魔法少女リリカルなのはA’s ~幼き賢者と魔法~ 作:金髪のグゥレイトゥ!
魔法少女リリカルなのはA’s
~幼き賢者と魔法~
――ほんのちょっとむかし。
小さな女の子がいました。
その女の子はとても本を読むのが好きで、よく本を読んでいました。
ある日女の子は、古びた本を見つけます。
女の子は何の本だろうとわくわくしながら本を開きます。
…それが全ての始まりでした。
古びた本は光になって女の子の体に吸い込まれていきます。
すると女の子は頭がすごく痛くなりました。
自分の知らないことがどんどん頭の中に刻み込まれていきます。
女の子はお父さんとお母さんにこのことを話しました。
お父さんとお母さんは心配になりお医者さんにみてもらいました。
でも原因はわかりません。
その痛みは何日たっても治らず。
とうとう女の子は入院することになりました。
女の子の両親は毎日お見舞いに来ました。
ですがその両親もお見舞いに来ない日が多くなりました。
半年の月日が経ち。
…とうとう。お見舞いに来なくなりました。
それから二年。
女の子の頭の痛みが無くなりました。
それを聞いた両親は女の子に会いに来ました。
すると女の子は…。
「お久しぶりです。工藤さん。お元気でしたか?」
まるで赤の他人と接するように、冷たい声と、冷たい瞳で、両親を出迎えたのです。
二年と言う長い時間。その二年で女の子は変わり果てていました…。
第一話「転校生は孤独な少女なの」
「ふぅ…」
憂鬱な溜息を零し、新幹線の窓から流れる景色を私は眺めている。
今日は記念すべき20回目の転校の日。私が学校に馴染めないとのことだから、ヤサシイオトウサマが気遣ってくれたようで、ついにこんな数にまでなってしまったのだ。
「どうしたんだい?詠」
「いいえ。何でもないです工藤さん」
「・・・・そうか」
私の素っ気無い態度に一応私の父親の工藤一輝さんと母親の工藤詩織さんは悲しい表情を浮かべる。
あの出来事から三年。まだ私達の仲は直っていない。いや、直ることはないだろう。私の両親はそれだけの事をしたのだから…。
私は両親に見放されて二年間。あの本。ロストロギア「摂理の書」からあらゆる知識を頭に刻み込まれた。
魔法のこと、他の次元の歴史のこと、あらゆる国の言葉、その他にもこんな事を知ってどうするんだという知識もあった…。
ロストロギアと言う単語も書から教えられた。失われた文明の産物。物によっては世界を滅ぼす物もあるらしい。
書に見せられた世界の歴史に私は人間に失望した。
繰り返される殺戮と破滅。己の欲望のためには他人の事など気にしない人間の愚かな行為の数々。
私はあの二年間それを一人孤独の中、永延と見せられたのだ。
普通なら気が狂ってしまってもおかしくない。いや、実際に狂いそうになった。その苦しみに耐えかねて看護士には狂ったかのように罵倒をぶつけたこともある。物に当たって病室をボロボロにしたこともあった…。
『次は、海鳴。海鳴……』
機内のアナウンスが流れる。
どうやら着いたようだ。窓から広がる海の景色がとても美しい。ここが、新しく暮らす街…。
…まぁ、場所が変わろうが今までと何も変わらないけれど。
「…どうせ、何も変わらない」
――学校の教室にて。
新幹線を降りた私は駅を出て、両親と別れそのまま学校に向かった。
既に手続きは済ませているようなので今日から授業に参加できるとのことだ。学校に着くと職員室に向かい、担当の先生に会って挨拶を済ませ自分のクラスに案内してもらう。
・
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…で、今に至る。
「今日から、皆さんのお友達になる。工藤 詠さんです。工藤さん、自己紹介お願いね」
「……工藤 詠です」
「え、え~と。工藤さん?他に何かない?趣味とか」
「特にありません」
私の趣味など他人に教える意味などない。
「そ、そう?無いならいいけど…」
「…ああ、一つだけ」
私が思い出したかの様にそう呟くと、先生の表情がパッと明るくなる。
「うんうん!何かな!?」
「私に関わらないでください。以上です」
「ど、どうしてそんなこと言うのかな?」
「信用できないから…それだけです」
『………』
私の一言で教室中がざわめき始める。
…そう、信用なんて出来ない。
私は他人を信じない。これまでもこれからもずっと…。
口では何とでも言える。それが、どんなにやさしい言葉でも…。
…人は簡単に裏切る。
―――お母さんとお父さんは詠を見捨てないから。
―――ずっと一緒にいるからね?
…信じていたのに。
…あの人たちは簡単に裏切った。
「え、え~と。どういう意味かな?」
「言葉の通りです」
「………」
先生は押し黙る。どう対応すればいいか分からないのだろう。
「え、え~と。その~…」
とても焦った様子でどうすればいいか考えている。時間の無駄なため、私は助け舟を出す。
「…私の席はあそこでいいんですか?」
私は一つだけ空いている席を指さす。恐らく私の席はあそこだろう。
その時、ふとその空席の隣の生徒と目が合う。…何故だろう?隣の茶色の髪でツインテールの少女が妙にニコニコしているのだけど。
「え!?あっうん!あそこの席。高町さんの隣ね!」
彼女は高町というのか…まぁ、私にはどうでもいいことだ。
「私、高町なのは!よろしくね、詠ちゃん!」
私が席に着くとさっそく高町さんが笑顔で話しかけてくる。そのキラキラと眩しすぎる笑顔と元気な声に頭痛を覚えて、私はこめかみを押さえる。
…さっき関わるなと言ったばかりなのだけど?
「さっき言ったは「よろしくね!」…」
どうやら言っても無駄らしい。今までで無いタイプの人間のようね。
さて…どう対処しましょうか?
少し目を瞑り眉間に指を当てて考える。私が悩んでいる時によくやる癖だ。
…よし。無視しよう。
実にシンプルな結論に至る。しかしこれは子供相手にはとても効果的だ。ほとんど好奇心で行動する子供は、つまらない物にはすぐ興味を失くしてしまう。なら無反応を突き通せば自然に彼女も興味を失くして話しかけては来なくなるだろう。
そう考えをまとめて目を開けてみると、目の前に高町さんの顔があった。
「―――なっ!?」
「よ・ろ・し・く・ね・!」
何が何でも返事をして欲しい様だ…。
「…よろしく。」
「うん!よろしくね!詠ちゃん!」
返事をするとまたにこりと笑う。笑顔がとても似合う可愛らしい女の子だ。
…今の私には眩し過ぎた。
「…はぁ」
私は小さく溜め息を吐く。
…まったく、厄介な人の隣になったようね。いきなり馴れ馴れしく下の名前で呼んでくるし。
自己紹介(?)が終わりそのまま授業に入る。一時限目は英語の授業だ。
私は授業に興味が無く、ぼーっと窓の景色を眺めていた。ああ、雲のように流れていたい…。そうすれば何も考えずに済むのに…。
「工藤さん!ちゃんと聞いていますか!?」
「…I go shopping on weekends. 私は週末に買い物に行きます。」
「え?」
「先ほど先生がおっしゃっていた例文の訳です。間違っていないはずですが?」
「え、えぇ。そうだけど・・・」
「授業内容は聞いています。問題ないでしょう?」
「…ふぅ。わかったわ。勝手にしなさい」
先生は諦めて授業を再開する。これでいい。ここまでは今まで通り。
…ただ。
「わ~~~♪」
私の隣で目をキラキラさせている子以外は…。
「詠ちゃん頭良いんだね♪発音もすごいし♪」
「勉強すれば誰だって出来るわよ」
「ううん!そんなことないよ!私なんて全然駄目だし」
「それはあなたの努力が足りないだけよ」
「にゃははは~♪そうかもね♪」
馬鹿にしたのになんで笑ってられるの?
「…はぁ」
溜息が少し大きくなった気がした。
次の授業は体育。ドッチボールをするようだ。
クラスでAチームとBチームに分かれて競い合う。
「…くだらないわね」
ここはさっさと退場しようかしら。
私はBチーム。高町さんとは別のチームだ。
ピーッ!
ゲーム開始のホイッスルが鳴り響く。
ビュッ!
開始して早々にボールが私に向かって飛んでくる…。
取れないボールじゃない。でも、取ろうとはしない。
「ちょっと!?そっちにいったわよ!?」
誰かが私に向かって警告するが私には無視する。
バンッ!
「………」
私に当たったボールはコロコロと転がる。
私は気付かなかった振りをしてわざと当たると、早々アウトとなり外野に移動する。運動は嫌いではないけれどこういうチーム戦は好きじゃない。
「ちょっとアンタ!」
外野に移動しようとすると金髪の子に呼び止められる。
…何を言うかは予想できるけど。面倒ね。
私は無視して移動しようとすると、金髪の女の子に肩をがしりと掴まれ強引に振り向かされる。
「無視すんじゃないわよ!」
「…何か用?」
「何か用じゃないわ!アンタ、さっきのわざと当たったでしょ!?」
…うるさい子ね。別にいいじゃない。
「別にいいじゃない。たかが遊びで…」
そう、たかが遊び。別に手を抜こうが問題ない。
「なんですって!?」
「玉遊びがしたいなら早く再開すれば?時間の無駄よ」
「っ!アンタねぇ!?」
「ア、アリサちゃん落ち着いて!?」
金髪の子が右手を振り上げて私に向かって振り下ろそうとすると紫の髪の女の子がそれを止める。
「放してすずか!コイツをいっぺんひっぱ叩かないと気が済まないわ!」
「ぼ、暴力はダメだよ!アリサちゃん!」
「そ、そうだよ、アリサちゃん!落ち着いて!」
騒ぎが大きくなりアリサさんを制止するのに高町さんが加わる。
…はぁ、こんなことで騒ぎたくないのだけど?
「…はぁ」
「詠ちゃんもだよ!悪いことしたんだから謝らないと!」
「うん、さっきのは工藤さんが悪いと思うな?」
悪いこと?何が?ボールにわざと当たったことが?それともこの玉遊びを真面目にしなかったのが?
私は思わず鼻で嗤ってしまう。
「…くだらないわね」
「「え?」」
私の言葉に高町さんとすずかさんは唖然とする。
「友達ごっこは私抜きでやってくれない?」
「な、なんですってぇ!?」
私の言葉にアリサさんは顔を真っ赤にし、私の胸倉を掴みかかってくる。どうやら完全に彼女を怒らせてしまったらしい。
「いい加減にしなさい!二人とも!」
大事になる前に先生がアリサさんを止めドッチボールは再開された。
けれど、先ほどの事が原因でクラス中が重苦しい空気に包まれ、皆は始めたときのように楽しそうにはしていなかった。
―――昼休憩
キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン…。
昼休憩を知らせるチャイムが鳴ると同時に、私の席に高町さんが近づいてくる。
「詠ちゃん!一緒にお弁当食べよう!」
…さっきの事があったのに、よく誘う気になるわね。頭おかしいんじゃない?
「結構よ。一人で食べたいの。失礼するわ」
「あ…。」
私は席を立つとコンビニ袋を片手に教室から出た。食事の時間くらい静かに食べたい。屋上は人が居そうだし、裏庭なら誰もいないかしら?私はそう思い廊下を一人で歩いて行く。
―――side Nanoha
詠ちゃんは私の誘いを断ると席から立って教室から出て行ってしまう…。
「一緒に食べたかったな…」
私は詠ちゃんが出て行った扉を眺めてそうそう呟く。
悪い子じゃないと思うんだけど何であんなに人と接しようとしないんだろう?
まるで自分の周りに見えない壁を作ってるみたい…。
・
・
・
屋上にアリサちゃんの声が響き渡る。
「あっ~~~!!むかつく!!」
アリサちゃんは弁当のおかずを頬張りながら大声をあげている。
あ、あの・・・女の子がはしたないんですけど・・・。(汗
私は詠ちゃんに昼食の誘いを断られた後、アリサちゃん達と屋上でお弁当を食べていた。
「何なのアイツ!?転入初日であの態度!何が『私に関わらないでください』よ!」
「お、落ち着いてアリサちゃん・・・」
「そ、そうだよ。何か事情があるかもしれないし・・・」
「事情ってどんな事情よ!?」
「そ、それは分かんないけど・・・」
「それに『友達ごっこ』ですって!?ふざけんじゃないわよ!」
やっぱりそのことが一番頭にきてるらしい。私もあれには傷ついたな…。
「そうだね。あれは流石に…ね」
「…うん」
友達ごっこ…。詠ちゃんにとって友達って何なのかな?
…何が詠ちゃんをそうさせたのかな?
お話しできないかな?そうすれば…。
「あ~~~~!もう!むかつくーーー!!!」
そしてまた屋上にアリサちゃんの雄叫び(?)が響き渡る。
―――side Yomi
私は裏庭にあるベンチに腰を下ろす。教室に比べると人はおらずとても静かだ。昼休憩などはここに来ることにしよう。
私はコンビニ袋からカロリー○イトと一日分野菜を取り出すと、カロリー○イトの箱を開け一口かじる。他所から見れば昼食とは呼べないだろうけど昼食なんて必要な栄養さえ取れればそれで良い。そもそも食事とは生きるために栄養を摂取する事が目的なのだから。
もぐもぐ。
フルーツの味が口の中に広がる。この味は私の一番のお気に入りだ。チョコレートも捨て難いけどやっぱりこれよね。
「………」
もぐもぐ…。
私はただ黙々と食事をし、カロリー○イトを食べ終えると、ぱさぱさとしたものを食べたおかげ乾いた口の中をジュースで潤す。
食事の残骸を近くのゴミ箱に捨てると、先ほどのベンチに座り私はただ静かに空を眺める。見上げれば朝にはあったはずの雲も流れて今では雲一つ無い青空が広がっていた。
眼を瞑る。すると風が優しく私を髪を撫てで、潮の香りを運んでくる。
「………」
くぅ~…。
誰もいない裏庭に小さく私のお腹の虫が鳴く。
「う…足りない」
栄養を摂取出来てもやはりあれだけじゃ足りないものは足りないのである。
・
・
・
キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン…。
昼休憩が終了し私は教室に戻ると、私が教室に入ってきた途端にさっきまで賑やかだった教室がしんと静まる。
皆の視線が私に集まる。その視線は朝の時のとはまったく別のものになっていた事に気づくのは簡単だった。朝は期待や興味と含んだ視線を送っていたが今では嫌悪を言った視線を送ってくる。
まぁ、慣れてるけど。
私はそんなことなど気に留めることもなく自分の席に着く。
すると高町さんが笑顔で話しかけてくる。
「お帰り♪」
「………」
…何でこの子は話しかけてくるの?
今まではこんな事なかったのに…。
そう、今まで通りなら皆、転入初日で私を避けているはずなのに、どうしてこの子は私に話しかけてくるの?
「ねぇ?どこでお弁当食べてたの?」
「…どこでもいいでしょ?」
「教えてほしいな♪」
「…関係ないでしょう。貴女には」
そう、関係ない。
関係…無いはずなのに。
「教えてよ♪それで、一緒にお弁当食べよう♪」
どうして…私に関わるの?
キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン…。
授業の始まりを知らせるチャイムが鳴り響く。それと同時に先生が入ってきて日直が号令する。
「…授業が始まるわ」
「ぶぅ~…ケチ」
高町さんが頬を膨らませて拗ねる。
…助かった。
これほどチャイムに感謝したのは今までで初めてだ。危うく自分の領域に入られる所だった。
この後も何度か話しかけられたけど無視した。授業中ということもあり、すぐに静かになったけど…。
――放課後
授業が全て終了し、やっと放課後になる。
つ、疲れた…。
授業中に話しかけてくるのをやめたと思ったら、今度はずっと手紙を渡してくるんだからたまらなったものじゃない…。
『好きな食べ物って何?とか『趣味は何かな?』とかを授業終了まで一方的に渡してくるのだ。もちろん返事はしなかったけど。
休憩時間になるとすぐに話しかけてくる。そして私はそれを避けるためにすぐに移動。放課後までそれの繰り返し…。本当に疲れた、肉体的にも精神的にも…。
今日は早く帰って休もう。荷解きもしないといけないし…。
そう思い席を立つとまた彼女がやってくる。
「一緒に帰ろ♪」
「………」
私は頭痛を覚えながら高町さんを無視して教室を出る。
今までで分かったこと。それは「相手にしたら負け」ってこと。早足で下駄箱に急ぐ。捕まれば色々と面倒なことになりそうだし。
「待ってよ~~~!!!!」
後ろから高町さんの声が聞こえてくる。振り向いて見ると高町さんが走って私を追いかけて来ていた。
「…走るんじゃないわよ」
私は歩くスピードを速める。歩いているように見えてもスピードは走っているときとあまり変わらない。
彼女は運動が苦手と言うのは体育の時間で実証済みだ。これなら追いつけないだろう。
振り向いて見ると案の定、彼女はもう既にバテていた。
体力が無いにも限度があるでしょ…。
私は呆れながらも今がチャンスとばかりさらに速度を上げ下駄箱に辿り着き靴に履き替える。その時、上履きを持って帰るのも忘れない。今までの経験で上履きを置いて帰ると隠されたり砂を入れたれたりと、ロクなことがないからだ。
まぁ、そんなくだらない悪戯で私が傷付くなんてことは無いけれど…。
ちらっと視線を後ろに向ける。
…追っては来ていないみたいだけど。諦めたのかしら?
念のため急いで学校を出る。あの子のことはあまり理解できないので何をしでかすか分からない。
学校を出たら今度は脇目も振らずに私は走り出した。外に出れば廊下を走ってはならない何て事を気にしなくても良い。私は走る速度を緩めず帰路を走る。走る。走る。一心不乱に慣れない道を走り抜ける。学校からかなり離れたところでようやくゆっくりと歩きだす。
しかし、私はふとある事に気がついてピタリと足を止めた。
「………此処、どこ?」
見知らぬ土地の風景に呆然と立ち尽くす。
カァー!カァー!
夕焼けの空にカラスの鳴き声が虚しく響くのだった…。
キャラクター設定
名前:工藤 詠 (クドウ ヨミ)
血液型:AB型
趣味:読書、歌、料理(本人は下手だという自覚無し)。
好きな物(事):本、自然。
嫌いな物(事):自分以外人間。
デバイス:ロストロギア「摂理の書」(普段は詠のリンカーコアと融合している。AIは搭載されていない)
【挿絵表示】
再投稿開始!
しかしこれは自分の処女作な訳ですが、改めて見ると結構ひどいものですねww恥ずかしくなってきましたw