「邪魔……」
式の周りに居る魔物を一掃するパチュリー
「……あら」
一掃出来たと思ったら数体の魔物が生き残っていた
「成程、雑魚ばかりと思ったら強いのも居たのね、式の護衛者って所かしら」
生き残る魔物は強い魔物だった
それはパチュリーの推測通り式の護衛者らしく式から一定の距離から離れない
「キシャアアア!!」
叫び威圧している
「……これぐらいかしらね」
手をかざし呪文を唱える
「ベキラ……マ?」
疑問気に撃たれた閃熱の呪文
「ギュア!?」
魔物は消え去った
「……強過ぎたわね」
明らかな過剰威力に調整の失敗を感じたパチュリーだがまぁ良いかと式を見始める
「……?これ……」
すぐに気付く
(何も仕掛けられて……また?)
式には何も無かった
式の中には何もなく式らしい形をしている式擬きだった
「……」
式を睨みながら意図を考える
以前も式による攻撃はあった、しかし結果は何も無かった
だから今回もそうなのではと思ったがそれがエスタークの狙いなのかもとも思った
本命が他にあり以前と一緒と感じて放っておいたら起動する様な……
(エスタークなら有り得る……それに護衛……出来るだけ時間を掛けさせたいとも見える)
数秒の沈黙の後
「……!!」
バチッ!
式を破壊する
「……」
そして向かって行く、次なる式へ
(私を引き付ける為……?)
パチュリーは意図を推測していた
これは時間稼ぎ、自分を何かから離したいからまた何も無い式を何ヵ所も設置したのだと
(まさか紅魔館から?)
そう考えたなら紅魔館へ戻れば良い
だがそれは出来なかった
理由は設置者がエスタークだったから
先にも考えた通り今回は何も無いと思わせて有るかもしれない
それが頭に過ったから行かざるを得ないのだ
エスタークならするかもしれないと考えた時点でパチュリーの行動は決められてしまっていた
(急がないとね)
不安を感じながらも行くしか無いパチュリーは急ぎ飛んで行った
博麗神社
ガガアッ!
ぶつかる
「んん~!!」
「ぬぅぅ!!」
腕と手刀が
「それっ!」
弾き合い、離れ様に弾幕を放つフラン
「……」
迫る弾幕に手刀を突き出すミスト
「ビュートデストリンガー」
伸びた指が弾幕を突き破りフランへ迫る
「……!」
紙一重で避け距離を離すフランに指は追い迫る
「なんの!」
それも避け続ける
目が指だけを見た一瞬
「そこだ!」
もう片方の手からもビュートデストリンガーが放たれた
「!?」
気付いた時には高速で迫る指は目の前
避ける事は出来なかった
ガァァッ……
「焦ったぁ……」
だが防いだ、指を掴み直撃を防いだのだ
「捕まえたよ!」
得意に語るフラン
「……だと良いがな」
ミストが返した瞬間
ドスッ……
指がフランの体を刺した
「イッ……たぁ……」
痛みに片目を閉じるフラン
指は腹を突いていた、突き破ってはいないが指の第一間接程まで刺さっていた
「エスターク様より頂いた力を見くびるな」
ミストの力は以前より遥かに高くなっている
その力を使い止められた指を押し込んだのだ
「うあっ!?」
徐々に指が進み、抉ってくる
「拍子抜けだ、これで頂点とは……エスターク様に捧げる価値も無い」
「あぅ!?」
「一番警戒しろと言われた王の妹……能力を使う気迫も無しか」
「うぎぃ!?」
ミストはフランを決めつけた
弱いと
痛みに己の持つ凶悪な力すら使えない弱者だと
「フランドールさん!!」
靈夢が危機に叫び助けに行こうと構える
「靈夢!」
裾を引かれ止められる
止めたルーミアを靈夢が見るとルーミアは首を振った
「大丈夫なのだー!」
心配は無いと言った
ルーミアは知っているから
知らないのはこの場で靈夢とミストのみ
「死ね!弱き吸血鬼……」
貫く為に力を込めた
「……うりゃあ!」
ベキィ!
指を引き抜き、へし折った
「むっ……」
指を戻したミストは警戒し様子を窺う
「危なかったぁ……」
フゥと息を吐いたフラン、あまり焦った様には見えない
「うーん……キツいなぁ、て言うか勝てないね」
次に敗北宣言
「えっ!?フランドールさん!?」
突然の宣言に目を白黒させる靈夢
フランが負けたならこの場で勝てる者が居ないから
「ちょ、ちょっと!ルーミア?」
傍らのルーミアへ目で語る、大丈夫じゃないみたいだけど?と
「んー?」
無垢な瞳が向けられる
(わ、わかってない!?大丈夫って適当!?え?えっ?)
混乱しながらルーミアの返答を諦めた靈夢は不安気にフランを見上げる
「解せんなフランドール・スカーレット」
焦り無いフランの様子にミストが問う
「勝てぬと理解しつつその余裕、解せん……」
「えー?だってあたし……」
困った様にフランは答えた
「1/4だし……」
「……何?」
答えにミストが意味を考え、靈夢も頭に?が浮かんでいる
「だからあたしは1/4なの!分裂したあたしだからそんなに力が無いの!」
わかってないミストに再度答えた
「……成程、これで合点がいく、つまりお前は本体の分身、本来の1/4の力のフランドール・スカーレットと言う訳か」
「そういう事!」
無邪気に笑う
ミストは知らなかった、フランが分裂体を使える事を
と言っても知らなくて無理はない、本にはフランが分裂出来るなどそんな細かい事は書いてなかったしフラン自身も多用しない
だから目の前のフランが本人だと思っていたのだ
「分裂体って……」
靈夢も意味を知り唖然としていた
(改めて頂点……って言うより幻想郷よね……)
強さは勿論の事だがそんな特殊な事が出来る者が平気で居る事が異常であり平常なんだと再認識していた
「本体のあたしじゃないから能力も使えないし力もあんまり強くないから勝つのは無理そうだね」
「……本体なら勝てると言いたげだな」
「?そうだよ?」
「本気……の様だな」
ミストは怒りに震える
自身の事を隠さず語り、進化した自分の強さを知った上でそれでもあっけらかんに勝てると言い放つフランに腹が立った
「今が私の全力ではない……のにか?」
だから告げた、本気ではないと
「ん~?」
それにフランは不思議に首を傾げて返した
「勝てるよ?」
それは挑発だとか虚勢ではない
全てを加味した上で上回ると思ったから言ったのだ
「フラン……ドール……!!」
その言葉にミストの怒りが頂点へ達しようとしていた
「あ、来た!」
その前にフランが気付き
「……!?」
ミストが攻撃を受けた
「……」
振り向き攻撃者を確認する
「フランドール様ぁ!」
「妹様~!」
攻撃したのはレミリアが向かわせたゴブリンと妖精
「靈夢!ルーミア!来て!」
続いてフランが二人を呼ぶ
「えっ?な、なんですか?」
「わかったのだー!」
訳もわからず向かう靈夢とわかったルーミアがフランに並ぶ
「貴様等……」
意図を理解したミストがフランを睨み付ける
「今のあたしじゃ勝てないけどこれならどうかな~?」
楽しそうに笑って見せた
「……あ、そういう事……」
靈夢もようやく理解し戦う意思を見せる
分裂体で勝てないなら力を合わせて倒す
フランの狙いはそれだった
「エスタークもやってるんだし文句無いよね?」
フランは一人で戦う事を止め助けを求めた
幻想郷を優先する気持ちが吸血鬼の誇りを上回っていたから
「……」
佇むミスト、いつの間にか怒気は薄れていた
(エスターク様……そうだ、私は特命を受けていたのだった……)
与えられた命を思い出し、怒りを静めたミストはフランから目を逸らしその者を見る
(妖魔夜行……常闇の……)
聞かされた異名、そして
(皇……)
可能性
(帝王様の御言葉は全てに優先される……)
それを遂行する為に己を殺した……
紅魔館
「……!」
キキンッ!
「……!!」
キキキキンッ!
「~~~ッ!!」
キキキキキキキキキ……
「幻符「殺人ドール」!!」
ギャキキキキキキキ!!
「……」
キキキキキキ……キンッ……!!
「ハァ……忌々しいわね……ハァ……これだけやって無傷なんて……どんな体してるのよ」
咲夜の攻撃は終わり大量のナイフの海に立つ者を睨み付ける
「攻撃量は目を見張るものがあった、だがそれでは勝てん、ただのナイフごときではこのオリハルコンの体に傷すら付けられはしない」
その者の体は金属で出来ていた
それもただの金属ではなく伝説の金属、オリハルコン
この者は神殿にあったオリハルコンにフレイザードを作った禁呪法を使い創られた魔導生命体
名をグランエスターク
剣と盾を持つ騎士の姿をした蒼白の体躯
出来が気に入ったエスタークに自らの名を与えられた帝王のたった一人の親衛隊長
「……ここだ」
グランエスタークが自らの胸を指差す
「ここに核がある、これを破壊すれば私は死ぬ……ナイフと弾幕で貫ければの話だが」
弱点を晒す余裕
禁呪法は使用者の精神が表れるのだがグランエスタークには主に似合わず騎士道精神があった
狂う前の精神が表れたのかもしれない
「……どうかしらね」
再びナイフを構える咲夜
「懲りん奴だ」
呆れながら攻撃を開始するグランエスターク
「……」
効かぬナイフで応戦しながら咲夜は思い出していた
(あの時もナイフが効かなくて唖然としたっけね……)
初めて会った時を思い出す
(状況は同じ、でもあの時とは……違う!)
かつてを思いながら咲夜は機を窺う
命蓮寺
「飽きませんかお二人共?」
今だ言い合う二人に剣士は堪らず聞いた、終わりそうにない口喧嘩に飽きたからだ
放っておいたら良いのにしなかったのは退屈なのが全てを占める
「……何あんた?」
「見たらわかるでしょうに……敵よおバカさん」
不機嫌なチルノに煽る幽香
「もー怒った!」
いきなり宣言するチルノ、既に怒っていたのだが
「勝負よ!あいつを先に倒した方が勝ち!負けたら土下座!」
「じゃあ早く土下座なさい」
「まだやってない!」
「やらなくてもわかってるから言ったのよ?さぁ早く土下座しなさい」
煽る幽香に元々煽り耐性の無いチルノは顔を真っ赤にして怒り狂う
(おや……?私が驚く程蚊帳の外に居る気がします)
勝手に進む話に剣士が感じた直後
「あたいに勝てるなら……」
辺りを強烈な冷気が広がる
「やってみろー!!」
怒声と共に氷弾幕と更に冷たい冷気が襲い剣士は飛び下がる
「おっと……!!」
ギィン!
「やるじゃない」
そこへ殴り掛かった幽香の傘を剣で受ける
「「!!」」
次の瞬間二人は弾ける様に離れると
開いた空間を冷気が駆け抜けた
「邪魔してまで勝ちたいの?」
「あんたが邪魔してんでしょ!」
喧嘩しながらの攻撃は剣士には当たらない
「くっ!?」
だが剣士の顔色は優れない
(この攻撃の強さ!最強の頂点は当然としても風見幽香も侮れない!)
攻撃を避けるので力一杯だったからだ
邪魔し合う攻撃は避けるのはさほど難しくはないが問題は強さ
触れればただでは済まない威力が回避を強く意識させる
理由はそれだけではない
(多対一は得意とする領域ではありませんし……)
剣士は複数を相手にする事が得意ではなかった、本来は一対一を好み、それが自身の最も力の発揮出来る領域だと理解していたからだ
(幸い仲間割れに似た状況とこの寺が最強を抑えている、癪ですがこのまま徹しましょう)
幽香の近接攻撃がチルノの力を阻害していた
チルノはその気になれば辺り一帯を瞬時に凍らせる事が可能
使えば早急にケリが着くが代わりに幽香や命蓮寺を巻き込む
幽香は耐えれるだろうが命蓮寺が耐えれない、寺ごと皆氷付けは目に見えている、それに幽香は耐えれると言ったが無傷は有り得ない
幼く、尚且つ怒っているチルノでもそこは理解しているから力を抑えている
剣士はそこに目をつけたのだ
(それに……)
剣士は二人に興味は無かったから
(私の相手は決めていますしね)
戦いたい者が居るから
例えその者が目の前の二人より弱かろうと問題ではない
戦いを望む理由があるから
(それまでは死ねません)
剣士は耐える戦いに臨む
妖怪の山
「行けー!」
3体の魔物がロビンを襲う
「……ロビン」
にとりの命にロビンは3体をサーベルで薙ぐ
「……そういえば」
立ち上がりまたロビンに向かう魔物を見たにとりは思い出した
(見た事あるこの魔物達、確かデュランとジャミラスにアクバー……魔王の系譜……)
カメハの従える魔物達
それはかつてある異世界で魔王と呼ばれた者達
夢魔の王に従った者達
(にしても……)
ロビン優勢の状況を見ながらにとりは違和感を覚える
(強いのは強いけど……魔王の異名を持つにしては弱過ぎる、いや、本物じゃないな……限りなく近い偽者……あの邪気が関係してそうだ)
そう推測したと同時
ガンッ!
にとりの元にロビンが吹き飛んでくる
「ラッキーパンチくらいでダウンしないよなロビン?」
声を掛けるとロビンはすぐに立ち上がる
(今のはまぐれ、自由勝手に動く3体の動きが偶然重なって奇跡的に連携になっただけ……まともにモンスターを操れないのかよあのクソガキ)
呆れながら居るにとりにロビンが小さく音を鳴らした
(……妖怪の山の魔物は殲滅完了、魂魄妖夢離脱……流石!)
微笑むにとり、そこに気を良くしたカメハが叫んだ
「どうだ河童!邪配合の強さ思い知ったか!!」
さっきの一撃が自らの力と勘違いしたカメハは得意気に鼻を鳴らしている
(邪配合……?どこかで……)
聞き覚えのある単語に記憶を辿ろうとするが
「そんなおかしなキラーマシンじゃ俺には勝てないぞ!」
挑発に思考は止まった
「……クソガキが」
我慢ならない事を言われたから
「邪配合だかなんだか知らないけど私が勝てないとは大きく出たね……いや、それよりもだ
……」
勝ち負けはどうでもいい、いや、勝つ方が良いに決まっているが今はもっと我慢ならない事がある
「私が育てたロビンが……おかしい?」
馬鹿にされたから
「バーンがくれたロビンがそんなにおかしい?」
一番大事な物を
「変なキラーマシンじゃ勝てない……か……」
余裕を消されるには充分過ぎた、カメハを睨み
「ロビン……」
命令を下す
「ちょっとだけ本気出してやれ」
命令を受けたロビンの目が強く発光する
「あのマスターに教えてやれ!お前のそれは勘違いだってね!」
ロビンの逆襲が始まる
紅魔館・門前
「フッ!」
「ヌン!」
拳が重なる
「ハアアッ!」
連撃が豪鬼を襲う
「……」
全てを紙一重で避ける
「ヌゥン!」
蹴り上げが美鈴の顔へ
チッ
頬をほんの僅か擦り懐へ潜り込む
(好機!)
当たると確信出来る肘打ちを繰り出す
スゥー……
「!?」
そこに居るべき男、当たるべき体がなかった
「……」
美鈴が目を向けると少し離れた場所で自分を見つめる豪鬼の姿
「やりますね、必中の間合いから外されたのは初めてです」
「うぬこそやりおる、咄嗟に阿修羅を使わされたのはあの日以来よ」
これは皮肉ではない
(今の歩術……なんて滑らかな……足捌きが見えなかった、まるで地を滑走する様に……)
(あの体躯、細腕で我と渡り合えるとは……見た目では判断出来ぬ者、これが妖怪……)
互いに認め合っているのだ、強さを
(強い武道家に会えたのは嬉しい、でも今は一刻も早くお嬢様の元へ行かなければならないのに……この男に隙は無いし何より得体が知れない……本気を出していないのが尚の事不気味……)
だが美鈴には目前の男との戦いより優先すべき事がある
しかし実力を隠す豪鬼に止められ焦っていた
「底を見せぬ立ち振舞い、気に入った……紅美鈴!」
闘気で美鈴を威圧しながら豪鬼は嬉しそうに言った
「死合うに足る……真の力を見せてみよ!」
己が戦うべき相手と見定めた豪鬼に美鈴は完全に捕まってしまった
迷いの竹林
「……」
燃え盛る竹林を歩く萃香
ゴオッ!
突如炎が襲う
「……やれやれ」
呆れながら手で炎を払う
「いつまで逃げる気だい?」
姿を現すフレイザードへ問い掛ける
フレイザードはあの後萃香や大妖精と対峙せず逃げ回っていた
竹林の中を逃げては陰から攻撃し、追われたら逃げる
それを繰り返す内に竹林は激しく燃え上がっていた
「逃げてるんじゃねぇ!鬼ごっこさ!ヒャーハハハ!!」
また逃げるフレイザード
それを見ながら萃香は酒を一口飲む
「鬼ごっこぉ?私が鬼ってかい?舐めてんのかいあの半分……」
追おうと動き出す萃香、だがすぐ足は止まった
「あ……私は鬼か」
気付いたから、自分の種族と遊びを掛けていたのを
「あっはっは……なんだい舐められてたのかい」
笑顔で酒をがぶ飲みする
「なら話は別さね……本気で取っ捕まえてやるよ」
目付きが変わる、獲物を追う目に
「永遠亭は大妖精が守ってるから心配無いとして……あぁ、可哀想にも巻き込まれる家が1つあったね」
どうしようか一瞬迷ったが
「まぁいいか、私にゃどうでもいい……住所不定の竹林ホームレスの事考えてたら頭が痛くなる」
スゥー……
体が霧になっていく
「家が無くなっちまったら私と仲良くしようってね……」
完全に霧になった萃香
「さぁ……悪い子はいないかね?」
霧散し消えていった
魔法の森
「もう逃がさないよ!」
フランの本体はバルバトスと対峙していた
「チィ……」
バルバトスは表情苦く斧を構えている
(追い付かれるとはな……あのマントを着けた鴉には劣るがその分を力で補っている)
よく見ると二人の周囲には木々が散乱していた
フランは森の中を巧みに逃げるバルバトスに力業で追い付いた
遮る木々を薙ぎ倒しながら
早さではマントを着けた文に1歩劣るものの鍛えた吸血鬼の体を駆使すれば障害物の有る場所では同等以上の事が出来る
「ん~……ねぇお兄さん?」
少し困ったフランは
「反則使っても良い?」
聞いてみた
「……」
バルバトスは答えない、何をしたいかはおおよそ想像出来たから
「なんか博麗神社の方が危ないみたいだし他も気になるからすぐ終わらせたいの」
詳細を語るフラン
分裂体の事は自分の作り出した者だからある程度わかる、ダメージ等簡単な事だが、その分裂体がダメージを負った事を感覚で知ったから危機だと感じ、また他も気になるから使用を決める
「……俺が嫌と言ったら止めるのか?」
「えへっ!止めない!」
笑顔で返すフラン
もう使用は決めているのだ、嫌と言われて止めるなら最初から聞かない
要は死ぬから覚悟してね、と言う前振り
「……」
バルバトスも無論知っている、使われたら死ぬと
その能力故にある意味最強より強いフランの事は事前に強く聞かされていた
まともにやり合うなと
だから逃げたのだが
「……良いぜ!試してみろよ!」
追い詰められたバルバトスは笑った
「何でも破壊する能力とやらをよぉ!!」
やってみろと猛り、叫んだ
フランの恐るべき能力を使えと
「俺は……死なんぞ?」
加えて挑発する
何故かバルバトスには余裕があった
(理屈では可能な筈だ……)
それは自分だけ持っていた秘策があったから
「じゃあ……いくよ!」
応えたフランは目を作りだす
「るあああああっ!!」
同時にバルバトスが突撃してくる、一応邪魔はさせてもらうと言う様に
「……きゅっとして」
迫るバルバトスにフランは一切の怯みも無かった
神経を能力に集中し……
「……ドカーン!」
目を握り潰した
「ハグオッ!?」
その瞬間バルバトスの動きが鈍り
「……」
フランを目前にして倒れた
「おしまい!」
始末したのを確認し背を向ける
「よーし次だ!」
博麗神社へ向かおうと羽を動かそうとしたその時
ザンッ
フランの背を斧が切り裂いた
「!?……痛ったぁ……」
よろめいたフランが振り向こうと体を動かすに合わせ
「遅い!」
バルバトスが頭を掴み持ち上げた
「貴様の死に場所は……」
地に叩きつけ踏みつける
強い踏みつけは大地を隆起させフランを跳ね上げる
「ここだぁぁぁぁぁ!!」
空に浮いたフラン目掛け突き出した斧からエネルギーが撃ち出され避ける間もなくフランを飲み込んだ
ドサッ
落ち、倒れるフラン
「……るあぁッ!!」
飛び掛かり斧を振り落とす
しかし斧はまた地を割るだけだった
「イタタタ……」
飛び退いたフランが腕を押さえている
「結構……効いたよお兄さん!」
体の至る所に傷を付けたフランは微笑む
(チィ……アレでも倒すに至らんか……)
ダメージは与えられたがまだまだ健在なフランに舌を巻く
「ねぇお兄さん?なんで死んでないの?」
そこへ投げ掛けられる疑問
確実に殺したと思った相手が生きているのだから当然の疑問
「ククク……俺は不死身なんでな」
不気味に笑いながら答えるバルバトス
(……本当は違うがな)
実は違った、フランに悟られぬ様に懐の砕けた人形を感じる
(これがなければ死んでいた……)
砕けた人形
それの名はリバースドール
バルバトスの居た世界である死を防ぐ宝具
持つ者が命の危険にある時、代わりに所有者を守り砕け散る
それがフランの能力で命を破壊されるのを防いだのだ
「……ホントに?」
フランは懐疑の目で睨む
リバースドールの事は知る筈がないからその懐疑は言葉
バルバトスの不死身と言う言葉に対してだった
「あたしが知ってる不死身は3人だけなんだけど……本当にお兄さんも?」
フランは知っている、本物の不死身を
妹紅、輝夜、永琳の3人
その3人の不死身を知っているから疑問に思う
そんな都合良く不死身が存在するのかと
小さい幻想郷でも確かに3人も居るがそれは蓬莱の薬があったから3人、無ければ幻想郷には不死身は誰も居ない
そもそも不死身なら何故バルバトスは逃げたのかとも考えたから条件があるのか何かの道具なのかと考えたのだ
「信じられんなら試してみろよ」
斧を構えて突撃してくるバルバトス
「……」
また目を作りだし
「きゅっとして……ドカーン!」
握り潰す
「!?」
斧が襲う、また効かなかった上に今度は怯みもせず攻撃してきた
「ツウッ……!?」
斧を防御したフランは飛ばされる
「どりぃや!!」
間を与えないバルバトスの攻撃
(ホントに不死身なの!?能力の無効化!?)
結果にフランはそう結論付けた
二度に渡り死ななかったのと考える間を与えさせない攻撃
それが早計な結論付けに導いた
(もしこいつが不死身なら……あたしが止める!)
危険性を感じ留めると決める
「ククッ……」
バルバトスは笑うと
「!?」
また逃げた
「待てっ!」
急ぎ追いかけるフラン
「ククク……おめでたい奴だ……」
逃げながらバルバトスは笑いながら砕けた人形を2つ分捨てる
リバースドールは実は2つあった
不死身の発言は2つ目を持つが故の挑発
信じこませる為の挑発だった
事実フランは自分を不死身と信じ能力の使用を止めた
使われていれば勝ち目はなかったが挑発に加え攻撃による思考の狭化、それが上手く嵌まりフランの能力の使用を止めさせた
「くっそー!」
見事策に嵌まったフランはバルバトスを追い足止めを食らわされた
紅魔館
「ハアァー……ハアァー……」
膝を着き息が荒げている
「……諦めろ」
佇むグランエスタークは告げる
「ナイフも、弾幕も……何一つ効きはしなかった」
周囲に積み上げられたナイフと穴だらけの壁
咲夜の攻撃は効いていなかった
時止めを駆使した圧倒的な攻撃量でグランエスタークを攻めた咲夜だったがオリハルコンの体には傷すら付けられず逆に疲れで膝を着く事態になっていた
効かない攻撃はいくら放っても無駄
咲夜の攻撃は徒労に終わっていた
「ハアッ……ハアッ……!!」
力を入れ咲夜は立ち上がる
「……まだ意思ある目を出来るのは称賛する、だがお前では私は倒せない、気絶していろ……」
剣を峰に返し歩いてくる
(刷り込みは出来た……後は……信じるだけ……)
グランエスタークを見つめる瞳
意思のある目
勝つと……
「これが……最後!!」
ナイフを構え全身に力を溜める
「愚かな……」
無謀な攻撃をしようとする咲夜に一言呟く同時に
「幻世「ザ・ワールド」!!」
時は止まった
「……!」
ナイフを次々設置していく
「奇術「エターナルミーク」!!」
続けて弾幕を設置する
「咲夜の世界!!」
最後にナイフと弾幕をこれでもかと設置する
「フゥー……フゥー……!!」
設置され過ぎて最早見えないグランエスターク
ナイフと弾幕の壁の前で息を整えながら胸に手を当てる
(バーン様……力を貸してください……)
「そして時は動き出す」
時は動き出した
「!?」
グランエスタークは目を見張る、今までとは比べ物にならない量の攻撃、咲夜を視認出来ない攻撃の壁が広がっていたから
「無駄な事を……」
そして瞬時に悟る
量が増えただけで攻撃その物に変化が無かったから
効かないと知る攻撃しかなかったから呆れて目を閉じる
ズギャアァァ……
ナイフと弾幕が全てグランエスタークに命中する
「……もう良いだろう?大人しくすれば怪我は無く気絶……」
弾かれたナイフが舞い落ちる中咲夜を探すグランエスターク
サクッ……
胸に何かが当たった
「……?」
背けていた顔を胸に戻す
「……何!?」
光景に驚愕した
「これが私の奥の手……」
目の前には咲夜、その手には1本のナイフが握られており
それがオリハルコンのボディを裂き、核を貫いていた
「バカな……」
力が抜けていく、核を破壊されて形を維持出来なくなり崩れていく
「さっきのが切り札……本命ではなかったのか……」
問いにナイフを引き抜き微笑する咲夜は答える
「そう、これが本命……これはバーン様から頂いた魔のナイフ、伝説のナイフよ」
今までのナイフとは異なる装飾、刀身のナイフを見せつける
バーンから貰ったナイフを
「してやられたか……私に、効かないナイフと弾幕しか無いと思わせる為に無駄な攻撃を繰り返したのか」
「そうね、足止めが目的みたいだったから利用させて貰ったのよ」
「……入念な事だ、そのナイフの一撃を確実に当てる為だけにあれだけの事をしたのか」
「外せなかったからよ、気付かれて防がれたら警戒されてもう望めなくなるもの」
「……敗因は効かぬと思い込み、それが切り札と決め付けた私の隙か」
敗因はそれだけではない
咲夜は知るよしもないが主のエスタークにも敗因はあった
生まれたばかりのグランエスタークにエスタークは咲夜の事を簡単に話しただけで咲夜の持つ遺産の事を話していなかった
バーンの力を得た余裕とナイフがオリハルコンを貫けると考えなかったから話さなかった
それが敗北の遠因
「……」
完全に崩れる間際に咲夜は言った
「切り札を先に見せるな……見せるなら更に奥の手を持つものよ……」
崩れたグランエスタークを背に咲夜は歩いていく
「……くっ!?」
だがよろけて壁にもたれ掛かる
(無理し過ぎた……でもまだ……!!)
おぼつかない足でゆっくりと向かう
主の元へ……
最後の術式の場所
「……嵌められた!」
式を見たパチュリーが叫ぶ
(全部何もない!やっぱり時間稼ぎ!)
式を破壊すると浮かび上がる
(なら狙いは遺産の筈……レミィ!)
直ぐ様向かう、紅魔館に
迷わず紅魔館に行くのは嫌な予感がしたから
「レミィ……」
遺産以上の事が起きそうで……
隠された人間の里
「……やっぱり変だ」
妹紅も違和感を感じていた
「どうした?」
「ピィ?」
感じていない二人が問う
「やる気が無いんだよ……私達を倒すって気が……」
殲滅した魔物を眺めながら妹紅は呟く
「数で誤魔化してるけど隠しきれてない、なんだ?何が狙いなんだ……」
目的を推測する妹紅に慧音が言った
「言われてみれば私でも楽に倒せるレベルの相手だったな、もしかして時間稼ぎか?」
「そうだとは思うけど……」
「……ん?そういえば前にエスタークは紅魔館に来たと言っていたな?」
思い出した慧音
「そうだけど……」
「お前は追い返したと言っていたがエスタークは何の為に紅魔館に行った?」
「……ダイか遺産を手に入れる為だろ?」
「そうだろうがあの時最後にエスタークが居たのはレミリアの部屋じゃなかったのか?そうだっただろう?」
「そうだな」
「……妹紅、早く紅魔館に戻れ」
「……どうして?」
「今はレミリア以外出払っている、今紅魔館は手薄な状態……エスタークが遺産を狙っているのなら……」
最後まで言い切る前に妹紅は飛び出した
「行ってくる!気を付けろよ慧音!」
飛んでいく妹紅を見送る慧音
(……無事に済んでくれ)
願わずにはいられなかった
紅魔館・レミリアの私室
ズガァ!
「グッ……ガハッ!?」
血を吐いて倒れる者が居た
「拍子抜けだ……この程度で私に挑むとは些か私を舐め過ぎていたなウォルター」
月光に照らされて見下す者が居た
「レミリア……スカーレット……」
倒れるウォルターが憎悪の目で睨む
「ハハハ……愉快だよウォルター、理由は知らんが憎む相手に捩じ伏せられる様はとても愉快だ……」
見下すレミリアの邪悪な笑み
ウォルターはレミリアに敵わなかった
進化したウォルターの力は確かに高かったが頂点のレミリアはそれを軽く上回っていた
ろくな傷すら付けられず床に倒されていた
「うふふ……」
気分が高揚したレミリアは天窓から見える月を目掛け指を差す
「月を見る度思い出せ……名を……夜の女王の名を……」
高らかに告げる
「至高の種族、吸血鬼であり夜を統べる者……」
「王女、レミリア・スカーレットの名を……」
そう告げると薄く笑いながらウォルターへ近付く
「レミリア・スカーレットォォォォ!!」
憎悪の叫びがレミリアを撃つ
「フン……その憎悪、興味深いわね」
爪を前に差し出すと爪に紅い力が宿る
ピッ……
ウォルターの首筋を切り血を指に溜める
「お前の過去を見てあげる」
血が滴る爪を高く上げ血の滴を口に落とそうと爪を止める
爪から滴が落ちる刹那
「やはり今のウォルターでは無理でしたか」
ドアが開いた
「……お出ましねエスターク」
「会いたかったですよレミリア・スカーレット……」
開いたドアに顔を向ける、飲もうとした血の滴は床に落ちたが気にせずレミリアは現れたエスタークに口を動かす
「また夜這い?情熱的なのは嫌いじゃないけど生憎とお前には興味が無いの、プランクトン程もね」
「フフフ……」
レミリアの馬鹿にした言葉にエスタークは気にせず笑い
見つめていた
「視姦しないで気色悪い……」
嫌悪感を表すレミリア
「……気に入りました」
呟いたエスタークは目を逸らしウォルターを見る
「申し訳ありません……」
「気にしないでください、今の貴方では厳しいとは思っていたのです、さぁ帰りましょう」
ウォルターに掛けた言葉に聞いていたレミリアが笑いだした
「逃げるの?何がしたかったのお前?」
「……何を言っているのですか?」
「……?」
意味がわからないレミリアにエスタークは告げた
「貴方も一緒ですよ?」
帰るのはレミリアも一緒だと告げた
「何を言うかと思えば……笑えないジョークね、くだらない」
有り得ない事を言われ呆れ返るレミリアにエスタークは更に告げる
「嫌なら多少手荒くなりますがよろしいですか?」
「……何をいきなり調子に乗ってるのか知らないけど……」
勝てると言いたげなエスタークに笑みは消え目付きは鋭くなる
「やってみろ」
力を高めて威圧する
「フフフ……では……」
開始に手をかざす
「これが……」
魔力を高め手に集中させていく
「!?この……魔力は……!?」
気付くレミリア
ゴウッ!
「そ、それは……!?」
出たそれに動揺が隠せない
ボオオッ!!
(……バーン……!!)
レミリアは倒された
「さて帰りましょうか」
抱き上げたレミリアをウォルターに渡し、スキマを開く
「先に帰っていなさい、皆も順次帰らせます、私はまだする事があるので」
「かしこまりました」
ウォルターが入るのを見送りスキマを閉じる
「……」
エスタークはある物を見つける
(これがレミリア・スカーレットの遺産……)
見つけたのはレミリアの持つ宝石、バーンとの愛の証
「フフフ……ハハハ……」
それは奪わなかった
代わりに聞かせた
「貴方の愛しき者は私が頂きますのでご安心を……」
そう言ってスキマを開き紅魔館から去った
その後エスタークの配下は回収されていった
「レミリア!!」
駆けつけた妹紅が部屋に入る
「……!!」
妹紅は見た、戦闘で荒れた部屋に先に居たパチュリーと座り込む咲夜と慰める美鈴
「パチュリー!レミリアは!?」
詰め寄る妹紅にパチュリーは下を向き首を振った
「連れ去られたみたい、咲夜が見てたらしいわ」
「……嘘だろ」
唖然とするしかなかった
あのレミリアが敗北して連れ去られたなんて
「……」
咲夜と美鈴を見る
怒りに任せ何かを言ってやりたかった
見てたんなら止めろよ咲夜!とか、何やってんだ美鈴!とか……
だが言えなかった
二人の傷付き疲労した姿を見たら言えなかったのだ、頑張った者にそんな事はとても……
だから溢れんとする怒りを必死に抑えるしか出来なかった
「お姉様!」
更に少しした後フランを始めに3人が戻って来て連れ去られた事を告げ、皆は実感した
負けた事を……
「あんのヤロー!絶対許さない!」
「許しません絶対!」
「そうね……」
チルノと大妖精とパチュリー、激怒している
「……」
そんな中フランだけは部屋を見回していた
(多分お姉様は大丈夫だよ……)
不思議と怒りは無かった
姉妹故か心配は無いと思ったから怒りは無かった
「あ……」
見回す瞳が何かを見つけた
(血……お姉様のじゃない)
それは床に落ちた血、能力に触れた血は凝固せず滴として残っていた
(まだ能力が残ってる)
血を掬い取ると口に入れる
「……!!」
(役には立ちそうにない……か……)
無意味だと知った
「!!?」
同時にフランは知った
(分裂したあたしが……やられた……)
分裂体が倒された事を
「ちょっと行ってくる!」
慌てて飛び出して行った
博麗神社
「ふ、フランドールさん!?」
消されたフランの分裂体を見て驚く靈夢
「寝ていろ」
その隙にミストが靈夢を手刀で打ち気絶させ捨てる
「フランドール様をよくも! 」
「やっちゃえ!」
ゴブリンと妖精が攻撃する
「邪魔です、消えなさい……ベタン」
重圧呪文を唱えるとゴブリンと妖精は一瞬で全て潰され生き絶えた
「……さて、お迎えにあがりました……」
エスタークは残る一人に告げる
「ルーミア……」
近付いていくエスターク
「い、嫌なのだー……」
怯えるルーミア
「安心してくださいルーミア……」
頭に指を当てるとルーミアは眠らされた
「フフフ……さぁ帰りますよミスト、後はパレスの完成を待つだけです」
スキマを開きエスタークは幻想郷から消えていった……
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
神殿
「……ん……」
レミリアは目覚めた
「……ここは?エスタークの……?」
知らない部屋を立ち上がり見回す
ブゥン……
「お目覚めですかレミリア……」
そこに知る声が掛かる
「エスターク……!!」
険しく睨んだレミリアはすぐに力を高める
「!?」
だが力は出なかった
「貴方の身体能力、魔力は術式を施したこの部屋で封じてあります、逃げられません」
「……何が目的?」
力が出せない事を悟ったレミリアが問う
「フッフッフ……」
レミリアの前に立ち、押した
「キャ……ッ!?」
ベッドに押し倒されたレミリアはエスタークを睨み付ける
そのレミリアに覆い被さる様に重なり顎を上げ、告げた
「私の妃にしてあげましょう……」
今宵……太陽は落ちた……
紅魔館陥落、連れ去られたレミリア……
グランエスタークに関しては今回限りの噛ませになってます、PAD長の活躍が書きたかったのです!
決戦だと思われた方も居たみたいですがまだなんです、これで中盤が終わりになりいよいよ終盤……佳境になります!
そして報告と言うか昨日怪我して手術したので次話から更新が遅くなるかもしれません、ごめんなさい。
次回も頑張ります!