ランキングブースト効果については他の作者様がさんざん驚いてるので今さら「お茶吹きました」みたいな反応はしないですけど、とっても嬉しいです。
あらためていつも読んでくれている方々はありがとうございます。
「それじゃ今日は軽めにボディマッサージとフェイスマッサージだけやりましょうか」
「意外と少ないですね」
「小鳥遊さん思ってたより健康だからすぐに処置の必要な部分がないのよ。クリームとかオイルとか使うのは終わったらシャワー浴びなきゃいけないからまた今度ね」
「知らないところに罠があったでござる」
なんでもエステの前後はだいたいシャワー浴びるのが普通だが絶対ではないらしい。
山田さんいわく先輩2人は必ず浴びる派なので下手をしなくても俺がシャワーしてたら一緒になってたってことだね。
あっぶねー。
「でももっと色々やりたかったわー。小鳥遊さん元から肌真っ白だし、ムダ毛も処理済みなんて卑怯よ!」
「陽の当たらない生活をしてましたから。毛はPさんに剃られました」
外出しないという意味でも注目されないという意味でも陽の当たらない生活だったぜ。
ムダ毛は最初に女装した時にメイクとかと一緒にPさんがやってくれた。元々濃い方じゃなかったけど今はツルツルである。
「1ヶ月程で新しい体毛が生えてくるからその時はぜひウチに来てね!」
「がんばって自分で処理する方法覚えます」
すでに1ヶ月経ってるからいつ生えてきてもおかしくないんだけど最悪Pさんに頼もう。
そんな感じで雑談と牽制をしながら川島さんたちのいる部屋に戻る。
ちなみに今は大きめのタオルを巻いて体を隠し、下着はエステで使われる紙製の物を履いている。
濡れてもいいようにこういう使い捨ての下着を用意してるんだって。
形は女物だけど紙オムツみたいなもんだからセーフだよね(震え声)
パンツじゃないから恥ずかし(ry
「ただいまー」
「戻ってきたのね有ちゃん。どうだった? 山田さんは優しい人だったでしょう?」
「どの口が言うかこんにゃろー。ひどい目にあいましたよ」
「うふふごめんなさい。でもこれでも腕は一流なのよ?」
「いやあ、お恥ずかしい。あ、私はちょっと準備があるから小鳥遊さんはそこの寝台で待っててね」
「山田さんはもっと自分を恥じるべき」
堂々と変態性癖を暴露しやがって。
この様子だと川島さんも山田さんのことを知ってたらしいし、まじでこの人周りにカミングアウトした上で受け入れられてるのか。
自分に正直に生きてるところはすごいけど全く尊敬できないや。フシギだね。ダネフッシー!
とりあえず言われた通り寝台の上で待っておこう。
「はあ、もうあの人の相手で疲れて気力0ですよ。お家帰りたい」
「帰宅したらもうこんなところ来たくない……フフッ」
「そういえば楓さんもいましたよね。忘れてました」
「むぅ。前々から思ってたけど有ちゃんは私に厳しいわ」
「それは、ねえ?」
「わかるわ。楓のダジャレは誰でもスルーしたくなるものね。有ちゃんはそれに辛辣なコメントもついてくるから厳しく感じるのよ」
「有(ちゃんのコメント)はショック」
「愛より先に常識を取り戻せ」
どうでもいいけど2人ともタオル顔にかぶせたままだからさっきからすごくシュールな絵面なんですけど。
なんだろう。お葬式のご遺体となぜか会話できてるような感じかな? あれも布かぶせられてるし。
もしくはドラクエで棺桶に入った仲間が話しかけてくる感じ?
どっちにしろ死んじゃってるじゃん。
「あ、そうだ。ここのエステって料金とかどうなってるんですか?」
エステって高そうなイメージあるし払えない額だったらどうしよう。
「心配要らないわ。ここはアイドルなら完全無料、職員も格安で利用できるわ」
「マジで? それじゃ採算取れなくないですか? タダならみんな使いそうだし」
「えーとね、ここは346のお金で運営されてるから赤字でも関係ないし、エステで綺麗になったアイドルがより大きな利益をもたらすって考えればむしろ私たちは積極的に利用した方がいいのよ」
「実際は若い子たちだとそもそもエステが不要で大人組以外はあまり来ないから利用はそこまで多くないわ。エステなんて行かなくてえーすって……フフッ」
「つまんねーギャグ言うなよ!」
「成人以上の子でも山田さんの守備範囲に入っちゃう子は避けてるみたいね」
「結局アンチエイジングが趣味の瑞樹さんが一番利用しているのが現状よ」
「楓、後で話し合いましょうか」
お互いの顔も見えてないのに仲が良いのやら悪いのやら。
喧嘩が起きやすいほど気安い仲なんですね……やべっ楓さんが移った。
あと山田さんやっぱり営業妨害してない?
俺も守備範囲に入ってるっぽいから避けたいんですけど。
「はーい小鳥遊さんお待たせー。それじゃあ始めるわよー」
「できれば戻ってきてほしくなかった」
「大丈夫大丈夫。さっきも言ったけどお仕事は真面目にやるから。マッサージ中は黙ってるし、川島さんたちと楽しくおしゃべりしてね」
「今のところあんまり楽しくないです」
特に楓さんのダジャレが楽しくない。
山田さんは俺をうつ伏せにさせてマッサージを始めると本当に黙ってしまった。
ち、沈黙が辛い……。
なんか話さないといけないのに一回静かになると話しかけづらいよね。
「あ、あー。昨日は良い天気でしたね?」
「そうね。断続的な小雨で湿気が多かったし、ジメジメしてキノコの栽培に向いていそうだったから輝子ちゃんが喜びそうな良い天気だったわ」
あいたたたたたー。
話題が尽きた時の最終兵器・天気の話に手を出した上に変にひねって昨日のこと言っちゃったら大ケガしましたー。
「やーいコミュ障ー」
「うっせーヴィジュアル以外全部オヤジ女」
「ひどい……」
自分がコミュ障なことくらい知ってますー。
事実を言われたから事実を言い返しただけですー。
「あんまり楓をいじめないであげてね。あ、そうだ。有ちゃんはどうしてアイドルになったの?」
「どうしてアイドルになったかですか?」
「けっこう私たちの間じゃ定番の質問なんだけど有ちゃんにはまだ聞いたことなかったわよね?」
「あーそうですね。ちょっと憧れのアイドルがいたんで」
「あらちょっと意外。ねえ、それって誰なの? 346の子?」
「双葉杏ちゃんです」
「意外性の欠片もなかったわ」
「あと就活がめんどくさくなってやけくそで応募しました」
「(有ちゃんのアイドルになった理由がよく)わかるわ」
「そこまであっさり納得されるのも心外なんですけど」
俺ってそこまで不真面目な人間に見えるかなー?
これでもレッスンとか仕事に関しては手を抜いたことないんだけど。
ただし仕事以外(ダイエットとか)と仕事自体をサボるのは例外。なおPさんが原因で仕事のサボりに成功したことはない模様。
「やっぱり杏ちゃんみたいに印税生活がしたいって考えてるの?」
「そこまで私は夢見ていませんよ」
「あらそうなの?」
「印税生活が夢みたいな話ってことじゃないですよ? 杏ちゃんなら不可能じゃないと思ってますし。ただ私には無理だってだけです」
「そう。現実的なのね」
「さすがにこの歳になって就活経験すれば現実的にもなります」
まあ現実的になった結果社会の厳しさに打ちのめされて、女装してアイドルやるとかいう超ド級の非現実に身を置いているわけだが。
いつだったかお祈りされすぎて俺は現人神なんじゃないかと考えたことがあったけど、アイドルになったら偶像崇拝されるからあながち間違いでもなくなるんだよな。
「有ちゃんは無理だって言うけどね。私はそんなことないと思うわ」
「え?」
「アイドルはいつまでも夢見る女の子たちの憧れなの。それはアイドル自身も同じ。私たちが夢見る女の子でいる限り不可能なんてない。私はそう思っているわ」
「川島さん……」
俺はこの人のことを誤解していたかもしれない。
奔放な性格で後輩の扱いが雑だったり平気で俺を変態に差し出すようなひどい人だと思ってたけど、本当は違うんじゃないだろうか?
もっと思慮深くて、優しい一面も持っているのかもしれない。
不覚にも真面目な良い話をされたので感動してしまった。
ま、 俺 女 の 子 じ ゃ な い け ど ね
つーかあんたも女の子って年齢じゃないでしょーに。
やっぱり現実見てください川島さん。
「そういえばさっきからくそつまんないダジャレが聞こえてこないですけどどうしたんでしょうか?」
「ああ、楓なら私たちが真面目な話を始めたあたりで寝ちゃったわ」
「楓ちゃんマジ25歳児」
きっとこの人にとっては非現実の方が現実なんだろう。
現在進行形で夢の世界の住人だしね。
(睡眠的な意味で)いつまでも夢見る女の子。
「今日は有ちゃんから面白い話が聞けたわ」
「べつに面白くないと思いますけど」
「杏ちゃんは大人びているけどまだ17歳だし、こういう話って聞きづらいのよ」
「私ならいいってか」
「有ちゃんはほら、もう大人でしょ」
「夢見る女の子なんでまだ子どもでーす」
「茶化さないの。ね、有ちゃんは今アイドル目指して頑張ってて楽しい?」
「…………楽しいか、ですか」
あんまり考えたことなかったけど、まあ楽しいっちゃ楽しいのかな?
「何をしたらいいかはPさんが教えてくれますし、知り合いも増えましたから少なくとも事務所に入る前よりは楽しいんじゃないですかね」
「そう……うん、そうね。今はそれくらいがちょうどいいのね。わかるわ。とってもわかるわ。わかるわかるわわかるとき」
「いやどうしたんですか急に持ちネタ連発して」
「ふふ、なんでもないわ」
そんなバカでもわかる意味深な態度でなんでもないって言われても。
聞いても教えてくれなさそうだなー。
「はいはいそろそろおしゃべりは終わったかしらー? 小鳥遊さんは背面のマッサージ終わったから仰向けになってくれる? 川島さんと高垣さんはそろそろ施術終わりだから小鳥遊さんは私に任せて先に帰ってもいいわよー」
「そうですか? それではお言葉に甘えますね。有ちゃんをよろしくお願いします」
「ふわぁ……。楓はおうちに帰るで……」
「え? いや、先輩方? 山田さんと2人っきりにされそうなんで帰らないでほしいんですけど? ねえちょっと、聞いてます?」
「はーい小鳥遊さんにはリラックスしやすいようにタオルかけますねー」
あ、ちょ、何も見えないんですけど。
マッサージしてるはずなのになぜか体が動かせなくなってるし。
あれ? この音って2人とも起き上がってる? 数人分の足音が聞こえてるんだけどマジで山田さん以外出て行ってない?
自分が今何されてるかわかんなくて怖いんですけど!
なんか普通のマッサージの動きなのに妙な快感がする!
そこは、そこはやめてー。
ア、アッー!
山田さんのマッサージでひどい目にあったが、体調が前より良くなったので効果はあったらしい。
しかしこの日のエステで交わされた会話が後にあんなにも後悔する事態を引き起こすことになるとは、俺には全く知るよしもなかったのである。
くっそ下手な伏線張ってますけど次回で回収します。この作品にシリアスは存在しません。
あと山田さんのマッサージに性的な刺激は含まれていません。あくまでリラックスによる気持ち良さを感じているだけです。
人物紹介のコーナー。
●川島瑞樹(かわしまみずき)
28歳だけどまだまだ可愛い女の子。元女子アナ。
年齢ネタと「わかるわ」というフレーズが有名。
なんでもわかってくれる臥煙伊豆湖系女子、とまでは言わないが常に周りに目を向けて気を配っているイメージはある。
面倒見がいいので先輩として主人公のことも気にかけているらしい。
あと川島コラでも有名。
作者はデレマスの知らないアイドルを調べる時グーグルで画像も検索するのだが、最初はkwsmさんだけカードの種類が多いなと思った。
kwsmさんと楓さんはクール大人組に分類されるのだが若い子たちとの絡みが多いので、大人組メインのアイドルをプロデュースする増田Pの担当からは外れている。