艦隊これくしょん 艦これ ~水面の愛と水底の命~   作:hatahata

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注意 これは艦隊これくしょん 艦これの二次創作となっております。
別に見てあげてもいい、という心の広い方たちはお紅茶でもすすりながらゆっくり見ていってね!


希望

春の晴れた日、外に見える公園の桜の木は綺麗な花を咲かせている。

そこの公園には毎年、春になると大勢の人が花見にやってくる。

しかし誰も花見には来ない。

深海棲艦達にシーレーンを破壊され、航空輸送も制空権を取られてしまい、物資の輸出入が出来なくなり、経済基盤が崩壊しかけている日本には、花見をする余裕などない。

人々は今日を生きるのにも必死だ。

頼みの綱の自衛隊は壊滅的な被害を受け、海上自衛隊に至っては深海棲艦との戦闘で全艦艇を損失、事実上解隊となった。

 

 

深海棲艦の空爆で崩壊した『元』ベランダからは心地よい春風が入ってくる。

穴がぽっかり空いたベランダとは裏腹に、部屋の中は綺麗に整頓されている。

リビングに寝転がっている男がため息をついた。

 

「はぁ~。これからどうしろっていうんだ。仕事も無くなっちまったし、今さら雇ってくれるところなんて本土防衛隊ぐらいか。ああ、困ったなぁ...。」

 

「海斗さん。どうしたんですか?そんなに浮かない顔して...。具合でも悪いんですか?」

 

部屋の奥から一人の女性が現れた。

 

「ああ、紀伊か。この後俺たちはどうなるのかなぁって。」

 

「そうですか。自衛隊無き今、日本は深海棲艦をどうやって倒すのでしょうか?」

 

「倒すって言っても、ほぼあいつらのワンサイドゲームだ。世界中の軍が沈めた深海棲艦の数はごくわずか。もちろん我らが海上自衛隊も数隻ほどやったが、全滅させられた。生き残ってる方が不思議だよ。」

 

海斗と呼ばれた男は拳を握りながら、また横になった。

 

「海斗さんも苦労したのも私は知っていますから...。話は変わりますけど、今日で私があなたに拾われて丁度3年経ちますね。」

 

「もうそんなに経ったのか。早いな、月日が流れるってものは。思うと紀伊も最初の時と比べると全く別物になったよな。最初は変な魚みたいなやつだったのが、今はこんな美人さんだ。本当に君は何者なのか知りたいよ。」

 

「やめてくださいよ...。秘密です。海斗さん。実を言うと私もよくわかりませんけどね。」

 

『本当にいつも思うけど不思議な娘だなぁ...。まあ、今日は奮発して、肉でも買おうかな。』

 

そう思っているといきなり呼び鈴が鳴った。

 

「誰だろう? 紀伊、ちょっと待っててくれ。」

 

彼が玄関のドアを開けると、そこには黒いスーツを着た男が数人いた。

 

「政府のものだ。雲野3尉。あなたと同棲している者に用事がある。」

 

『紀伊に用事っていったい何なんだ?怪しすぎる。一応ここは下がってもらおうか。』

 

「はあ?私は独身ですし彼女も居ませんよ。同棲なんてそんなことするわけな...。」

 

「彼女が世界を救う希望かもしれないんだぞ!」

 

スーツの男は怒鳴ってそう言った。

海斗はいきなり怒鳴られたことにも驚いたが、それ以上に彼の言葉にも驚いた。

 

『紀伊が世界を救う希望だって?そんなことがあるのか?』

 

「で、どこにいる。」

 

「部屋の奥にいます...。一応人間には慣れていますが...。」

 

そう言うと男たちは部屋に入って行き、紀伊と会った。

最初紀伊は戸惑ったが、男たちの話を聞いていると真剣な表情になった。

 

『紀伊のあんな表情は初めて見た。一体何の話をしているんだろう?』

 

男たちとの話が終ったらしく、紀伊と男たちはこちらに向かってきた。

 

「紀伊!いったいどういうことだ!お前が世界を救う希望だっていうのは本当なのか!?」

 

「私だってわかりませんよ。ただ言われたら行くしかないでしょう。」

 

紀伊も少し動揺しているようだった。

 

「すいません。海斗さんも一緒に連れて行ってくれませんか?お願いします。」

 

男たちは少しの間相談して、結局海斗もついていくことにした。海斗達はマンションの下に止めてあった黒のSUVに乗って、防衛省...といっても、深海棲艦側の爆撃でボロボロになっている

 

『防衛省?何でだ?さっぱりわからなくなってきたぞ...。』

 

海斗達は車を降りて男たちに連れられて防衛省の地下に連れてかれた。

 

 

 

「いったいどういうことなんですか?紀伊に何かするつもりですか!」

海斗はそう黒服の男に尋ねた。

 

「別に何かをするというわけではない。ただ話が聞きたいだけだ。」

 

そう言って長い廊下を進んで突き当たりの部屋に入った。そこには一人の人と大きな部屋があった。

 

「艦長!?」

 

杖をついて左手に鞄を持った白髪の初老の男性を見た海斗はそう叫ぶとともに敬礼をした。

 

「そう言われるということはもしかして君は『あきづき』に乗艦していたのか?」

 

「はい!『あきづき』で艦載ヘリの操縦者をしていました雲野海斗です!」

 

「おぉ!もしかしてあの時に!いやぁ、まさか生き残りが他にいたとは思わなかったよ。それと、もう敬礼はいいよ。私はもうただの一般人だからね。『艦長』ではなく吉井でいい。」

 

「そうですか。だったら吉井さん、教えてください。世界を救う希望がどうたらこうたらっていきなり言われてもわかりません!」

 

彼は彼に尋ねた。

すると彼は耳打ちするようにこう言った。

 

「実はな、私たちは遂に奴らに対抗できる方法を編み出したんだ。」

 

「そ、そうなんですか!?」

 

「ああ、実はアメリカでは秘密裏に深海棲艦を捕獲して研究していたんだ。所謂生物兵器として運用しようと企んでいたようだ。レーダーに映らないし、アクティブ、パッシブ方式のミサイルの誘導も不可能。人間レベルの大きさだから肉眼での発見も困難。命令には絶対背かない。おまけに主力艦を一発で撃破可能な攻撃力もある。まさに究極の兵器だ。」

 

米軍が深海棲艦を研究していたという事実を今ここで初めて海斗は知った。

そのような情報は一切出回ってはいない。

よほどのトップシークレットだったのだろう。

 

「そこで我々も数年の歳月をかけて奴らの事を研究した。だが...あまりにもわからなすぎたんだ。何もかもが。」

 

「じゃあどうやって対抗手段を?」

 

「これはあくまでも噂だが、これまたアメリカに深海棲艦を育てていた人物がいたらしい」

 

自分の他にも深海棲艦を育てている人がいることに親近感がわいた。

 

「その深海棲艦は人間に対しての敵意は殆どなく、また深海棲艦に対する同朋意識も全くなかったらしい。しかし飼い主が何らかの理由で死んでしまってその子は姿を消した、という話がある。私たちはそれに賭けたんだ。必死になって集めた深海棲艦の幼体を人間の子育てのように育てることで人間に敵意のない深海棲艦が出来上がったんだ。私たちはそれを『艦娘』と呼んでいる。一研究員が勝手につけた呼称だが結構語呂が良くてね。」

 

「かん..むす?」

 

「そうだ、容姿は人間そのものだが、水上に出ると軍艦としての特性が出るようになるんだ。」

 

「そんなことが...。だけどなぜ紀伊がここで必要に?」

 

「彼女にまだ深海棲艦だったころの記憶が残っていれば研究がより進歩すると思ってね。大丈夫だ、ただ話を聞くだけだ。」

 

ノートを持った男が部屋に入ってきた。

 

「準備が出来たようだ。」

 

吉井は紀伊に椅子に座るよう促した。

右側に吉井と書記役が、対面に紀伊と海斗が座った。

 

「紀伊さん。今から私の言うことに出来るだけ答えてください。わからなくてもかまいません。」

 

「海斗さん...。」

 

「大丈夫だ、紀伊。心配するな、ここにいるから。」

 

「ではお願いします。」

 

紀伊に対する質問が次々となされた。

何故我々の攻撃が通用しないのか。

何故我々を襲うのか。

深海棲艦はなぜ生まれてきたのか。

次々と質問がなされていく。

 

しかし答えられるものは一切なかった。

 

「ごめんなさい...私、皆さんの力になれなくて」

 

「大丈夫だよ、こうなることも予想済みだ。そして海斗君、君にはもっと重要な話がある。」

 

そう言うと紀伊と書記の人に部屋を出るよう伝えた。

二人きりになると持っていた鞄から書類の束を取り出した。

 

「さてと、君にはこれを渡さなければならない。」

 

海斗は書類を受け取りページをめくった。

『対深海棲艦作戦綱領及び指揮官任命書』

一ページ目にはそう記されていた。

 

「吉井さん...これって..。」

 

「そう、君には彼女たちを率いてもらう。」

 

「し、しかし私には!」

 

「その気持ちは重々承知しているよ。しかしもう君しか残っていないんだ。」

 

「ですが吉井さんがやれば!」

 

「ここが無事だったらね」

 

吉井が杖で右足を叩くと軽い金属音が部屋に響いた。

 

「実戦経験がある五体満足な人間はもう海上自衛隊には海斗君しかいない。確かに君は一ヘリパイロットに過ぎない。

 

 

 

アパートに帰った頃には既に辺りは暗くなっていた。

灯火管制と夜間外出禁止令が出ているので、町は静まり返っている。

電灯は使えないので、部屋を照らす明かりは一本の蝋燭と、台所のコンロの炎だけだ。

 

「もうすぐ焼けるからちょっと待ってて。」

 

「そんな、海斗さんにだけにやらせては悪いです。私も手伝います。」

 

「ダ~メ。今日は記念日なんだから、紀伊はお休みだ。」

 

台所から、肉の焼けるいい匂いがする。

紀伊もここに来て、肉類は殆ど食べたことがない。

肉の流通量は他の食材より量が限られているので、滅多に手に入らない超高級品だ。

 

「できたぞ~!」

 

お盆にのせて来たのは、白米のご飯と味噌汁、それに大きくはないものの、主役の牛肉のステーキが豪華さを引き立てている。

 

「ごめんな、これだけしかなかったんだ。」

 

「いいえ、むしろありがたいです!いつもと比べたら、ものすごくいいです!」

 

「ありがとな。じゃあ、食べるか!頂きます!」

 

「頂きます。」

 

久しぶりのステーキは、いつも質素な物しか食べていない彼らの味覚を刺激する。

 

「うまい!我ながらいい焼き加減だ!香辛料もケチらずに買って正解だったな!」

 

「そうだったのですか。とても美味しいです!感謝です!」

 

海斗はふと、テーブルの上の書類に目がいった。

そこには、作戦権限移行についてや、これからのことが書かれてある。

 

「なぁ、紀伊。」

 

「どうしたんですか?」

 

「不安だ。これから本当に上手くやっていけるのかってね。こういうの初めてだし、俺がみんなを救うなんて...。」

 

海斗は紀伊にそう打ち明けた。

 

「俺には荷が重すぎる。俺がこんなに重大なこと、出来るのかって。」

 

「大丈夫です。」

 

紀伊はそう言って優しく抱きついた。

 

「私が...付いていきますから。どんなに苦しくても、どんなことが起きようとも、私は海斗さんを支えますから...。」

 

「ありがとう..」

 




どうだったでしょうか?
深海棲艦との初実戦、戦闘描写がかなり難しかったです。
頭の中ではできているけど、言葉で表現するっていうのは難しいですね。
ローラースケートは明治の頃に既に日本に上陸、大正時代にはローラースケート場も東京にできているので、吹雪たちが知っていてもおかしくはないはず。
ちなみに主はローラースケート雑魚勢です...。

次回もお楽しみいただけると嬉しいです!
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