艦隊これくしょん 艦これ ~水面の愛と水底の命~   作:hatahata

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注意 これは艦隊これくしょん 艦これの二次創作となっております。
別に見てあげてもいい、という心の広い方たちはお紅茶でもすすりながらゆっくり見ていってね!




六人は長崎の地に降り立った。

本当は空港のヘリで一気に佐世保まで行くはずだったのだが、すっかりヘリ恐怖症になってしまった六人が乗るわけがなく、車で移動することになった。

車に乗るために空港を出ると、一目噂の艦娘とやらを見ようと、沢山の人が七人を取り囲んだ。

様々な言葉が七人に降り注いだが、殆どは激励の言葉だった。

観衆に手を振りながら車に乗った。

佐世保の街は空襲で焼け野原になっていた。

海斗は廃墟と化した街をただただ車から眺めていた。

車が止まり、七人が車を降りるとそこには"ただの港”が広がっていた。

かろうじて申し分なく建っているバラック小屋があるだけだった。

埠頭にも軍艦はおろか漁船すら浮かんでいない。

 

「ここがあの佐世保ですか?一体どうしてこんなことに?」

 

「空爆でやられた。残存艦は全滅。基地機能もごっそり持っていかれて今の状態になっている。」

 

「あの小屋はなんですか?倉庫か何かですか?」

 

「ああ、あれね。司令部。」

 

「ふぇ!?あんなのがですか!」

 

「仕方がないね。」

 

「すごい空襲だったのですね。来ている途中に見たのですが市街地の方もかなりの被害を受けていたようですし。」

 

仮司令部の前まで来て、今にも外れそうなほど据え付けが甘いベニヤ板でできた扉を開けた。

中にはさびが目立つ折り畳み式の机と中のクッションが所々で出ているパイプ椅子が10個ほど並んでおり、

その正面にこれもまた板が傷だらけの移動式のマジックボードがあった。

 

「うっわぁ…ぼっろ。」

 

「仕方がない。かき集められるだけ集めてこれだからなぁ。それよりも作戦の最終確認だ。」

 

海斗がマジックボードの前に立ち、何か書こうとした、が。

 

「お~い、マジかよ。インクないじゃん。拾い物だからってこれはないだろ。」

 

『『『これってもしかして全部拾ってきたの!?』』』

海斗はペンを投げ捨てため息をついた後に言った。

 

「口頭での説明になるからしっかり聞いとけよ。今回護衛する輸送船は16隻。米、英、独、露、仏、伊海軍の輸送船だ。これらの艦は全て中国の広州で貨物を積み込んで停泊中。こいつらを佐世保まで護衛してもらいたい。陸揚げした物資は陸路と空路で運ぶ。」

 

「一つ質問いいですか?」と白雪が手を挙げた。

 

「何だ?」

 

「何で横須賀までではなく佐世保なのですか?横須賀だったら近くに空港もありますし。」

 

「それな。けど輸送船団の方から『横須賀まで行く分の燃料がない。』って言ってきたんだ。あっちで補給すればいいんじゃないかって言ったんだけど、どうやら中国も石油資源は国内で精一杯で補給してくれなかったんじゃないかな。代替資源や再生可能エネルギー関連の施設は復旧には程遠いし...。」

 

「わかりました。しかし索敵上の問題で不安があります。私達には視認範囲外からの索敵ができません。水偵があれば問題はないのですがあいにく今は装備しておりません。」と神通が手を挙げ言った。

 

「その点については問題ない。中国軍が偵察機を出してくれることになっている。だから君たちには渡すものがある。」

 

そう言って部屋の隅にあった段ボール箱をテーブルの上に置いて開いた。

中にはただの白い腕輪が7個入っている。

 

「これは?」

 

「これはJTACS、自衛隊戦術連携システムの略称だ。こいつがあれば中国軍や輸送船との通信が出来る。」

 

「はい。大丈夫です。良い戦果を期待していてください。」

 

 

 

六人が出撃してから3時間がたっただろうか。

幸いにも道中では会敵せずに済み、無事に目的地の広州に到着した。

全盛期の頃は港がコンテナで埋め尽くされていて、活気もものすごいことだったらしい。

しかし、それも昔の話。街は深海棲艦に破壊され、港湾施設も爆撃で灰と化していた。

港の入口全体が沈んだ船、そのほとんどが黄色い星に八一のボロボロの旗が翻っている。

中国海軍の船だ。

どうやらバリケードの役目を果たしているようだ。

その船のバリケードに一か所だけぽっかりと空いた箇所があり、そこから港に入るらしい。

入港すると以前の活気は完全に失われてた。

全盛期にはコンテナで埋め尽くされてたであろう埠頭は何も置かれておらず、施設があったと思われる場所は更地になっていた。

各国の貿易船であふれかえっていた港も今は16隻の輸送船しかいない。

 

六人が輸送船に近づくと、あちらからも一隻のタグボートが近づいてきた。

ボートには各艦の船長が乗艦しており、一通り挨拶等を済ませ、深海棲艦が発見されてないとの偵察機の報告から今すぐに出港することを決めた。

出港時は艦娘の間に輸送船の単縦陣、外海に出たら輸送船を中心とした輪形陣とした。

 

出港してから一時間、中国海軍の偵察機からは敵発見の報告もなくただ平和な青い水平線が広がっていた。

六人も一応索敵はしているものの、おしゃべりのついでみたいな感じだった。

 

「あの船長さんたちの話だと本当は100隻ほどの大大輸送船団だったらしいのです。」

電が双眼鏡を南南西の方角に向けながら五月雨にしゃべりかけた。

 

「そうだったの?電ちゃん?もしかして他は全部やられちゃったってこと?」

 

「そうらしいのです。本当はアジア全体に物資を送るはずだったらしいのです。けど一気に全部の船を移動させていたら深海棲艦に襲われて、命からがら中継港に辿り着いたのがあれだけだったらしいのです。護衛艦もぜーんぶやられちゃったのです。」

 

「本当にそこまで対抗できないんだ。」

 

「司令官さんから聞いた話ですけど、かいじょうじえいたい?だったかな。日本海軍も深海棲艦と何度か戦ったと言ってましたけど、殆ど沈めれなかったと言ってたのです。」

 

「そうなんだ。もう頼りになるのは私たちだけってことなんだね。がんばろうか。電ちゃん。」

 

「はいなのです!」

 

いきなり偵察機から無線が入った。

偵察機のパイロットも慌てていたのか、英語で話すはずが早口の中国語で何を言ってるのかさっぱりわからなかった。

だが幸いにも輸送船の乗員に中国人が乗っており、翻訳して電報で送ってきた。

 

『我敵艦隊発見ス。方位北東!。戦艦1軽巡2駆逐3 艦隊トノ距離50000速力推定18ノット。敵通商破壊艦隊ト思ワレル。』

 

「戦艦!?」

 

艦隊に動揺が走る。巡洋艦だったらまだ可能性があった。

しかし相手には戦艦がいる。砲火力では圧倒的にこちらの不利、しかもこちらは軽巡一隻に対し二隻、雷撃力でも劣る。

顔から血の気が引くのがわかった。

無理だ。勝てるわけがない。ここでおしまいなのか?

そのような考えが頭を過る。

 

「駄目です!」

 

そこに神通の一括が飛んだ。

 

「ここであきらめたらいけません!まだ負けたとは決まってない!やってみないとわかりません!やらなければ勝つか負けるか!貴方たちは本当に生き延びたいのですか!?だったらこの苦境を乗り越えるしかありません!」

 

その声で無線から聞こえてくる早口の中国語も、各国の輸送船の慌てふためく乗員の声が消えた。

 

「偵察機にはそのまま報告を続けるようお願いしてもらいます。私たちは魚雷の準備を。敵の射程外から一隻でもも多く沈めないと。」

 

輸送船から偵察機に神通の指示が伝わったようだ。

今度ははっきりとした声で返答があった。

 

「敵艦とは後どれくらいで接敵する?」

 

「先ほどの報告から5分は経過してます。会敵はおよそ30分後、程でしょうか。」

 

「了解!では五分ほどしたら敵艦の方向に向かって魚雷の斉射を行います。当たれば儲けものですが今はどんな手段を使ってでも彼らを守らなくては!」

そして、偵察機からの報告があった。

 

『敵艦隊トノ距離30000。」

 

「魚雷は確か...。」

 

「普通の九〇式魚雷よ。だけどこれで十分。」

 

「妖精さん。信管の調整とかゆるくしてませんよね?」

魚雷妖精一同は全員首を横に振った。

 

「全艦、魚雷発射!」

 

太もものところに取り付けられた発射管から次々と魚雷が撃ち込まれる。

6隻合わせて52本の魚雷が敵艦めがけて進んでいく。

魚雷を発射した後の沈黙がやけに長い。

偵察機の報告待ちだ。

 

『戦艦二2本、軽巡、駆逐艦二各1本命中。戦艦速力減少。軽巡、駆逐艦撃沈。』

 

との電報が入った。

 

「よし!」

 

「あとは四隻!しかも戦艦に当てれたこともいいわね!」

 

「どうします?もう一回雷撃いきますか?」

 

「いいえ。だめです。同じ手は二回も通用しません。奴らもそのことくらい考える頭があるはずです。」

 

その時、輸送船の方から報告があった。

 

『もう一人君たちの仲間がこちらに向かってきていると君たちの司令官から報告だ。後30分ほどでそちらの方に着くらしい。』

 

「漣ちゃん来てくれたのですね!」

 

「頼もしいです。これで戦力差は均衡状態までこぎつけられたかもしれませんね。」

 

『距離15000!戦艦主砲弾発射!』

 

「撃ってきましたか。こっちを狙ってるのか、それとも輸送船か。」

 

報告から数十秒後、空気を切り裂く音が聞こえてきた。

弾は六人の頭上を通り抜け輸送船団の方へと飛んで行く。

 

「っ!狙いはそっちか!」

 

とても大きい水柱が一本、また一本と輸送船を包み込んだ。

 

「大丈夫ですか!?」

 

『こっちは大丈夫だ!航行に全く問題はない!』

ほっと胸をなでおろした時だった。

 

「雷跡!こっちに向かってくる!」

 

「魚雷に榴弾を撃って!衝撃波で信管を起動させて爆破させてください!」

 

六人は装填してあった徹甲弾を榴弾に切り替えてもらい、魚雷に向かって撃ちまくった。

海面に数々の水柱が上がる。

 

「五月雨さん!3本そっちに行きました!叢雲さんも二本!」

 

「ああもう!多すぎ!なんでこんなに魚雷が来るのよ!」

 

「敵の魚雷の数が多すぎる!」

 

「もしかしたら。相手は重雷装艦?」

 

「その可能性も一応考慮に入れておきましょう。その場合は接近されると戦艦以上に厄介ですね。」

 

その間にも敵艦からの砲撃が降り注ぐが、一発も当たらない。

中には明後日の方向に飛んでいった砲弾さえもあった。

 

『奴らの練度が低いのか?いや。戦艦ほどだったら弾着観測機の一機や二機は飛ばしてくるはず。こちらを過小評価してるの?』

 

魚雷の数も減ってきたところで偵察機からのお決まりの報告が入った。

 

『距離10000!』

 

「そろそろ私たちも砲撃をはじめましょう!全艦!砲撃はじめ!弾種はそのままで!」

 

六人の方が寸分たがわず同じタイミングで砲を撃つ。

轟音が轟き、薄暗くなり始めた空に軌跡を付けながら飛んで行く。

 

「偵察機に弾着観測をお願いしてください!」

 

十数秒後には弾着観測の報告が来た。

 

『砲弾命中セズ。左ニ微調整セヨ。』

 

「照準を調整しつつどんどん撃ってください!」

 

「敵艦!観測妖精が視認!」

 

「もうそんなに近くまできたの!?くそっ!撃て撃て!どんどん撃て!こっちに近寄らせるな!」

 

数々の砲弾が戦艦に命中するのが確認できたが、ダメージを負ってるようには到底思えなかった。むしろ笑みを浮かべてこちらに近づいてきているようにも見える。

敵の軽巡、大きな駆逐艦の口の上に乗っかってるような人型の艦がいきなり腕のようなものから魚雷を大量に放出しているのが見えた。

 

「やはり重雷装艦!みんな!魚雷に気を付けて!結構な数が来てる!」

 

「とは言っても!砲撃しながら魚雷の処理なんて無茶ですよ!」

 

「私が主砲で弾幕張ります!そのうちに輸送船団に行きそうな魚雷の処理を!そうでもないようなのは避けて!」

 

その時無線でいつものあの声が聞こえてきた。

 

『やっほ~。おまたせ~!漣参上!今敵さんの真後ろにいるんだけどどれ狙えばいい?』

 

「「「「どれでもいい!!!」」」」

 

『わかった。じゃああのでかいの!』

 

「「「「了解!」」」」

 

『まあ、見てなって!』

 

「皆さん!漣さんが敵を攻撃している間に魚雷の処理するわよ!」

 

「それにしても何で敵さんは気づいてないんだろ?ホントに真後ろにいるのに。バカだなぁ。」

 

と言いつつ、戦艦に向かって魚雷を放った。

敵は前方の輸送船団しか見ていない。

完全に魚雷に気づいていない。

敵もやっと後ろの漣に気が付き、魚雷をを見つけたのだろうか、こちらに振り向いた。

しかし、時すでに遅し。魚雷はもう目と鼻の先。

転舵しようにも先ほどの雷撃で思うように曲がらない。

二本は回避されたが後の7本は全て戦艦に吸い込まれていき、突き刺さる。

爆薬の爆音が鳴り響き、戦艦を包み込むような大きな水柱が立ち、体が真っ二つに裂け、そのまま沈んでいった。

旗艦を失った艦隊は士気を大幅にそがれたらしく、そのまま撤退していった。

 

 

 

「よく来ましたね。おかげで助かりましたよ。」

 

「いやぁ~。それほどでもないですよ~。私に気づかなかったあのバカたちが悪いんですよ。」

 

「やっぱり私たちが嘗められてたんですかね。でも敵の撃退には成功しました。被害のある船はいますか?」

 

全艦から異常なしの報告を受け、艦娘側にも損害は出ていないことも確認した。

 

「佐世保まであと少しですが引き続き周辺警戒を厳としてください。」

 

佐世保まであと20分というところだろうか。

気分がすぐれない。頭も痛くなってきた。

久しぶりの戦闘とはいえ、あれだけで調子がおかしくなるわけがない。

 

「神通さん...すいません。ちょっと頭が痛くなってきました。」

と吹雪が報告してきた。

 

「あなたもですか...。実は私も少し調子が悪いんですよ。なんでかなぁ...?」

 

「私も、少し寒気がするのよね。戦闘が終わって少ししたら症状が...。」

 

「電もめまいがするのです。気持ち悪いのです。」

 

「私は熱っぽくて...頭がぼーっとするんです。五月雨ちゃんも吐きそうって。」

 

「あぁぁ~~だる~い。なにこれ。超きついんですけど。私戦艦に魚雷撃っただけだよ。そんなに疲れることしてないのにぃ。何でだよぉ...。」

 

と各々が体の不調を訴えてきた。

 

「何ででしょう?でもあとちょっとで佐世保に着きます。それまでの辛抱です。頑張りましょう。」

 

 

夜九時半頃、佐世保港に輸送船団が到着した。

港にいた人たちから歓喜の声が上がった。

そこには海斗の姿もあった。

 

「よくやってくれた!本当によくやってくれた!だけど大丈夫か?みんな顔が真っ青だが...。」

 

「大丈夫じゃありません。今日は補給だけしたら横になりたいです。」

 

「あ、ああ。そうか。まあ、いいだろう。ゆっくり休めよ。」

 

「了解しました..。」

 

 

 

あれから数年が過ぎた。

 

海斗は執務室に座っており、報告書を眺めていたとき、紀伊が入ってきた。

 

「第三艦隊から沖ノ鳥島海域確保との通信が入りました。」

 

「という事は...。」

 

「ついに日本近海の制海権を奪取しました!」

 

「やっと...か。」

 

海斗はあの頃を、人類が深海棲艦に手も足もでない、暗黒の日々を思い出した。

大切なものを数多く失った。

もうそんなことはないんだ。日本は平和になった!

そう実感した。

 

「提督。」

 

「わかっている。紀伊。」

 

遂にこの時が来たのか、来るとは思っていなかった。しかし彼女たちが来させたのだ。この時を。

 

「反攻作戦の開始だ!!」




こんな作品でも読んでくれてありがとうございます!
次回からは本格的に作戦が始まります!
と思うでしょう!
次回はネタ回です。
期待した方、すいませんなんでもしますんから。
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