史上最強の弟子達 双子の凡人   作:daiya

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長すぎるかも


第二話 新たなる憧れ

あの冬の日から早数ヶ月、信一と兼一は高校生になる。

 

入学する高校は荒涼高校、かなり多くの生徒数を誇るマンモス校だ。

 

生徒の自主性を重んじているので開けた校風である。そのため不良生徒も多く、有名な不良校でもある。

 

なぜ、信一たちはこの高校を選んだのかというと単純に近かったのと、なんだかんだで真面目な生徒数の方が多く、優秀な教師もそろっているので進学校としても有名でもあり、両親も特に反対しなかったため入学した次第だ。

 

 

そして入学式の日

一通りの行事も終わり校門前で待っている両親と合流しようと二人で歩いていた。

 

しかし、ふと兼一が足を止め信一の目をまっすぐ見て

 

「兄さん、僕、空手部に入部するよ」

 

いきなりの弟の言葉に呆然とする信一、しかし意識が戻ると

 

「・・・いきなり何を言い出すんだい兼一」

 

体を動かすのが苦手で、痛いのが嫌いな弟のセリフがどういう意味なのか理解できないのと聞き間違えだったのかもという思いからもう一度問い正そうとした

 

「だから、空手部に入部するよ」

 

どうやら聞き間違えではなかったみたいだ

 

「やめとけ、剣道も3日でやめただろ?空手は基本寸止めだけど事故が多いって聞くよ」

 

入部をやめさせようと説得する信一、しかし兼一は

 

「らいしいね、でも入るよ」

 

拒否する

 

「なんでいまさらそんなことをしようと思うんだい?」

 

それでも思い直させようと理由を聞こうとする信一

 

「強く、強くなりたいんだ僕は」

「もう兄さんに迷惑をかけたくないんだ」

 

「なんだ、それは?俺がいつ兼一を迷惑だなんていった!」

 

心外だ、と言わんばかりに語気を強めて信一は否定する

 

「・・・剣道を」

 

「ん?」

 

少しの沈黙の後、兼一がつぶやく

 

「剣道をやめたのは僕の所為なんでなんでしょ?」

 

「っつ」

 

この瞬間、信一はあの日の夜の出来事を聞かれていたことに気がついた

 

「僕をかばうため、竹刀で何もつけていない人を殴ったから剣道をやめたんでしょ?」

「僕が弱かったから、僕に勇気がなかったから兄さんの大事なものを捨てさせてしまった」

 

うつむきながらにそういう兼一、弟が気にすることを分かっていたから兼一がいないときを見計らって両親に言ったのに、結局聞かれてしまっていた。

 

「・・・兼一の所為じゃないよ、あれは竹刀を使わないと勝てなかった俺に問題があったんだから」

 

信一は心の中で自分の迂闊さに頭を抱えながら、自分の本心を兼一に言い聞かせる。

 

「でも!それでも僕があの時、抵抗できていたら、そもそもいじめにあっていなかったらこんなことにはならなかった!」

 

信一は驚いた

今まで弟が自分に対しここまで強い感情を言ってくる、ぶつけてくることなんてなかったから

 

「もう、兄さんに迷惑をかけたくない!兄さんが傷つくのを見たくない!兄さんの、兄さんの大事なものを失わせたくないんだ」

 

・・・やっぱり見抜かれていたか

 

あの時の自分の心を見抜かれていた

迷惑だなんて思ったことなんてない、それは兄の義務とかではなくれっきとした自分のしたいことだったから。あの時の選択も後悔なんてしていないそうしないと勝てなかったから、守れなかったから。でもやはり心のどこかにぽっかりと穴が開いた気がした

 

「僕は、変わりたい。いや、変わらなくちゃいけないんだ!!」

 

うつむいていた兼一が顔を上げまっすぐと信一の目を見た

 

ああ、この目はあの時の目だ

 

それはいつかほのかが一人で公園に遊びに行き近所の悪がき共に苛めれられていたとき、二人でほのかを迎えに行きその場面に出くわした。

兼一を助けるときみたく駆けつけようとしたら自分より先に兼一が駆け出し、ほのかをかばった。いつもと違う感じの弟に驚き出遅れたがすぐに後を追った。

 

その時に見た目と同じ目をしている。

そう、絶対に引かないと決めた、自分を貫くそういう目をしていた。

 

これは、もうなにをいっても無駄だな

 

こうなった兼一が梃子でも動かないことを知っている信一は説得を諦めた

 

「・・・はぁ、わかったよ」

 

「じゃあ」

 

「ああ、空手がんばりなよ」

 

「うん!」

 

まぁ何かあったらいつも通り守るけどな

 

弟の意思を尊重したものの結局どこか過保護なことを考える信一

 

「さ、この話はお終い!さっさと父さんたちのとこにいこう。きっと校門前でそわそわしているだろうから」

 

「ふふっ、そうだね」

 

兄弟は両親(正確には父)をどう説得しようと考えながら校舎を出た。

 

そして入学から一か月の時が立った。

 

 

 

 

「お~い、兼一~」コンコン

 

信一は弟の部屋のドアの前でノックをしながら兼一の名を呼んでいる

 

現在時刻 朝7:00

 

いくら学校が近いといってもそろそろ起きないと遅刻する、なのになかなか起きてこない弟を起こしにいている信一、だがいくら呼びかけても反応なし。これはもしやと思い遠慮なくドアを開ける

 

「やっぱり」

 

 

本、本、本

運動が苦手でインドアな兼一の部屋は窓とドアと机があるスペースだけを開けてあとは本棚が部屋の周りを囲っている。そんな部屋だからポスターなどの飾りは一切ない、だが殺風景というわけではない。確かに部屋の中は本ばかりだが窓の外、ベランダには色とりどりの花が咲いていおり、ドアの前に窓があるから部屋に入った時の印象は明るく感じるようになっている。

子供の頃は図鑑を見ていることも多く、特に植物の図鑑がお気に入りだった兼一はガーデニングが趣味になり、はじめはそれこそこのベランダだけだったのだが気がつけば庭にまで手を付けており、白浜家は一年中季節の花に囲まれることになった。

 

 

そんな兼一の部屋の解説は置いといて話を戻す

 

信一が弟の部屋に入ると兼一は机の上で突っ伏して寝ていた

中学に上がったころから夜遅くまで本を読み、寝落ちするといったことは多々あった。

 

そういう時、信一は

 

「じゃ、俺は先に学校へ行くからな~」

 

容赦なく弟を置いて先に学校へ行く

はじめのうちはきちんと起こしていたのだがなかなか起きず自分も遅刻しそうになったためもう置いていくことにしているのだ

 

「あらあら、またなの?」

 

「はっはっは~、兼一はしょうがないな~」

 

「兼お兄ちゃんは寝坊助だじょ~」

 

「そうみたい、だから俺はもう行くね~行ってきま~す」

 

「「「いってらっしゃい」」」

 

両親、妹ともにいつもの日常とばかりに普通に長男を送り出す。

 

「う~ん、いい天気だ。さて今日は何を作ろうか」

 

実は信一、高校では技術工作部に所属、剣道部に入部せず、兼一は空手部に入部し暇な時間ができたため前から興味のあった物作りや機械いじりをしようと思い入部したのだ。

 

意外にも信一はそういう物作りの才能があった。

家の小物の修理や作製なんかもしていたから意外と基本ができていたこともあるのだろうが、先輩に教えられたところで分からないところや出来なかったところは今のところない、現在、工作部には2年が居いないし飲み込みも早いのですでに次期エースとして期待されている。なんのエースなのかはわからないが(笑)

 

“剣道は結局ぱっとしなかったけど俺ってこういう才能があったんだな~”

“兼一も植物を育てる才能があるっぽいしつくづく戦うっていうことに対しては兄弟そろって縁遠いな~”

 

そんなことを考え、今日作る物を考えながら登校した。

 

学校に着き、自分の教室へ行きそして自分の席に着いた。ちなみに兼一とは別のクラスである

 

さて今日の兼一はどのくらい遅れてくるかな~

 

そんなことを思いながら、一限目の授業の準備をして何人かの友人と談話しているとすぐに授業の時間になった。

 

そして昼休み

いつも通り、兼一と昼食を食べようと兼一の教室に行った

 

「兼一~昼ごはん食べようぜ~」

 

「あ、兄さんまた来たの」

 

「なんだ、その言いぐさは」

 

「だってクラスも遠いのに毎日来るんだもん、もしかして友達いないの?」

 

「おバカ、それは兼一の事だろうに」

 

「うぐぅっ」

 

「一人さみしくないように来てやっているんじゃないの」

 

「うう、ありがとうございます」

 

「よろしい、じゃあ食べようか」

 

今の会話から察せられる通り兼一にはいまだに気のおける友達がいない

それにはいくつか理由がある

 

もともと引っ込み思案ということもある

 

それに兼一は心の中心を見抜く能力にたけている、それも無意識に

ただそれだけなら友達ができないなんて事態にはならないだろうが問題はそれをすぐに口に出してしまうことだ。

誰でも自分の心にずかずかと入って来られたくないだろう。そこにずかずか入り込むのだからそれは嫌われる。

 

そして一番の原因はなめられているからだろう

ある腐れ縁の宇宙人がフヌケンという名をまき散らしたため男子にはなめられ女子には相手にされないクラス内カーストは最下位なのだそういった奴はいじめに会いやすい、そういうことを分かっているため巻き込まれたくないから誰も近づこうとしない。

 

こういった理由から入学して一か月、兼一にはいまだに友達がいないのである。

 

まぁ兄弟の仲がいいから一部の女子からはネタにされてたりしているのだが、それはこの双子の兄弟は知らなくていいことだろう

 

椅子を借り二人で弁当を食べていると信一はあることに気がついた

 

 

「兼一、今日は結局何時くらいに学校へ来たんだ?」

 

「ああ~!そういえば、なんで起こしてくれなかったの!」

 

「起こしたよ、でも起きなかったんだからしょうがないだろ自業自得だよ」

 

「うぐ、確かにそうだけど」

 

「いつも言っているだろ?早寝早起きって」

 

「うう~」

 

基本ブラコン、シスコンな信一だが甘いだけではない、意外と生活態度には厳しい

説教が始まりそうになったとき信一はあることに気がついた

 

「ん?なんだか見かけない子がいるね?」

 

「ああ、今日転校してきたんだよ、確か名前は風林寺 美羽さんだったかな?」

 

これ幸いにと話題を変えようと情報を与える兼一

 

「へ~、入学して間もないこんな時期に珍しい、どこから?」

 

「それがね松竹林高校なんだ」

 

「ふ~ん、あの名門から転校だなんて余計にめずらしいな」

 

「だよね~」

 

「まぁ、気にすることないか」

 

「それもそうだね、ただ」

 

少しめずらしい経歴を不思議に思いつつ、そんなこともあるかと思った信一に同意した兼一しかし何か気になることがあるようだ

 

「どうした」

 

「うん、なんだか僕と同じような感じがするだ」

 

「はぁ?」

 

信一はどういうことか分からず聞き返す

 

「どこが?」

 

「どこと言われると難しいんだけどね?ただ、まぁなんとなくそう思ったんだ」

 

兼一がそう思うんならそうなんだろうな~

 

兼一の心中を見抜く力はいつも実感しているため納得する信一

 

そんなことを思っている中、信一はあることを思いついた。

 

「そうだ兼一、あの子と友達になってきなよ」

 

「なななななんで、そそそそそそんなことを!?」

 

突然の兄の提案に驚く兼一

 

「だってあの子、まだお前のあだ名なんて知らないだろう?」

 

「そ、そうだね」

 

信一の言いたいことは分かった、兼一が友達を作れない最大の理由を転校生は知らないからチャンスだと言いたいのだろう

 

「それに、よく見るとかわいい子じゃないか」

 

「いや、ぼ、僕には女の子の友達なんてとてもそれにあの子は・・・」

 

「ん、なにかあったのか?」

 

実は兼一、登校時にあっている。その時にいきなり投げ飛ばされ

 

「後ろに立たれたら投げ飛ばしません?」

 

などという危険極まりない一言をもらっている

 

“あ、あんな危なさそうな娘とは友達になれそうにないよ~”

 

実際、そんなことを言われ実行されたら誰でも敬遠するだろう

だが兄に朝あったことを正直に言うわけにもいかず

 

「い、いやぁ?特に何もないよぉ?」

 

と、ごまかす。だが

 

あ、なんか隠してるな

 

信一には何か隠していることはバレバレ、外見は、信一含め弟妹みな母親似なのだが兼一は内面的には父親にそっくり、父も隠し事はへたくそなのである

 

「そうか、まぁ無理にとは言わんさ」

 

何かあったことは分かるが、それに触れてほしくないのだろう、とりあえずこの話題を打ち切る

 

「ところで兼一」

 

「何?」

 

「空手部はどうだい?」

 

信一がそう聞いた瞬間、兼一の表情が曇った

 

「う~ん、まだまだだね、やっぱり僕には才能がないから、なかなかうまくならないよ」

 

だがすぐに取り繕い当たり障りのないことを答えた

 

「・・・そうか、まぁ焦ることはないよ、じっくり自分の速度でやっていけばいいさ。これ経験者からのアドバイスね」

 

「あはは、いいことを聞いたな~、まぁうん、自分のペースでやれるとこまでやってみるよ」

 

兼一が何か隠している、その事には気がつている。いや実は何を隠しているのかも気がついている・。

 

でも、入学式の日に言われたことを、兼一が自分で決めたことをできる限り邪魔をせず、兼一の思いを尊重して。本人の口から直接言って来るまである程度は我慢しようと決めているため、余計なことはいわず見守る。

 

そのあと適当に雑談をして予鈴がなったので急いで信一は自分のクラスへ戻った。

 

そして放課後、技術工作部の活動が終わり帰路についている、空手部は帰宅時間ぎりぎりまで練習するので帰りはいつも別々だ

 

そんな下校中、後ろから不快な声が聞こえた

 

「し~んい~ちく~ん」

 

その瞬間、信一は苦虫を3~4匹つぶしたような顔になり声のする方向へ顔を向けた

 

「なんだ宇宙人、充実した部活動を終えて春の終わりを感じながら気持ちよく帰宅している中、お前の不快な顔なんか見たくないし声も聴きたくないんだが?」

 

「ひゃははは!そうほめるなよ、照れるじゃねえか//」

 

「ほめてないよ!!」

 

さてこのおかっぱで耳が尖がり、舌の先が二股で心なし額から触角が出ているように見える宇宙人と悪魔を足して人間に変身させたようなこの人物は誰かというと

 

こいつこそ件の宇宙人、新島 春男である

信一と兼一の天敵だ

小学校から今まで全部同じ学校で、暴力こそ振るってこないが兼一をいじめる常習犯

教師に悪戯をして兼一のせいにしたり、いじめっ子に兼一の居場所をリークしたりとほかにもいろいろ兼一を陥れようとしている(しかしことごとく信一が食い止めている)。要注意人物である。

当然、信一はこいつのことを警戒しているが、同じ弟を大事にしている兄同士というところでなんだか気が合うところもあり、自分が計画していないイジメなら逆に情報をリークしてくれることもある。何を隠そうあの冬の日、信一が駆けつけることができたのはこいつが兼一の現状と居場所を教えてくれたからだ。

 

「で、どうした?こんな夕暮れに、いつもはもっと早く帰っているだろ?」

 

ほぼ毎日顔を合わせているが下校時に顔を合わせるのは珍しい、そう思い問いただす

なぜならこいつがいつもと違う行動をするときは何か企んでいる時だからだ

 

「いや、なにちょっとな」

 

「なんだよ」

 

にやけながら質問に答えない新島、そんな新島を気味悪がりながらさっさと答えろと言わんばかりに返す信一

 

「その様子じゃ気がつてないってわけじゃないな、兼一の現状に」

 

「・・・・・・」

 

そういわれ沈黙する信一、しかし1~2分くらいたってから

 

「・・・はぁ、当たり前だろう」

 

新島の問いに、肯定の意思を返す。信一が何に気がついているのかそれは

 

「あいつ、またイジメられているんだな」

 

「けけけぇ!まぁその通りだ。よく気がついたな」

 

「何を、バカなことを言っているんだ兼一のことだぞ分からないことの方が少ないよ、それにあんな見覚えのある怪我をしてたら誰だってすぐにわかるよ」

 

そう、昼休みに兼一が一瞬見せた表情、それはイジメられているから出た表情だった。

 

「はじめはただの怪我だと思っていたんだがな」

 

空手で怪我をすることは珍しくないと思う。防具をつけている剣道だって怪我は付き物だましてや兼一は初心者で才能なし(まぁ俺もだけど)、いろいろと馴れないこともあるから毎日怪我をして帰ってくるにはおかしくない

 

だが怪我をしている場所が少しおかしいと思っていた。

軽く現代空手について調べたがその試合で有効打とされるのは頭、胴の上半身ばっかりだから当然その練習も蹴りにしても突きにしても上半身狙いの技がほとんど、当然、怪我をする部分は上半身、それも体の前面ばっかりになるはずなのに兼一は全身に万遍なく怪我をして帰ってくる。

 

「知っているならなぜ放置してんだ?いつも真っ先に駆けつけてるのに」

 

そう今までの信一ならすぐに駆けつけて、空手部をやめさせているだろう

今までと違う、行動をしている信一を不思議に思い、新島は問いただす

 

「お前には関係ないだろう」

 

だが信一は答えない

 

まぁ大方、フヌケンの意思を尊重して~とかそんな感じだろう

 

信一は答えていないが大体の理由を察している新島

おそらく信一は見通されていることは承知している、だからわざわざ答えなかった

 

「で、どうするんだ?とうとう見捨てんのか?」

 

と絶対に信一がしないであろうことをわざわざ言って煽ってくる宇宙人

 

信一は挑発だと解っていながら

 

「そんなわけないだろう!!」

 

と声を荒げて答える、そんな信一の何が面白いのかニタニタしながら

 

「まぁ、そうだよな~」

 

と答える新島、さらに

 

「じゃ、どうするんだ?」

 

と信一が何をするのか聞こうとする

 

「兼一が直接言ってきてくれるまで何もしない」

 

「それは見捨ててんじゃないのかよ」

 

「・・・これ以上ひどくなりようなら問答無用で乱入してやめさせるつもりだ」

 

「そうかい。結局は相変わらずかい」

 

その答えを待っていたかのようにもう用はないとばかりに去る新島、しかし信一は呼び止めた

 

「新島」

 

「なんだ」

 

「これ以上悪くなりそうならその前に教えてくれ」

 

「はん、気が向いたらな~、ひゃははは~」

 

そして今度こそ用はなくなったと帰る新島、そして信一も

 

「・・・帰るか」

 

信一が帰宅し、一時間ほどたって兼一も帰ってきた

 

相変わらず傷だらけになって

 

しかし、その事には触れずいつも通り風呂に入って、夕食を食べ就寝した

両親は心配していたけれど兼一はまだ慣れていないだけと言った。その後、信一に真意を問うが今は信じてあげてと言い、それでとりあえずは納得してもらう。

 

そして次の日

兼一はまた寝坊していたので構わず先に登校

 

そのまま特に何もなく昼休み

 

「お~い、兼一~今日は外で食べないか?」

 

「どうしたの急にまぁいいけど」

 

信一はもしかしたら誰もいないところでならいい加減打ち明けてくれるかと思い外で食事をしようと誘う

 

だがその思惑は意外な形で破られる

 

外に出て適当なベンチに座り弁当を取り出す双子

 

少し食べてから信一が話しかける

 

「兼一、最近元気がないけど大丈夫か?」

 

「う、あはは、何を言っているのさ兄さんそんなことはないよ僕は元気いっぱいさ」

 

「・・・そうか」

 

まだ言ってくれないかと心の中で肩を落とす信一

 

「でも」

 

お、と思いとうとう来るかと思い期待するが

 

「いい加減、友達はほしいかな~」

 

言ってほしかったこととは違うがこの問題もなかなかに切実なこと

 

「そうだな~、とりあえず参考までにどんな友達がほしいんだい?」

 

仲を取り持つくらいならできるだろうと思い、兼一の希望を聞く

 

「う~ん、そうだね~、できればごっつい人がいいな」

「そんな人が友達だったらもういじめられることはないだろうしね」

 

後半はなんていったのか聴こえなかったが

まったく予想していなかった答えが返ってきた

 

「ご、ごっつい人か~それは難しいかな~」

 

「あはは、だよね~」

 

とその時

 

「あの~ごつくないんですけれど私で良ければお友達になっていただきたいんですの」

「私も転校してきたばっかりでお友達がいないんですの」

 

と声をかけられた

 

「「ん?」」

 

どこから聞こえるのか分からないから兄弟そろって左右に首をきょろきょろして声の発生源を探す。

 

「ふふふ、上ですわ」

 

と言われ上を向いた瞬間、兼一の顔の上に何かが降ってきた

 

「ぎゃっ」

 

と短い悲鳴を上げる兼一、信一は何が降ってきたのか目で追った

 

「よっと」

 

降ってきたのは女の子、それも昨日、転校してきた娘だ

 

「き~み~は~、この間といい何か僕に恨みでもあるの!?」

 

珍しく怒っている兼一、しかし顔に足形がついているのでいまいち迫力に欠ける(まぁもともと迫力なんてものはないが)

 

「ごめんなさい、ごめんなさい!!」

「ここの制服、スカートが短くて」

「うう、わたくしの馬鹿」コツッ

 

ここで予想外の登場に少しフリーズしていた信一が復活

 

“ちょっと変な娘だけど、素直ないい子っぽいな”

 

とさっきの行動とすぐに謝るその姿勢からそういう評価をつける

 

「あ、そちらの方は同じクラスではありません、ですわよね」

 

いきなり話を振られる信一

 

「ああ、そうだよ転校生さん」

 

特に気にせず答え

 

「申し遅れました。わたくし風林寺 美羽です。松竹林高校から転校してきました」

 

とそのまま自己紹介をされた

 

“これはチャンスか?この子も友達がいないってさっき言ってたよな?”

 

と思う。信一うまくいけば昨日言ったように兼一に友達ができるかもと期待する

 

「これはご丁寧に、俺は白浜 信一んで隣にいるのが弟の白浜 兼一見ての通り双子の兄弟です」

 

肘で兼一に挨拶を促す

 

「よ、よろしく~」

 

「まぁ!やっぱりそうでしたのね顔がそっくりですわ」

 

“よしよし、なかなかに好感触”

 

うまくは好印象をつけれたようだ

 

そこで信一はすかさずさっきの本題に戻らせる

 

「ところで、さっきのってどういうこと?」

 

「・・・わたくし前の学校から友達がいませんの普通にしているつもりでしたけど、どうも浮いてるみたいで」

 

おそらく原因であろうところを知っている兼一は

 

“そりゃそーでしょ、殺し屋だもん”

 

と失礼なことを思っていた

だが信一はそのセリフから昨日、弟が言ってたことを納得できた

 

“なるほど、兼一がどこか似ていると思っていたのはこういうことか”

 

この二人の共通点、それは望まない孤独

 

原因は違えど二人はハブられていたのだ

 

そんな中、美羽は話を続ける

 

「そうそう忘れていました。これはあなたのですよね?」

 

と取り出したのは一冊の本、題名は「友人作成法 高校生編」

 

「え、それは僕の?ちょ、ちょっと待って」

 

そういって焦ったように鞄の中を漁る兼一

 

「ああ、ない!それは間違いなく僕の本だ!!」

 

と無くなっていることに気がついてなかった兼一、そしてこのままでは確実に無くしただろうと思い見つけてくれたことに感謝する・

 

そんな兼一を節目に

 

“なんてアホみたいなタイトルの本を読んでいるんだ”

 

と呆れ顔になっている信一、だがそんなタイトルに目をつぶると、これはいいきっかけではあることに気がつく

 

「それで、あのうわたくしと友達になるのはダメ、でしょうか?」

 

そしてこの追い討ちの言葉、兼一を方を見ていると

 

“うわ~わかりやすい、鼻が伸びきってるよ”

 

となんともだらしない顔をした弟がそこにいた

そして、もしかすると兼一に春が来るかなと思い気を利かせることにする

 

「あ、ちょっとごめんね」

 

と言って、携帯を取り出す信一

 

「ごめんな、部活の先輩からなんか呼び出しが来たから先にお暇させてもらうね」

 

「え、ちょ、兄さん!?」

 

もちろん嘘だ

兼一にはあくまで自分の力で友達を作ってほしいという兄心3割とうまくやれよという余計なおせっかい7割からできている嘘

 

双子アビリティ・目で会話を発動して

 

(頑張れよ~)

 

とエールを送り退散、兼一が何かを語りかけていた気もするが無視して去って行った。

 

“さてさて、どうなるかな~。まぁいきなり女子との会話はきついかもしれないがこれもいい経験だとおもいなよ”

 

自分とてまともに会話なんてしたことないくせに、自分を棚に上げてそんなことを思う信一であった

 

そして特に何もなく学校も部活も終わりいつも通り兼一より先に帰宅

 

そして約一時間後、兼一が帰ってきたいつも以上にぼこぼこになって

 

これ以上はもう見過ごせないと思い、兼一に近づく

 

だが、近づいてみるといつものしょぼくれた雰囲気じゃないことに気がつく

 

何があったんだと思い兼一に何かあったのか聞く

 

すると兼一は

 

「ちょっとね、大したことじゃないよ」

 

と答えなかった。特に悪い感じはしなかったからまぁいいかと思いそのまま行かせてしまったが、すぐに空手部をやめろって言うタイミングを逃したことにきづいた

 

そして就寝前、風林寺さんとはどうなったか聞くために兼一の部屋に行く

 

「兼一~入るぞ~」

 

「いいよ~」

 

そしてすぐに本題へ

 

「風林寺さんとはどうなった?」

 

ちょっとわくわくしながら聞く信一、そんな兄に兼一は

 

「へへ、友達になれたよ。高校に入って初めての友達ができたんだ」

 

と答えた。その顔をみて一安心した信一は

 

「そうか、よかったな~。仲良くするんだぞ?」

 

「ああ、当然さ、久しぶりに本当に久しぶりにできた友達だからね!」

 

と兼一は昔のことを思い出しながらうれしそうに言った。

 

そう、過去に一人、兼一にも友達がいた信一が剣道に言っている間はその子と二人で遊んでいた。

名前は朝宮 龍斗

父さんの都合で引っ越しすることになりそれっきりだが今頃どうしているだろうか、そういえば去り際に何か言ってたような気がする。父さんのテンションが変に上がり車を飛ばしたのでよく聞き取れなかったが

 

そんな思い出に浸っている兼一の邪魔はすまいと

 

「それだけが聞きたかったんだ。じゃあ、お休み。明日はきちんと起きろよ~」

 

「うん、わかってるよ。おやすみ~」

 

空手部についてまたもや言いそびれたがあの感じじゃまだ大丈夫そうだと思い信一は自分の部屋に行きベッドに入る。

 

 

その夜兼一は、学校帰りあった出来事を思い出していた。

 

実は兼一、美羽がヤクザ絡まれているのを目撃、はじめは見てなかったと思うことにして通り過ぎようとするが立ち止まり、高校に入って初めてできた友達を、それも女の子を見捨てられるかと、そして兄さんみたいにかっこよくなるんじゃなかったのか、だれもが見て見ぬふりをする悪に立ち向かうヒーローになるんじゃなかったのかと自分が変わろうとした想いを思い出し立ち向かったのだ

 

まぐれで一発当てたがそのあとは後ろから捕まりあと一歩のところであわや大惨事になるところを、美羽に助けられた。美羽は瞬く間に4人の悪漢をのしてしまう。そしてその後兼一に向かいお礼と勇気があることを誉め、帰って行った。

 

今、兼一は彼女が戦っている姿を思い浮かべている

 

まるで羽が風に舞っている様な動き、かと思えば燕の翼のように風を切り裂いて相手を攻撃する姿、ほかにもいろいろあるがとにかくそのすべてに魅入ってしまった。

 

“どうやったらあんな動けて、あんなに強くなれるんだろう”

 

信一の心の強さとは違う具体的な力にそして

その力を暴力に使わず守ることに使っている美羽のあの強さに、戦う姿に兼一は憧れてしまった。




あとがき

無駄な話が多いな~と自分で思いつつ気がつけば一万字を超えてた
しかもまたもやバトルなし、テンポ悪いし、信一の口調が安定してないかも

ちなみに
原作では兼一はガーデニングは男らしくないと言われそうだから敬遠してたけど今作では特に気にせずガンガン育てています。
そして新島についてですが弟が居り、弟思いのお兄ちゃんというのはオリジナル設定じゃありません。史上最強の秘伝書の方に書いてあった、裏設定から持ってきています。


一話分の文字数ってどのくらいがいいんでしょうね?
読むだけの時は3000~5000くらいでいいと思ってたけど書く方になると分からなくなってしまった

ご意見、ご感想をお待ちしております

では次話で
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