緋弾のアリア ~飛天の継承者~   作:ファルクラム

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第7話「フォーショット・ワンキル」

 

 

 

 

 

 

 

 細められた瞳。

 

 凄惨その物の殺気。

 

 ただ、人を喰い殺す為に現われたかのような姿。

 

 これが本当に、あの温厚で少女然とした少年なのか?

 

 見た人間は、10人が10人、そう思う事だろう。

 

 それほどまでに、今の緋村友哉は、普段とは隔絶した存在だった。

 

「は・・・・・・はは・・・・・・ハハハハハハ」

 

 気の抜けた笑い声をあげながら、黒笠は立ち上がる。

 

 友哉の一撃をくらったものの、彼女もまた真正の殺人鬼。この程度で沈むような存在ではない。

 

「そう・・・それが、あなたの本性って訳・・・・・・」

 

 言いながら肥前国忠吉を持ち上げて構える。

 

「良いわ・・・・・・」

 

 編笠の奥で、その瞳がギラリと光った。

 

「面白くなって来たじゃない!!」

 

 叫ぶと同時に、地を蹴った。

 

 一気に間合いを詰め、斬りかかる黒笠。

 

 しかし次の瞬間、友哉の姿は彼女の目の前にはいない。

 

 殆ど目視すら不可能な勢いで、友哉は回り込むように彼女の左側へと移動していた。

 

『速いッ!?』

 

 横薙ぎに振るわれる逆刃刀を、後退しながら回避する黒笠。

 

 先程と比べて、友哉の剣速は明らかに増している。

 

 それに、

 

 黒笠の振るう斬撃を逆刃刀で受け流しながら、友哉が放つ、壮絶と言って良い程の殺気。

 

 これは最早、武偵が放つような物ではない。

 

 それは間違いなく、彼女の同業者、即ち殺人鬼の、否、『人斬り』の放つ殺気と言って良い。

 

『こんな・・・・・・何でこんな奴が、武偵をしている!?』

 

 友哉の斬撃は、鋭く、速く黒笠に襲い掛かってくる。

 

 対して黒笠は、殆ど防戦一方だ。

 

 友哉は更に追撃を仕掛けるべく、踏み込んで来る。

 

「クッ、舐めるなよ、ガキが!!」

 

 対抗するように、間合いに入った友哉に対し、横薙ぎに斬りつける黒笠。

 

 刃は、友哉の胸元を掠める。

 

 防弾ジャケット、防弾Yシャツ、防弾Tシャツが切り裂かれ、友哉の胸元から鮮血が僅かに滲む。

 

 しかし、

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 友哉は視線を聊かも揺るがせる事無く、その冷めた眼光を黒笠へと向けている。

 

 ただキレているのではない。

 

 単にキレて暴れているだけならば、黒笠にとって物の数ではない。そのような敵は、一時的に燃え盛る炎のような強さを発揮するが、視界は却ってせばまり、容易に足元をすくう事ができる。

 

 しかし、目の前の少年はどうだろう。

 

 爆発的な力を発揮してはいるが、その瞳は鋭いまでの冷徹さを保っている。

 

『いったい・・・・・・こいつは何なんだ!?』

 

 チラッと、視線を、倒れている瑠香へとやった。

 

 あの小娘の死をトリガーにしたように、友哉は豹変したように見えた。

 

 何が・・・・・・

 

 一体、何が現れたと言うのか・・・・・・

 

 まるで数百年の亡霊が蘇ったかの如く、友哉は圧倒的な存在感で持ってその場に存在していた。

 

「クッ・・・・・・」

 

 黒笠は唇をかむ。

 

『落ち着け・・・・・・落ち着け、私。私は《黒笠》だぞ。東南アジア一帯を恐怖に陥れた殺人鬼。私の名前を聞けば誰もが恐れ、誰もが慄く存在だ。それを・・・・・・・』

 

 顔を上げる。

 

『それを、こんなガキ如きがッ!!』

 

 ギリッと、歯を噛み鳴らす。

 

 目の前の人物が何者であろうと、それを上回る力で当たれば何の問題もない。

 

 刃を目の前に掲げ、刃に映った己の目を見据える。

 

 切り札を切るなら、今しか無かった。

 

 同時に、気力を高め、眼光を鋭く放つ。

 

「我! 不敗! 也!」

 

 自らの眼光は自らの眼球へと映り込み、鋭く射抜いて行く。

 

「我! 無敵! 也!」

 

 眼球から入り込んだ眼光は脳に達し、中枢神経を鷲掴みにするような感覚と共に膨れ上がる。

 

 同時に、変化が起こった。

 

 黒笠の筋肉が、盛り上がり隆起していく。

 

 先程の小夜鳴からブラドに変化した時程ではないが、人間が自然に変化するレベルを越えている事だけは間違いなかった。

 

 そして、更に気を自分の眼へと送り込む。

 

「我・・・・・・最強也」

 

 言い終えると同時に、顔を上げ、友哉に向き直った。

 

 見れば、線の細かった女性の姿はそこには無く、女ボディビルダーと見まがわんばかりの隆々とした姿がそこにあった。

 

 これぞ、二階堂平法の奥の手。自らに強力な自己催眠を掛ける事によって、普段は眠っている潜在能力を100パーセント引き出す技。名を「影技・憑鬼の術」と言う。

 

「卑怯な技だと思うけど、あたしもこんな所で終わる気は無いの。だから、使わせてもらうわよ」

「・・・・・・好きにしろ」

 

 低い声で友哉は答える。

 

「どんな手品を使った所で、俺が貴様を地獄に叩き込む。その未来は絶対だ」

 

 普段と比べて、口調までもが豹変している友哉。

 

 対して黒笠も、ニヤリと笑って応じる。

 

「良いわよ。そうでなくちゃ・・・・・・」

 

 その手が、自らの編笠を取る。

 

「面白くないわ!!」

 

 叫ぶと同時に、笠を友哉めがけて投げつける。

 

 一瞬、遮られる友哉の視界。

 

 その瞬間を逃さず、黒笠は駆けた。

 

 逆刃刀で飛んで来た笠を振り払う友哉。

 

 そこへ、黒笠は斬り掛かった。

 

「ハァァァァァァ!!」

 

 放たれる一閃。

 

 その一撃を、友哉は僅かに体を傾けるだけで回避する。

 

 そして、高速で黒笠の背後に回り込もうとした。

 

 しかし、

 

「そこォ!!」

 

 既に友哉の動きに追い付いていた黒笠が、捻り込むように剣を一閃。友哉に斬りかかる。

 

「ッ!!」

 

 短く息を吐き、黒笠の攻撃を受け流す友哉。

 

 その勢いを利用して、一時後退を計る。

 

「逃がすか!!」

 

 逃すまいと斬り込む黒笠。

 

「誰が逃げるか」

 

 静かな声と共に、友哉もまた迎え撃つ。

 

 全力で振るった互いの剣が火花を散らし、両者とも僅かに後退する。

 

 更に一撃。

 

 続けて一撃。

 

 先程まで押されていた黒笠が、ほぼ友哉と互角の戦いを演じるようになっていた。

 

「あは・・・・・・」

 

 その口元に、黒笠は歪んだ笑みを刻む。

 

「アハハハハハハ、アハハハハハハ、楽しいわねェェェ!!」

「・・・・・・・・・・・・」

 

 友哉の剣を弾き返しながら、火が付いたように笑いながら剣を振るう。

 

 先程よりも重い一撃。

 

 友哉の体勢は崩れはしないものの、痺れるような感覚が掌に伝わって来た。

 

 これが影技・憑鬼の術の効果なのだろう。

 

 友哉は大きく後退し、刀を正眼に構えた。

 

 冷めきった瞳は、物言わず語る。

 

 それがどうしたと言うんだ?

 

 あいつは自分から大切な物を奪った。

 

 ならば、相応の地獄に叩き込まねばならなかった。

 

 

 

 

 

 膝を突く。

 

 這いずるようにして物影に隠れながら、茉莉は大きく息を吐いた。

 

 まさかエリザベートが、あのような攻撃を行うとは思っていなかった。

 

 無数の釘を超能力で操って飛ばす攻撃は、最早ショットガンの散弾と同じである。

 

 本当に、武偵校の防弾制服には感謝である。これを着ていなかったら、今頃は蜂の巣、否、エリザベートの言った通り、アイアンメイデンの拷問に掛けられたように、全身を刺し貫かれていただろう。

 

 とは言え、

 

 茉莉は、自分の右太ももに目をやる。

 

 流石に無傷とは行かず、防弾スカートから外れた太股に一発食らってしまった。

 

 他にも頬と額を釘が掠め、血が流れ出ている。

 

「・・・・・・うっ・・・・・・クゥッ!!」

 

 茉莉は歯を食いしばって目をつぶると、思い切って太ももから釘を引き抜いた。

 

 真っ白な太ももに、深紅の鮮血が一筋流れる。

 

 今は手当てをしている余裕はない。とにかく体勢を立て直さないと。

 

 そう思った時、

 

「こ、れ、で、ちょろちょろと動く事も出来なくなったでしょ」

 

 その声に、ハッと顔を上げる。

 

 そこには、エストックを振り翳したエリザベートの姿があった。

 

「ッ!?」

 

 その事に気付き、とっさに逃げようとする茉莉。

 

 しかし、僅かに遅い。

 

 エリザベートの剣は、怪我をした茉莉の右太股に突き刺さった。

 

「あァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 激痛と共に吐き出される茉莉の悲鳴。

 

 その様子を、エリザベートはうっとりとした表情で眺める。

 

「ああ、いいわぁ、ほんと。マツリ、あなた、悲鳴まで最高ね」

 

 そう言うと同時に、エストックをマツリの太ももから引き抜いた。

 

「アグッ!?」

 

 再び起こる激痛に、顔をしかめる茉莉。

 

 エリザベートは舌を伸ばし、エストックに付いた茉莉の血を舐め取る。

 

「ああ、美味しい。やっぱり、あたしの目に狂いは無かったわ。小夜鳴から1人貰って良いって言われた時、真っ先にあなたに目を付けたの。だって、あなたの血、とっても美味しそうだったんだもの」

 

 そう言うと、剣先に付着した血を、舐め取って行く。

 

「あなたの血を一滴残らず搾り取って、バスタブを満たし、それでお風呂に入れば、きっと気持ちいいでしょうね~ ああ、いっそ、他の娘もくれないかしら。どうせブラドが欲しいのはリュパン4世と遺伝子だけなんでしょうし」

「・・・・・・・・・・・・」

 

 茉莉は動かなくなった足で、必死にエリザベートの間合いから逃れようとするが、既に機動力を奪われた茉莉に逃れる術はない。

 

「さあ、もう逃げられないように、もう一本の足も潰しておきましょうかねえ」

 

 そう言ってエストックを振り翳すエリザベート。

 

 次の瞬間、

 

 強烈なライトが、真横からエリザベートに浴びせられた。

 

「なっ!?」

 

 突然の事に驚くエリザベート。

 

 そんな彼女を前にして、光を遮るように大柄な男が進み出た。

 

「東京地検特捜部の長谷川昭蔵だ。《鮮血の伯爵夫人》エリザベート・バートリ、神妙にしろ!!」

 

 野太い声と、圧倒的を通りすぎるほどの威圧感。

 

 日本最強を謳われる武装検事の1人、長谷川昭蔵はその鋭い瞳でエリザベートを睨みつける。

 

「クッ!?」

 

 その存在を脅威と感じ取ったのか、エリザベートは昭蔵へと向き直る。

 

 しかし、それよりも早く、昭蔵は動いていた。

 

「撃てェッ」

 

 短い号令。

 

 次の瞬間、背後に控えていた彼の部下達が、アサルトライフルによる一斉掃射をエリザベートに向けて放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 接近と同時に横薙ぎに振るわれる刃。

 

 神速の攻撃を、黒笠は後退しつつ回避。同時に、眼光は鋭く友哉を見据える。

 

「ハァァァァァァ!!」

 

 唐竹割りに近い一撃を、友哉は刀を盾にして受け止め押し返す。

 

 同時に、たたらを踏むように後退する黒笠の背後へ、友哉は高速で回り込む。

 

 しかし、その動きも、既に黒笠は捕えていた。

 

 背後から横薙ぎの一撃。

 

 しかし、命中直前に黒笠は刀を返し、友哉の剣を弾いた。

 

 攻撃失敗を悟り、後退しようとする友哉。

 

 しかし、それを逃すまいと、黒笠は体のひねりを効かせて大振りな一撃を加える。

 

「ッ!?」

 

 その攻撃を、刀を立てて防ぐ友哉。

 

 しかし、跳躍中であった為、足を踏ん張る事ができない。

 

「おらァァァァァァ!!」

 

 憑鬼の術を用いて得た膂力で、友哉の体を持ち上げて投げ飛ばす。

 

 友哉は大きく吹き飛ばされ、背後の壁に頭から叩きつけられる。

 

 そう思った瞬間、友哉は体勢を入れ替えて壁に「着地」する。

 

 勿論、そこで終わらない。

 

 叩きつけられた勢いのままに膝を撓め、エネルギーを貯め込んだ状態から一気に解放、砲弾の如く前方に向かって跳躍した。

 

「ぬおっ!?」

 

 殆ど飛翔に近い一撃。

 

 しかし、黒笠もさるもの、友哉のチャージアタックを、辛うじて刀でいなす事に成功した。

 

 友哉は床に着地すると、足裏で急ブレーキを掛けつつ停止、再び黒笠と向かい合った。

 

 互いに刀の切っ先を向け合って対峙する、友哉と黒笠。

 

 あれだけの攻防にも関わらず、両者とも息の乱れは無い。

 

 両者実力は伯仲、互いに一歩も引く構えを見せない。

 

 だが、物影の向こうでは、ブラドが暴れている音が尚も聞こえて来ている。そろそろお互い、決着と行きたい所だった。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 友哉は黙したまま、腰のホルダーから鞘を外し、刀を収めた。

 

「あん?」

 

 訝る黒笠を前にして、鞘を体に隠すように構え、腰を落とす。

 

 居合、抜刀術の構えだ。

 

 友哉は一撃必殺の技で持って、勝負を掛ける気なのだ。

 

 その姿を見て、黒笠は面白そうに笑った。

 

「へえ、そう言う事・・・・・・」

 

 抜刀術の利点は、刀の間合いを隠す事。そしてそこから「いつ刀を抜くか」と言うある種の心理戦を仕掛け、不意の抜刀の速度で相手を仕留める事にある。

 

 今の友哉の機動力を活かせば、神速の抜刀術が可能となる。

 

 読み間違いは死に繋がる。しかし抜刀術は第二撃を放つ事が難しい。

 

 一撃、

 

 それさえ回避できれば、黒笠の勝利は確定したような物である。

 

「良いわ、乗ってあげる」

 

 そう言うと、忠吉を八双に構える黒笠。

 

 両者、無言。

 

 時が止まったかのように、互いに動かないまま。

 

 稲光が、互いの横顔を照らし出す。

 

 次の瞬間、

 

 互いに地を蹴った。

 

「オォォォォォォォォォォォォ!!」

「ハァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 距離は一瞬でゼロと化す。

 

 友哉の刀が鞘走った。

 

 その速度、正に神速。

 

 しかし、

 

『見切った!!』

 

 黒笠は不敵に笑う。

 

 これまでの戦闘で、友哉の間合いはほぼ把握している。仮に抜刀術を使ってもそれは隠しきれない。ならば、後は抜刀のタイミングさえ逃さなければ、回避は難しくない。

 

 一閃

 

 しかし、友哉の剣は黒笠の鼻先を掠めるにとどまる。

 

 大振りは完全に回避された。

 

「貰ったわよ!!」

 

 無防備に立ち尽くす友哉に、刀を振りかざす黒笠。

 

 次の瞬間、

 

 双頭の龍はその鎌首を持ち上げて襲い掛かった。

 

 漆黒の一撃。

 

 バキィィィッッッッッッ

 

「がっ!?」

 

 激痛は、黒笠の右腕から発せられ、全身に伝播する。

 

 黒笠の右腕を襲い、容赦無くへし折った一撃、それは、

 

「鞘!?」

 

 友哉の左手に握られた漆塗りの鞘が、黒笠の右腕の肘関節を打ち砕いていた。

 

「飛天御剣流抜刀術、双龍閃」

 

 刀と鞘を使用した二段抜刀術。黒笠に間合いを見切られている事を読んでいた友哉は、更にその裏をかく戦術に出たのだ。

 

 そして、

 

 まだ終わらない。

 

 友哉は立ち尽くす黒笠を前に、鞘を投げ捨てると、中天高く飛び上がった。

 

「飛天御剣流・・・・・・」

 

 そのまま急降下、龍の顎を解放する。

 

「龍槌閃!!」

 

 狙うは左肩。

 

 一撃食らった黒笠の左肩は、鈍い音と共に粉砕された。

 

「がァァァァァァァァァァァァ!?」

 

 激痛と共に、床へ転がる黒笠。

 

 その姿を、友哉は冷めた瞳で見詰めていた。

 

 

 

 

 

 体中に無数の弾丸を受け、エリザベートは膝を付く。

 

 手を掲げ、その血に濡れた体を眺める。

 

「こ・・・・・・こんな・・・バカな・・・・・・」

 

 出生以来450年。数多の女性をその手に掛けて来た自分が、まさか彼女達と同じように体を穴だらけされるとは思ってもみなかった。

 

 吸血鬼には魔臓と言う人間には無い器官が4つ存在し、それが彼女達の弱点となっている。吸血鬼を倒すには、この弱点を同時に潰さないとならない。しかも、その魔臓は吸血鬼1人1人位置が違う上に小さい為、発見は困難である。

 

 が、

 

 全身にくまなく銃弾を浴びせられたエリザベートにとって、もはや魔臓の位置がどこであろうと大した問題ではなかった。

 

 しかも、

 

「クッ・・・・・・この薄汚い、どぶの様な匂いは、まさか、法化銀弾(ホーリー)ッ!?」

 

 法化銀弾とは純銀で被膜した弾丸の事で、神社や教会等の高位の僧侶がまじないを掛け、対超能力者用に特化させた弾丸である。

 

 いかに物質を操る事ができるエリザベートでも、法化銀弾が相手では分が悪かった。

 

「特殊部隊員5人分、マガジン1本30発。計150発の法化銀弾だ。少々高く付いたが、世界に3体しか確認されていない吸血鬼の1体を倒せるって言うなら、そう悪い買い物じゃなかったな」

 

 そう言うと、昭蔵は日本刀を携えてエリザベートに歩み寄った。

 

 エリザベートは全身を穴だらけにされ床に座り込みながら、それでも貴族として最後のプライドなのか、倒れるのを拒否して昭蔵を睨みつけている。

 

「ふ・・・フンッ・・・極東の猿にしては、なかなかやるわね」

 

 尚も強がって見せるエリザベートに、昭蔵は感心したように見詰める。

 

「ほう、法化銀弾をそんだけ浴びて、まだ動けるのか。大したもんだな。吸血鬼ってのも」

「な、なめないでよね、下等生物如きが・・・・・・こ、この程度で、このあたしが死ぬわけないでしょう」

 

 そう言って、エリザベートは不敵に笑う。

 

 確かに、人間なら即死してもおかしくない傷だが、エリザベートは余裕を表すように笑みを浮かべて見せた。

 

「この程度の傷、数日の内には跡形もなく消え去るわ。そしたら、裁判の場で、私が今までどれだけの人間を殺害して来たか、たっぷりと聞かせてあげる」

 

 そう言って、更に笑みを強めるエリザベート。

 

「そうよ。私が今まで殺して来た人間は、星の数よりも多いわ。裁判1回くらいじゃ、全部は言いきれないわねェ。アハハハハハハハハハハハハ!!」

 

 高笑いするエリザベートの声が、ランドマークタワーに響き渡る。

 

 稀代の魔女にして吸血鬼、《鮮血の伯爵夫人》エリザベート・バートリは、その狂気に彩られた人生を象徴するが如く、高笑いを続ける。

 

 そんなエリザベートに、

 

「おいおい」

 

 昭蔵は、まるで世間話をするかのように語りかけた。

 

「オメェは裁判に出れると、まさか本気で思ってるのか?」

「・・・・・・ハ?」

 

 意味が判らず笑いを消すエリザベートに、昭蔵はゆっくりと顔を近付けた。

 

 その顔は、相変わらずの笑顔。しかし、想像を絶するような凄みが見え隠れしている。

 

「オメェはな、今ここで死ぬんだよ」

「え?」

 

 言った瞬間、

 

 昭蔵は日本刀、井上真改を抜き放ち、一刀の下にエリザベートを斬り下げた。

 

「なっ!?」

 

 斬られたエリザベートは、信じられない、と言う顔をする。

 

 既に魔臓を潰されたエリザベートに、無限の回復力は無い。斬られれば死ぬのは、普通の人間と同じであった。

 

 一方の昭蔵は、正に鬼の形相と言うべき眼光で、斬ったエリザベートを睨みつけている。

 

「ば、バカな・・・・・・このあたしが、こんな、極東の地で・・・・・・」

 

 そのまま、後ろ向きに倒れるエリザベート。

 

 450年の時を生き、自分で誇った通り、星の数ほどの人間を殺害して来たハンガリーの《鮮血の伯爵夫人》エリザベート・バートリ。彼女もまさか、自分がこのような極東の島国で生涯を終える事になるとは思っていなかっただろう。

 

 西洋の吸血鬼より、日本の鬼の方が一枚上手だったのである。

 

 昭蔵は血振るいすると、井上真改を鞘に戻し、座り込んでいる茉莉に向き直った。

 

「おう、お嬢ちゃん、大丈夫かい?」

「は・・・・・・はい・・・・・・」

 

 茉莉は気が抜けたように答えた。

 

 一部始終を見ていた彼女は、あの鬼のような昭蔵の形相に、我を失っていた。

 

 世の中には、これほど恐ろしい人間がいるのか。そう思わずにはいられなかった。

 

 そんな茉莉に笑顔を見せて、部下に手当てを命じながら、昭蔵は視線を別の方向へと向けた。

 

「さて、緋村の奴はあっちか」

 

 そう言うと、視線を少し細めた。

 

 

 

 

 

 床に倒れ伏した黒笠。

 

 その黒傘を友哉は冷めた目で見つめている。

 

 既に両腕を叩き折られた黒笠に、抵抗する術は無い。

 

 憑鬼の術も解け、その反動なのか、彼女の筋肉は完全にしぼみ切っていた。

 

 そんな黒笠の前に、

 

 友哉は刀を構えて立つ。

 

「ヒッ!?」

 

 その幽鬼の如き姿に、黒笠は悲鳴を上げる。

 

 その姿には、東南アジア一帯を震撼させた殺人鬼《黒笠》の姿はどこにもなかった。

 

 無理もない。

 

 友哉から発せられる凄惨すぎる殺気は、それだけで首を絞めつけられるような錯覚に襲われるのだ。

 

「お、お願い、殺さないで、まだ死にたくない!!」

 

 いざるように後退する黒笠。

 

 対して友哉は、感情を一切現さず、ゆっくりと言葉を紡ぐ。

 

「・・・・・・・・・・・・今まで、お前に殺された人達は命乞いはしなかったのか?」

「そ、それは・・・・・・」

「なのに、お前は自分の命が惜しいって訳か・・・・・・・・・・・・」

 

 ギンッと、強烈な眼光が黒笠を貫く。

 

「都合のいい話だな、おいッ」

 

 言うと同時に、逆刃刀を返し、振りかぶる。

 

 武偵法9条などと言う甘い考えは、今の友哉には無い。ただ、目の前の下衆を地獄に叩き込む。それだけの想いを剣に込めて振り翳す。

 

「死ね」

「やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて・・・・・・」

 

 呪詛の如く震える口で囁き続ける黒笠。

 

 そんな彼女を冷徹に見詰める友哉。

 

 そして、

 

 刀を振り下ろした。

 

 次の瞬間、

 

「ダメェェェェェェェェェェェェ!!」

 

 背後から発せられた悲鳴のような声。

 

 その声を聞き、友哉の瞳に光が戻った。

 

「・・・・・・・・・・・・え?」

 

 振り返る友哉。

 

 その隙に、立ち上がった黒笠は悲鳴を上げて逃亡するが、今はそれに構っている時ではない。

 

 友哉は踵を返すと、慌てて駆け寄った。

 

 傷付いた体を、懸命に持ち上げて起きようとしている戦妹、瑠香の元へ。

 

「瑠香!!」

 

 慌てて彼女を支える。

 

 瑠香の防弾制服は血で塗れており、見るからに重傷である。しかし、その瞳は力強く輝き、友哉を諌めるように見詰めている。

 

「友哉君、正気に、戻ったんだね」

「正気? いや、そんな事より瑠香、君は怪我をッ」

 

 そう言った時、瑠香を支える友哉の手が、何か硬い物に触れた。

 

「これは・・・・・・」

 

 切り裂かれた防弾制服の影から、格子状に細かく編まれた服が見える。

 

 瑠香は防弾制服の下に、鎖帷子を着込んでいたのだ。いかに黒笠の剣でも、とっさに鉄を斬る事まではできなかったらしい。

 

「友哉君に黒笠の事聞いてたから、もしかしたらって思って、最近は着るようにしてたの」

 

 友哉は装備科で防弾Tシャツを発注したが、瑠香はそれ以上の備えをしていたのだ。

 

「いや、でも瑠香、斬られた時、血が出たはず・・・・・・」

 

 言ってから、思い出した。

 

 瑠香は隠密お庭番衆、つまり昔の忍者の末裔である。忍者は剣士に比べて戦闘力で劣る分、様々な手管を使って自分な有利な戦術を組み立てる。「だまし討ち」もまた、その一つだ。

 

 瑠香は服の下に、血糊の入ったパックを仕込んでおり、敵の弾丸やナイフが当たった時、血飛沫に似た赤い液体が飛び散るように仕掛けている。それが、先程見た光景の正体だったのだろう。

 

 とは言え、黒笠の一撃を受けて無傷とは行かなかったようだ。鎖帷子の上からでも衝撃は大きく、今まで気を失っていたのだ。

 

「痛ッ」

「無理しちゃだめだっ」

 

 斬撃を受けた胸を押さえる瑠香を、友哉は慌てて支える。

 

 下手をすると骨が折れているかもしれない。

 

 その時、

 

「緋村ッ!!」

 

 背後から聞き憶えのある声で呼ばれ、振り返ると、昭蔵が近寄って来るところだった。

 

「長谷川さん、どうしてここに?」

「ああ、ハンガリーから手配中の凶悪犯が入国するって言う情報を掴んでな、網を張っていたら、ちょうどお前達が戦っている所に出くわしたんだ」

 

 地検の方はブラドとは別方面から、捜査を進めていたらしい。この場で互いが出くわしたのは偶然であるようだ。

 

「緋村、四乃森の事は俺達に任せろ。お前はまだ、やる事があるんだろ?」

 

 そうだ。キンジ達はまだブラドと戦っている。あの怪物を倒さない限り、まだ勝利とは言えなかった。

 

「お願いします」

 

 友哉はそう告げると、疾風の如く床を蹴った。

 

 

 

 

 

 黒笠は転がるように、廊下を走っていた。

 

 どうにか地検の連中に出くわさずに済んだのは幸運だった。今の黒笠は両腕が使えず、戦える状態ではない。武装検事はおろか、並みの隊員と出くわしても勝つ見込みは無かった。

 

「と・・・とにかく、早く逃げないと・・・・・・」

 

 戦場を逃げる事に成功したとは言え、まだ安全圏に逃げ切ったとは言えない。どうにかして逃げ切らないと。

 

 焦燥が足を動かす。

 

 まずは日本にいる知り合いのマフィアに渡りを付ける。それで闇医者を紹介してもらって腕の治療をしない事にはどうしようもない。

 

「クッ・・・あのガキがァァァ」

 

 足を動かすたびに、砕かれた両腕に激痛が走る。

 

 それが余計に屈辱感を呼び起こした。

 

 自分が

 

 この自分が、

 

 殺人鬼と恐れられ、多くの人々を斬り殺して来た、この黒笠が、

 

 あんなガキに負けて、怯えるように逃げなくてはならないとは。

 

「お、憶えていなさい・・・・・・この恨みは、必ず返すわ!!」

 

 そう言った時だった。

 

 向かう廊下の先に、1人の人物が立っている事に気付き、足を止めた。

 

 だが、すぐに緊張を解いた。目の前の人物が、知り合いだと気付いたのだ。

 

「あ、アンタだったんだ・・・・・・」

 

 そう言うと、相手に駆け寄った。

 

「悪いんだけど、しばらく私をかくまってくれない? ちょっと、やばい事になっちゃって・・・・・・」

 

 そう言った瞬間、

 

 薄暗い廊下に銀光が一閃する。

 

「・・・・・・・・・・・・え?」

 

 額から流れる液体に気付き、呆然とする黒笠。

 

 次の瞬間、血は一斉に額から噴き出し、壁一面を染め上げる。

 

 黒笠はその場で膝を折ると、前のめりに倒れる。

 

 床に広がる血だまり。

 

 その姿を、冷めた目で見据える。

 

「・・・・・・クサすぎるんだよ、お前の芝居は」

 

 そう言うと、その人物は手にした刀を血振るいして鞘に収め、踵を返してその場を後にした。

 

 

 

 

 

 雷鳴の轟く中、友哉は駆ける。

 

 今や最後の敵となった、《無限罪》のブラドの元へ、

 

 そして、奴と戦う仲間達の元へ。

 

 ブラドとの戦況は、一時的ながら拮抗した状態になっていた。

 

 ブラドの攻撃によって、一時は階下に落とされ、絶体絶命の危機に陥ったキンジだったが、理子の活躍によって危地を脱出、再びブラドと対峙していた。

 

 しかし、状況は全く好転していない。

 

 ブラドの4つ目の弱点は未だに見つからず、弾薬も残り少ないときている。

 

 ブラドは無限回復力を発揮し、未だに無傷。4点同時攻撃に賭けるしかないキンジ達としては、攻め手に迷わざるを得なかった。

 

「みんな!!」

 

 跳躍から着地。友哉は3人の前に躍り出ら。

 

「お待たせッ」

「友哉、無事だったのね。黒笠は!?」

 

 目の前に現われた友哉を見て、アリアは顔をほころばせた。待ち望んでいた援軍がようやく来たのだ。

 

「あいつは倒したよ。ッて言うか、理子、何で下着なの!?」

 

 驚く友哉の言うとおり、理子は上下ハニーゴールドの下着姿だった。お洒落に気を使う理子らしく、付けている下着も高級ランジェリーであるらしい。そんな理子の姿に、友哉は顔を赤らめつつ目を逸らす。

 

「いやあ、ユッチー。取り敢えず、その話は後で。今はこっちに集中しようよ」

 

 流石の理子も、この状況でふざける気は無いらしく、少し恥ずかしそうに目を逸らしながらも、地鳴りのような音を立てて近付いて来るブラドを指差した。

 

 確かに、悠長に話している場合ではなさそうだった。

 

「さて、どうしようか」

 

 ブラドは無傷。こちらはせいぜい、あと一回の攻撃が限界と来ている。

 

「みんな、弾は?」

「俺は1発だ」

「あたしも、1発ずつよ」

 

 キンジのベレッタに1発、アリアの2丁ガバメントに1発ずつ、計3発。仮にブラドの弱点が判ったとしても、同時攻撃には後一発足りない。

 

 ここは一旦戻って、地検職員に銃を借りた方が良いか。

 

 そう思った時、

 

「理子もあるよ。一発だけだけど」

 

 力強い口調で理子が言った。

 

「それに理子は、ブラドの最後の弱点が何処かも知っている。ブラドにその事を悟られないように今まで黙ってたけど」

 

 賢明な判断だ。仲間にまで正体を隠す程用心深いブラドだ。理子が自分の最後の弱点を知っていると判れば、徹底的に理子を潰そうとしただろう。

 

 だが、おかげで最後の攻撃のチャンスが生まれた。

 

 フォーショット・ワンキル。それを可能にする条件が、全て整ったのだ。

 

「判った」

 

 友哉は頷くと、逆刃刀を掲げて前に出る。

 

「露払いは僕が務める。みんなは、僕の3秒後に続いて」

 

 友哉の言葉に、キンジ、アリア、理子は頷く。

 

 これが、最後の戦いだ。

 

 そこへ、ブラドが近付いて来る。

 

「グァハッハッハ、悪あがきはもうお終いか?」

 

 勝ち誇ったように吠えるブラド。

 

 次の瞬間、友哉は駆けた。

 

 神速を持ってブラドの巨体へ接近、刀を振りかざす。

 

「あん?」

 

 友哉の接近に気付いたブラドと目が合う。

 

 しかし、もう遅い。

 

「ブラド、その巨体じゃ一撃加えても、大したダメージにはならない。ならッ!!」

 

 無数の斬線が縦横に走る。

 

 視界その物が細切れにされたような錯覚が、ブラドを襲った。

 

「飛天御剣流、龍巣閃!!」

 

 斬撃が一気にブラドへと殺到、その急所をすべからく打ち抜く。

 

「グォォォォォォォォォォォォ!?」

 

 全身を襲う乱撃の嵐に、ブラドは悲鳴を上げて巨体を揺るがせる。

 

 しかし、そこはイ・ウーナンバー2《無限罪》のブラド。全身の膂力で持って踏み止まる。

 

 だが、隙はできた。

 

 友哉が飛び退くと同時に、

 

 アリアが、二丁のガバメントを構え、

 

 キンジがベレッタを持ち上げる。

 

 そして、理子はその豊かな胸の谷間から超小型拳銃デリンジャーを取り出した。小型で1発しか装填できず、せいぜい奇襲くらいにしか使えない銃だが、古くはアメリカ16代大統領エイブラハム・リンカーン暗殺にも使われた名銃である。

 

 アリアが先制して銃を放つ。

 

 しかしそこで、予期せぬハプニングが起こった。

 

 ランドマークタワーを掠めるようにして、稲光が走ったのだ。

 

 その轟音と閃光に、アリアは僅かに手元をぶれさせてしまった。

 

 雷が苦手なアリアの事、仕方ないとは言え、ぶれた弾丸は僅かに目標から逸れて飛んでいく。

 

 作戦失敗か。

 

 そう思った時、

 

 1人、冷静に状況を見極める男がいた。

 

 キンジはベレッタを構えると、落ち着いて弾丸を放つ。

 

 キンジの放った弾丸は、アリアの放った弾丸に追いつくと空中で衝突、互いの軌道を僅かに逸らす。

 

 銃弾撃ち(ビリヤード)と呼ばれる、高度な拳銃技である。ほとんど曲芸に近い。

 

 しかしキンジは冷静な判断力と、驚異の照準力で、呼吸をするよりも簡単にその難事を成功させて見せた。

 

 3発の弾丸は、見事にブラドの弱点、魔臓を打ち抜く。

 

 しかし、それでも尚、ブラドの余裕は揺るがない。例え魔臓3つを潰しても、最後の1つを潰さない限りはいくらでも再生できるのだ。

 

 だがそこで、ブラドが見た物は、跳躍しながらデリンジャーを構える理子の姿だった。

 

 理子が銃を放つ。

 

「4世ッ!!」

 

 ブラドが反射的に叫んだ瞬間、理子の放った弾丸は、ブラドの口の中へと飛び込んだ。

 

 理子はそのまま、ブラドの頭を踏み台にして飛び越える。

 

 そして、開かれたブラドの口。そこからはみ出した舌の中央には、他の場所と同様、撃ち抜かれた白い模様が描かれていた。

 

 ブラドの最後の弱点とは、舌だったのだ。

 

 ブラドは一瞬身震いした後、その巨体を床へと沈める。

 

 その姿を見て、一同はようやく肩の力を抜いた。

 

「勝った・・・・・・」

「みたい、だな」

 

 一同、疲労の色が濃い。既に気力を使い果たしているのだ。

 

 だがついに、イ・ウーナンバー2を、自分達の力だけで倒したのだ。

 

「やったね」

「ああ」

 

 互いに笑みを見せあう4人。

 

「おーい、友哉君!!」

 

 呼ばれて振り返ると、瑠香と茉莉が、それぞれ地検の職員に支えられるようにして歩いて来るところだった。

 

 あれだけの死闘をして、全員が生き残ったのだ。これは誇って良い事だと思う。

 

 その事を、6人の武偵達は、それぞれ噛み締めていた。

 

 

 

 

 

第7話「フォーショット・ワンキル」     終わり

 


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