魔法少女リリカルなのはA’s ~幼き賢者と魔法~   作:金髪のグゥレイトゥ!

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第5話「転校生VS転校生なの?」

 

――――side Yomi Kudou

     12月2日PM8:10

      廃工場

 

 

がさごそ…。

 

夜の暗闇の中、私は魔法で作った掌サイズの光球の光を頼りに必要な物を探っていた。

此処は閉鎖された工場。学校の近くにある廃工場にウチの生徒が忍び込んで遊んで居たのを目撃した近所に住む住民が学校に連絡し、その生徒は駆け付けた先生に捕まりこってり絞られ、朝のHRで私達学校の生徒にも危険なので工場には近づくなと注意されたのを思い出し私はこの場所へと来ていた。

 

「ネット、ワイヤーにバッテリー?まだ使えるかしら?」

 

古くなった道具を手に取り黙々と必要な物を集めていく。幸いな事に管理が杜撰だったのか殆どの道具が放置されて残されていた。それに不良の溜まり場になっていたのだろう。最近捨てられた形跡のあるゴミも沢山あった。

 

「牛乳パック?捨てなさいよ…」

 

かさかさっ…!

 

「kjfsj#rp0$¥。v☆っ!?」

 

バッ!!!

 

黒い生物が蠢いていた牛乳パックを全力で放り投げるっ!

牛乳パックはもの凄いスピードでガラスの割れた窓を通り抜けて外へと飛んでいった…。

 

「はぁ、はぁ…」

 

…忘れよう。うん、そうしよう。

 

気を取り直して捜索を再開。すると、物が落ちた際に埃が舞い咳き込む。

 

「けほっけほっ…あぁもうっ!」

 

それにしても埃っぽいわね…。一体何年前に閉鎖されたの?

 

「…よし、必要な物はある程度そろったわね」

 

閉鎖時に殆どの物が撤去されてろくな物はそろってないと思ったけれど、道具は閉鎖される前のままの状態で残っていた。確かにこれは危険ではある。でも今回は感謝するべきだろう。おかげで望む物は全て揃えることが出来たのだから。

 

「さて…」

 

私は割れた窓から見える結界に覆われた空を見上げる。

 

後は下準備を済ませて待つばかりか…。

 

 

 

 

 

 

――――side Yomi Kudou?

     12月2日PM8:10

      海鳴市上空

 

 

冷たい風が吹く荒れる街の上空で私とゴスロリは距離を開けて睨み合う。

と言っても相手が一方的に睨んでるだけであって、私は面倒臭そうにゴスロリを見ているだけだ。あっちは以前馬鹿にされて怒り心頭かもしれないが、こっちからすれば正当防衛であって逆恨みも良い所なのだから。

 

…始めましょうか。

 

「カレードスコープ」

 

私はそう唱えると私の周辺にいくつもの黒い魔法陣が展開しその魔法陣から私の分身が出現する。

 

「はっ!その手はもう乗らねぇっ!アイゼン!!」

『Jawohl(了解)』

 

そう、ここまではこの間と同じ…。

この手は既に相手も知っている。いくら猪突猛進な性格の彼女でもそう何度も引っ掛かりはしないだろう。そして、やはりゴスロリはフェイクには目もくれず、迷うことなく本物の私に接近しハンマーを振り上げる。

 

「いくら本物にそっくりでもリンカーコアまでは似せれねぇからなぁああああああっ!!!!」

 

それはどうかしら?

 

ガキィィィンッ!

 

「くっ!」

 

私は障壁を張り受け止める。

 

「へぇ、小さいお頭でよく学習したわね?えらいえらい」

「うるせえええええええええええええっ!」

 

小馬鹿にする様にパチパチと拍手を送る。しかし彼女はそれがお気に召さなかったようで、激昂して攻撃の激しさは

 

ガコンッガコンッ!

 

ゴスロリのデバイスから音を立てて薬莢が飛び出し、それと同時にジェットと思わせる機構をした部分が火を噴きハンマーの勢いが爆発的に上昇する。

 

「くぅぅううっ!?」

 

ビキッ…ミシミシッ!

 

悲鳴を上げる障壁。

とんでもない威力だ。想像以上の猛功に次第に圧されだし私の表情からは余裕が無くなり、そして遂には耐えきれなくなり障壁に亀裂が入リ始めた。

 

くっ!駄目っ!もたないっ!?

 

バリィィンッ…!

 

障壁が音を立てて砕け散る。

ゴスロリはにやりと凶悪な笑みを浮かべ、ハンマーを高く振り上げ私に目掛けて手加減抜きで振り下ろす。

 

「吹き飛べええええええええええっ!!!!」

「―――やばっ!?」

 

ドコォォオンッ!!!

 

振り下ろされたハンマーはバリアジャケットすら纏ってない私の横腹に見事に叩き込まれる。

 

「かはっ!?」

 

肺にあった酸素が強制的に吐き出され呼吸が止まる。私はそのまま吹き飛ばされ傍にあったビルの壁に叩き付けられる。

 

「くっ…うぅ…」

 

ずるずると地面にずり落ちながら、今までに経験のしたことの無い激痛に表情を歪めて呻き声を漏らす。

 

やば…骨何本か折れたかも…。

 

『詠ちゃんっ!?』

 

なのはの悲痛な声が頭に響く。

 

『…うるさい。黙ってそこで見てなさい」

『でもっ!』

 

…しょうがないわね。

 

ここで動かれたら作戦が丸潰れだ。そうなればわざわざこんな危険なリスクを犯してまでやったことが全て無駄になる。それはよろしくない。それではまるで私が道化の様じゃないか。

仕方がない。決して言いたくはない言葉だったが…。

 

『私を信じなさい』

『っ!?』

 

自分勝手な話。私は他人を信用しないって言ってるのになのはには信じろと言っている。ホント、何言ってるんだか…。

信じろ。なんて安い言葉なんだろう。とことん実感する。

 

『…わかったよ。でも!危なくなったら助けるからっ!』

 

だと言うのに、なのはは簡単に私の言葉を信じた。

 

信じるの?本当にお人好しね…。

 

『…無用な心配よ』

 

そう素っ気無く返すと念話を終了し私はよろよろと立ち上がる。身体がギシギシと悲鳴を上げてあちこちが痛い。この『身体』はもう長くはもたないだろう。

そんなボロボロの私を空から見下ろすゴスロリを睨み付ける。

 

「……フフッ」

 

身体は立っているのやっとの絶望的な状態。しかしその表情に浮かぶのは絶望ではなく勝利を確信した笑みだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第5話「転校生VS転校生なの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

チャキッ…!

 

ガコンガコンッ

 

ゴスロリは無言でハンマーを構え直すと再びカートリッジをリロードする。

次の一撃で決める気だ。しかし、それだと困る。私は痛む体に鞭を打ち、ゴスロリに背を向け全速力で飛び去る。

 

「くっ!」

 

正面からぶつかって勝てる見込みはゼロ。私の武器は知識とつい最近使ったばかりの慣れていない魔法だけ。ならば、それを最大限に活用するしかない。

 

「また逃げるのかっ!?」

「当然」

 

あんなのとドンパチ繰り広げるなんて身が幾つあっても足りないわ。そういうのは他所でやりなさいよ。

 

『なのは、そこで大人しくしてるのよ』

『う、うん…!』

 

ちらりと後ろを見る。ゴスロリも逃がす気は無いらしく。なのはの事は無視して私の後を追って飛んできていた。

 

予測通り。でも早いわね。このままだと追いつかれる。

 

私は相手に気づかれないよう手の中に光の玉を生成すると振り向きざまに光の玉をゴスロリのほうに投げる。

 

「弾けなさい」

 

私が言葉を発した瞬間。ゴスロリの目前で光の玉はカッと弾け、目を開けられないほどの光が拡散する。

 

「っ!?」

 

ゴスロリはあまりの眩しさに目を瞑り、動きを止める。

 

動きが止まった。…今だ!

 

私はこのチャンスを見逃さずこの場から急いで離れる。これで距離は稼げた。

 

「っ!…てめぇっ!!」

 

ゴスロリは視界が回復すると再び追跡を開始する。さっきよりスピードが上がっているように感じるのは勘違いではないようだ。どうやらご立腹のご様子。短気ね。

 

目的地まであと少し…間に合って!

 

さっきの目くらましで稼いだ距離がもう縮まり始めている。このままじゃまずい。

 

「くっ!」

 

早くっ!間に合わないっ!

 

焦る気持ちを抑えながら私は逃走経路を飛ぶ。

 

早く…早く…早く…!

 

すると、ようやく目的地である廃工場が見えてきた。目的地にたどり着き私はほっと安堵する。しかしそれがいけなかった。その一瞬の油断を歴戦の戦士が見逃す筈が無かった。

 

「着いたっ!「吹き飛べええええええええ」っ!?」

 

その声にハッとして振り向く。振り向いた視界に映るのは、目前に迫ってくる鈍く輝く鉄のハンマーだった。

 

「しまっ…」

 

ズドオオオオオンッ!

 

しまったと言い終わる前にハンマーが私の腹部に直撃し、私は吹き飛ばされ窓を突き破る。

 

バリィィィンッ!

 

「かはっ…あ、はははは……ホームラン……っ」

 

どうやら運命の女神は私の味方をしてくれているらしい。まさか吹き飛ばされた先が……。

 

「これが私の逃走経路よ……なんて、ね…」

 

私が目指した目的地。廃工場だった。

 

というか、どれだけ吹き飛ばされたのよ私…。

 

それだけ加減抜きでアレが攻撃してきたと言うこと。そう考えるとどうしてくれようかと腹が立ってきた。

 

「…くっ!」

 

私はボロボロの身体で立ち上がると天井にぶら下がっている紐を握る…。

 

「はぁ…はぁ…」

 

条件はクリア。あとはアイツが来れば…。

 

「おらああああああああああっ!!!!」

 

突き破られた窓からゴスロリが突っ込んでくる。

 

来た!

 

「これでっ!」

 

「てめぇをっ!」

 

「「捕まえたっ!!」」

 

ブゥゥゥンッ…。

 

私とゴスロリの足元に巨大な魔方陣が出現する。

 

「なっ!?」

「AMF展開…」

 

空を飛んでいたはずのゴスロリが重力に逆らえなくなり地面に足を着く。

 

「魔法が…使えないっ!?」

「アンチ・マギリング・フィールド」

「何っ!?」

「簡単に言えば対魔導師の結界よ…この中じゃ貴女は魔法を使えない」

 

まぁ、それは私もなのだけれど…。

 

「そんなことできるわけッ!」

「現に出来てるじゃない。前も似たようなこと言ったでしょ?現実と向き合いなさいよ」

 

学習しないわね。

 

「だからと言ってお前が勝ったって決まったわけじゃねぇ!アタシにはグラーフアイゼンがある!てめぇは素手じゃねぇか!」

 

確かにその通り。素手で武器を持ったベルカの騎士に勝てる自信なんて私には無い・・・だから。

 

「確かに…ね、でも」

 

バッ!

 

私は後ろに飛び退き手に持っていた紐を引っ張る。

すると、さっきまで私が居た床とゴスロリの居る床に散らばっているガラクタもといワイヤーがゴスロリに絡まり、ネットがゴスロリを宙に吊り上げ、一瞬にして彼女を拘束し先程までの立場が一変した。

 

「うわああああああっ!?」

「これならどうかしら?いくら貴女でも生身でワイヤーを引きちぎれないでしょう?」

「く、くそおおおおおっ!!」

「いちいち騒ぐんじゃないわよ、うるさいわね」

 

…さて、拷問タ~イム♪

 

 

私はとても邪悪で素敵な笑みを浮かべ、天井にぶら下がっているゴスロリを見上げる。片手にはバッテリーで作った簡易的な電気ショックのスイッチを握っている。

 

「一つ目の質問。あなたの目的は?」

「…」

 

案の定沈黙か…。まぁ、いいけど。

 

カチッ

 

私はスイッチをONにするとバッテリーに繋げてあるワイヤーから電流が流れる。

 

バチバチバチッ!

 

「うああああああっ!?」

 

ゴスロリは苦痛の表情を浮かべ悲鳴を上げる。

 

「言い忘れたけど私の質問に答えなければ電流を流すから」

「…魔女がっ!」

「褒め言葉ね」

 

少なくとも善人になんてなりたくないし…。

 

「まぁ、あなたの目的はわかってるのだけど…」

「何っ!?」

「リンカーコアの収集。闇の書の完成…」

「っ!?」

 

ゴスロリは驚愕の表情を浮かべる。正解か…。わかってたけれど。

 

「…あなた主は誰?」

「………」

 

…はぁ、馬鹿な子。

 

カチッ。

 

バチバチバチッ!

 

「うわああああッ!」

「質問に答えなさい」

「だ、誰が…」

 

カチッ。

 

バチバチバチバチッ!!

 

私は少し電圧を上げる、プログラム風情に遠慮なんてしない。

 

「があああああああっ!?」

「少しずつ電圧を上げていくわ…早く吐いた方が身のためよ?」

「はぁ…はぁ…」

「…はぁ、質問を変えるわ。先ほどの戦闘、何故非殺傷設定で戦っていたの?殺傷設定だったら殺す前にリンカーコアを収集すれば済む話なのに…」

 

先ほどのなのはの戦闘を見ていたがゴスロリは非殺傷設定で戦っていた。殺したらリンカーコアは収集できない。なら死なない程度に痛めつければいい話だと言うのにコイツはそうしなかった。何故?

 

「…」

「主の命令?」

 

だとしたら理解できない。何故そのような人物が闇の書の完成を目論むのか…。

 

「…」

「答えなさい」

「…」

 

…どうしても答えないつもりね。

 

カチッ。

 

バリバリバリバリッ!

 

「うああああああああああああっ!!!!」

「はぁ…何?貴方の主は自殺志願者なの?」

「はぁ…はぁ…?」

 

私の言葉にゴスロリは怪訝そうな表情を浮かべる。

 

「闇の書が完成すれば闇の書の主は死ぬと言うのに…」

「…何?」

 

今までの私の問いには一切反応を示さなかった彼女が、主の死にピクリと反応を示す。

 

…予想外の反応ね。知らなかったとでも言うの?

 

「…知らないの?」

「死ぬってどういうことだよっ!?」

 

どうやら本当に知らないみたいね…。主が変わると記憶が消去されるのかしら?

 

「言葉のとおりよ。闇の書が完成すると、書は暴走し、その主を殺す・・・」

「嘘つくんじゃねぇっ!!」

「嘘言ってどうす…っ!?」

 

バリィィィンッ!

 

突如、窓を突き破りピンク色の影が飛び込んできて天井に吊るされているゴスロリに向かって高く飛び上がる。

 

「仲間っ!?」

 

ザンッ…ドサッ。

 

天井にゴスロリを吊り上げていたワイヤーとネットが紙のように叩き切られ音を立てて落ちてくる。

 

「~~~~っ!いってぇ~!!何すんだシグナム!」

「助けてやったと言うのに何だその言い草は…ほれ」

 

拘束が解けて地面に尻餅を付いたゴスロリは恨めしそうに涙目でそう訴えると、シグナムと呼ばれた甲冑を着た女はやれやれと溜息を吐いて、手に持っていた帽子をゴスロリの頭に乗せる。あれはさっきなのはとの戦闘で破れた帽子…。

 

「修復しておいたぞ」

「…ありがと」

 

シグナムはその言葉にフッと微笑むと私の方へ振り向き睨みつけてくる。

 

「…ヴィータ、まだ戦えるな?」

「ったりめぇだ!」

 

ゴスロリ…ヴィータと言ったか。ヴィータとシグナムはそれぞれの武器を構え戦闘体勢に入る。

 

「…っ!」

 

…失態だわ、守護騎士が一人じゃないということは知っていたのに…。

 

じりっ…。

 

私は無意識に後ずさる。

 

…ここまで…ね。この体ももう限界のようだし…。

 

『なのは。急いで結界を破って脱出しなさい』

『詠ちゃんっ!?』

『時間稼ぎはしてあげる、後は自分でなんとかしなさい……間違ってもこっちに来るんじゃないわよ?』

『待ってっ!?詠ちゃんっ!よ―――』

 

ブツンッ…!

 

「さて…」

 

時間を稼ぐとは言ったものの、このままじゃ3分ももたないわ。罠はオジャンになっちゃったし、AMFがあるからと言ってもこっちは丸腰。あっちは接近戦の得意なベルカの騎士が二人。勝ち目はない…。

 

手段はただ一つしか…。

 

「…AMF解除。カレードスコープ」

 

私の周辺に30体以上の分身が出現する。

物理戦が駄目なら魔法…といっても苦し紛れの抵抗しかできない。私はダミーに混じり一斉に二人の間を通り抜け空へと飛び上がる。流石の二人も急にいっぺんに来られて対処が出来なかったようだ。

 

「「っ!?」」

 

なら、精々逃げ回るとしましょうか。『この体』のタイムリミットまで…ね。

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

あれから5分、5分しか経ってない。まぁ、5分ももったことに驚きなのだけれど…。

 

私は空を見上げる。空は依然と結界に覆われたままだ。

 

…まだ結界は破られていない。なのははまだ逃げてないの?

 

「はぁ…はぁ…まさか他にも敵が?」

 

だとしても、この状況で助けに行けるわけ…。

 

ザッ…ザザザッ…―――!

 

「…っ!」

 

もう魔力が底を尽きる…この体がっ!

 

「「うおおおおおおおおっ!!!!!」」

 

「…っ!?」

 

二人が一斉に襲い掛かってくる。かわそうとしたが体が言うことをきかなかった。もう限界がきたらしい…。

 

…終わった。

 

そう、頭の中で思った。

 

私は諦め目を瞑る。すると、その時…。

 

ガキィィィィンッ!

 

金属同士がぶつかり合う音が響いた…。

 

 

 

 

――――side Fate Testarossa

     12月2日PM8:40

      海鳴市上空

 

 

海鳴に到着すると既に結界に包まれていた。

 

「…これは」

「結界!?」

「フェイト!急がないとなのはがっ!」」

「うん、急ぐよ。アルフ、ユーノ」

「うん!」

「あいよ!」

 

魔力反応が2か所に分かれてる。一つはなのはの魔力反応。もう片方は知らない魔力反応だけど、これは…。

 

「…戦っている?」

 

ということは味方?どちらにしても放っておけない。

 

「ユーノはなのはの所に。アルフは私と一緒に戦っている人の加勢に!」

「うん!なのはの事は任せて!」

「わかったよ!フェイト!」

 

私とユーノは別れて飛び去る。それにしても戦っている人は何者なんだろう?管理局からは増援の報告なんて…。

 

「フェイトっ!あれっ!」

「っ!?」

 

考え込んでいる所をアルフの呼ぶ声で思考が引き戻される。

アルフの指さす方向を見てみるとそこにはどこにでもいる女の子の服装をした女の子が二人の魔導師に襲いかかられている姿があった。

 

「バルディッシュ!」

『yes sir』

 

私は高速で女の子の元へと翔ける。

 

間に合ってっ!!

 

その願いに呼応して私の速度は更に加速する。世界がゆっくりとスローモーションに見えてしまう程に。

そして、ゆっくりと女の子に迫る凶刃。それが女の子に振り下ろされようとしたその瞬間―――。

 

ガキィィィィンッ!

 

―――私は二人の攻撃を受け止めた。

 

「…何者だ?」

「時空管理局 嘱託魔導師。フェイト・テスタロッサ」

 

 

 

 

 

――――side Yomi Kudou

     12月2日PM8:40

      海鳴市上空

 

 

…誰?

 

金属がぶつかり合う音が響いた後、いつまで経っても襲ってこない衝撃に不思議に思い目を開けてみるとそこには知らない金髪の少女の背中があった。

 

「…何者だ?」

 

シグナムが口を開く。

 

「時空管理局 嘱託魔導師。フェイト・テスタロッサ」

 

…時空管理局?最悪…。

 

管理局にだけは見つかりたくなかったと言うのに…。

 

「あの…大丈夫ですか?」

 

テスタロッサと言ったか。テスタロッサさんは心配そうに私に訊ねてくる。

 

「……」

「…あの?」

「…貴女は管理局の人間なの?」

「え?…そうですけど?」

 

逃げるが勝ち…か。なのはの事は管理局に任せるとしましょうか。

 

「そう、ならあとは貴女に任せていいわね?」

「え?」

 

ピシッ…。

 

そう言った途端に私の体に罅が入る。

 

「…ええっ!?」

「なっ!?」

「限界のようね」

「てめぇっ!?まさか最初からっ!?」

「ふふふ、やっと気付いたの?そう、貴方が戦っていたのは私の身代わり」

「そんな…だってリンカーコアはっ!」

「人工のリンカーコアを私のリンカーコアに似せてつくり、私の姿に似せた器に宿した…原理は貴女の身体の同じ」

「そんな…」

「本物の私は安全な場所で人形を操作してたというわけ。理解したかしら?」

「…貴様っ」

「てめぇはまたっ!アタシを騙してっ!馬鹿にしてっ!」

「騙される方が悪いのよ」

 

「「っ!」」

 

「ガクガクブルブル…(あの雰囲気母さんにそっくりだ…)」

「じゃあ、御機嫌よう」

「あっ!待ってっ!…」

 

パリィィンッ…!

 

テスタロッサさんの言葉を聞かず私の体は砕けちった…。

 

 

――――side Yomi Kudou

     12月2日PM8:40

       公園

 

 

「さて、あとは結界が解除するだけか…」

 

私は結界を解除しようとすると街の方から桃色の光の柱が立ち上る。

 

「…あれは、なのは?」

 

無事だったようね。それにしてもすごいわね。結界を打ち貫いてるわ…。

もしかしたら私の手助けなんて必要なかったのかもしれない。

 

「結界を解除する手間が省けたから良しとしますか」

 

さて、疲れたし帰りますか。何?私は何もしてないって?人形操るのって疲れるのよ?

 

「…誰に言ってるの?私…」

 

どうやら本当に疲れているらしい。早く帰ろう…。

 

 

 

 

 

――――Side Nanoha Takamati

    12月2日PM9:40

    時空管理局本局・医務室

 

 

「…ん」

 

私は目を覚ますと見知らぬ部屋に居た…。

 

「…そっか、あの後気を失って…っ!」

 

胸の辺りに手を当てる…無い。いや、胸じゃなくて穴が開いてないって意味だから…って誰に言ってるんだろう私…。

と、とにかく。結界を破るために砲撃を撃とうとした時に、誰かの手が私の胸を貫いていたはずなのに…。

 

「…此処は?」

「時空管理局本局の医務室だよ」

「え?」

 

私は声の聞こえた方向を見ると白衣を着たおじさんが立っていた。

 

「目覚めたばかりで悪いんだけど、リンカーコアの検査をするからじっとしててね。すぐ終わるから」

 

お医者さんはお店でレジの人が使ってるバーコードリーダーみたいな物を私の胸の辺り翳す。

 

「…うん、流石に若いね。もうリンカーコアの回復が始まっている。でも、しばらくは魔法が使えないからね、気をつけるんだよ?」

「は、はい!ありがとうございます!」

「うん、お大事に」

 

お医者さんはそう言うと部屋を出ていってしまい、この部屋に私だけ残される。

 

リンカーコアのことは安心したけど、私はそんなことより詠ちゃんの事が気になっていた…。

 

「詠ちゃん。大丈夫かな?」

 

私が屋上に着いた時にはもう姿は無かった。事逃げれてばいいんだけど…。

そう考えていると部屋に誰かが入ってくる。

 

「…なのは?」

「…フェイトちゃん?」

 

「「………」」

 

私達は互いに黙り込む。久しぶりに会えたのにこんな再会をしてしまったせいだ…。

 

「ご、ごめんね?こんな格好で、久しぶりに会えたのに…怪我、大丈夫?」

「う、ううん…こんなの全然…それより、なのはは?」

「私は平気、フェイトちゃんのおかげだよ。…助けてくれて、ありがとう…また会えてすごくうれしい」

「…うん、私もなのはに会えてうれしい」

 

「「………」」

 

私はふらつきながらベットから出て立ち上がるとフェイトちゃんを抱きしめる。半年前もこうやって抱きしめあってお別れしたよね…。

 

「…ねぇ、フェイトちゃん」

「何?なのは」

「詠ちゃん…黒いロングヘアの女の子を知らない?私を助けてくれた子なんだけど…」

「…黒いロングヘア…その子なら、私が現場に到着した時に逃げた…と言うのかな?」

「え?」

 

どういうことなの?何やらはっきりしない返事だけど?

 

「その子が消える前に言っていたんだけど…あの体はただの作りもので、本物の自分は安全な場所でその作り物の体で操っていたんだって」

「え、ええ~~~~っ!?」

 

じゃ、じゃああの時助けてくれた詠ちゃんは偽物っ!?う、うぅ~…心配して損したよぅ。で、でも無事なんだよね?よ、よかった~…でいいのかな?

 

「あの女の子、詠って言うの?」

「うん、工藤 詠ちゃん。最近、私のクラスに転入してきたの…それがどうしたの?」

 

フェイトちゃんは真剣な表情を浮かべて考え込んでいる…。

 

「クロノとユーノから聞いたんだけど…あの魔法、本局のどのデータベースにも存在しない魔法なんだって…。ユーノはもしかしたら本局のデータベースに残されないくらい大昔の魔法かもしれないって…」

 

…え?どういうこと?

 

「何でそんな魔法がその工藤 詠さんっていう子が使えるか分からないけど…」

「…」

「もしかしたら、この事件の関係者かもしれ「違うよっ!」っ!?」

 

絶対に違うっ!詠ちゃんがそんな悪い事するわけないっ!

 

「だって詠ちゃんが犯人だったら私を助けてくれる訳ないもんっ!」

「なのは、落ち着いて。誰も工藤さんを犯人なんて言ってないよ?」

 

あ…そういえばそうだった…。

 

「ごめん…」

「ううん、それだけなのはにとって大切な友達なんだよね?(…ライバルか)」

「うん…」

 

あれ?なんかフェイトちゃんの背後から変なオーラが見えるんだけど…気のせいかな?

 

「そういえば後でユーノが話があるって」

「わかったよ…クロノ君は?」

「外でお医者さんとお話してるよ」

「そうなんだ。皆元気にしてた?」

「うん、アルフなんてこの前お肉食べすぎて…」

「あはははっ。相変わらずだね、アルフさん」

 

 

 

 

 

 

――――Side Lindy Harlaown

    12月2日PM9:40

    時空管理局本局

 

 

「…どう言うことかしら?」

 

私は本局から送られてきた書類を見て困惑する。

 

「どうしたんです?艦長、怖い顔して…」

「エイミィ。これを見てみて」

 

私はディスプレイを展開するとサイズを大きいほうに切り替える。

 

「え~と…本局からの増援の書類ですよね?よかったじゃないですか。人員不足なのにこっちに割いてもらって」

「その増援として来る局員のデータを見て御覧なさい」

「え?え~と…AAランクが3人も!?」

「そう、ただでさえ人手不足なのに何でAAランクの人間が3人も増援として送られてくるのかしら?」

「今回の事件が危険だから…でしょうか?」

「だからってウチにはクロノやフェイトさん。民間協力者だけどなのはさんも居るのよ?それなのにAAランクが3人というのは…」

「戦力過多ですよねぇ~」

「ええ…」

 

嫌な予感がする。何事も無く終わるといいのだけど…。

 

 

 

 

 

 

 

――――Side Hayate Yagami

    12月2日PM9:40

      八神家

 

 

「んふふ~♪」

「あれ?何かご機嫌ですね、はやてちゃん。何かいい事でもありましたか?」

「え?ウチわらっとる?」

「はい。とても嬉しそうに♪」

 

頬に手を当ててみるとたしかに笑ってる。無意識に笑ってたんか。

 

「それで、どうかしたんですか?」

「えへへへ。今日、図書館でな本が取れんで困っとる時な、同い年くらいの女の子に助けてもらってん。しかもその後にも違う子に助けてもらってな」

「へぇ~、良かったですね。お二人共お友達になれましたか?」

「ううん、月村すずかちゃんって子とはお友達になれたんやけど。もう一人の子は急いどるみたいであんまお話しできんかった。名前は聞いたんやけど…」

「そうですか、主を助けてもらった礼をしないといけませんね・・・名は何と言うんです?」

 

今まで黙ってソファーに座っていたシグナムが口を開く。

 

そやな~、今度、家にでも招待してゆっくりお話したいなぁ~…。

 

「工藤 詠ちゃんって言うんやけど・・・」

「!?」

 

…?ヴィータの目つきが変わったんやけどどないしたんやろ?

 

「どないしたん?」

「…はやて、その工藤 詠って子。黒くて長い髪型してた?」

「うん、黒くて綺麗な髪の毛が腰まで伸びてたなぁ~」

「…」

 

『どうした?ヴィータ?』

『あの白い魔導師がアイツの事、詠って呼んでた』

『っ!?では、主が助けてくれたと言う人物は…』

『たぶん…同じだ』

『…どうするの?はやてちゃん、今度会ったら家に招待する気よ?』

『図書館に行かないようにすれば良いのだが…主の行動を制限したくない』

『我等のずっと傍に居るようにすればいい。少しぐらい接触する確率が減るはずだ』

『でも、はやてちゃん自身が会うことを望んでるから…』

『アイツが図書館に居ればほぼ確実に会うことになる…』

 

『『『『………』』』』

 

「どないしたん?皆、黙りこんで?」

 

詠ちゃんの名前を出した途端皆喋らなくなってしまった。知りあいなんやろか?

 

「…いえ、なんでもありません主」

「そか?」

「はい」

「今度はいつ会えるかなぁ~♪はよ会いたいなぁ~♪」

 

友達になれるかなぁ?気難しそうな子やったから少し不安やなぁ。

 

「「「「………」」」」

 

 

 

 

 

 

――――Side Yomi Kudou

    12月4日AM8:10

     学校・教室

 

 

昨日は何事も無く平和だったというのに(なにせ、1行すら書かれないくらい何もなかった)どうやら今日は運命の女神とやらは味方をしてくれないらしい…。

 

「今日から皆さんに新しいお友達がやってきます♪」

 

無駄に演技掛ったその口調が腹立つんだけど…。

 

「留学生さんです♪」

「あの…フェイト・テスタロッサと言います。よろしくお願いします」

 

テスタロッサさんはペコリとお辞儀する。周りからはかわいい~やらなんやら耳障りな雑音が響く。朝からうるさいわね。ちらりと隣を見てみるとなのははとても嬉しそうに微笑んでいる。

 

…やっぱり管理局がバックにいたか。

 

今後は関わらないようにしよう。それが得策だ。

 

 

HRが終わった途端、生徒達がテスタロッサさんの机に群がり、まるで地面に落ちた飴玉に群がる蟻の大群の様な状態になってしまう。

 

「ねぇ?向こうの学校ってどんな感じ?」

「あの…私、学校には…」

「すげ~急な転入だよね?何で?」

「い、いろいろあって…」

 

質問が波のようにテスタロッサさんに迫っていく。憐れね。私には関係ないけど…。

 

「はいはい!」

 

パンパンと手の叩くを音が響き渡り群がっていた生徒達の質問の波が止まる…アリサか。

 

「転入初日の留学生をそんなに皆でわやくちゃにしないの!」

「アリサ…」

 

はいはい。美しき友情な事で…。

 

「それに質問は順番に、フェイト困ってるでしょ?」

「はい!じゃあ、俺の質問から!」

「いいわよ」

 

…何仕切ってるのよ?貴女はテスタロッサさんのマネージャーか何かですか?

 

私は溜め息を吐いていると別の方向の集まりからヒソヒソと話声が聞こえてくる。

 

「テスタロッサさんかわいいよね~。どこかの転入生とは大違い…」

 

…ああ、くだらないのがいるわね、この学校にも…。

 

「そうよね~何で転入してきたんだろ?」

「だよね~テスタロッサさんだけでいいのにね~」

 

何故貴女の都合に私が合わせないといけないのか教えてもらいたいわね…。

 

私はくだらない事を言っている連中を無視して本を読むことに集中する。

 

「あの…工藤さん?」

「?」

 

見上げてみるとそこにはテスタロッサさんが立っていた…。その表情はさっきのおろおろとした表情とは違い、何やら真剣な表情をしていた…。

 

「…なに?」

「ちょっと話したいことがあるんだ…いいかな?(一昨日の事もだけど、なのはのことについて聞きたいし)」

 

…一昨日の事ね。何かどす黒い嫉妬のオーラが見えるのは気のせい?

 

「嫌」

「あう…」

「それに…」

「?」

「私と話さない方がいいわ。友達作りたいんでしょう?嫌われ者と話さない方がいい」

「え…」

 

そういうとさっきから悪口言っている連中を睨みつける。

 

「「「…」」」

 

連中は何の事かと目を逸らす。影でしか悪口を言えない下衆が…。

 

「…どうしたら、お話聞いてくれる?」

「嫌だと言ったら嫌」

「あううう…そ、そうだ!何か勝負に勝ったら「そういう問題じゃない」あううううう」

 

魔導師と言うのは勝負好きな生き物なのだろうか?血気盛ん過ぎる。

 

「その勝負、私が預かったっ!」

 

アリサが私達の間に割って入ってくる。

 

「…だからそう言う問題じゃないって言ってるでしょう?」

「今日の授業で何故か知らないけど国語、理科、算数、家庭科のテストがまとめてあるわっ!その合計点の多い方が勝ちっ!勝った方が負けた方に何でも命令できるっ!」

「聞きなさいよ」

 

しかし何でもか。それは良いかもしれないわね。関わるなと命令すればいいんだし…乗った。

 

「わかったわ、乗ってあげる」

「…それでいいよ」

「わ、私も参加していいかなっ!?」

「なのはは黙ってなさいっ!」

「がーーん…」

 

なのはが崩れ落ちる。ていうか何を命令するつもりだったのよ?前回の借りの件で味を占めたわねこの子。なかなか欲張りな子だったみたい…。

 

「では、最初の授業は国語っ!」

 

 

「私は80点」

「ろ、60点…」

 

まぁ、別の世界の人間だし、しょうがないわね。良く取れた方よ。私も漢字だけなら100点取れたのに…何が「もう少し小学生らしい感想を書きましょうby先生」だ。知らないわよそんな事。

 

「次は理科っ!」

 

 

「100点」

「80点…」

 

ふっ…まぁ、頑張ったんじゃない?

 

「うむむむむっ!次は算数っ!」

 

ちょっと審判、何悔しがってるのよ?公平にジャッジしなさい。

 

 

「100点」

「100点」

 

へぇ~…やるじゃない。でも、合計点では私が勝ってるけどね。

 

「次は家庭科っ!家庭科室に移動っ!」

 

「「ちょっと待った!」」

 

「何?」

「家庭科室って…もしかして実習?」

「ええ、それがどうかした?」

「聞いてないよ…」

「大丈夫よ、簡単な料理だし」

 

「「………」」

 

そうして…私にとってかつて無いほどの戦いが始まった…。

 

 

 

 

 

Side Nanoha Takamati

    12月4日PM11:10

    学校・家庭科室

 

 

「だ、大丈夫かな?二人とも…?」

「大丈夫でしょう、だって「ゆでたまご」よ?世界で一番簡単な料理なんだから」

 

…ゆで卵って、料理って言えるのかな?

 

ルールは簡単、ゆで卵を作って審査員のアリサちゃんに100点満点で評価をしてもらう。ただし卵は1個まで、1個でも駄目にしたら即失格。

 

「でも、なんか不安だよね…」

「うん…」

「あのねぇ…いくらなんでも茹でるだけなんだから…」

 

「「「………」」」

 

長い沈黙…。

 

「「「ふ、不安だ…」」」

 

何故だろう?こんな不安な気持ちになるのは…。

 

パァンッ!

 

「きゃあっ!?」

 

「「「っ!?」」」

 

さっそくですか!?

 

教室にフェイトちゃんの悲鳴が響き渡る。

 

「どうしたのフェイトちゃんっ!?」

「なのは…」

 

駆けつけてみるとそこには木っ端微塵に弾け飛んだ卵がへばり付いた電子レンジと涙目のフェイトちゃんだった…。

 

「フェ、フェイト…何やったの?」

「ゆで卵を作ろうと思ったんだけど…」

 

「「「うんうん」」」

 

「コップに水を入れて…」

 

「「「………」」」

 

いきなり手順がおかしいんですけど…。

 

「その中に卵を入れたの…」

 

「「「……」」」

 

ま、まさか…伝説のっ!?

 

「それで電子レンジで…」

 

「「「卵爆弾っ!?」」」

 

「フェイトちゃん…それはどうかと…」

「ていうか何で誰も止めないのよ…」

 

近くに居た男の子曰く「オロオロしているフェイトちゃんに萌えた」と言って親指をぐっと立てて息を荒げてました。萌えた?萌えたって何だろう?その男の子は今アリサちゃんに鉄拳制裁をくらってます。

 

「はぁ…まあいいわ」

 

あっアリサちゃんが帰って来た。男の子大丈夫かな?保健室に連れていかれたけど…。

 

「フェイト、そのゆで卵?よこしなさい」

「え?でも…」

「食べられるとこもあるでしょ?いいからよこしなさいっ!」

「う、うん…」

 

フェイトちゃんから生き残った卵のかけらを受け取ると、アリサちゃんはそれを一口で食べる。まぁ、あんまり食べられるとこ無かったし…。

 

「…まずい、45点」

「あううううう…」

「まぁ、初めてに…してもこれは無いわね」

 

あ、あはははは…まぁ、うん、そうだね…。

 

「ま、まだ勝負はついてないよ?フェイトちゃん?」

「う、うん。そうだよ」

「あとは詠を待つばかりか…って!?」

 

私達は詠ちゃんが調理している方を見てみると、そこには紫色の煙が出ている鍋を掻きまわしている詠ちゃんがいた…。

 

「ブツブツ……」

 

な、何やらぶつぶつ言っていますが?大丈夫…じゃないよね、あれは…。

 

「な、何よあれ…?」

「さ、さぁ…?」

「というか…ゆで卵よね?今作ってるの…」

「…うん」

「何で紫色の液体がぐつぐつ煮えてるの…?」

「さ、さぁ…」

 

私が聞きたいです…。

 

「…詠はすごいなぁ(さすが私のライバル!)」

 

「「「何がっ!?」」」

 

フェイトちゃんは何やら尊敬の眼差しで詠ちゃんを見つめてる…。フェイトちゃんお願いだからあれの真似はしないようにね?

 

ズドオオオオオオオオオオオンッ!

 

「「「「!?」」」」

 

ば、爆発した!?鍋の中謎の液体が爆発したよっ!?

 

「…失敗」

 

失敗ってレベルじゃないよ詠ちゃんっ!?一体何を入れたらそんな色になるのっ!?

 

「とりあえず…はい」

 

詠ちゃんは鍋からなにやら取り出すとアリサに渡す…。

 

…それは。

 

なにやら蠢いている物体だった…。

 

名称「謎の物体X」名前を付けたのはアリサちゃん。

 

「これは…何?」

「ゆでたまご?」

「何故に疑問形!?てか食えるかっ!」

 

これは食べられないよね…というか詠ちゃん…何を錬成したの?

 

「審査員が喰わないでどうするのよ…食え」

「や、やめっ…もがっ!?…」

 

詠ちゃんは無理やりアリサちゃんの口に「謎の物体X」を捩じ込む。あぁ、さよなら…アリサちゃん。

 

「kせあまお;zmん:おいwふぁzmx・!?」

 

バタンッ…。

 

変な奇声を上げてアリサちゃんは倒れ、数回痙攣を起こし動かなくなった…。

 

「…塩が多すぎた?」

 

「「いや、違うと思う」」

 

詠ちゃんの冷静なボケに私とすずかちゃんはきっぱりと否定する。

 

…材料は普通だったんだね。

 

「たぶん、少なすぎたんだよ」

 

「「フェイトちゃんっ!?」」

 

フェイトちゃんの将来が少しだけ不安だよ…。

 

 

詠ちゃんの点数は0点でした…うん、まぁ…そうだよね。あ、あははは…。というわけで結果はフェイトちゃんの逆転勝ちでした~…。

 

ちゃんちゃん♪

 

 

 

 

 

 

 

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