いつも通りの朝、信一はランニングから帰ってきてシャワーを浴びていた
「・・・はぁ、どうすればいいかなぁ~」
信一は悩んでいる、原因は兼一が置かれた状況だ
先日、兼一は空手部退部をかけた試合(喧嘩)をし、勝つには勝ったが投げ技を使ったということで反則負けになり結局退部、となったのだがあの試合(喧嘩)の審判をしていた筑波という先輩に兼一が目をつけられてしまった。
どうやらいきなりあんな戦いができるようになった兼一が気になっているらしい。
「なんでそんなことになるんだろうな~」
と漏らす信一、弟もだが信一自身こんな事態になるなんて想定外だった。まぁ普通はこんな事態を想定できないだろう。まさに一難去ってまた一難だ。
さて、兼一の問題だがなぜ信一がなやんでいるのかというと
「兼一は勿論のこと、俺も多分歯が立たないんだよな~」
そう、つまりその筑波というの先輩が強いということなのだ
新島からの情報だと、筑波先輩は空手部でも1,2を争うほどの実力者、自分より強いというのは事実なのだが信一が勝てないと思っている主な理由はそこじゃない、この先輩どうやら不良グループとつながっている札付きの悪だということだ、要は喧嘩慣れしているというところが信一が勝てないと思っている主な理由だ。
信一自身、自分も兼一と同じぐらい戦う才能は無いと思っている。だけど強い者、才ある者が必ずしも勝者にはならないということも知っている。
剣道の試合でも、自分より強い者に勝ったことはある、今まで自分より弱かった奴に負けたこともある。よほどの実力差が無い限り絶対の勝利というものはない、だけど経験の差というものはどうしても覆すとこは難しい。
信一が喧嘩をまともにしたことがあるのはあの冬の日だけ、対して筑波先輩はほぼ毎日喧嘩しているのだろう、自分が武器を(竹刀)を使うとしても対して変わらない、喧嘩をするときに鉄パイプなどを使うやつはいるだろう、そういう武器をもった相手との戦い方を知っているが自分はそういう経験がある者と戦ったことはないためそういう相手とはどうやって戦えばいいか分からない。
ただでさえ実力差があるのに経験でも差をつけられている、だから信一は勝てないと思っているのだ。
「今まで俺がやってきたことじゃ勝てない、じゃあどうすればいいんだ」
信一が悩んでいることはここにもある、今まで自分やってきたこと(剣道)じゃ兼一は守りきれなくなってくる、強くなって行かなくちゃいけない。でもその方法が分からない
「どうやったら強くなれるんだろうなぁ」
信一がシャワーから出てきたら兼一が起きていた
「おはよう兼一、よしよし、今日は寝坊してないな」
朝の挨拶をする信一、いつもこんな感じならいいんだけどな~と思いつつ兼一の顔を見る
「お、おおおおはよう兄さん~」
その顔は、気持ちのいい朝を迎えている顔ではなかった
“あ、負け犬の顔になってる”
先日の覚悟はどこに行ったのか中学時代のいじめられていた時の顔に戻っている
“まぁ今回は、相手が相手だから仕方がないかな”
と、自分でも多少はビビっており、今は何を言っても如何にかなるわけではないで特に触れない信一
そのまま兄弟そろって朝食を食べ、家を出る
登校中信一は今後の事を兼一に聞く
「で、どうするつもりなの?」
「どどどどうって?」
分かっているだろうに現実逃避しているのか信一の問いにとぼける兼一
「筑波先輩の事だよ」
と信一は現実を叩きつける
「と、とりあえず荒波立てないように武道系の部活には入らず、園芸部に入るよ。そして静かに暮らしますとさめでたしめでたし」
と錯乱しているかのようだが兼一の答えに
“まぁその辺が無難かもな、とりあえず今は目立たないようにしとくのは悪くないだろう”
と思う信一、そのままこの話題は横に置いといて兼一を落ち着かせようと園芸部で何をするのか、何をしていきたいのかということに話を逸らした。
話しているうちにある程度落ち着いてきた兼一は急に黙り込む、何か言おうと思っているのが分かっているのか兼一が話出すのを待つ信一、そして兼一の口が開いた
「兄さん、強くなるにはどうしたらいいのか解る?」
「・・・戦う気なのかい?」
「いやいやいや!さすがにそんな気はないけど、相手の方ががこっちに来そうだしそれに何より」
「何より?」
「逃げるのはもうやめたから」
“やっぱり、兼一お前は強くなったよ。あんな人相手に逃げ出そうとしないなんて、すごいことだよ”
兼一が成長したことを改めて実感する信一、だが今はとりあえず兼一の問いに答える
「で、強くなるにはか」
「うん、兄さんはどうやって剣道が強くなれたの?」
「難しいな~、まず一定以上の筋力が必要だろ、でひたすら技の練習、経験を積むっていうのが普通にしてて強くなる方法なんだけど、まぁ要は日々の積み重ねなんだよね。で兼一が聞きたいのはどちらかというと短期間で強くなれる方法だろ?」
「ま、まぁうん」
「だよな、だったら俺はそういう方法は知らないな~、しっての通り俺もそんなに才能なんてないからひたすらコツコツと努力を積み重ねていくしかできなかったからね」
「う、やっぱりそうだよね~」
と予想していたのかがっくりくる兼一
“というか短期間で強くなる方法なんて俺が知りたいわ”
兼一が肩を落としているのを傍目に信一はむしろ自分が知りたいと思った。
そして気がつけば学校に着き、下駄箱のところで二人は分かれた。
体育の時間
荒涼高校はクラス数が多いため体育は3~4クラス合同でやる
この時間は兼一のクラスと信一のクラスが合同でやっているため、今は信一と兼一と美羽そしてなぜか新島が一緒に集まっている。
「え?空手部の副主将がですか?」
「この間の試合で審判をしていた男なんですが」
「あの試合でどうやれ目をつけたみたいで近いうちに兼一をしめるってんです」
なぜ、美羽と新島がこのような話をしているのかというと
兼一が朝からまた負け犬の目をしていたのに困惑していた美羽に新島がでしゃばってきて、朝はもう時間がないからこの体育の時間に説明すると言ったらしい。
「はぁ、しめるですか?」
「要は、一戦交えようということです」
「なんだそんなことでしたの!?兼一さんやっつけちゃえばいいんですよ!」
「それができればこんなんになってないよ美羽ちゃん」
新島に事の経緯を聞き、軽く勝てと言い放つ美羽、そんな美羽に信一は突っ込む
「なぜですの」
「その筑波って先輩はこの間の大文字よりも数段強いんだよ」
美羽の疑問に簡潔に答える信一、そんな二人の横では兼一が何かつぶやいている
「筑波先輩ねぇ、素手で石を割っちゃうの、それからバット・・・蹴りで折っちゃうの」
「と、まぁこんな感じに力があってどうやらそれなりに喧嘩の経験も豊富みたいなんだよ」
となんか軽く幼児対抗しているような兼一の補足を聞き
“なるほど、おそらく黒帯クラスですわね、それに喧嘩慣れしてると確かに今の兼一さんでは・・・・”
その説明を聞きようやく兼一の状態に納得する美羽、そんな美羽に新島は
「ま、それはさておき・・・俺様、君のことが知りたいな~」
と言いながら後ろから近づき方に手を置く
「お前、そんなこと聞くために近づいt「ぐふっ」・・・え?」
新島が美羽の情報を得るために近づいてきたことを察した信一は一言注意しようとしたが新島が美羽の肩に手を置いた瞬間、ぐるんと美羽が新島を投げ飛ばした、その光景に信一は驚き言葉を途中で切った。
「あ!?」
と美羽がやってしまったというような声を上げる
「ああ、なんでみんな投げられるのに後ろに立つのかしら!?大丈夫ですか~」
と、そんな美羽に信一は
「み、美羽ちゃんなんで投げたの?」
と問いかける、美羽はいつか兼一に言ったことと同じことを信一に言う
「え?普通いきなり背後を取られたら投げません?」
“どこの殺し屋だ!?”
とやはり双子、兼一と同じことを思った信一だった
“昨日見たトンデモ身体能力と言い、この不思議な習性といい、どこかずれてるな~・・・あ、前の学校でハブられてたのってこういうのが原因なんじゃ”
そんなことを思っている信一、兼一は慣れているのか特にリアクションは無い、しかし兼一は美羽の方をじっと見ているそんな兼一を不思議に思って信一は声をかけた
「どうしたんだ兼一、美羽ちゃんの方をじっと見て」
「い、いやちょっとね、美羽さんに聞きたいことがあって」
「聞きたいこと?」
こんな状況で何が聞きたいんだろうと思う信一
「み、美羽さん」
「はい?どうしました?」
兼一は投げられて気絶している新島を起こそうとしている美羽に話しかけた
「あなたはどうやってそんな強くなったんですか?」
「どうやったら、僕はあなたみたいに強くなれますか?」
“兼一・・・”
美羽の目をまっすぐ見る兼一、信一はそんな弟をみて
“お前はもう十分強くなっているのに、なぜそこまで強くなろうとしてるんだ”
入学当初に言っていた、自分に迷惑をかけないということ以上の事を望んでいる兼一が何を目指しているのか解らなくなっていた
一方、美羽もまっすぐ見てくる兼一の目を見てその本気度を理解したのか
「本気で強くなりたいんですのね」
「・・・確かにわたくし、短期間で強くなれる方法を知っています」
「「え?」」
予想外の答えに驚く双子
「ある場所に行き、そこで武術を教われば飛躍的に強くなれるでしょう。ただし・・・・・・」
1拍開ける美羽、二人は真剣に話す美羽の雰囲気と話している内容にゴクリと唾を飲んだ
「生き延びることができれば・・・・・・ですが」
美羽の異様な雰囲気にのまれ何も言えない二人
「もし覚悟がおありなら、明日この場所へ」
そんな二人をよそに、とりあえずその場所とやらの地図をもらいこの場は解散した。
それから放課後
兼一が文化系の部活に変わったことにより帰宅時間が同じくらいになったので二人そろって帰ることになった。
二人並んで静かに歩いていく、静寂を破ったのは信一だ
「なぁ、兼一」
「お前は知っているみたいだから聞くけど、美羽ちゃんってどのくらい強いんだい?」
とりあえず、美羽に対して気になったことを聞く信一
「そうだね、本気を出しているのは見たことないけど、武器を持った大人5人を苦も無く倒すくらいだね」
「・・・・そんなに強いのか」
「うん」
そこでまた会話が切れた、だが信一は意を決したように本題を聞く
「兼一」
「・・・なんだい兄さん」
「お前、美羽ちゃんの言っていたところに行く気かい?」
「うん、行こうと思っている」
即答だった、兼一の覚悟はもう決まっているらしい
「・・・美羽ちゃんは結構本気で言ってたよ、ほんとに死ぬかもしれないぞ」
「・・・うん、僕もそう思うよでも、僕は行く」
ここ何日かでよく見るようになった覚悟を決めた目をしている兼一を見てこれ以上は何をいても無駄だと思った信一はもうそれ以上聞かなかった。だが最後に一つだけ聞こうとしたが
「なぁ、なんで・・・・・・いや、なんでもない」
聞かなかった
「?」
そんな兄を不思議そうに見ている兼一、何が言いたかったんだろうと
“・・・聞けなかった、なぜか聞いたら兼一に置いていかれる気がしたから”
信一が聞きたかったこと、それは、なぜそんなに強くなろうとしているのか、ということだった
帰宅後
一応どんなところなのか気になる信一は自分も同行すると兼一に言いに、兼一の部屋に行く、すると
「お、女の子の字だあ~!!」
と妹のほのかの声が聞こえた
「なんだいほのか、夜中に大声を出したらいけないじゃないか」
「あ、ごめんだじょ信兄ちゃん」
「うん、でなんであんな大声出したの?」
素直に謝ったので許す信一、そしてほのかに大声を出した原因を聞く
「えっとね、なんかこの兼お兄ちゃんが、いかにも女の子から書いてもらった地図を持ってたからだじょ」
とちょうどみたかった地図のことだった
「なんだ、そんなことか」
「あ、兼一~俺も明日一緒に行くから、一応地図見せて」
「え、まぁいいけど、たぶん兄さんも見てもわからないと思うけど。はい」
不可解なことを言う兼一、しかしそれは地図を見て納得できた
「ん?なにこれ、最寄駅や近くのバス停すら書いてないじゃないの」
「そうなんだよ、それにグネグネ曲がっていてわからなくてほのかなら解読できないかな~って見せたらさっきみたいな大声出したんだよ」
「あ~そういうことか、ほのか俺からも頼むよ」
難解な地図の解読を妹に頼む兄二人、お兄ちゃん子なほのかは断れるはずもなく
“う、なんか兼お兄ちゃんに悪い虫がつきそうだけど、お兄ちゃんたちの頼みなら仕方ないじょ”
「ほのか頑張る!!」
「ありがとな、ほのか」
「参考文献はいくらでもあるからな、それと都内の詳細な地図だ」
この30分後地図は無事解読され、明日、二人そろって美羽の言っていた場所に行くことになった。
そして次の日
昨夜に解読してもらった地図を頼りに目的地にたどりついた二人
「なぁ、ほんとにここで合っているのかい?」
「う、うん、地図通りにきたし、ここでいいと思う」
だが、二人は困惑しその場で佇んでいた。
「「妹よ、ほんとにここなのか?」」
だが、それも仕方ないだろう、なぜなら今二人の前にあるのはまるで時代劇に出てくる城門のような巨大な門なのだ
「ま、まぁここまで来たんだいまさらビビっても仕方ないし」
と珍しく兼一の方が先に行動する
「そ、そうだなとりあえず中に入ろう」
と信一が言ったので兼一は中に入ろうと門を押す、だが
「?兼一、中に入らないのかい?」
そう兼一がずっと押したまんまの姿勢で中に入ろうとしないのだ、いや正確には
「んぎぎぎぎ~、違うんだ門がびくともしないんだよ!この門異様に重いんだ!!」
そう、立てつけが悪いのか、錆びついているのか解らないが異様に重く中に入れないのだ
「はは、兼一は非力だな~そんなんでこれから大丈夫かい?どれ俺が開けよう」
と言って今度は信一が門に手を付ける、だが
「ぬおおおおお」
開かない
「ね?開かないでしょ?」
「そ、そうだな。・・・一緒に押そうか」
「だね」
だが二人で押しても少し動くだけだった
「なんで出来ているんだこの扉は~」
「あ、あかないいいいいい!」
二人で四苦八苦していると横から手が出てきた、二人はまるで気がついていないが、その手がチョンと門に触ると
バァン!!
と勢いよく開いた、二人は門を力の限り押していた二人はいきなり体を支えていたものがなくなったためすごい勢いで転がり込む
何事かと後ろを向く二人、そこには
“でかっ!!”
とても大きな老人が立っていた、いや大きいだけではない服の上からでもわかるくらい筋骨隆々なのだ。
そんな老人が話しかけてくる
「はて、お若いのここに何の御用かの?」
「「あの~、いや、その~」」
いつもはしっかりしている信一もさすがの迫力に兼一とそろって挙動不審になる。さすが双子、狼狽の仕方が同じになっている
“さすがに美羽ちゃん(さん)が言っていたとこってここじゃないよな(ね)”
と二人ともそのような答えになったのか
「「ご、ごめんなさい!!間違えました~」」
「あ、これ」
とすぐに出ていこうと走り出す二人、しかし
「「わぷっ」」
「またんか!!」
先回りされた
“え!?さっきまであっちにいたのに”
「二人とも何やら深刻そうな面持ちじゃったではないか、大丈夫かね?」
この一連の動作で兼一は思いいたる
「もしやあなたは何かの武術の達人ですか!!?」
「ほ、達人というほどではないがの・・・生まれてこの方負けたことはないぞ!!」
“やはり、美羽さんが言ってたところはここだったんだ!!”
このとんでもない老人を見て、美羽の言った通りここでなら強くなれると確信する兼一、これから教わろうと思ってきたので失礼のないようすかさず自己紹介をする。
「あ、あの僕、いや自分は白浜 兼一と言います!風林寺さんの紹介でここに来ました。よろしくお願いします!!」
ここ何日間で美羽絡みで非常識なことには少し慣れていた兼一と違い、美羽とのつながりが薄くダメージが大きかったので今まで呆然としていた信一も挨拶をする
「あ、えと、自分は白浜 信一と言います。兼一の兄で付き添いで来ました。よろしくお願いします。」
「ほっほ、二人とも若いのに挨拶がしっかりとしとるの。」
「そうかね、美羽の紹介かね。どれついて来なされ。」
礼儀正しくしたのが功をなしたのか、好印象で受け入れてもらえたようだ
案内され廊下を歩く3人、一応の確認のため兼一は老人に話しかける
「あの、この道場で空手を教えてくれますか?」
「うむ、空手も剣術も教えとるよ」
と兼一が聞いてないことも答える老人
「え?剣術は別にいいんですが」
という兼一、当然だろう兼一は武器を使おうなんて思っていないのだからだが老人は首を横に振り
「ソナタではなく、お兄さんのほうじゃ、筋肉の着き具合からして剣を扱っているじゃろ?」
それを聞いて驚く二人、ただ腕を見ただけでそんなことがわかるなんて普通は思わない。
少し間が開いたが、早く答えないと失礼なので答える信一
「あ、いや確かに剣道をしていました。ですけど自分は入門希望ではなくただの付き添いなんで」
その答えに意外そうにする老人
「ほう、そうだったのかね、すまんの勘違いしてもうた」
勘違いだったと謝る老人、そしてまた歩きだそうとした瞬間
ズバム!ズバム!!
と何やら聞いたことのない豪快な音が聞こえてきた
何の音か、と二人そろって音のする方へ顔を向ける、そこにはサンドバッグに向かってとてつもない蹴りを繰り出す茶色の肌をした巨人がいた。
「「な、なんですかあれぇ!?」」
またもや二人そろって叫ぶ、だが老人は特に気にせず巨人を紹介する
「ん?ああ、彼はタイ人のアパチャイ・ホパチャイ君28歳、ムエタイ家じゃ」
そんな紹介をしている最中も豪快な蹴りを繰り出しているアパチャイ、彼の一挙手一投足に驚いてる二人
「アパァ!」
「うおおおおお」
「アパパ!」
「すげぇえええええ」
「アッパァ!!」
「「ひいいいいいい!」」
どうやら二人のリアクションが気に入ったのかどんどん過激になっていく、これ以上いろいろな物を破壊されてはかなわんと
「アパパパパパパ!!!」
「「ぎぃや、んぐっ」」
口を塞ぐ老人
「あまり驚かんように、彼喜んで調子に乗るんじゃよ。これアパチャイやめんか!!」
“あれ喜んでいたのか!?”
衝撃的な事実に二人は驚き困惑した、今のどこに喜ぶ要素があったのかと
「すまんのう、久々の客人に興奮しとるんじゃよ」
そう言いながら先に進む老人、その後をついていく二人、しかし途中で襖の開いている部屋があったため思わず覗いてしまう、そこのは絶世の美女と言える二人の女性がいた。
二人ともこんなきれいな人たちもいるんだと安心したが、その二人の女性の周囲を見て驚く
ポニーテールにしている袴は掃かず、上着のみのワンピースのような感じで着物を着ていて背中に刀を背負っている女性の周りには沢山の武器が並べられている
一方、長い髪を後ろでまとめて剣道着のようなものを着て腰に二本の小太刀を下げている女性の周りには複数の丸太が並べられている
何をしているんだろうと気になりじっと見ている二人、次の瞬間
女性二人が身に着けている武器に手をかけたと思ったら、並んでいたたくさんの武器はまるで紙でできていたかのように細切れになり、周りにあった丸太は何とも見事な仏様になった。
「「な、なんとぉ!?」」
ここに来てから何回目の驚きか今の一瞬の出来事にまたもや驚く二人
そしてポニーテールの女性からいきなり話かけられる
「おい、僕たちに何か用、か?」
じっと見ていたのが癪に障ったのか少し怒ったような感じで言われ謝る二人
「「ご、ごめんなさい!!」」
だがもう一人の髪をまとめている女性は手を自分の頬にあてながら双子に向かって
「あら、ごめんなさい。しぐれはあなたたちに言ったんじゃないんですよ」
と気にしないでと言った
では誰にと二人が疑問に思っていると、しぐれと呼ばれた女性が
「何か用があるなら畳の上からにし、ろ馬 剣星!!」
といきなり畳の隙間を刀で刺す、その瞬間畳が跳ね上がり中から帽子をかぶった中国服を着て、長い口髭をはやした男性が飛び出してくる
「ほっ、いやちょっと通りかかっただけねしぐれどんに、桜花どん」
と言いすたすたと出て行こうとするが
「お待ちなさい」
桜花と呼ばれた女性が片方の小太刀を首にあて、静止させる
「ただ通り過ぎただけというのにその懐の怪しげなカメラで何を撮っていたのかしら、剣星さん?」
そう言われて冷や汗をかいている男性はバッと言い訳をしながら逃げた
「パン、ん、んん・・・風景を撮っていただけね~」
明らかに違うものを撮っていた男性に向かい二人の女性は怒り
「待、て剣星」
「待ちなさい剣星さん!!」
二人して手裏剣を投げる、このまま当たれば男性はただでは済まない、だが男性は器用に避け、双子の横を通り過ぎる。当然手裏剣もひきつれて
「兼一、危ない!」
信一は自分の後ろに弟を移動させ自らを盾としたが、当たる瞬間老人の手が出てきて見事に手裏剣を取り
「あちこち覗いてると危ないぞ」
と注意をする。
双子は腰を抜かし
“ここ、何!?”
といまさらながらに疑問に思う
そして立ち上がり一直線に目的のところへ
「さておぬしの希望の空手の先生なのじゃが、実は少々気難しくての」
「は、はァ」
どうせここもまともじゃないんだろうと心の中は逃げ出したい気持ちでいっぱいになっている兼一
そんな兼一は気にせず老人は扉を開け
「おお~い、逆鬼君、相談なんじゃが」
とさっそく兼一がきた経緯を話す、だが逆鬼と呼ばれた男性は話を聞き終わるとまるで怒気をまとっているような雰囲気で
「なにぃ~弟子だァ?ばっきゃろう、俺は弟子は取らねえ主義だ」
気難しいじゃろ?と兼一を見る老人
「それに、俺なんかに弟子入りしたら」
そう言いながら、つるした畳に向かって構えを取る男性、その畳はよく見たら人の絵が描いてある
「チェストォ!!」
いきなりの発声、それとともに描かれた人の急所に向かって寸分の狂いなく抜き手を放つ、すべて手が腕が畳を貫通した
そんなことをしでかし
「三日で死ぬぜ」
とさらに脅して来た。そんな姿に兼一は当然逃げ出す。いや兼一でなくともこの状況は逃げ出すだろう。
「そっすか~、弟子は取らない主義なら仕方ないですね~、お邪魔しました!!」
「あ、おい兼一!」
と扉の方に走る兼一、そしてそれを追う信一
兼一が出ようとした瞬間、急に扉が開くその中から出てきたのは何とも逆らい難い雰囲気をまとっている男性だ、とてもダンディな顔立ちをしているがよく見ると白目がしかにように見える。
こんな場所で突然あらわれたのだ、今までの精神的ダメージも相まって兼一は叫びながら気絶してしまった
「兼一~!」
兼一に駆け寄る信一、そんな兄弟を傍目に
「おいこいつ鍛えて大丈夫か?」
「まぁ、美羽が連れてきたし大丈夫だろう」
「ほっほっほ、素直ないい子じゃないか」
と話す老人と二人の男性
そしてすぐに兼一は目を覚ました。
「おお起きたか兼一」
「兄さん、それと」
「大丈夫ですか兼一さん、すみません内の師匠達は人を驚かすのが大好きで、言い聞かせてたのですが」
「美羽さん・・・って内の?」
目を覚ました兼一に寄り添う、兄と美羽
だがそんなことはどうでもいいと言わんばかりに美羽の言った意味を理解しようとする兼一
そして美羽から衝撃的なことを聞き
「実はここ・・・・・・わたくしの家なんですの、そして兼一さんたちをここまで案内してたのが、わたくしの祖父です」
「「な、なにいいいいいいいい!」」
二人の叫び声が木霊した
ここは梁山泊!!
スポーツ化された武術になじめない者や武術を極めてしまった豪傑たちが集う場所
ケンカ百段の空手家 逆鬼 至緒!!
哲学する柔術家 岬越寺 秋雨!!
あらゆる中国拳法の達人 馬 剣星!!
裏ムエタイの死神 アパチャイ・ホパチャイ!!
武器と兵器の申し子 香坂 しぐれ!!
桜華絢爛の二刀使い 世戯 桜花!!
そしてそれらを束ねる梁山泊の長老
無敵超人 風林寺 隼人!!
ここから兼一と信一、双子の凡人の史上最強への道が開かれた!!
あとがき
すみません、梁山泊に入門させるなんて言ってまだ入門できませんでした!
バトルさせるなんて言ってバトルさせれませんでした!
はぁテンポが悪い、この調子だと完結するのはいつになることやら
話は変わり二人目のオリキャラ
名前からわかるとおりある人物の血縁者です、あ、別にヒロインではないのであしからず。
でも、ヒロインの関係者ではあります。
ご意見・ご感想お待ちしております
ではまた次回