の所、誰からも『ある存在』に関しての質問は出てきていない。
私はホッと胸を撫で下ろす。
皆、良い人そうだし、これなら──
「あの!夜星さんはプリキュアって好きですか?」
(‥‥‥‥‥‥えっ?)
──プリ‥‥‥キュア‥‥‥?
今、星空さんは『プリキュア』と言ったか‥‥?
そんな‥‥‥まさか‥‥‥ここもなのか?ここも‥‥前の学校と同じだとでも言うのだろうか‥‥?
希望の女神は‥‥、そう簡単に微笑んではくれなかった‥‥。
星空さんから始まり、広まるプリキュア話。男女問わずの人気だった‥‥。
そうか‥‥‥やっぱり‥‥そうなのか‥‥‥。
どうしてこうも‥‥‥世界は私に優しくないのだろう‥‥‥?
「‥‥先生も、プリキュアって好きなんですか?」
横に居る先生に訊いてみた。
「えっ?えぇ、可愛いし、素敵じゃない」
はぁ~‥‥‥‥‥‥ここにも、希望は無し、っと‥‥‥。
私は小さく溜め息を吐き、星空さんの質問に答えた。
「‥‥‥私はプリキュアが──」
向けられる期待の眼差し。
「───嫌いです」
教室内の時間が止まった。そう感じるぐらいに、皆が静かになる‥‥。
「私はプリキュアが嫌いです。ですから、皆さんがプリキュア好きだというなら、私は皆さんと友達になる気は全くありません」
顔から感情を消し、冷たく言い放つ。
「‥‥‥先生、私の席は?」
「‥‥‥‥‥はっ!?えっ?あっ‥‥え、えっと‥‥窓際一番後ろに用意したからあそこに座って」
「はい‥‥‥」
用意された自分の席に向かい、座る。
「え、えっと‥‥そ、それじゃあ授業を始めまーす!」
この重い空気を何とかしたかったのだろう。わざとらしく、明るく言ってみせる先生。
さて。自分でもそうだという自覚はある。
私の挨拶は普通に考えて、『最悪』の部類に入る。
何せ、転校初日から『誰とも友達になりたくない』と宣言してしまったのだから。
その証拠に、休み時間になっても誰も私に寄ってこない。離れた所でひそひそ話をしている。
言いたい事があるならハッキリ言いやがれ。
まっ、あんな挨拶をした私に話し掛けてくる物好きなんて居るわ──
「ねぇ、夜星さん」
──マジか。居たよ、物好きが。
チョコピンクこと星空さんだ。
「‥‥‥何?」
星空さんに視線は向けない。
次の授業の準備をしながら、返事だけをする。
「あのね。良かったら学校を案内するけど、どうかな?」
何故、この子は私に普通に話し掛ける事が出来るのだろうか?
「‥‥‥別に、案内してくれなくて結構。一人でどうにかするから」
「そ、そう‥‥‥?」
冷たくあしらい、会話は終了。
挨拶の時もそうだけど、二度も拒絶をすれば──
「夜星さん」
──おい。
「夜ー星さん」
おいおい‥‥。
「夜星さーん」
おい、コラッ‥‥。
「夜星さん。良かったらお昼、一緒に食べようよ」
ちょっと待てーい‥‥。
何なんだ。星空さんは一体、何なんだ。
何で。彼女だけは私に対して普通なままなんだ?
「夜星さん、一緒に帰ろうよ」
放課後。
まだ数人の生徒が残る教室で、星空さんはやっぱり私の所に来た。
しっかり拒絶してるのにここまで来られると、あ~‥‥‥‥‥‥正直、凄っっくウザい。
「ねぇ、夜星さ──」
バンッ!!
机を叩き立ち上がる私に、何事かと視線が集まる。
「‥‥‥いい加減にしてほしいんだけど?」
「や‥‥夜星さん‥‥‥?」
「ハッキリ言わなきゃ分からない?じゃあ言ってあげる。迷惑なの、目障りなの」
「ご、ごめん‥‥。‥‥で、でも私は‥‥‥」
「私は、何?私には、あなたと友達になる気なんて無いんだけど?」
「‥‥‥あ~~~、もうっ!?夜星さん、アンタこそええ加減にしぃや!?」
星空さんを庇うように前に出てきたのは日野さんだった。
どうやらクラスの中で、星空さん・日野さん・黄瀬さん・緑川さん・青木さんの五人は特に仲が良いらしい。
まぁ~‥‥‥‥‥だから何だ、という話なんだけど。
「アンタこそ、今朝から何なんや!?ウチらと友達になる気が無いやとか!?ちったぁ、みゆきの気持ちも考えてやるとかあらへんのか!?」
「微塵も無い」
日野さんの言葉に私は即答する。
「なっ‥‥‥!?」
「プリキュア好きの気持ちなんて、私は考えたくない」
日野さんの後ろでは、我慢しながらも星空さんが泣きそうな顔になってるし、周りからの視線は私を非難するものへと変わり始めていた。
が、私はそれらを気にする事なく帰ろう──として、その歩みを青木さんに邪魔された。
「‥‥‥邪魔なんだけど?」
「‥‥‥‥‥」
委員長らしく、クラスの空気を悪く乱す奴は許せないってか?
(‥‥ん?)
しかし、どうもそうではないらしい。
青木さんの目は、私を非難するでも怒りをぶつけるでもなく、冷静に物事を見ようとする目だった。
「‥‥‥夜星さん、あなたはどうしてそんなにもプリキュアを嫌うのですか?私にはどうも、あなたがただ単に嫌っているとは思えないんです‥‥。何か理由があるような気がしてならないのですが‥‥‥」
へぇ~‥‥‥青木さんって、随分と鋭いんだ‥‥。
「‥‥そうね。あるわよ、理由なら」
「では‥‥、教えていただけませんか‥‥?あなたがプリキュアを嫌う理由を」
「‥‥‥聞いてどうするの?」
どうせ何も出来ないくせに、関わろうとするな‥‥。
「もしかしたら、何か力になれる事があるかもしれません」
「‥‥‥‥‥‥はっ?力になる?私の?」
そんな事を言われたのは初めてだ。初めてで‥‥‥何も知らないのにそんな事を言う青木さんが滑稽に見えて‥‥‥私はつい──吹き出してしまった。
「‥‥‥ぷっ!あははははっっ!!」
「‥‥何が可笑しいのでしょう?」
「あははははっ‥‥‥あ~、うん。分かった。そうね、理由は話すわ」
私は青木さんから星空さんへと視線を移し、
「‥‥‥理由を話したら、付きまとうのを止めてくれる?」
「ア、アンタなぁ~‥‥‥!?」
チラッと見たら、日野さんと同じように私を睨むめがちらほら。
(はぁ~‥‥‥)
心の中で落胆の溜め息を吐く。
少しでも期待した私が馬鹿だった。結局、何処であろうと何も変わらないのだ‥‥‥。
「‥‥‥うちね、三人家族なの。私とパパとお母さんの三人家族」
突然始まった家族話に、重く刺々しかった空気が一変。皆、キョトンとしている。
「でも‥‥今のお母さんは本当の母親じゃない。パパとは再婚で、私の本当のママの親友なのよ。本当のママはね‥‥‥私が小さい頃に死んでるの‥‥‥」
私の告白に皆が言葉を失う。だけど、これは皆が知りたい答えじゃない。
「‥‥ちょ、ちょお待ちぃや。ウチらが知りたいんは、アンタが何でプリキュアを嫌うかや。何で、アンタのオカンが死んだゆう話になんねん‥‥‥?」
「関係‥‥‥大有りだからよ‥‥‥」
さて‥‥‥。
「私のママは‥‥‥」
真実を話そうか‥‥‥。
「‥‥‥‥‥プリキュアに殺されたのよ」
すみません!この回はこんな感じで終わらせたいと思っていたら、5000文字近くにもなってしまいました!それでも読んでくれた方は、ありがとうございます!