まさかあの厄神に出会うなんて…
今日は厄日ね。
厄神は災厄をもたらす神、厄除けの神である。
意味は違えど、どっちも同じ神だ。
「厄神が、私に何の用?」
私は厄神を鋭く睨んだ。
「そんなに睨まくても何もしないわよ。私は鍵山雛。貴方の厄を貰い来たのよ」
「私に厄除けは必要ないわ。そこを退きなさい」
「貴方は神社に向かうつもりかしら?でも此処からは危険よ。何せ此処は…」
「天狗の領域…と言いたいのでしょ?そんなこと百も承知よ」
「わかってるのなら尚更よ。此処を通すわけには行かないわ」
困ったな。
私は弾幕ごっこをあまりやりたくない。
それに、自分に争う理由がないと戦いたくない。
「残念だけど、私は異変解決に来たわけじゃない。戦うつもりもないわ」
「じゃあ、一体何しにこの山に来たのかしら?」
厄神は首を傾げ、目的を聞いてきた。
「興味…かな?」
「なんで疑問なのよ」
「ただ、守矢神社に興味があるだけよ」
「それだけのために、危険を冒してまで来なくても」
それは個人の自由よ。
だけど私は敢えて、此処に来ることを選んだ。
ただ一つの興味本位で…
「雛~、こんなところに居たの?探した…よ?」
物陰からもう一人出てきた妖怪と目が合った。
「ひゅい!?人間!!」
妖怪はそう言い、厄神の後ろに隠れた。
妖怪が人間を驚かせる立場なのに、妖怪が勝手に人間を驚いている。
どういうことなんだろうか。
「にとり、何も私の後ろに隠れなくてもいいじゃない。貴方には光学迷彩があるのでしょ?」
「うぅ~でも雛がいるから、一人で逃げるのも悪いかなって」
妖怪と神が釣り合う。
昔ではそんなことは絶対にないと思っていた。
今はもう、違うのね。
「ねぇ雛、それでそこの人間は誰?」
「彼は神社に興味があって来た人よ、名前は…え~っと「博山霊奈よ」だそうよ」
「私は河城にとり、河童だよ」
河童は確か、人間の盟友なんだったかな。
でもそれは河童が勝手に決め込んでいるだけ、人間からしたら妖怪と同じ扱いなのだろうか。
まあそんな事は置いておいて、厄神が気になることを言ったわね。
私は興味があった単語を聞いたので、にとりに聞いてみた。
「さっき、厄神が言っていたけれど。貴方は『光学迷彩』というものが作れるのかしら?」
「うん、正確な名前は『オプティカルカモフラージュ』ていうんだよ。私は機械好きでね。外の世界から流れてきた道具を見るとつい改造したくなっちゃってね」
「じゃあ、他にもあるの?」
「天狗が持っているカメラも、壊れていた物を修理して私が作ったものだよ」
驚いた。
外の世界では光学迷彩なんて作れるような代物じゃない。
でも河童は人類のできないことを簡単に遣って退けてしまった。
それに、カメラ。壊れたものを復元させてしまうなんて…
これは誰でもよく持っているものらしいが…
最近ではケータイ電話とやらにもその機能があるらしいが、私には到底理解できない。
「にとりの場合は、色々と特別ね。河童の中でも一番メカニック好きよ」
「厄神は、河童と知り合いなのかしら?」
「まあ、一緒の山に住んでいるわけだし。たまに立ち寄ったりとかするわね」
時代は変わったものね。
神と妖怪が釣り合うようなことなんて…
一昔にはありえない話だった。
「これも…今代の博麗の巫女の力かしら…」
「ん?何か言った?」
「いいえ、何も。ただの独り言よ」
にとりが訪ねてきたが、私は何もないと言った。
今では関係の無い話。
「そういえば厄神、聞きたい事があるのだけれど」
「名前で呼んでくれないのね…それで、何かしら?」
「つい最近、この山に引っ越してきた神様のこと。何でもいいから情報ない?」
「そうね。あの山の神様は、幻想郷に居る。人と妖怪の信仰を集めているみたい。この山もそうよ。河童と天狗の信仰を集めているわね」
「人はわかるけど、なぜ妖怪も?」
「彼女曰く、信仰が集まれば何でもいいらしいわ。あの手この手でうまい話を持ちかけているそうよ」
神様がそれほど信仰を求めるのは、恐らく外の世界に居た神様は…
今の人間達は妖怪や幽霊の存在も忘れ去られ、夢幻(ゆめまぼろし)となっている。
神様もそれと同じ、信じる者が居なくなるほど信仰が無くなり始め、存在が消えかかろうとしてしまっている。
だからこそ、流れ着いたのがこの幻想郷。
『幻想郷は全てを受け入れる』と紫が言っていたわね。
「ありがとう。中々に有益な情報だったわ」
「それで、貴方はまだこの山を登るつもり?」
「えぇ、一度は会ってみたいからね」
厄神、雛との話が終えたところに、にとりと目が合い、彼女は話してきた。
「ねぇ、そういえば霊奈は珍しい服着てるよね」
「あぁ、コートのこと?」
私はにとりに言われ、茶色のロングコートを指す。
確かに私の服装は色んな意味で珍しいかもしれない。
巫女服の上に、茶色のロングコートを羽織り、手には黒のグローブを身に着けている。
といっても、飽く迄もこれは外出用です。
「で、これがどうかしたの?」
「いや、霊奈の服。幻想郷ではあまり見ないから、外の世界から来たんじゃないかって…」
「半分正解で、半分外れね。正確には元々こっちに住んでいたところに、ちょっとした旅行気分で外の世界に行ったのよ」
旅行気分というのは全くの嘘です。
本当のこと話しても誤解を招くだけだしね。
「ねぇねぇ!なんか外の世界の機械とか持ってない?」
にとりは目を輝かせ、期待してるような顔をする。
「期待しているところ残念だけど、私は機械には疎くてね。持ち歩いたことがないわ」
と言ったら、にとりは心底がっかりした。
「でも、神社ごと引っ越してきた神様の中に、外の世界の物に興味を持つ人がいるんじゃないかしら?」
「うーん、でもあんまりあそこに立ち寄りたくないんだよねー」
「妖怪が神様に会いに行くのが?」
「それもあるんだけどさ、あの神様は近寄り難いというか…」
厄神のよりも、気高い神様なのだろうか。
「ちょうどいいし、私がにとりと興味の合いそうな人がいるかどうか見てくるかな」
「おお、本当か!さすが盟友!!」
「期待だけはしないことね」
さて、そろそろ先に進むかな。
あまり時間掛けてると霊夢がさっさと解決しちゃいそうだし。
「そこの河童に厄神殿、こんなところで何をしてい…る…」
突然、木の陰から白狼天狗が現れた。
そして目が合ってしまった。
「し、侵入者…!?」
霊奈は迷わずに、白狼天狗の口を塞ぎ、腹を殴り気絶させた。
まずいわね。今のは気絶させたけど、他の天狗に見られているかもしれない。
「…此処に長くは居られないわね、先に行くわ。悪いけど、そこの天狗は任せるわ」
「えぇ、気をつけなさい」
「また会おうね。盟友」
私はにとりと厄神に別れ、山頂を目指して進んでいった。
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私は白狼天狗、または下っ端哨戒天狗とも呼ばれています。
今現在、天狗の領域に侵入者がいると報告を受け、領域内周辺を偵察していたところです。
「椛、何か見えたかしら?」
私の上司、射命丸文。
この人はこうやって天狗としての立場ならまじめなのですが…
新聞記者としての立場だと、非常に無責任である。
「いえ、文様。こちらには何も…」
椛は首を横に振りながら答えた。
椛が持つ能力『千里先まで見渡す程度の能力』
その能力を用いて、山の隅から隅まで見ているのだ。
「(ん?あれは…)」
椛が見た先は、鍵山雛と河城にとり、そしてもう一人の巫女らしき人が目に映った。
「(雛とにとりはわかるとしても、もう一人は…侵入者?)」
何やら争いもなく普通に話しているように見える。
そして、その三人の中に一人の白狼天狗が近づいていた。
椛は黙ってその場を見ていた。
白狼天狗が侵入者を発見し、騒ぎ立てようとした瞬間。
「(…速い!?)」
巫女と白狼天狗との距離はそんなに近くはない。
だが、巫女は瞬時に距離を詰め、口を封じた後に気絶させた。
「(強い。でも、戦いたい)」
椛は巫女と戦いたい。
それは個人としての理由か、それとも妖怪としての本能なのか。
どの道、椛の闘争本能は埋めいていた。
「……文様」
「ん?何か見つかった?椛」
「…侵入者が見つかったので、迎え撃ちます」
「じゃあ、私が行ったほうが「文様は来なくていいです!」椛?」
「私が一人でやります。文様は他をお願いします」
「あ、待ちなさい。椛!…はぁ、あの様子だと全く聞こえてないわね」
椛は文の呼びかけが聞こえず、そのまま飛び去っていった。
残された文は、何か近づいてくることを感じ、不適な笑みを浮かべる。
「これはこれは、ちょうどいいタイミングで来てくれましたね」
文もその場から離れ、飛び去って行った。
それから文と霊夢が対面したのはまた別の御話。
……まあ、一言申し上げますと…
遅れてしまい申し訳ございませんでした。
中々に時間が取れずに書く機会がなかったのです。
最悪、一ヶ月以上も長くはさせないつもりです。
本当にすいませんでした。
えぇ~、気を取り直してですね。
今回は主人公の外見をそれっぽく表現して見ましたが、意外にシンプルです。
元博麗の巫女という立場を利用して、外の世界の服装でアレンジした感じです。
次回は確実に戦闘フラグですね。
うぐぐ…なんでこんなことなったかなぁ~…
戦闘描写にはあまり期待しないでください。
そこまでうまく書けない駄文でして申し訳ない。
また長くなってしまいますが、気長に待って頂けると嬉しいです。