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時間を遡る事、数分前・まゆき視点
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「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
そう長くない距離とはいえ、教室から全力で走るとやはり疲れてしまう。
私は呼吸を整え、数秒間、走ってきた道を見つめる。
「・・・・・・・・・・・・」
うん・・・・・・・・・どうやら、星空さんが追ってくる心配は無さそうだ。
「・・・ふぅ~・・・・・・」
あの子の頭の中には、『諦める』という言葉が無いんだろうか?・・・何か、無さそうな気がする。
「・・・・・・さて」
部活も委員もやってない私としては放課後に時間の余裕がある訳で、しかし、その時間の余裕を謳歌する事無く私は真っ直ぐ家に帰るつもりだ。
何故なら私には・・・・・・・・・・・・家に帰って時代劇の再放送を観るという使命があるから!
『この紋所が目に入らぬかー!』とか良いよね・・・・・・うん。
えっ?女の子で時代劇好きとか変?・・・うっさい。私は好きだからそれで良いの。
「・・・・・・あっ」
しまった・・・。
私は、ある事を思い出す。
「そう言えばお菓子、切らしてたんだった・・・」
お菓子とジュースを食べながら観る・・・・・・うん、至福の時。
「・・・時間は」
一応、録画はちゃんとしてある。けど、ちゃんと観てその後で録画したのをもう一度観る。・・・・・・うん、やっぱ至福の時。
「早くコンビニに行こ」
私はコンビニへと走った。
「いらっしゃーせー・・・」
入ると、男性店員のやる気の無さそ~な声がする。
ん~・・・、浪人ニートと見たね!?って、コンビニで働いてるって事はニート違うし、大体、私にはどうでも良い事じゃん。
おっ菓子、おっ菓子と。
「・・・・・・ん?」
お菓子コーナーに向かう途中で私は立ち止まり、雑誌コーナーの中から一冊の週刊誌を手に取ってページを捲った。
「・・・はぁ~・・・・・・」
手が止まったページの記事を見て、私の口からは溜め息しか出なかった。
=世界を救う為に闘う少女達!伝説の戦士プリキュア!!=
プリキュアの記事だ。
「はぁ~・・・・・・・・・」
くっだらない。何が『世界を救う為に闘う』だ・・・。人一人救えもしないくせに・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
記事に使われていた写真は以前、横浜で起きた事件の物。
フュージョンとかいうのを倒したんだっけ。
ニュースでもやってたけど、確かあの事件の時、新しいプリキュアが現れたとか出てなかったっけか?
記事には他にも、『彼女達の正体は一体!?』とか。・・・・・・はぁ~・・・、本当に・・・・・・どーーーーーでもいいわ。
「・・・・・・っと、いけない。早くしなきゃ」
私は雑誌を戻し、目的の物を買ってコンビニを出た。
七色ヶ丘に来て一ヶ月。
今となっては地形など把握し、迷うことも無くなっていた。
どの道を行けば近道になるとかは、知識として頭の中に入っている。
そして私は今、通れば近道となる七色ヶ丘公園に居る。
・・・・・・が。今回はどうにも、それが近道になりそうもないらしい。
(さ、叫んで人を呼んだ方が良いのかな・・・・・・?)
公園に入って、私の足は止まった。いや、止めざるを得なかった。
私の数m先に立つ人物。
パッと見、初見では性別の判断は難しい。身長から考えると・・・・・・男性ではないだろうか?
しかし、それはあくまで私の判断に基づく予想に過ぎず、こちらが結論付けるには視覚から得られる情報が少なかった。
何故なら。
その姿、頭を黒いフードで隠し、顔は見えない。体も黒いマントで覆い隠し、唯一見えるのは両足だけ。
私を待ち伏せていたかのように、私を見据えているように、そんな気がするのは私の気のせい・・・・・・であってほしい。
(・・・・・・・・・よしっ)
意を決して、私は歩く。気のせい気のせい、そう何度も心の中で呟きながら。
大丈夫大丈夫、そう何度も心の中で呟きながら。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
相手は微動だにしない。
(・・・・・・・・・・・・)
良かった。やっぱり、私の気のせいだった。
「・・・・・・夜星 まゆき、だな?」
横を通り過ぎる直前、私は自身の名前を突然呼ばれ、硬直してしまった。
「・・・・・・ひ、人違いじゃ──」
怪しい奴には正直に答える必要なんてない。走って逃げよう、咄嗟に浮かんだそれは──
「・・・貴様が持つ『ラベンダージュエル』を渡してもらおうか・・・」
実行できなかった。
『ラベンダージュエル』、その名を聞いて、私は心臓が止まる思いがした。
何で・・・?あり得ないあり得ないあり得ない・・・!全く見ず知らずの赤の他人がその存在を知っているなんてあり得ない・・・!
「・・・・・・ラベンダージュエル?何の事か分からないわね・・・」
「貴様が知らぬ筈はなかろう・・・。『キュアラベンダー』夜星 彗(やぼし すい)の娘、夜星 まゆきよ・・・」
っ!?!?!
「何・・・・・・で・・・・・・」
ヤバい、ヤバいヤバいヤバい、これは間違いなくヤバい・・・!?
逃げなきゃ・・・!逃げてでも、『ラベンダージュエル』は絶対に私が守らなきゃいけない・・・!
「ひ・・・・・・人違いよ・・・!?叫んで人を「『ローネス様は生きておられる』」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ?」
えっ・・・・・・・・・?こいつ・・・・・・今、何て言った・・・・・・?
「ローネス様は死んでなどいない。生きておられると言ったのだ」
その名前を、私は知っている・・・。・・・でも、二度と聞くことは無いと思っていた。
だから私は叫ぶ。
「う・・・嘘だっ!嘘だ嘘だ嘘だ嘘だっ!!!そんな筈無い!!『アレ』はママが倒したんだ!生きてるなんてあり得ない!!!」
そう、あり得ない。あり得ちゃいけない。そうじゃなきゃ、ママの死が・・・・・・。
「・・・ローネス様が生きていることは貴様の両親も知っているはずだ、訊いてみるといい」
えっ・・・?パパとお母さんが・・・知ってる・・・・・・?
「そんな・・・・・・何で・・・・・・」
私は力無く、その場に膝をついてしまう。
こいつの言ってることが嘘だって可能性もある。でも、今の私には明確な判断能力は失われていた。
何で・・・?どうして・・・?ママは命をかけて戦ったのに、相手は生きてて、しかもパパとお母さんはそれを知っているかもしれない・・・・・・。
もう・・・訳がわからない・・・・・・!?
「さて・・・・・・」
膝をついている私を、男は無理やり立たせる。
「もう一度言おう。ラベンダージュエルを渡せ」
「い、いや・・・・・・・・・!」
「アレは『ローネス様復活の為に』必要な物なのだ」
(えっ・・・・・・?)
あれ・・・?何かが変だ・・・。
さっき、間違いなく『生きている』と言った。
じゃあ何故、『復活の為に』なんて言うんだ・・・?『生きている』のに『復活』なんて意味が──
「・・・・・・封・・・・・・印・・・・・・」
「・・・ほぉ・・・・・・?」
「ママでも・・・倒せなかった・・・・・・・・・・・・でも、封印することは出来た・・・・・・!」
封印を解くためにラベンダージュエルが必要・・・・・・!?って事はつまり・・・・・・!?
私は自分の考えに確信を持ち、男の腕を払って距離を取った。
「ラベンダージュエルが奪われない限り、『アレ』の復活は無い・・・!」
だったら、私のするべき事は一つ!どのみち、それを心に誓ってきたから!
「ラベンダージュエルは絶対に渡さないっ!!死んでも私が守るっ!!」
「そうか。ならば・・・・・・」
ガッ!
「がはっ・・・!」
「死んでみるか?」
その動きに反応できなかった。
伸びる腕は異形、空けた距離は一瞬でゼロに、黒く染まっている異形の手が私の首を締め上げる。
「がはっ・・・・・・・・・あっ・・・・・・」
「これが最後だ。ラベンダージュエルを渡せ、渡せば命までは取らん」
「フザ・・・・・・け・・・・・・る・・・な・・・・・・!?」
「強情だな。貴様の命は今、ラベンダージュエル一つに左右されているのだぞ?それでも母親の形見を失うのがそんなに惜しいか?」
「当たり・・・・・・・・・前・・・・・・だ・・・・・・!?それに──」
ラベンダージュエルは私だけの大切な物じゃない。ママの事が大好きなパパにとっても那由多母さんにとっても、ラベンダージュエルは大切な物なんだ!だから私が守らなきゃいけないっ!!!
だから───!!!
「・・・だ・・・・・・れが・・・・・・・・・渡・・・・・・すか・・・・・・ば~・・・・・・か・・・・・・!!」
唾を吐き捨て、侮蔑の目で睨み、口角を上げ挑発的な笑みを浮かべた。
「はぁ~・・・・・・・・・・・・恨むなら、自分の強情さを恨むのだな」
私の首を締め上げる手に力が入る。
「あっ・・・・・・・・・・・・がっ・・・・・・・・・・・・」
本格的にヤバい。意識が遠退く。
そんな中、私は改めて思った・・・。
やっぱり、プリキュアなんてろくでもないんだ・・・。プリキュアに関わったから私はこんな終わり方をするんだ・・・。やっぱり、プリキュアなんて・・・・・・。
(ママ・・・・・・、ごめん・・・・・・。私も今・・・・・・、そっちに・・・・・・)
「夜星さんを、離してーーーー!!!!」
(えっ・・・・・・だ・・・れ・・・・・・?)
また失敗を(´Д`)前書き・後書きも書かずに投稿してしまいました(>_<)
さて、前編後書きにてUA500突破記念の番外編を製作中と書いたはずですが・・・・・・番外編考えてる間にUAが600突破700突破800突破して900突破もしてるし!?嬉しいですよ、ありがとうございます!