霖之助が襲われた事はすぐに幻想郷中に伝えられ、幻想郷は更に警戒を強めていた
人間の里
「ダイ!何が食べたい?なんでも良いぞ!」
「ピィ!」
里の中で慧音とダイが歩いている
(またとない機会!これを機にダイを私の家族に……)
少々欲を出しながら慧音は微笑む
妹紅が永遠亭で居る間、ダイは慧音が預かる事になった
守りきれる強さで言うなら5人に預ければ良いのだが慧音の必死の頼みともしかすれば狙いは私達かもしれないとのパチュリーの案で遺産を持たない慧音に任されていたのだ
「ピィピピピィ!」
「何?後で妹紅の所に行こう?……あー……そうか……そうだよな……」
慧音の思惑に亀裂が入る
「妹紅は別に良いんじゃないか?」
「ピィ!!」
ダメ!っと一喝される
「ぐぬぬ……おのれ妹紅……」
思惑の砕けた音を聞いた慧音は妹紅を憎んだ
「慧音さーん!」
食事処に向かう二人に空から文が現れる
「どうかしたのか文?」
焦りが見える文に慧音は問う
「今幻想郷の各地に謎の術式が展開されています!」
「謎の術式?なんだそれは?」
「わからないから謎なんです!里の近くにはありませんけど何かあれば危ないので忠告しに来たんです!」
「そうか、わざわざすまないな、どうするつもりなんだそれは?」
「おそらくエスタークの仕業でしょうから各術式にはパチュリーさん達が向かっています」
「数はどれくらいあるんだ?」
「把握しきれていませんが9ヶ所見つけています!では私は他の場所を探すのでこれで!」
文は浮かび
「ダイも居ますので行っちゃダメですよ~」
飛んでいった
「……そういう訳だ、妹紅は諦めろダイ」
「……」
ダイは返事をしなかった、何か考えている
「……ピィ!」
「何?数が多いかもしれないなら行ってみよう?しかしだな……」
慧音は悩む
自分も行きたいのはやまやまではあるがダイを預かった身、責任があるから行きたくても行けないのだ
「ピィ!ピィピピィ!」
みんな困ってるなら行くべきだよとダイは言う
「気持ちはわかるぞ?だがな……」
まだ悩む
悩むのは妹紅からダイの力を聞いていないからだった
危険度を正確に把握していないから慧音はダイの事をそこまで大事とは思っていない
だから悩み
(……いざとなれば私が戦えば良いか)
「わかった!行こうかダイ!」
行くことに決めてしまった
洞窟内
(さて次は……)
スキマを開く
「様子を見てきなさい」
現れた悪魔の目玉達に命令を下す、下された悪魔の目玉達は幻想郷に散っていく
(こんな不確実な事には期待しませんが……上手くいけばいいですね……)
目玉から送られる映像を見ながらエスタークは訪れぬかもしれない時を待つ
術式の場所
「これね」
展開される術式に二人の妖精が立つ
「なんの術式なのかな?見た感じは危ない物には見えないけど……」
チルノと大妖精は少し離れた場所で観察する
「どうするチルノちゃん?」
「え?」
キンッ
術式は凍りついた
「何?大ちゃん?」
聞き返すチルノ、何も考えていない
「チルノちゃん離れて!」
すぐにチルノを捕まえて離れる二人
「……大丈夫みたい」
大妖精が安堵の溜め息を吐く
「どうしたの大ちゃん?いきなり危ないじゃん」
大妖精の行動が理解出来ないチルノ
「もぉ!チルノちゃんのバカ!」
「な、何よ大ちゃん……いきなり怒って……」
怒鳴られてチルノは怯む
「もし何かあったらどうするの!危ないよ!」
「危ないって……何も起きないけど……」
「起きなかっただけ!もし爆発とかしたらどうするの!」
「その時は爆発ごと凍らせるけど?」
「……もぅ!!」
あっけらかんに言い放つチルノに大妖精はこれ以上は何も言えなかった、何故なら
(それが出来るのがチルノちゃんだもんな~でももう少し考えて欲しいよ……)
チルノの力を知っているから
本人が語る様に仮に爆発したとしても瞬時に凍らせる力量がチルノにはある、だからこれ以上は言えないのだ、対処出来る力があるから
「でも……ホントになんだろうねこの術式……」
凍りついた術式を眺める二人
洞窟内
(あれが頂点の二妖精……)
映像を見るエスターク
(なんたる力……一応術式には強固な防壁を付けたのですが……それをいとも簡単に……)
(あれが頂点の内で最強……頭はよろしくない様ですが……今のを見ると近寄り難い……)
(もう一人の方は賢い……どちらにしろ既に知られた今は接触はしない方が良い、揃っていますしね、知られていなければどうにかなったかもしれないのが口惜しいですが……)
エスタークは悔しく映像を見る
二人を支配出来ていたかもしれないからだ
まだ存在を知られていない時ならば今より警戒心は少ない、外来人を装うなど色々と方法はある
今この状況で姿を現せば術式の様に有無を言わさぬ攻撃が来るかもしれないからだ
だから悔しいが二人は放置せざるを得なかった
別の術式の場所
「ん~?これって……」
そこへはフランが向かっていた、術式を眺めていたフランは気付く
「……きゅっとしてドカーン」
術式は消えた
「なにこれ?やっぱり大した事ないよ?」
首を傾げるフラン
洞窟内
(……)
エスタークの顔は苦い
(恐ろしい能力です……ありとあらゆる物を破壊する程度の能力ですか……一人ですがまともにやり合って勝てませんね)
その能力は脅威だがそれだけで頂点と呼ばれる訳がないと知るエスタークはフランも諦める
(次は……)
また別の術式の場所
「これは……」
パチュリーは術式を見て気付く
(ただの式……なんの術も使われていない式に防壁で守っているだけ……)
一見で見抜いたパチュリーは意味を考える
(本命がある?これは囮?なら他の場所?)
考えたパチュリーは術式を破壊してすぐに飛んでいった
洞窟内
(気付かれましたか、流石賢者……)
囮だと気付かれたが大して気にしない
(本命はありませんがね……全てただの式ですよ)
エスタークの仕掛けた術式は全てなんの罠も無い物だった
(一番警戒心が強いのは彼女ですか、これも無理……諦めましょう)
4人を諦めるがそれも気にしない
(さぁまだ撒き餌はあります、あと見ていないのは王女ですか……他に何か掛かれば良いですねぇ)
紅魔館
「お嬢様は行かれないのですか?」
咲夜が問う
「行かないわ、面倒だもの」
レミリアは答える
「エスタークって奴の仕業でしょうけどこれは私が動くに値しない……いえ、動かない方が良いのよ」
「どうしてですか?」
「回りくど過ぎるのよ、エスタークはスキマを持ってるんでしょ?ならもっと直接的な事をすれば良い、それが出来ないのはエスタークが臆病だからよ、妹紅に殺されかけたんだからね、だからこんなお遊びみたいな方法で様子を見てるのよ、こんな茶番には流石に付き合えないわ」
紅茶を飲むレミリア
「エスタークの目的はわからないけど少なくともムンドゥスの様に滅ぼそうとはしていないみたい、紫や神奈子を捕らえたのならエスタークの目的は幻想郷の支配なのかもしれないわね」
「なら尚更動くべきではないのでしょうか?」
「なら聞くけどエスタークの居場所は?エスタークは異世界の者、世界を渡れない私達がどう行くの?仮に今幻想郷にエスタークが居たとしてもどこに居るかわからない、なら闇雲に動くよりはここで皆の報告を受けて動く方が賢いと思わない?」
「ですが……」
「心配性ね咲夜、パチェはそれを理解して行ってるわ、私達は何かあった時にすぐに動けば良いのよ」
「わかりました」
納得した咲夜は飲み干されたティーカップを片付けながら思い出す
(妹紅は大丈夫として……ダイは今慧音と一緒……大丈夫かしら?)
少しの不安を覚えたが気にするのを止めて部屋を後にした
洞窟内
(王女は来ませんか、まぁ良いでしょう)
レミリアを見るのを諦める
(これでほぼ術式は壊された、伊吹萃香や魂魄妖夢、頂点達には数ヶ所……)
(大した収穫はなさそうですね)
エスタークはこれに意味を持たせていなかった
ただの様子見、遺産を持つ者が現れて隙があれば捕らえようとしたのだ
だがそれは最良でありほとんどは動くであろう頂点や他の者を見たかった
何か有利になるものを見つけたくて
だが失敗だった
何も得られなかった、得たと言うなら強さの再認識くらい
(戻りますか、これ以上は何も有りそうにない)
戻ろうと悪魔の目玉を呼び戻そうとする
「……ん?」
映像に人影が現れた
(頂点達では無い……誰ですか?)
呼び戻すのをやめたエスタークは映像を見始めた
最後の術式の場所
「これか」
「ピィ!」
慧音とダイだった
「ふむ……特に危ない術ではなさそうだが……」
「ピィピィ!」
気を付けて!とダイ
「わかってるよダイ」
慧音は注意深く観察する
洞窟内
「……凡庸な妖怪ですか」
呟くエスターク
エスタークは慧音を知らない、強い者しか興味がなかったから慧音の事は数多いる妖怪の一人にしか思っていない
(どうでもいいですね)
映像から目を背け悪魔の目玉を呼び戻そうとした手を伸ばす
「……」
手は止まった
(……どこかで……)
見覚えがあった
映像を確認する
「……やはりあの時に居たスライム……」
覚えがあったのはダイ
以前妹紅と対峙した際に見た魔物
(スライムが幻想郷に居るとは……しかしあのスライムは?見たことが無い種類……)
映るダイを興味深く見つめる
(……何かを感じます、奴隷に似たものを……)
映像越しにも感じる何か
「……」
ブゥン……
スキマが開かれた
「下がってろダイ!」
慧音は力を高める
「光符「アマテラス」!!」
弾幕が放たれ術式に炸裂する
ドーン!
炸裂した弾幕が爆発を起こし術式は砕け散った
「どうだダイ!」
「ピィィ!」
凄い!と言うダイに
「そうだろうそうだろう!」
気を良くした慧音
「よし!残りの場所に行こう!」
「ピィ!」
飛び立たんとする刹那
「その必要はありません、今ので術式は全てなくなりました」
スキマからエスタークが現れた
「何だお前は……!?」
慧音は気付く
(今スキマを使った!?)
現れた男がスキマを使っていた事を
「……お前がエスタークか」
「そうです、あー……どちら様ですか?」
「……上白沢慧音だ!!」
「そうですか、では上白沢慧音、見逃すので貴方は消えなさい」
「なんだと?」
「用があるのはそこのスライムです、貴方に用はありません」
「ダイに……?」
横目でダイを見る
ダイもエスタークを睨んでいる
「……お断りだ!ダイには指一本触れさせん!」
「ふむ……」
拒否にエスタークは指を突き出す
「後悔なさらぬ様に……」
指に魔力が集まっていく
「メラゾーマ」
巨大な火球が放たれ慧音に向かう
「くっ!?」
ダイを抱き抱えて避ける慧音だが
「あうっ!?」
火球が触れ肌を焼いた
「イオ」
爆発球が放たれ、避ける慧音は爆風で地面を擦る
「…… 野符「GHQクライシス」!!」
反撃に弾幕を放つが
ブゥン
「どこをお狙いですか?」
ザンッ
「うあっ!?」
スキマで避けられ切りつけられる
「くっ……うぅ……」
距離を取る慧音
(勝てない……)
敵わない相手だと知った
修行をしていない慧音は並の妖怪よりは強いが今の幻想郷からすれば普通だった
だから勝てない
「ピィ!?ピィー!!」
傷付く慧音にダイが叫ぶ
「……大丈夫だダイ」
ダイにそう言うと
「……逃げるぞ」
直ぐ様背を向け逃げ出した
「ほう……」
その樣にエスタークは感心する
(敵わぬと知るや逃走、賢いですね)
エスタークは動かない
「逃げれるでしょうね……私が相手でなければ……」
ブゥン
スキマがあるから……
太陽の畑
「!?」
彼女は呼ばれた
(誰?私を呼んでいる?)
破壊した術式の前で彼女は考える
(……この近くなのね)
傘を畳んだ彼女は飛んでいく
バシッ!
「うぐっ!?」
慧音の呻く声が響く
「それを放しなさい」
ドスッ
「うっ!?……断る!」
「強情な方だ……」
呆れる程強情な慧音にエスタークの表情が緩む
「見物ですねぇ」
ドゴッ!
バシッ!
「う……ぐぅぅ……」
ドスッ!
ゴスッ!
「あ……ぅ……」
ドスッ……
ドスッ……
「ピィィィィ!!」
慧音に庇われるダイは叫ぶ
「だ……」
いたぶられる慧音が小さく語りかけた
「大丈夫だ……ダイ……守ってやる……からな……」
「ピィィ!?」
その言葉にダイはやめてと叫ぶ
ガシッ
「よく頑張りました」
髪を掴み持ち上げたエスターク
その顔は嬉しそうに笑っていた
「もう少し楽しみたいですが生憎と余裕がありませんのでここらでやめときましょう」
ゴッ!!
顔を叩きつけた
「……ぁ……ぅ……ま……も……」
「……ふっ」
軽く蹴ると慧音は転がり倒れた
「ピィ!?ピィ!?」
慌てて駆け寄るダイ
「ピィ!!?」
慧音に触れる事はなかった
「……」
捕まえたダイを凝視する
(……今は何も感じない、気のせいでしたか?ただのスライムの変種?)
そう考えながらもまだ探る
(いや!このスライム……生きながら死んでいる!意思はあれど命が無い!どうやって生きて……)
その観察眼がダイの異常性を知らせた
(興味深い……面白い物が手に入りました)
エスタークはダイを連れ帰る事に決める
「ま……て……」
掠れる声が聞こえた
「……ハハハ、まだ頑張るのですか」
慧音の声が愉悦を呼び、エスタークはまた慧音に寄る
ガッ!
「待ってあげますよ、それで?」
ドスッ!
「がふっ!?ごほっ!?」
ドズッ!
「ハハハ……」
笑いながらいたぶり続ける
度重なる攻撃に慧音の体の力が消えていく
命が消えるのは目前だった
「ピィィィィ!!」
その時ダイが強く叫んだ
出された声に不思議な力を込めて
「!?」
掴むエスタークが目を見開いた
(この力は神の!?)
「……こうまで醜いものだとはね……強者が弱者をいたぶる光景というものは……他人がしているのを見て初めて判る……」
エスタークを不機嫌な声が刺した
「風見幽香!?」
現れた者は幽香
声に呼ばれた彼女は導かれる様にやって来たのだ
「……その子が呼んだのね」
幽香が呟いた瞬間
バチィ!
高速で放たれた弾がダイを掴む腕を撃った
「ッウ!?」
ダイを放したエスタークは腕を押さえながら下がる
「お前……生きてたのね……」
ゆっくりと慧音とダイに近付く
「風見……か……」
慧音の言葉に幽香は微笑む
「別に貴方を助けた訳じゃないわ、呼ばれたから来てみたら前に殺したと思った盗人が楽しそうなのが気に食わないだけ……」
そう告げるとエスタークへ向いた
「なるほどね、お前がエスタークだったのね……地獄の帝王らしいじゃない?」
「……そうです」
「ただのイジメっ子が随分とまぁ大層な名を……」
「……」
「かかってくる?来ないわよねぇ?だってイジメられるものねぇ……」
妖しく笑う幽香はエスタークに歩く
「私に……ね?」
ゴウッ!!
妖力が高まりエスタークを威圧する
「ッ!?……チィ!!」
敵わない力を見せられてエスタークは更に距離を取り
ブゥン……
スキマを開く
「やっぱりね……臆病者にはそれがお似合い」
「……風見幽香」
閉じる寸前のエスタークが口を開いた
「いずれ……必ず後悔させてあげます……」
「0点、ありきたり過ぎて話にならないわね、口説き方を勉強してからまた来なさい坊や」
嫌味たらしく笑顔で手を振る幽香を前にギリッと唇を噛むエスタークはスキマを閉じ
消えた
「中々賢いじゃない……」
消えたエスタークの居た場所を見ながら幽香
挑発に乗らない冷静さに感心したのだ
もしあそこで怒りのままに突撃して来たなら今度は間違いなく引導を渡せていたから
怒りを抑えて撤退を選んだエスタークに幽香は感心したのだ
「助かった……風見幽香……」
いまだ立てない慧音が礼を述べた
「だから助けた訳じゃ……まぁ良いわ」
訂正出来ないと感じた幽香は気配を感じて空を見上げた
「大丈夫!?」
空から紅魔館の4人が現れる
「呼びましたか!」
遅れて妖夢と
「なんだい宴の後かい」
霧になっている萃香
「あやや!?慧音さん!?」
「何があったの?」
文とにとり
8人が現れた
「……」
慧音とダイを囲む8人を幽香は無言で眺める
(皆呼ばれたみたいね……あの子を気に入っている8人はわかるけど……私は違う、前に妹紅が連れてきたのを見ただけ、軽い挨拶程度しかしていないのに何故私にも……?)
精々が顔見知り程度、呼ばれる理由が無い
しかしダイを見る内にふとした事に気付いた
(あの子……花と同じ匂いがする……だから聞こえたのかしら?)
贈られた花と同じ匂い、つまりそれは
(絆が私を……バーンと繋がる私を呼んだのかしら……)
根拠は無い
だが説明も出来ない、だからそう思った、そう思わせた
安堵するダイを見て
そうであれば良いな……と感じたから
「礼を言うわ幽香、二人を助けてくれて」
「……気にしなくていいわ、結果的にそうなっただけよ、助けに来た訳じゃないわ」
慧音の応急処置を終えたパチュリーの礼に無表情で返す
「ふふっ……そう」
「何よ……」
不機嫌に睨む幽香にチルノが叫んだ
「あたい知ってる!こういうのツンデレって言うんでしょ!」
「そうだよチルノちゃん!でも中々デレないね!……あっ!?」
「ツンの比率多過ぎだよ~」
得意気に語るチルノにしまったと口を抑える大妖精と微笑むフラン
「……黙りなさい……チルノ」
「あたいだけ!?」
チルノだけへの口撃
「話しかけないで……バカがうつるから」
「病原菌!?あたい病原菌なの!?」
「あら自覚無かったの?1つ賢くなってよかったわね、だからもう話かけちゃダメよ?」
「……なんか腹立ってきた」
無論……いや多分冗談だとわかるがあまりにも辛い言葉にチルノの怒気が膨れていく
「あらやる気?いつまで経っても成長しないわねぇ」
「あたいの怒りが有頂てーん!ぶっ飛ばーす!!」
臨戦態勢になる二人
「コラコラ暴れないの」
「ダメだよチルノちゃん!」
お母さんと娘が止める
「あやや……困りましたねぇにとり?」
その光景に困惑する文
「……じゃ私は行くよ」
にとりはロビンに乗って歩き始めた
「どこへですか?」
「私の研究室……今回のでやっぱり必要だと知ったからね」
「何がですか?」
「まぁ作るのは難しいんだけど……やってみるよ」
首を傾げる文を前ににとりは告げた
「異世界へ渡る為の……ってヤツさ」
それだけ言うと消えていった
「やれやれ……」
離れた場所で少女は安堵した
(風見幽香が間に合って良かった……呼ばれたから来てみたら上白沢が殺されかけてるんだからなぁ……風見幽香が間に合わなかったら私が止めなきゃなんない状況だったし)
仲の良い光景を眺めながら物思いに耽る
(出来れば知られたくなかったからね、それにしてもあれがエスタークか……やっぱり気に食わないね……)
少女は離れた場所でエスタークを見ていた
(まぁ大体わかったからやるとしたら次だけど……あの怒り様を見ると……案外すぐじゃないか?間髪入れずに次の手を出すんじゃないかな?怒りに冷静さを失って)
少女はエスタークの次を予想した
(怒る気持ちはわかるよ……私も昔はそうだったからね)
少女はエスタークに同種のものを感じていたから
(昔なら喜んで手を貸しただろうなぁ……でも今は……)
だが今はそれは有り得ない
(今は……今のこの幻想郷が好きだよ……嘘じゃない、本当に……)
太陽に語る
(あんたもそうだろ?)
一瞬、太陽が強く輝いた様に見えた
(ハハ……愚問だったね、まぁ任せてよ、返しきれない恩……忘れてないよ?だから少しでも返すよ……)
(バーン……)
少女はバーンを知っている
少女はバーンに返しきれない恩を感じている
少女はバーンの仲間だった……
神殿
ガシャ……!
「おのれ……風見幽香……」
出されたワインを握り潰す
「気をお静めくださいエスターク様」
執事が抑えるも
「黙っていなさいウォルター……」
エスタークの怒りは収まらない
普段ならここまで怒りを残さない彼がここまで怒るのには理由があった
(後少しで……神の力を得られたのに!!)
それはダイの事
(あれは奇蹟を起こす神々の力……あれがあれば秘法が完成したものを……!)
ダイの力に神の力を感じたからだ、その力が秘法に必要な黄金の腕輪の代わりになると感じたのだ
そして邪魔さえされなければ手に入れていた事が腹立たしかったのだ
(今行っても頂点達が守る……くっ……あの時が唯一の……!!)
ダイを手に入れようとした事は知られている筈、今までより更に守りは堅固になる筈だ、それを考えればダイが慧音と二人だけだった先程が最大にして唯一のチャンスだったのだ
(遺産より先にあのスライムが先……しかし……)
最優先の事が出来た、だが非常に困難な事だと知っている、ダイを守るのが頂点達だから
(どうすれば……)
悩むエスタークだが
(……混乱に乗じますか)
策はすぐに決まった
(甦らせた妖怪達を幻想郷に放ち、混乱に乗じてあのスライムを手に入れましょう……)
(ならば動くなら早い方が良い……体勢が出来上がる前に……)
エスタークは準備を始めた
(八雲紫が持てば良いですが……)
暗い意思を宿して……
なんかどんどんフラグ的な物が増えていってます、自信無くなってきた……
これで帝王の目的は3つに絞られました、秘法の完成と幻想郷の支配、そして因果に出会う事。
帝王がお遊びみたいな事してるのは高過ぎる幻想郷のレベルにどうして良いかわからないって部分があります、だから敵わない配下に頼らず自分であれこれ試している感じですね。
ゆうかりんは……あえて何も言いません、これが書きたかっただけだろ!と言われるレベルなのでww
あと何気にスペル初使用は慧音先生になりましたね、ほ、他のみんなもちゃんとスペル持ってますし使いますよ?
次回も頑張ります!