艦隊これくしょん 艦これ ~水面の愛と水底の命~ 作:hatahata
別に見てあげてもいい、という心の広い方たちはお紅茶でもすすりながらゆっくり見ていってね!
支援は出来ない
その言葉に耳を疑った。
確かにセルゲイ大佐は支援を行うと約束した。
「し、しかし彼は!」
『彼?あぁ、アイツはもういません。』
「...はい?」
『艦娘にも限界があるのです。』
「でしょうねぇ...。それよりも何で支援ができないのか説明してもらいたい!こちらはこれ以上北方に戦力を割くことが無理なんだ!」
受話器の向こうからため息が聞こえる。
『だから言いましたよね。我々にも限界があると。艦娘だけでなく妖精さんたちの疲労も尋常じゃありません。それに資源や機材の消費も無視できるものではありません。今は提督が新しくなったので環境はとてもよくなりましたが...。」
今度はあちらでドアを開ける音が聞こえる。
『あっ。少しお待ちください。』
そう言うと受話器をテーブルに置く鈍い音が聞こえる。
か細くだがタシュケントとは別にもう一人ロシア語をしゃべっている声が聞こえた。
電話の奥でロシア語で二人が話し合っているが、音量が小さすぎてしゃべっている相手が誰だかわからない。
数分ほど待つとまた電話が繋がった。
『Hello.すまないね。ちょっと席を外していてね。』
今度は流ちょうな英語が流れてきた。
声もセルゲイ大佐のガラガラ声とは打って変わって若い男性の声だった。
「もしかしてあなたが」
『はい。私が新しく海軍対深海悽艦特設部隊の司令官となったウラジミール ソコロフ、階級は少佐です。よろしく。』
その会話の間にもタシュケントが横からロシア語で話しかけてきている。
ソコロフが彼女にロシア語で黙るように言ったのか、一言声をかけたら彼女のロシア語は聞こえなくなった。
『それで、例の件ですが...。彼女たちの疲労はかなり溜まっています。前任の提督が残していったデータを見て驚きましたよ。1ヵ月無休で出撃させられていた子もいました。資材は少し余裕がありますが、何しろ装備が足りていませんし、武装も満足に整備させられていません。航空隊も空襲や他作戦への投入で損耗が激しいです。それに2島を占領するための地上軍もサハリン防衛で動かせません。』
聞けば聞くほど救いが遠退いていく。
「困ったな...。」
すると今度は航平のJTACSが通信を受け取った。
「すまないがちょっと待っててくれ。」
そう言って受話器を置いて、通信を開いた。
『こちら美幌航空隊!緊急事態です!』
ものすごく緊迫した状況にあることが口調からわかる。
「今度はどうした!?」
『偵察機からの報告によると択捉、国後に敵が大集結している模様!』
「数は!?」
『多数!多数です!確認できるだけでも戦艦8空母6その他小型艦多数!輸送艦も確認できるとのこと!』
「クソ!最悪だ!」
『どうかしたのか?』
受話器からのんきな声が聞こえてくる。
「敵が集結している!恐らく...いや絶対先ほど占領した色丹を狙ったものだ。」
『そんなことはありえない。きっと何かの間違いだ。』
「前線からの直接入電だ!嘘なわけがない!そっちに詳細を送るからそっちの端末のIDを教えてくれ!」
『わ、わかった...。』
受話器から流れてくる番号を別端末の照会にかける。
すぐに彼のIDが引っ掛かり、それ宛てに先ほど報告で来た情報を打ち込んだ。
『...来た。今確認している。』
そう言うと受話器を置く音が聞こえた。
また受話器の奥から二人分のロシア語が聞こえてくる。
しかし今度はかなり早口だった。
言葉の節々にも何か焦りが感じられる。
『畜生!騙された!』
息を荒々しくさせてソコロフが再び電話に出た。
「どうしたんだ?」
『前任が残していったデータだとその海域にはそんな数の深海棲艦は存在するはずがないんだ!』
考えられることは一つ
戦果の水増し
『流石にこの数はそちらだけ対応するのは不可能だ。こちらでも出来る限りのことはしたいのだが...。』
「どうした?」
『2日、いや3日待ってくれ。』
「もしかして!?」
『あぁ、出来るだけのことはしてみよう。それまでは耐えてくれ!もしかしたらまた責任者が変わってるかもな!御武運を!』
そうして電話が切られた。
それと同時に廊下からドタドタと騒がしい音が聞こえ、ドアがおもいっきり開かれた。
紀伊が息を切らしながらデスクに数枚の書類を叩きつけた。
「大変です!」
「わかってる」
書類には北方に展開中の戦力と敵の強襲揚陸部隊の詳細が書かれているが、彼我の差は歴然としていた。
水上、航空戦力はかなり劣勢、陸上戦力に至っては上陸されてしまえば一蹴されてしまう。
北方に配置している艦娘や航空隊だけでは守りきれないことは確実だった。
「海斗さん!このままでは!」
「わかっている!」
三日も持たない。
そう言葉を発しようとした時だった。
「あっ。」
「どうしたんですか。」
海斗がデスクの引き出しからおもむろに書類の束を取り出した。
『来期戦力増強計画 参』
最初のページにはそうプリントされていた。
「この子達が配備されるのは...本当だったら1週間後....か。」
「しかし彼女たちは訓練を終えたばかり。いきなり大規模な作戦に巻き込むのは無謀では。」
「確かにそうだ...。けど彼女たち自身はそういうことにはいい意味でも....悪い意味でも慣れていると思うよ。」
「...そこまで海斗さんが大丈夫と言うなら...彼女たちに通達してきます。いつ頃出撃させますか?」
「今すぐにだ!」
気がついたら大学生になってた(すっとぼけ)
というのは置いておいて、超遅れて申し訳ありません。
執筆に費やす時間が極端に少なくなってしまいこんな結果になってしまいました。
大学生活にも慣れてきたのでまた再開いたします。
次回もご期待を!