艦隊これくしょん 艦これ ~水面の愛と水底の命~   作:hatahata

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注意 これは艦隊これくしょん 艦これの二次創作となっております。
別に見てあげてもいい、という心の広い方たちはお紅茶でもすすりながらゆっくり見ていってね!


北への道 壱

北方四島

日本の領土の最北端であり、最盛期には17000人以上の日本人が住んでいた。

日本が敵国とみなしていたソ連が近いこともあって戦略的にも重要な土地でもあった。

そして、日本軍の興亡をその目で見てきた土地でもあった。

択捉島の単冠湾から遥かハワイに向けて海軍の大艦隊が出撃したのを見送り、末期には侵攻してきたソ連軍を陸海軍が迎え撃った。

その後この島々はソ連領となり、サンフランシスコ条約で返還が約束されたが、ソ連崩壊後も返還はなされず、いわゆる『北方問題』として、長年日本を悩ませていた領土問題のひとつとなった。

しかし、今は領土問題云々ということではなくなっている。

あるのは硝煙の臭いと鳴り響く砲声と爆発音、それと深海棲艦達が作り上げた飛行場だけだ。

 

うっすら漂う夏の北方海域特有の霧の中に三人の人影が見える。

 

「本隊から支援命令や!飛鷹、隼鷹、聞いとったか!?」

 

一番背の低い艦娘がそう答えた。

 

「大丈夫よ、龍驤。ちゃんと聞いてたわよ。」

 

「こっちも聞こえてるぜ~。ちゃちゃっと終らせて早く帰って一杯やろうよ~。」

 

もう二人の艦娘がそう返事をする。

そして、龍驤は左手に持っている巻物を開いた。

それと同時に龍驤の右肩に『待機』と文字が浮かぶ、赤い炎が表れた。

開かれた巻物は彼女の前に浮いている。

 

「妖精さん!お仕事や!出てきな!」

 

すると、何処から現れたのか、ぞろぞろと大量の妖精が宙に浮いた巻物の上に集合した。

 

「ええか。艦攻は北方棲姫を攻撃。艦爆は爆撃と機銃掃射で上陸のときにけったいになりそうなものを狙ってや。戦闘機隊は攻撃隊の援護と制空。敵機がいなかったら地上銃撃や。美幌の航空隊からも攻撃隊がでちょるから、そっちとも連携をとってな。そして、今日も霧が出てるから、自分の機位を見失わんよう、気ぃつけてな。みんな、いい?」

 

全妖精は黙って頷いた。

 

「よし!全出撃要員は機体に乗ってな!準備できたらすぐに出撃や!」

 

そう言って、龍驤は腰のポーチに手を伸ばした。

中に入っているのは大量の人形...とは言っても航空機の形に近いものだ。

20枚ほど出して、巻物の上に一枚ずつ置くと、その人形に妖精さん達が吸い込まれていった。

そして、最後の一枚に妖精が吸い込まれた。

 

「準備完了やな。飛鷹、隼鷹。そっちは準備できたん?」

 

「私は終わったよ。隼鷹もさっき終わったって。」

 

「オッケー!ほな、出撃や!護衛の駆逐艦達!発艦中は隙だらけやから、対空、対潜警戒よろしくな!」

 

「「「了解!」」」

 

3人の外周にいる駆逐艦達が答えた。

そうしたら、龍驤は目を閉じて、手を合わせた。

呪文のようなものを唱えているが、何を言っているのかさっぱり分からない。

他の二人も同じことをしている。

呪文を唱え続けると、航空機型の人形が小さいながらも、本来の姿に変わり、赤い炎がだんだん青色に変わっていき、文字も『敕令』に変わった。

 

今まで波の音しかしていなかった海に、エンジンの爆音が鳴り響いている。

 

『全機、発艦準備完了しました!いつでも行けます!』

 

そう通信が入った。

 

「よし!攻撃隊、発艦始めッ!」

 

目をカッと見開き、そう叫ぶ。

すると次々と艦載機が発艦していく。

他の二人からも発艦していくのが見える。

最後の艦載機が発艦し、空中集合を終えると、攻撃隊は進路を北に向けて、霧の中へと消えていった。

 

「がんばってぇな。」

そう呟き、再び静けさが訪れた海上にたたずんでいた。

 

攻撃隊の内容

龍驤航空隊

零式艦上戦闘機二一型 9機

九九式艦上爆撃機ニニ型 6機

九七式三号艦上攻撃機 5機

 

飛鷹航空隊

零式艦上戦闘機二一型 10機

九九式艦上爆撃機ニニ型 10機

九七式三号艦上攻撃機 8機

 

隼鷹航空隊

 

零式艦上戦闘機二一型 10機

九九式艦上爆撃機ニニ型 10機

九七式三号艦上攻撃機 8機

 

美幌基地航空隊(別動隊)

九六式陸上攻撃機二三型 20機

零式艦上戦闘機二一型 16機

一式戦闘機二型 14機

 

 

途切れることのない霧の中を、総勢70機の編隊が攻撃目標の歯舞、色丹島に向けて飛行している。

幸い、はぐれた機体や、不調で引き返した機体は一機もいない。

 

「くそっ、イラつく!前が見えない!計器飛行は苦手なんだよ!」

 

一番先頭の艦攻の操縦士の妖精がふと叫んだ。

 

「そう言わないでくださいよ。航路は私がちゃんと記録しているから大丈夫です。それにもうそろそろ、目標が見えて来るはずです。」

 

「ほんとうかぁ?」

 

操縦士の妖精は霧の奥に目を凝らしてみるが、島陰の一つすら見えない。

視界は殆どないに等しい。

 

「う~む。さっぱり分からん。」

 

「龍驤さんから電報です。『第五戦隊砲撃終了、速ヤカニ攻撃開始セヨ』」

 

そういっている間に、霧の途切れ目が見えてきた。

 

「やっと見えたぞ~!」

 

霧が晴れ、攻撃目標の色丹島が目の前に見えた。

島は黒煙が立ち上ぼり、所々で火災も起きている。

 

「よぅし!全機、攻撃体勢に移れ!」

 

艦攻隊とその直掩の零戦隊はそのまま直進し、艦爆隊と零戦隊はゆっくりと降下していく。

 

航空隊が基地の上空に近づくと、対空砲火を打ち上げてきた。

最初の頃と比べると幾分かは弱くはなっているが、それでも空の色が黒くなる。

地上に目を凝らすと、機械に繋がれた、一人の小さな人影が見えた。

パッと見ると、外見は普通の女の子だ。

しかしよく見ると、所々に傷を負っている。

その目は空を忌々しそうに睨み付けている。

 

「北方棲姫発見!全機、攻撃用意!80番をお見舞いしてやれ!」

 

艦攻隊が進路を北方棲姫の方へ変えたその時だった。

 

『敵機確認!此方に向かってきます!』

 

直掩の零戦から通信が入った。

 

「何ッ!?数は?」

 

『およそ50!』

 

「数で負けているか...。零戦隊!ちゃんと守ってくれよな!」

 

『勿論です!』

 

直掩隊以外の零戦が艦攻から離れていった。

 

零戦隊が向かっていった方向に目を凝らすと、確かに、何かしらが胡麻粒程の大きさだが、ちらほら見えている。

 

「敵機は戦闘機が押さえているから、今のうちにやるぞ!ウチムラ!ちゃんと狙えよ!」

 

「わかってます!」

 

照準機を覗きながら、ウチムラと呼ばれた妖精は答えた。

 

「もうちょい右です...。あぁ、行き過ぎ...。もうちょい左に...。大丈夫です。進路そのまま。ようそろ~。投下まで5、4、3、2、1投下!」

 

爆弾投下柄を倒す。

800キロ爆弾が機を離れた瞬間、機体が一瞬浮き上がる感覚がする。

爆弾は投下されてすぐは、慣性の法則で、機体と平行して進むが、やがて大きな風切り音を発てて、落下しておく。

次々と、他の艦攻からも爆弾が切り離されていく。

数分経つと、重い振動が機体を揺さぶる。

 

「命中しました!」

 

「見事だ!ウチムラ!帰ったらビールを奢ってやるぞ!」

 

その直後、敵機を迎撃中の零戦隊から通信が入った。

 

『こちらアケモト一番!かなりそちらに行かせてしまった!本当に申し訳ない!美幌の戦闘機が応援に来る!それまで頑張ってくれ!』

 

「了解した!イグチ!撃って撃って撃ちまくれ!近寄らせるなよ!」

 

「了解しました!」

 

イグチは艦攻の後方機銃手妖精だ。

機銃にマガジンを装填し、コッキングレバーを引く。

 

「装填完了!」

 

機体の右後方に何機もの機影が見える。

深海棲艦の戦闘機の速度は艦攻よりもずっと早い。

差をどんどん縮められる。

機銃の握る手が強くなる。

数は見たところ約20機ほど。

 

「来るぞ!」

 

敵機が羊を追う狼のように襲いかかる。

操縦士はスロットルレバーを押し出し、エンジンの出力を上げる。

 

「撃て撃て撃て撃て!銃身が真っ赤になるまで撃ちまくれ!」

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!やってます隊ちょぉぉぉぉぉぉ!」

 

九七式攻撃機には自衛用に機体後方に旋回機銃を一丁装備してある。

計21丁の機銃が火を噴く。

しかし、後方旋回機銃は命中精度が悪い。

一機が撃っても当たらない。

それを編隊を組んで、数で補うのだ。

しかし、直掩隊の奮戦も空しく、一機、また一機と撃墜されていく。

 

「隊長!三番機が撃墜されました!」

 

「わかってる!クソッ!増援はいつ来るんだ!?」

 

「わかりませんよ!」

 

「ここで死ねるか!イグチ!頑張れ!生きて帰ったらお前にもビールだ!」

 

「了解ですぅぅぅぅ!うおぉぉぉぉぉぉ!ビールぅぅぅぅぅぅ!」

 

すると右側面に一機の敵機が

突進してくるのが見えた。

 

「イグチ!右だ!右に敵機!」

 

「右ってどっちですかぁぁぁぁぁ!?」

 

「お箸持つ方だ!」

 

「こっちか!落ちろぉぉぉぉ!」

 

イグチが敵機に向かって機銃を乱射した。

それでも敵機はまだ突撃をやめない。

撃ちまくっていると、敵機から火が出た。

それでも進み、敵機が射撃を始めた。

ガンゴン、と機体に衝撃が伝わってくる。

「クソがぁぁぁぁ!」

 

イグチはそう叫びながら撃ちまくる。

すると、敵機の機首がガクッと下がったかと思うと、そのまま急降下していき、そのまま空中で爆発した。

 

「よくやった!イグチ!」

 

「よっしゃぁぁぁぁぁ!ビールじゃぁぁぁぁぁ!」

 

索敵をしていたウチムラが叫んだ。

 

「ヤバいです!もう一機左に!」

 

「イグチ!もう一機追加だ!やれ!」

 

「了解!」

 

イグチはマガジンを再装填して、機銃を左に向ける。

 

「やったるぞぉ!」

 

引き金を引いたが、2、3発ほど弾が発射されたが、その後弾がでなくなった。

何回も引き金を引き直すが、その度、機銃が変な音をたてる。

冷や汗が垂れる。

 

「ち、ちきしょう!詰まりやがった!」

 

「何だと!?すぐ直せ!」

 

「今やってます!」

 

イグチがもたもたしている間にも敵機は近づいてくる。

万事休すか。

その時敵機がいきなり火を噴いて落ちていった。

すると雲の途切れ目から隼がそのまま急降下して過ぎ去っていった。

 

『遅れてしまって申し訳ない!第43航空戦隊!これより貴隊の護衛に移る!』

 

上空から次々と戦闘機が降下してきた。

形勢は一気に逆転し、殆どの敵機が撃墜され、撤退を始めた。

 

機体は穴だらけだが、幸いにも燃料漏れも無く、搭乗員も皆無事だ。

周りの僚機も少なからず被弾しているし、数も少なくなっている。

艦爆隊への被害は殆どなく、全敵機が艦攻隊に集中したようだ。

しかし、立ち上がる煙が全搭乗員の意気を大きく上げた。

 

 

 

「海斗さん、攻撃部隊及び支援艦隊からの報告書です。そして上陸部隊は順調に北海道に集合中です。このままいけば、来週には色丹島への上陸作戦が出来ます。」

 

「わかった。」

 

すると内線が鳴った。

 

「はいはい?誰が来たの?...えっ?マジ!?ホントに!?今すぐ通していいよ!大歓迎だよ!」

 

海斗が満面の笑みで電話を切る。

 

「誰が来たのですか?」

 

「昔の友達だよ。まさか生きてるとは思わなかったよ!」

 

数分後、扉を叩く音が聞こえる。

 

「入っていいよ~。」

 

扉が開かれると、一人の男が現れた。

 

「海斗、久しぶりだな!いつの間にかこんなに偉くなりやがって!」

 

「そっちこそ、死んだかと思ってたんだぞ!」

 

「俺はそう易々死なないぜ!」

 

二人が仲良く談笑している間、紀伊はただポカンとしていた。

 

「あぁ、紹介が忘れた。こいつは浅谷航平。高校からの親友で、キチガイ陸軍オタクだ。」

 

「おい、キチガイは余計だろ。それだったらお前はキチガイ海軍オタクじゃねえか。」

 

「はいはい、そうですね。そしてこいつが今回の上陸作戦の機甲師団を指揮する。まぁ、そうは言っても、戦闘車両なんて一両もないけどな...。」

 

「フッフッフ~。海斗よ。それがあるんだな~。」

 

航平が指を振りながら言った。

 

「嘘言うな。陸自の装甲戦闘車輌の類いは全滅したんだろ。」

 

「実はつい最近見つけたんだよ。使える戦車を!」

 

使える戦車があることを海斗は始めてしった。

戦車は離島防衛の際の戦闘や本土空襲で全滅したはずだ。

 

「まぁ、たまたまだったんだけどな。教導隊の使われてない車庫で見つけたんだよ。」

 

「何を見つけた?」

 

期待が高まる。

90式か?それとも10式か?

 

「74式だ。」

 

海斗はがっかりした表情を隠せない。

 

「おいおい。74式とか骨董品じゃないか!」

 

「大丈夫だ、任せておけ。それにそろそろ行かないとな...。じゃあな!」

 

航平は踵を返して部屋を出て行こうとした。

 

「...生きて帰ってこいよ。」

 

海斗がそうだけ言う

 

「...あぁ。」

 

それだけを返事して彼は部屋を出て行った。

 

 

 

 

航平は上陸作戦の為に強襲揚陸艦に今回の愛車の74式戦車と共に戦場へと向かう。

強襲揚陸艦と言っても民間の輸送船を改造したなんちゃって揚陸艦だ。

自分の他にもあと4輌の74式、それと普通科の陸自隊員200人が残り3隻の揚陸艦(仮)で移動している。

夏の北方海域は波はないが霧が出るので視界が悪い。

さっきも甲板に出て景色を見たかったが、霧で何も見えなかったので格納庫に移動してきたところだ。

 

『戦場までもうすぐだ...。』

 

航平は重い扉をいくつも開けて格納庫に辿り着く。

既に戦車は揚陸艇に積み込まれている。

後ろのもう一つの揚陸艇では既に普通科の隊員が準備を進めている。

揚陸艇に乗ると自分の戦車の近くに三人の人がいるのが見える。

金髪の、自衛隊員とは思えない風貌の男がこっちを見た。

 

「あっ!浅谷2尉!戻られましたか!」

 

「まあな、ルイ。で、この二人が新入りか?」

 

ルイと呼ばれた金髪の男以外の二人の男が立ち上がって浅谷に敬礼する。

 

「操縦手をやらせてもらいます。峯岸 純2曹。よろしく」

 

「装填手の三和 博人2曹です。よろしくお願いします。」

 

「よろしくな。」

 

握手をし合った。

二人から聞いた話だと、二人とも元は同じ部隊所属だったが、部隊が壊滅してしまったのでここにきたという事だった。

 

「んん?そういえば、浅井って名前をどこかで聞いた気が...?」

 

三和がそう呟いたその時だった。

 

『作戦域に到着。全要員は配置に着くように。隊員は出撃準備用意。10分後には出撃します。』

 

機械音声だったが、それでも一気に緊張してくる。

 

「うっし、遂に来たか!全員、戦車に入れ!ひと暴れするぞ!」

 

「「「了解!!」」」

 

 

戦車の中は綺麗になってはいたが、まだ少々油臭い。

最初見つけた時は油だらけの水垢だらけで動かせそうにはない状況ではなかった。

 

「おぉ。綺麗になってる!」

 

そして航平はペリスコープを覗いてみた。

少し曇りがあるが、戦闘に支障はないくらいだと判断した。

その他機器類も古いものばかりだったが、使用には支障はきたさないだろう。

無線機を手に取り、他の戦車と連絡を取った。

 

「隊長車から全車、聞こえてるか?」

 

『山本車、大丈夫です。』

 

『城崎車、聞こえてます。』

 

『福留車、オーケーです。』

 

『佐古車、異常ありません。』

 

無線機も特に異常は見られない。

 

「まぁ、大丈夫だろう。これなら戦えるな。それにしてもまさか74式に乗れるとは、夢にも思わなかったぞ!」

 

「だからと言って、戦車の中で『あれ』はやらないで下さいよ。」

 

「わかってるって!自制中だよ、自制中!...ちょっと爆発しそうだが。」

 

峯岸と三和は『あれ』という言葉の意味が分からず、首をかしげている。

 

「根岸2尉、『あれ』とは...?」

 

「うん?あぁ、それね、それは...。」

 

『これよりハッチを開きます。御武運を。』

 

戦車内のインターフォンから機械音声で伝達が来る。

それと同時に、大きい振動が身体を揺らす。

ハッチが完全に開ききると、航平達の戦車を載せた揚陸艇が動き出す。

速度を増していく感覚が伝わり、緊張がより一層増す。

 

「ちょっと外見るわ。」

 

ハッチを開けてキューポラから顔を出した。

目の前に見えるのは黒煙をもうもうと立ち上げる島、上空の味方爆撃機の大編隊、それと他の部隊や戦車を載せた揚陸艇。

母船はもうかなり後方の方だ。

 

「どうですか?」

 

砲手の根岸が尋ねる。

 

「感動的だ!久しぶりに戦争しに来てるって感じがプンプンする。うっひょぉ~!興奮してきたぁ~!」

 

「戦争狂みたいな発言ですね。」

 

すると後ろから揚陸艇に追いつこうとせんとする者がいた。

あっという間に追いつき、横に並んだ。

セーラー服を着ており、メガネをかけている。

手には小さいながらも重厚感のある連装砲を持っている。

こちらに向かって何かを言っているようだったが、揚陸艇のエンジン音で全く聞こえない。

航平がJTACSを指さすと、恥ずかしくなったのか、顔を少し赤くさせてうつむいた後に通信を入れた。

 

『す、すいません。いつもこうやって会話しているもので...。』

 

「いいよ、で、ご用件は?」

 

『はい。提督から貴隊の支援を命じられました、支援艦隊旗艦の鳥海です。これから貴隊への砲撃支援を行います。もしも支援が必要になった時は座標を申し出てくだされば、その地点に砲撃をいたします。弾薬が尽きるまでお供いたします。』

 

「了解!恩にきるよ!」

 

そういって、鳥海は揚陸艇から離れていった。

そして島に目を向けると、ちょうど爆撃隊が爆撃を敢行した直後で、海岸線が黒煙に包まれたかと思うと、その後に遅れて爆発音と、腹に響く振動が伝わってくる。

するとまた無線が入った。

 

『こちら美幌基地爆撃隊。海岸線の陣地に対する爆撃を行った。敵方の被害は甚大だ。安心して上陸してくれ。』

 

海岸線からもうもうと立つ黒煙と立て続けに起こる大小の爆発音がその効果を物語ってた。

揚陸艇は順調に戦場へと進んでいく。

反撃は一切来ない。

島がもう目と鼻の先まで近づいている。

航平はハッチを閉じて元の位置に戻る。

 

「もう少しで着く、期待してるからな!和製カルロス・ハスコックの実力見せてやれ!」

 

彼の右肩を強く叩いた。

 

「任せてください!」

 

「三和!装填頼んだぞ!お前が一番重要なんだからな!」

 

「わかっています!装填はおまかせください!」

 

「峯岸!お前の操縦に俺たちの命がかかってる!敵の弾全部避ける意気で頑張れ!」

 

「了解。」

 

すると、今まで感じていた騒音と振動が止み、静かになる。

ペリスコープ越しに揚陸艇のハッチが開くのが見える。

 

「エンジン始動!」

 

峯岸がスターターボタンを押し続ける。

エンジンの回転数がぐんぐん上がっていき、車内も騒音と振動が揚陸艇の中以上に酷くなっていく。

振動の高鳴りと共に興奮も高まっていく。

ボタンを離すと、エンジンがかかっている。

 

「よし、いよいよか!戦車前進!」

 

 

 




九話は意外と早く終わりましたね。(笑)
恐らく艦これSSではかなり珍しいと思われる陸戦主体の話になっていきます。
まぁ、原作でも大発付き八九式が実装されましたから、陸戦も増えていくんじゃないかと思います。
私は一応内火艇まで作りましたが、ただで少ないネジが...。


次回もお楽しみに!
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