思い付きと気分から書き始めた作品ではありますが、2件だけでもお気に入り登録してくれる方が居てくれて正直嬉しいです。これからも書くかどうかはわかりませんがよろしくお願いいたします。
クロス対象の原作よりキャラが1人出てきますが、普通にキャラ崩壊してます。最早誰だこいつという感じになってますがご了承を。
夕方の公園でのリアス・グレモリーとの遭遇を終え、彼ーーシャルル・ゼーゲブレヒトーーは自身が住まう家、見た目は普通の一般的な一軒家の前に立つと、右手を家の門の前に翳す。
すると、その翳した箇所を中心に小さな波紋が広がる。
やがて人一人が通り抜けられる程度の大きさまで広がった向こう側は、まるで別世界であった。青空の下には広大な庭が広がり、中心にはそれは美しい豪邸が建っていたのだ。
シャルルは躊躇いもなく、その穴へと跳び込んだ。
★ ★ ★ ★ ★
「ーーっとと。…何度経験しても慣れませんね、これは」
「ふふっ♪ それは仕方がありませんわ。どうにか慣れて頂かないと、としか言えませんもの」
シャルルの困り顔で呟いた一言に女性の返答が返ってきた。
「しかしクアットロ、この様な仕掛けにしなくともよいのでは? 普通に扉を開けたらこちらに繋がる構造にすれば周囲を気にすることも無いというのに……」
「う~ん…、そういうど⚪でもド⚪的な面白可笑しい造りにするのも、まあ吝かではありませんが。ウーノお姉さまに『何ですかそれは? 幾ら周囲から目立たない様にする為とはいえ、
そんなファンタジーっぽくてどうするのです。これは遊びではないのですよ。なのでこのようにーー以下略』、という風にお説教を受けてしまったのですわ」
「……何処からつっこんで良いのかは判りませんが……いえ、むしろあの仕掛けの方がファンタジーっぽい気がするのですが……」
まともだと思っていた彼女達の姉であるウーノがまさかの発案者だとは思いもよらなかった。
シャルルは米神を押さえながらそう口にする。
「まあウーノお姉さまが意外にもファンタジー系が好きだと言うことは置いておいて。
ーーお帰りなさいませ、陛下」
さきほどの人を繰った様な笑みではなく、純粋な笑顔のクワットロに。
「はい、ただいまです。クワットロ」
同じ様に笑みを浮かべて帰宅の挨拶をするシャルルであった。
★ ★ ★ ★ ★
「でもクワットロ? いつも言っていますが“陛下”呼びは止めて欲しいとあれほど……」
本邸までに続く道を歩きながらクワットロに呼び方の訂正をお願いするシャルル。
彼ーーシャルル・ゼーゲブレヒトーーは血筋と現在の立場から殆どの者達には“陛下”と呼ばれている。本人としては普通に“シャルル”と呼んで欲しいと思っている。もしくは愛称とか。
「それはいけません。貴方は現聖王家ーーいえ、ベルカを纏める大事な御方です。親しい者にも礼儀を。おいそれと気を許す様では周りに示しが付きませんわ」
いつの間にか掛けていた眼鏡を外したクワットロは厳しい視線でシャルルを見る。
「……うぅ(あう、眼鏡を外したクワットロは苦手です。どうして眼鏡を外すとあんなに印象が変わるのでしょう? まるで二重人格の様なーー)
「何か失礼な事を考えておりませんか陛下?」ーー!? い、いえ何にも考えていませんよええ考えてませんとも!」
慌てて取り繕うシャルルを見てクスッと笑みを溢すとクワットロは彼に向き合う。そして彼の手を握る。
「確かに立場から呼ぶ者も居るでしょうが、何も私達は立場だけで陛下と呼んでいるわけではないのですよ。私達姉妹とお父様を救って頂いた貴方だからこそそうお呼びしているのです。
身体を弄られ戦闘人間として改造された私達を優しく迎えてくれたお父様。そんな優しいお父様と姉妹達と過ごす日々はかつての戦闘人間としての日々を忘れさせてくれました」
「しかし一度裏の世界に存在した私達に安息の一時は無かったのです。私達姉妹の戦闘技術、お父様の頭脳を欲しがった悪魔が私達を眷属にしようとやって来たのです。勿論抵抗しました。
ですがお父様を人質にされ私達姉妹はどうすることも出来ず無理矢理連れていこうと手を伸ばす悪魔から救ってくれたのは陛下ーー貴方です」
「……クワットロ……」
「私達は貴方の恩に報いたい。だからこれはそのけじめの様なものなのです」
「その気持ちはとても嬉しいです。ですがクワットロ?」
「は、はい。ーー陛下?」
握っていた筈の手を逆に握り返され、戸惑うクワットロはシャルルの眼を見た。その瞳は何処か寂しげであった。
「私はそんな恩や義理などで距離を置かれるなんて嫌です。陛下とか、家臣とか、そんな立場じゃない……家族なんです。
……家族に距離を置かれるのは、とても寂しいです」
そこには聖王シャルル・ゼーゲブレヒトとしての威厳は無く、まるで一人取り残された寂しげな子どもの様で。
「ーーーーーーっ! 陛下!」
思わず反射的に抱きしめてしまうクワットロ。
ああ、私は…私達はこんなにも彼に寂しい思いをさせてしまっていたのか。
部下が上司に敬語を使って敬う様な関係性も、彼にとっては苦痛でしかなかった。家族に陛下と呼ばれて敬われる、なるほど確かにこれほど寂しいものはない。
聖王家という名家に生まれた事で彼は否や応なしに戦乱の渦に巻き込まれる運命にある。
【聖王】 【覇王】 【冥王】
彼ら三人の王の家系はいずれも名家。その御三家の中でも聖王家は今ではベルカという一族を纏める旗頭である。
その様な立場にいる彼を名前で呼ぶなどと祖先の記憶や血を受け継いだ彼らからしたら畏れ多いことだろう。やがて彼の血筋も彼を置いて無くなり、ただ一人の聖王家の人間となった。
彼が求めていたものは、欲していたのは地位でも名誉でもなく。
ごく自然に手に入るであろう家族だったのだ。
「陛下ーーいえ、シャルル様。すぐに家族の様に接する、というのは出来ません。ですがいつか…いつか、自然に貴方と関われる様に頑張っていこうと思います。
ーー駄目、でしょうか?」
困り顔で訪ねるクアットロの言葉にシャルルは涙を流す。
「そう…ですよね。いえ、こちらこそよろしくお願いします!」
涙を拭いながらそれでも嬉しそうに、花が咲いた様な笑顔を浮かべて彼は言ったのであった。
眼鏡を外したクワットロは結構好きです。そして最近は黒猫とFGOをやりつつガチャ運の無さに絶望する。
おい、ミコトと沖田さんを寄越せーー!!