霊「で…結果は、どうなったの?」
俺たちは再び博麗神社に訪れていた。
T「ん?なんの結果?」
霊「その遊びの勝敗よ」
T「ああ、引き分けだよ。全戦全引き分けだ」
霊「はあ?」
まあ、そういう反応するよな。俺たちもびっくりした。
T「いや、たがいに本気でやったんだけどね」
どういうわけか、引き分けばっかりなんだよね。
霊「その遊び、あまりよく分からないけど、引き分けになりやすいの?」
T「いや64マスの陣地争奪戦なんだけど、引き分けなんて出ることはそうないよ。で、もしかしたらと思ってここに来た。というより紫さんに会いに来た」
霊「で、あの状況と」
俺と霊夢の目の前には、紫さんが、色々やってる。ヒメガミもそれに付き合っている。まあ、当事者なんだけれど、付き合わされてる感がすごい。あの二人全然喋らないし、会話は紫さんの質問に簡単に答えているだけ。
霊「そういえば、仕事、始めたのよね。今日は行かなくていいの?」
T「今日は休みだ。だから、今日来たんだ」
霊「そう」
幻想入りから約一週間。仕事にも慣れ、ある程度基盤ができた。だから、少し余裕ができたし、行動もおこせる。
霊「で、どうなの?」
T「ん?」
霊「その遊びの案よ。まさか暇つぶしのためだけじゃないでしょう」
T「いや、ただの暇つぶしだけど?」
霊「嘘ね」
T「なぜわかるし」
霊「勘よ」
そういえば、霊夢は勘がかなりよかったっけ。
T「一応可能性を考えての事だけだったんだけどね」
霊「ふーん」
T「能力の発現って、よく分かんないから、とりあえず勝負事を当ててみようと思っただけ。当たりだったけど」
あそこまで引き分けが続けばなんらかの力の影響と考えた方が納得いく。
霊「まるでこうなることが分かっていたみたいね」
T「さすがにそれはないよ。ん?終わったみたいだな」
紫さんがこっちに向かってくる。ヒメガミもその後を歩いてくる。
霊「で、結果は?」
紫「能力よ。こんな短期間で発現するとは思わなかったけど」
T「おお良かったじゃないか。で、どんな能力だ?」
H「「バランスをとる程度の能力」らしい」
また、よくわからんものを。となると、引き分けが続いたのは、
紫「能力で互いの実力や運のバランスをとったんでしょうね。ただ、結構強力な能力よ。これは」
そうだな、使い方次第でかなり強くなれる。
T「いくらなんでも実力までは無理なのでは?」
紫「じゃあ、ほかの要素を使って調整でもしたんじゃないかしら?二人とも実力はそう変わらないのでしょう?」
H「そうだな」
でだ。まだ、細かい使い方までわからない気がするんだが。
紫「まあ、習うより慣れろ、ね。霊夢、軽く弾幕ごっこしてみなさい」
あれ? 今、紫さんが笑ったような……
霊「いいの?まだ、来たばっかりの初心者よ? 魔力も霊力もないのに」
紫「その辺はなんとかなるわ。やり方は覚えたわね、ユウイチ君」
H「……ああ」
俺はいやな予感がするんだが。
霊「そうね。お試しなんだからスペルカードはなしにしましょう」
H「わかった」
紫「それじゃあ……、始め!!」
ヒメガミが手をかざし、それを見た霊夢がお札を投げようとする。しかし、
霊「っっ!!!」
急に霊夢の顔が驚愕に染まる。
霊「こんな方法で、」
まあそうだろうな。「バランスをとる程度の能力」は、戦闘の際、相手と自分の能力のバランスを整えることが出来る。ようするに、絶対的アドバンテージだった、霊夢の霊力とヒメガミの霊力のバランスをとり、互いの数値を同じにした。
霊夢の霊力を100とすれば、俺たちはせいぜい1あればいいぐらいだろう。これが平均化されるのだから、霊夢からすれば、霊力が半分近く奪われたことになる。そして、ヒメガミは五十倍以上増える。むろん、それだけでは勝てない。ただこれで、五分五分の戦いに持ち込める。まさに、戦略がモノを言う能力。ただ…
H「いってぇぇぇぇぇぇ!?」
突如ヒメガミが呻きながら倒れる。ですよね……
霊「え?」
T「紫さん。こうなるの分かっていたのでは?」
紫「ええ。でも、こうでもしないと、いざという時に使って同じことが起きると、困るでしょう?」
T「まあ、そうですけど」
身を持って知れ、ということか。
霊力の過剰摂取。これまで、入れた事もない量の霊力を一気に取り込んだのだ。拒絶反応が起きてもしょうがない。入りもしないコップに水を注ぐようなもので、あふれ出た水は体を蝕むと……
紫「それに、霊夢を当てたのはやりすぎたかもしれないけど、いずれ、そういう力を得ていくなら、体を慣らしておいた方がいいのよ」
たしかに、今のヒメガミの力では、この方法が一番手っ取り早いのだ。ここは強者があふれているのだから。
T「しかし、そうなれば、魔力なんかも……」
紫「そうなるわね。まあ、今回ほどにはならないと思うわ。そういえば、あなたはどうするの?あなたの能力では、こういう強引な方法もとれないでしょう?」
T「現在準備中です。多分うまくいきますよ」
紫「ふーん。まあいいわ」
T「そうですか。では」
ヒメガミへ歩み寄る。
紫「どうするの?」
T「とりあえず、助けてもらえるようお願いする。かな」
ヒメガミに触れ、中の霊力に語りかける。
T『悪いけどあんまりこいつの中で暴れないでくれ。』
『………』
T『頼む。一応大事な友達なんだ』
『……気を付けなさい』
T『ありがとう』
その会話の後、中にいる霊力が暴れなくなった。まあ、減るわけじゃないから、また暴れられたらどうしようもないのだが。
H「はぁ・・・はぁ・・・」
T「うん。大丈夫そうだな」
H「……どこが……」
話せるだけマシさ。本当に痛いと声も出ないんだから。
T「ほら立てるか?」
H「ああ。くっそ……あのスキマめ」
T「そうカリカリしなさんなって」
本当の実践なら今ので、死んでいたかもしれない。そう思えば親切に感じる。まあ、こうなることを言わなかったのは悪いのかもしれないけどさ。
霊「これでいいのかしら? 紫」
紫「ええ、ありがとう霊夢。それにしても……、面白い能力ね。霊夢の霊力を半分とはいえ抑えるとは」
霊「抑えたんじゃなくて、治まってもらうよう頼んだ。でしょう。彼に言わせれば」
紫「頼んだ、ね。ああ、そういう事」
霊「どうしたの?急に納得して」
紫「彼の考えが少しだけ読めたのよ。簡単なことだけど」
霊「あら、そう。良かったわね」
紫「霊夢は興味ないのかしら?」
霊「いずれ分かることよ」
雑談している二人のもとへ向かう。
T「今日は帰りますよ。これじゃあ、弾幕ごっこにもならないでしょうし」
紫「ええ。お大事に」
能力のことは分かった。しかし、慣れに時間がかかる能力だったな。
H「あー大丈夫だ、大分楽になった」
T「そうか、なら良かった。明日から、霊力の扱いの練習をするかもだから慣れておけ」
H「めんどくせぇ」
T「必要な努力だろ。紅魔が終われば弾幕ごっこは有名になり、揉め事の解決手段に使われるようになる。それに、霊力奪ったんだから、使わなきゃ損だろ?」
H「つらいのも苦しいのも嫌いだ。そもそも関わる気はない」
T「はは。そうだな、だが対策は必要だろ?それにお前はともかく、俺は関わる気満々だしな」
H「勝手にしろよ。俺は俺の平穏さえ守れればそれでいいから」
T「平穏ね。幻想郷に平穏ってあるのかは分からんが。異変ってのは、幻想郷には良くあることで、そのためのスペルカードルール。
でも平穏は、自分でしか守れない。そのための力だ。他人に守られて、恩着せがましい態度を取られるのは嫌だろ?」
H「それは……腹立つな。でも、博麗の巫女の仕事の一つは異変の解決だったはずだが?」
T「なにか影響があるまでに解決してくれればいいんだけどね。それに、なにも異変だけが面倒事だけじゃない」
それに、博麗の巫女ってバランサーであって妖怪退治は二の次だろ?あくまで、妖怪が強いこの幻想郷だから人間の味方のように感じるけど本来は中立のはず。
H「お前も大概しつこいな。はいはい、わかったわかった、やればいいんだろやれば」
お前もしつこいけどな。そして妬ましい。できることならその力を奪ってやりたいものだ。
T「死なない為の保険ぐらいに考えとけ。異変が人里に与える影響は、本編にあまり出ていないからな。森の妖怪が暴走して人里に、なんて恐ろしいだろ?」
H「森の妖怪…いいこといや、悪いことか?とりま、思いついた」
T「ほう、聞かせてもらおうか」
H「妖怪を相手に肉体のバランスをとって自己強化をする。例えばルーミアとか?まあ、肉体が妖怪に近づきそうで怖いが」
T「その方法は良い発想だが。なんだろうな、ルーミアの肉体的なパワーってそんなにあったっけ?むしろ、弱くなったりしないよな?」
一応人食い妖怪だしそこそこあるのだろうか?というか、そんなことしたら幻想郷の妖怪の能力水準が落ちるじゃないか。むしろやってはいけないことの気が……
T「むむむ……」
H「なにを唸ってる」
変なところに油を注いでしまったかもしれん。
ヒメガミ君の能力も判明しました。彼の能力はかなりテキトーに決まったんですよね。というわけで結構進んだ(内容はない)一章も次回でラストの予定です。また、寄り道していってください。次回 第一章エピローグ