犬
牢獄という物は想像以上に不快な場所だ。血なまぐさい匂いに水で濡らしたモップで拭かれただけの床。そこにこびり付いた汚れは見るだけでおぞましい程で、コンクリートの床が茶色く変色していて、ここでの不潔さと残忍な仕打ちのひどさを物語っている
空調などあるわけもないので、湿気も酷く、もうこの後すぐにショーに出される私には当然だが食事も出て来やしない。スラム街に近い場所で育ったおかげである程度痛みや苦痛の耐性があるとはいえ、それでも強い不快感がなど身を絞めつけてくるほどだ。
だが、何よりもすぐ目の前に近づく死の恐怖、すぐそこに居る子供が連れてかれる無力さ、あの憎き獣畜生の如き男の喉笛どころか腕すら噛みつけずに死ぬと言う怒りが私を突き動かし、何度も鉄格子を蹴飛ばして脱出をしようとした。
まだ死ねない、死にたくないと心が叫びが胸の内側で無限に増幅され、私は鉄格子を蹴り破れることを願って渾身の力を込めて蹴り続ける。マーマルとして自慢の脚力を以て鉄板入りのブーツの厚底を鉄の檻目がけて、叩きつける。
一度、二度、三度と繰り返し、数が十を超えても尚私は続ける。繰り返す度に金属が悲鳴のような音を上げるが、それだけだ。鉄格子は無意味だと私に語り掛けるようにへこみすら見せない。現実と言う壁がいかに分厚く、小娘一人で何が出来ると嘲笑のような反響音を響かせるだけで何一つ変わらない。
「クソ! クソ!」
悪態を吐いて二回連続でこの狭い場所からの解放を望んで、攻撃する。脚全体が痛みブーツの中で足の裏から血がにじんで来た。靴の中が液体で湿りジワリと広がる痛みを感じ取って私は目じりに涙をためた。
痛みに泣いているわけじゃない。何をしてもどうにもならない無力さと死への恐怖。それが原因だった。一人こんな狭い場所に閉じ込められ、明日か数時間後には殺されるだけであっけなく終わる人生に希望など見いだせるわけもない。パンドラの箱の底に希望はあっても、それは物語の都合の話でしかないのだ。私にはそれが無い。
目の前に助けに行きたい子たちがいるのに、たかが鉄枠で囲われただけでどうにもならなくなってしまってる。たとえ、目の前で子供が連れていかれても何もできない。数分後にはショーの見世物として死ぬ動物以下の家畜程度の扱いを受けている子供を一人も助けることが出来ない。
私は何をしているのか、なんて無力なのか、と自分を責めるばかり。
銃もナイフすら持たない私は唯の女の子でしかない。何の脅威にもならない一人の少女だ。鉄格子の冷たい箱の中で一人うずくまって、目から水滴を零す。水分なんてほとんどとっていないのに、水は目から零れ落ちて私にせめてもの癒しを与えようとする
だけど、癒されない。瞳の中に入るのは闇しかないのだから。他の鉄格子に入っている子供たちの顔を見れば、誰もが隅に座り、もういっそ地獄から抜けれるのなら死すら容認するようにすら見える。
右奥にいる少女などは特にそうでシルエットだけで想像以上の闇を抱えているのが分かった。私より年下にもかかわらず、その腹部は丸く大きくなっており、獣たちの征服の証をその身に宿しているからだ。
そして真黒に染まった目が私にある疑問をぶつけて来てるのだ。どうしてお前はすぐ殺してもらえるのか、と。
「何でよ! 畜生!」
鉄格子をもう一度蹴り飛ばし、息を落ち着けようとする。
現実と言う名の闇しか映らないのでは何も慰めにならない。欲しいのは此処を抜け出し、皆を救って、鬼畜共に相応の報いを与えることが出来る力だ。でも、ご都合的に悪魔なり、神様なりが出てこない限りソレは不可能だ。
神も悪魔もいないのは知っている。いや、いても何もしない無気力なだけかもしれないが私達の前には唯の一度も、救いも悪の道への誘いも来たことは無い。もし居るとするなら、今すぐ私の前に来て何かを寄越せ、と叫ぶ。
虫のいい話だと言う奴も出るだろう。救うためにヤツがまず救われたいと願うなど、失笑もいい所だろう。でも現状それしか言えない。唯の銃の一丁でも欲しい今、この際どんな罵倒も受けても甘んじて受け入れる覚悟がある。
「悪党を背中から撃てるか?」
その時、私の脳裏に一つの言葉が響いた。ターキッシュの物だ。あの洞窟の中で私を支えてくれた男の言葉が今蘇った。それは鮮烈に、強く突き刺さった。ヒトを殺すたびに震えていた私には痛烈過ぎた。そして思った。一時の怒りだけで、彼のしていたことを再現できるのか、と。
なら、私はどうすればいい?
殺しも上手くできるか自信がない。かと言ってこのまま無力に終わるのは耐えられない。上手く抜け出せても、結局何もできないのではないのか、と疑問がもたげ私は胸を締め付けられる思いになった。
「何よ……」
私は何をしにきたのだろう? 笛吹? 太陽? 訳の分からない事をほざいていた唯の小娘でしかないではないか。デカいことを言うだけの口にそれに似合わない腕前に心、全てが小さくて儚い。足で踏まれれば終わってしまう存在でしかない。
「何なのよ……私やっぱり……」
沈み込んでいく中で私はブーニーハットを被り、ニヒルな笑顔をしていた男の名前を口にした。せめてもの救いを信じて。
「……ターキッシュ」
その名を口にして膝を抱えたまま横になった。このまま眠ってしまえば、楽になれるような気がした。このまま居なくなっていしまえば、とすら思った。しかし、そこに誰かの声がかかった。大人の野太く野卑なものではなかった。
「今、ターキッシュって言った?」
その言葉はアンダーハイブの言語であった。そして声には幼さがあり少年特有の高い音域でその声は私のすぐ目の前の鉄格子から聞こえて来たのに気付き、そこに目をやった。
すると、そこには現地の腕に羽のようなものが生えている子供がいて、痛ましく痩せこけた体と痩せこけた顔を見せていた。
「お姉さん彼を知っているの?」
「……知ってるも何も、組んでいたのよ。貴方は? どうして私と話せるの?」
少年はより自分の顔が見えるように鉄格子に近づいて話した。
「僕は町出身だから。父さんと母さんがニンゲン相手に商売していたから言葉を勉強したんだよ。そんなことより彼の話だよ、ターキッシュと組んでいたって本当?」
「そうよ」
私は簡潔に答えた。私がここに来た時、散々悪魔と言われていたと思うが少年は訊いていなかったのだろうか。
「……聞かなかったの?」
「ここじゃ、アイツらと話すのはタブーなんだ。目を見ただけで殺された子もいるし、大半はアイツらがいる中では見ざる、聞かざる。長生きのコツだよ」
少年がいう長生きのコツは重い響きがあった。私より年下なのに達観しきった、悟りでも開いた目をしていた。この暗がりの中で世の全てを知ったような少年の無気力な目は悲しくて悲しくて仕方が無かった。
でも、それが現実なのだろう。此処では彼らに選択肢などない。ただおこぼれに預かり気まぐれに怯える以外に彼らに与えられた生き方はないのだから。
「ターキッシュは生きているの?」
その問いは何のためか。私は察せないわけがなかった。彼らの求めている言葉が何なのかわかったが、それを言ってもぬか喜びになるのでは、と言う恐れが出た。
だから、私はただ一言「わからない」とだけ彼に言った。
「そっか。わからないか」
少年は別段落胆した様子を見せなかった。ただ、言葉のトーンを落として私の顔を見ていた。その様子からターキッシュが望みではないのでは、と想像し彼に何故聞いたのかを尋ねようと思った。
「どうして、ターキッシュの事を? 彼が奴らを狩る悪魔だから?」
「違うよ。笛吹だからだよ」
「……助けてくれるかもしれないって事?」
私は尋ねた。確かに連中が悪尼と呼んでいたターキッシュなら、連中を一人残らず掃除して彼らを助けてくれそうである。少なくとも彼には私と違って殺し自体には迷いはなく、誰かを救おうとする気持ちは本物だと思う。彼が期待するのも無理はないだろう。
「違うんだ。 僕が逃がせた弟の事を聞きたいんだ」
弟を逃がしたと彼はそう言った。ここに連れてこられるまでの間に外でどんな暴虐が行われていようとしたのかを見た。そして、この地の果てで何が行われているのかも。
少年は勇敢にも自らを省みず弟を逃がしたと言うのだ。だが、それゆえに捕えられた、と言ったところだろう。それでも、弟の身を案じる彼は大したものだ。牢屋で一人無力感に打ちひしがれた私と比べて彼は何倍も大きい男だ。
だが、私は彼のたった一つの望みにすら答えることが出来ない。ターキッシュともっと話していればわかったかもしれないが、私は反抗心と青臭い考えから彼とそう言ったことを話すことなく終わったしまった。
彼が今生きていようと死んでいようと、この場に居ない者に確かめる術などあるわけがなく、私は少年の問いに力なく首を横に振った。
「……分からない、分からないわ……ごめん」
またしても目からあふれる涙を拭いて、私は泣いて謝った。だが、少年は私を罵倒したり、落胆の闇に堕ちるわけでもなく私に一言言った。
「いいよ。泣かないで、死んでいる、と聞かされるよりずっといいよ。それなら、まだ希望は持てる。ターキッシュだって、きっと生きてるよ」
励ましの言葉だった。少年は無能な私をなじりもせずに、励ましてくれたのだ。それは何よりも信じがたいことに思えた。この地の獄よりも劣る場所で過ごしてきたはずの子供がどうして、そんな強くいられるのか。私には不思議に思えた。
此処よりはマシな私の育った場所ですら、弱肉強食とヒエラルキーに基づく理不尽が横行していた。環境に適応するように、汚い場所では皆一様に汚くなるのが常だ。此処に住む民兵たちが本能に従って略奪と暴力に身を染め、囚われた者達は彼らに蝕まれて日々を認識しない人形のようになって生きるしかないのを見れば明らかだった。
「……強いのね。私はもう嫌になってきているのに」
「僕もだよ。色々と生きるために頑張って来たけど、最近疲れてきちゃった」
少年は淡々と語りだした。
「捕まった後、僕はアイツらにこき使われた。ニンゲンの言葉が使えるから色々と便利だとか言っていた。でも、弟は喋れなくて……牢屋に入れられるところを僕が必死で止めて来た」
ニンゲンの言葉、やはりここの連中は人間とつるんでいるらしい。何のためかは私の足りない頭では少し理解が及ばないが、人間によって此処に地獄が形成されているという事は確かで、私は拳を握って強く固めた。
「商売に使われたの?」
私が少年は頷き、答えた。
「それもあった。後は此処のヒト達にニンゲンの言葉を教えるんだ。そして、適当な村でニンゲンの声を上げて近づくんだ。貧しい農村なんかだと、ニンゲンはお金をくれる神様だから、隠れないで皆で歓迎しようと集まってくるんだ、そこを……」
少年はそこで言葉を切った。腕が震えていて罪悪感からか頭を抱えて息を荒げだした。発作のように見えた。
油断したところを一網打尽。街に行けば私達のような笛吹や人間達がいる、そこで聞いた言葉を訊けば誰もが人間が来たと勘違いするだろう。声や言葉で相手を誘き出す方法はいくらでもある。過去の人間の戦争でもこの手の単純かつ効率的な方法はしばしば取られたと聞いたことがあった。
まして、彼らが人間と組んでいるのは疑いようのない事実。服装や身に着けるものもそれらしく偽装することはそう難しくない。
人間の言葉で釣り上げて、そこを根こそぎ奪い取る。卑怯で許しがたい行為だ。しかも少年が逆らえないのを良いことに、罪の一端を背負わせるなど、まさしく悪魔の所業だ。
いや、だからこそなのだろう。将軍は地獄を作ることが一番の儲け方だと言った。モラルのない行為を行う方がよほど暴利をむさぼれるという事だ。永遠に自分が強者で相手が弱者なら、それこそ安定した儲け場だ。その為に子供を使うことは正しいことで、むしろ自分たちが弱者に施しをやっているつもりですらいるのだろう。
「弟を守るためにやって来たんだ。弟はまだ六歳で父さんも母さんも……だから少ないお金を盗んで弟に持たせて逃がした」
「だから、あなたは此処にいるって訳ね」
「うん。でもおかげで僕の戦争が終わったんだ」
少年は小さく微笑んだ。自虐の意味も含まれた子供の物ではない顔だ。甘いキャンデイの代わりに殺しの罪を大人から受け取った子供のなれの果てだった。
彼の戦争は弟を守るための物だった。大の為に小を犠牲に、とはよく言われた言葉だが彼は弟一人を守るために大勢を地獄へ送る手伝いをしてきたのだ。そんな物に堪え切れるものなど大人だって少ないだろう。
良心という物を持っていれば、の話だが。
「もう僕は誰かを犠牲にしなくていいんだ。後は死ぬのを待つだけ。天国に行ったら多くのヒトに謝らないといけないけど……此処よりはずっといいだろうから」
彼は幼心に刻み込まれた罪に疲れているのだ。そして、死ぬことによる解放を願っている。私はそんな彼に怒りも覚えたが、何も言えなかった。なぜなら、さっきまで同じことを考えていた私にその資格はないし、悟りきった少年に感情論で励ましたところで無駄だと分かってしまったからだ。
死ぬな、と言うのは簡単だ。言葉だけなら直接面と向かう必要だってないのだ。電話越しに言うことだってできる。だが、今の彼にソレを言うのは難しい。救いも希望もない、自ら選択する自由すらない彼に生きていればいいことがあるや、弟さんはきっとあなたを待っているなんて言ってどうすると言う訳だ。
彼に必要なのは現実的な希望だ。弟が確実に生きている証拠、自分がここから解放されると信じられる救い主の登場がソレだ。だが、私はそのどちらも為す事ができない。格好だけは笛吹でも、ただの女の私に彼が希望を抱くことはあり得ない。悲しくも事実であるそれを受け止めて私は黙ろうとした。
「お前の理想は間違ってない。今は泣いて悩め、笛吹にその可愛らしさは似合わない」
そこで一つの言葉が再生された。居るはずのない人間の声が確かに私の頭の中で録音テープのように再び流れ出したのだ。
理想、とはなんだ。彼の言っていた言葉から記憶を巡らせて、自分の放った言葉と自分のしてきた行動を思い出していく。無茶な村民救出、デカい口、先輩への反抗、それらは一体なぜ行われたのか、私は自分の意志を思い出していき、そして目を見開かせた。
このまま黙って良いものなのか、と私の中で一つの意志が働きかけた。燻っていた炎がもう一度輝きを取り戻すか、はたまた確固たる意志と言う名の{弾丸}が再び私に装填された、そんな情景を私は覚えた。
「そうだ」
確かに現実は変わらない。私はでくの坊だ。彼を物理的に救うことは出来ない。だけど、せめて心を支えるべきではないか。そうだ、私は笛吹。此処で黙っては心すら失う。彼は汚れていると言えなくもないが、それは私も同じことだ。でも、私があの時の殺しを受け止められるようになったのは、誰の言葉のおかげだろうか。
ターキッシュの言葉を思い出し、私はその言葉を彼に当てはめていく。彼に必要なのは非現実的な救いの話ではなく、彼自身の肯定と現実への抗いだ
「それでも……」
私は自分を思いだし、彼に言葉を送ると決めた。受け止めてはいけない。現実をそのまま受け入れてはならない。そこに抗って得られる物もある。このまま罪悪感を抱えたまま死ぬのは悪党どもに負けたまま死ぬという事だ。
そうだ、私も泣いている場合ではない。このまま泣いて死ねば、それで終わりだ。馬鹿な小娘と言われて骸を晒すだけだ。それが私の死にざまなのか?何の抵抗も見せずに死ぬのが望みで合っていいのか。いい訳はない。
私は悪党を殺し、誰かを救う笛吹だったはずだ。それを今の今まで忘れていた。そして今心だけでも救えるかもしれないことに気付いた
「アンタは悪くないよ」
「……変なこと言うんだね」
私は涙を拭きとって、彼に話しかけた。
「アンタは弟を救うために手を汚した。そんなアンタを悪だなんて言わない、アンタは一人の立派な兄貴よ」
「……いっぱい死んだかもしれないのに?」
「それは事実かもしれない。だけど、私はそんな人を知っているの」
あの日、自分は太陽にはなれないと言った男がいた。その男は誰よりも殺し、誰よりも冷酷に冷静に動ける男だったけど、誰かを助けようとする姿に偽りはなかった。自分が汚れていると知っているから彼は太陽のように誰かを照らせないと言った。
「その人は皮肉屋で、ムカつく奴で外道のように見えた。でも、それは違った」
でもそんなことは無い。彼は大勢を照らしてきた。自分の手を血で染めても、大勢の他人を泥沼から掬い上げて来た。強がってはいたが、彼も少年と同じだった。彼も誰かの為に血で汚れ、それに悩み、それでも戦い続けていたに違いないのだ。
「彼も……ターキッシュもね、誰かを殺すことに悩んだけど、誰かを助けるために汚れを一杯背負っただけよ。アンタは罪のないヒトを巻き込んだと負うかもしれないけど、それでもアンタは自分で出来ることをやって来た。だから……」
私はここに来てようやく分かった気がした。彼のしていた事は少年と同じだ。少年から彼を思い出したのも、そのせいだ。彼は大勢を殺した殺し屋、だけど彼はこんな少年、少女たちを助けるために外道に身をやつしてきたのだ。
それを悪と言えるだろうか。殺しは悪だが、甘い正義にどれ程の正しさがあるのだろうか。やるしかない状況でやって、誰かを救う彼と少年に正義はないなんて言えないのだ。
「アンタはそんな思いつめないで。もし、仮にもっと長生きできるのなら、もっと泥を被って、今度は大勢を助ければいい。ターキッシュならきっとそう言うわ」
英雄の名を借りるのは情けなくも思うが、この場は私だけでは説得力に欠けるだろう。だから、借りさせてもらった。せめて、この少年だけでも救いがあってほしいと言うささやかな願い、下らなくても私にできる笛吹の理想だ。
少年はしばらく私を見ていた。その顔は呆気にとられているようだった。誰からも言われたく事のない言葉を聞いて放心しているのだろうか。
冷たい洞窟、牢獄のなかで少年と私の間に沈黙が流れた。風の音すら聞こえない、本当の静寂。精神か、もしくは神の気紛れ的な気候の変化かはわからないが、私達は互いに見合っていた。
だが、その沈黙は破られた。重い鉄の扉が開かれる音が沈黙をかき消し、私達を再び救いのない現実へと引き戻した。民兵の集団がやって来て私の前に止まった。
「来い」
檻から解放され、私は後頭部にオンボロの自動小銃を突きつけられ、前に歩くように後頭部を小突かれた。どうやら、時間のようだ。
私は横目で少年を見つめながら、ショーとしての死刑台へと歩いて行った。これからの事を思うと怖くてたまらず、手と唇が震えて止まらない。いっそ叫んで暴れだしてみたかった。
ロシアンルーレットで確立に震えて泣いて喚いて死ぬより今ここで撃たれた方が楽な気さえした。でも、それはダメだ。少年に、彼らにそんな姿は見せられない。笛吹として最後くらいは格好をつけなくてはならない。
少年はずっと私を見ていた。その瞳に流れた涙は歳相応に思えた。
自分で書いているとこれでいいのか、疑問が浮かぶ時もありますが、
頑張って書いていきたいと思います。
批評、アドバイス等ありました教えてほしいです。